薬学部を卒業し、国立がん研究センターをはじめとした地域の中核病院で薬剤師としてのキャリアを積み上げてきた吉田 昌史さん。「影響力の大きい人に関われる仕事をしたい」という想いから、コンサルタントとして2023年4月、GHCへ入社しました。
薬を扱うプロである薬剤師から、全くの異業種であるコンサルタントへの転職を果たした吉田さんに、転職の動機や現在の働き方についてお話をおうかがいしました。
影響力の大きな仕事と刺激的な環境を求めて
_GHCに入社するまではどんなお仕事をしていたのですか。
吉田 大学の薬学部を卒業してから、ずっと薬剤師として働いてきました。同じ病院の診療科だけでなく、複数の大病院のさまざまな診療科の薬剤室で働いてきました。消化器内科や呼吸器内科での経験もありますし、外来で抗がん剤治療を行う部署の経験もあります。
_薬剤師のお仕事のやりがいを教えてください。
吉田 薬剤の処方について病院の医師と、ディスカッションすることができるのですが、そこにやりがいを感じていましたね。「この薬の方が良い」ということを医師に納得してもらえれば、患者さんに処方する薬を変えることができるのです。
自分の専門性を発揮し、患者さんにとってより良い処方を実現することが、薬剤師としての喜びでした。
_薬剤師というお仕事に誇りを持って働いていたのですね。薬剤師から、どうしてキャリアチェンジしようと考えたのですか。
吉田 転職理由のひとつは「大きな役割を担う、影響力がある分野の仕事にチャレンジしたい」ということ。病院の薬剤師も、もちろん大きな価値がある仕事です。でも、どうしても影響力が限定されてしまいます。医師に処方する薬剤を変えるよう提案することは、あくまでも患者さん単位のことなので、スケールとしては小さくなります。
病院で同じ人とかかわるとしても、もっと病院全体に大きな影響力をもつ経営層の方々とかかわり、仕事をしたいと考えるようになりました。
_病院内で、経営層ともかかわる機会がある管理職などの立場をめざすことは考えなかったのでしょうか。
病院内でも、薬剤師としてどんどん昇格していって、中間管理職になれば、より大きな動きを生み出せますし、決定権も大きくなりますから、チャレンジングなこともできると思ったのですが、そこまでキャリアアップしていくためには、だいぶ時間がかかります。薬剤部長になれるのはほとんどが50代から。せっかくハイレベルな提案ができるようになっても、すぐ10年後には定年退職が近づいてくる。それでは、僕にとってはちょっと遅いと感じました。
また、病院の薬剤師は、限られた空間で、自分と似た価値観をもつ医療職である看護師、医師と密に関わりながら、働く環境です。有意義な仕事でしたが、しだいに、自分には刺激が足りない…と感じるようになりました。自分とは、全く異なる考え方や価値観を持つ人とかかわりながら、薬剤師という資格に頼らずに働いてみたい気持ちが強くなっていきました。
そこで、もっと刺激的でおもしろいチャレンジングな環境を求めて転職活動をスタートしました。
転職活動の軸は「影響力の大きい人に関わる仕事」
_転職活動では、数多くの企業を受けたのでしょうか。
吉田 いいえ、「影響力の大きい人に関わる仕事」というのが転職活動の軸だったので、受ける会社はある程度、絞って受けました。
_たとえば「影響力の大きい人に関わる仕事」というのはどんな人ですか。
吉田 病院でいえば、院長や診療部長、薬剤室長といったポジションの方ですね。自分の決断で病院全体に大きな影響を与えられるような方々です。
GHCであれば、そのクラスの方にコンサルタントとして提案する機会もあるはずなので、薬剤師に比べてより大きなインパクトを病院に与えられるのではないかと考えました。
_そのなかでGHCを知ったきっかけを教えてください。
吉田 お世話になっていた転職エージェントの方に紹介していただきました。どのようなコンサルティングファームなのかを知るうちに、ここでなら自分のやりたい事が出来るのではないかと考えるようになりました。
_薬剤師からコンサルタントへの異業種転職ですが、不安はありませんでしたか。
吉田 不安が全くないといえば嘘になりますが、あまり心配はしませんでした。自分は昔から「やってみれば何とかなるだろう」みたいにポジティブに考えるタイプなのです。
新卒で地域の中核病院の薬剤部に入った時もそんな感じでしたね。実際に働き始めてみると、先輩薬剤師のレベルも高いし、ついていくのに必死でした。でも、頑張って食らいついているうちに仕事も覚え、3年間しっかりと薬剤師の仕事を続けることが出来ました。
あの時の経験がポジティブシンキングにつながっていますね。
_異業種への転職なのに、すごくポジティブに考えていたのですね。 他にGHCに決めたポイントがあれば教えてください。
吉田 転職エージェントの方からGHCがどんなコンサルティングファームなのかという説明を受けたのですが「医療格差や医療のばらつきについて意識されつつ、病院経営をよくしていこうと真剣に考えている会社だ」と感じました。
自分は薬剤師として複数の病院で働き、さまざまな医師に関わってきましたが、病院の専門性や医師の経験の違いなどによって、患者さんに提供する医療の質には差があることを感じていました。薬剤師としてそれを実感していましたが、自分の立場ではそこにアプローチできず、モヤモヤを抱えていました。
そうした医療の質のばらつきについて、真剣に考えているGHCなら、それを解消出来るのではないかと感じました。
充実したサポート体制でコンサルタントへ成長
_GHCに入社が決まってからは、どのように過ごしていましたか。
吉田 有給を消化しながら、エクセルの勉強をしていました。ある程度の関数が使えないと仕事にならないとのことだったので、アビバに通って、重点的にエクセルを学びました。
_入社後の流れはどんな感じだったのですか。
吉田 コンサルタントとして仕事をするためには、アナリスト試験に合格しなければいけないので、まずはそのための勉強が中心でしたね。毎日午前中は先輩コンサルタントからレクチャーを受け、午後からは与えられた課題に取り組む日々でした。
先輩はみんな本当に親切で、質問すれば丁寧に教えてくれました。そんな手厚いサポートがあったおかげか、無事にアナリスト試験に合格し、本格的な実務がスタートしました。
_最初に取り組まれた実務は何ですか。
吉田 病院のデータ分析ですね。提供していただいたさまざまなデータを分析し、病院の抱える課題を解決するための提案をしています。薬剤師をやっていた時はデータ分析なんて全くやりませんでしたが、アナリスト試験の勉強を通じて分析をしっかりと学んでいたため苦労はしませんでした。
実務をスタートして3ヵ月ぐらい経った頃から、先輩と一緒にクライアントである病院に訪問するようになりました。
_病院へは、定期的に訪問していますか。
吉田 病院を訪問することが自分の中心的な業務です。現在では、都内にある大きな病院に月に2~3回訪問しています。先輩と一緒ですが、自分も資料を作成し、それを使ってプレゼンしています。
プレゼンのたびに病院側と「どうすればもっと良くなるのか」と議論を行っており、プレッシャーはありますが、病院が着実に良くなっているという手応えもあり、やりがいや面白味を感じています。
病院の経営に対して大きな影響を与えられるポジションの方に提案する機会をいただけているので「影響力の大きい人に関わる仕事」をしたいという自分の目標も叶えることができました。
_その目標が叶えられたのは大きいですね。コンサルタントとして病院に関わる事で気づいたことはありますか。
吉田 理想の医療を追求する事の難しさを感じています。
現在訪問している病院だけではなく、さまざまな病院のデータを分析したりしているのですが、質の高い医療を提供するためには、加算や人員配置などの診療報酬の条件を満たすために、多様なことを考えていく必要があることを実感しています。
理想の医療を追求したくても、病院の台所事情がそれを許さないというケースもありますし、あまり知名度の高くない病院は患者さんを集めるのにも苦労していることもあります。
人生初の営業にもチャレンジ
_現在の担当しているクライアントは病院がメインですか。
吉田 病院だけではなくて民間企業も担当しています。
入社した当初はひたすら病院のデータ分析や資料作成をやっていたのですが、GHCが会社として「抗がん剤を扱っている会社のマーケティングの支援」を手がけることになり、私もそこに加わることになりました。
薬剤師として、外来で抗がん剤治療を行う部署で働いた経験があり、その点が評価され、お声がけいただきました。
_民間企業相手の仕事は、具体的に何をするのですか。
吉田 いちばんウエイトが高いのは営業ですね。製薬企業などからインバウンドで連絡があるので、お問い合わせていただいた企業様と面談を行います。
面談の中で「当社はこういう事ができますよ」と提案して、案件をいただく流れです。
_医療コンサルタントとして入社して営業を担当することに戸惑いはありませんでしたか。
吉田 コンサルタントの業務には営業も含まれることを知っていたので、戸惑いはありませんでしたね。実は、大学の先輩にコンサルタントファームで働いている人がいて、コンサルタントの仕事について飲みながら話を聞かせてもらったりしていたのです。
「新しい仕事を取ってくるのもコンサルの仕事だから」と言われていたので、GHCに入社すればいずれは営業をやることになると考えていました。
_どのようなモチベーションで営業に取り組んでいるのですか?
吉田 僕はできるだけ早くアソシエイトマネジャー(以下アソマネ)に昇進したいと考えているため、そのためにも、着実に営業目標を達成したいと考えています。
1年目でも営業の目標数値は設定されており、強いプレッシャーをかけられているわけではありませんが、管理職的なポジションを目指すなら、目標数値をクリアする事が重要になります。
人生初の営業ですが、アソマネ目指して前向きに取り組んでいます。
将来を見据えた「パパ育休」取得
_お子さんの誕生に合わせて、産後の「パパ育休」を取得されましたよね。
吉田 妻が「できるだけ早く仕事に復帰したい」と希望していたため、私も「パパ育休」を取得し、子育てをしました。
子どもが生まれてから2ヵ月以内に1ヵ月間休める「パパ育休」と、その後に1ヵ月間休める「パパ育休」があるのですが、私が取得したのは前者の「パパ育休」です。1ヵ月間を2つに分割して取得しました。
_どうしてそのようなイレギュラーな取り方をしたのですか。
吉田 月に2~3回決まった病院に訪問しているのですが、訪問するのは月の後半なのです。ですから、12月前半にパパ育休を半分使って、1月前半に残りのパパ育休を使うというやり方にしました。そうする事で、病院の訪問という自分の重要な業務をしっかりとこなせるというわけです。
_入社1年目にパパ育休を取得することへの不安はありませんでしたか。
吉田 そのような不安はなかったですね。今は男女関係なく育児に取り組む時代ですし、仕事との兼ね合いで言えば、むしろコンサルタントとしての責任がまだ重くないうちに子育てを経験しておく必要があると思っていました。
数年後、今よりもさらに重要な仕事を任されるようになった時に初めてパパ育休を取得したら、仕事の重責と子育てのあいだで板挟みになっていたかもしれません(笑)。
そこまで忙しくない新人コンサルタントのうちにパパ育休を取れたことは、今後の仕事にも育児にもプラスに働くと思っています。
_育休取得に対する周囲の反応はいかがでしたか。
吉田 一緒に働くチームの仲間は「ぜひ取りなよ!」みたいな感じで応援してくれたので、本当に安心しました。男性社員・女性社員に関わらず、仲間が育休を取得することに難色を示す人は社内にいないんじゃないかと思います。
_そんな風に言ってもらえると助かりますよね。
吉田 本当にありがたかったです。今は6人のチームで働いているのですが、本当に仲間に恵まれていると思います。先輩は本当に面倒見が良い人ばかりで、いつも助けられています。
入社時、何人か、チューター(新人社員を指導するための入社3年目の先輩社員)がいたのですが、チューターではないほかの先輩にも気軽に相談できるような関係性ですね。先輩や同僚との関係性の良さもGHCの魅力だと感じています。
GHCは「医療を真剣に考えている会社」
_最後に、GHCはどんな会社だと思いますか。
吉田 医療について真剣に考えている会社だと思っています。民間企業ですから利益を追求するのはマストなのですが、とにかくゴリゴリお金を稼いでいく感じではないですね。
_実際にコンサルタントとして働く中で、そのように感じているのですね。
吉田 その通りです。病院を良くするために、経営と医療の質の両方からアプローチし、患者さんや病院で働いている方のことを考えながら最善策の提案をしていると感じています。
これからも、そんなGHCで一生懸命に働いていきたいですね。
吉田さんの1日のスケジュール
【病院訪問の場合(都内近郊)】
- 9:00/業務開始
- 9:30/病院の経営分析
- 12:00/昼休憩
- 13:00~16:00/各種ミーティング(担当プロジェクトチームなど)
- 16:00~18:00 /病院訪問
- 19:00/帰宅(自宅で残業する日もある)
【クライアントが企業の場合】
- 面談の予定がはいったら、ほかのタスクを調整して、対応