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自律駆動型組織をつくるためのオープンな情報共有の方法

弊社では、顧客情報や個人情報にはもちろん配慮しつつ、給与関連を除く全ての情報を社内共有しています。たとえば銀行残高も公開していて、新入社員によく驚かれたりします。この記事では、どういう意図と設計で情報公開しているのかを解説していきます。

貴山敬 @tkiyama

目次

  1. 情報を隠すコストは大きく、たいてい運用で失敗する
  2. 人によって知ってる/知らない情報格差が組織を歪める
  3. 情報共有なしで自律性を求めてはダメ
  4. 受動的な人ではなく、能動的な人をサポートする
  5. 情報を正しく活用するためにWhyから共有する
  6. 会議のファシリテーションと議事録のスキル
  7. Slackのダイレクトメッセージはできるだけ使わない
  8. 給与を公開していない理由
  9. さいごに

情報を隠すコストは大きく、たいてい運用で失敗する

情報を隠すためには、議事録を含む様々なドキュメント/フォルダ/社内SNSのチャネル等で、細かく公開設定する必要があります。
実際に公開設定を真面目に管理したことある人はよくわかると思いますが、かんたんそうに見えて、実際はかなり難しい。以下のような例外パターンがたくさん生まれるので、正しい状態を維持するのはすごく手間がかかります。

  • 部門単位で公開設定するが、個人単位で設定することもあり、部門と個人が混在する。
  • Xフォルダの中身は、AさんとBさんにだけ共有するが、たまにCさんにも共有したい。
  • 入社/異動/兼務などのイベントのときに、対象社員を部門のリストに入れ忘れる。

関係者が増えるとともに公開設定はどんどん雑になってヌケモレが発生するので、結局きれいに管理できません。
そして、そうなってやっと気づくのですが、本当に公開設定が必要なものは実はほとんどありません。

人によって知ってる/知らない情報格差が組織を歪める

公開設定をきれいに統制できないと、所属部門と関係ないところで人によって知ってる/知らないという情報格差が生まれてしまいます。噂話と派閥を助長するので、いいことないです。どうせ統制できないならオープンにした方がいい。

情報共有なしで自律性を求めてはダメ

程度の差はあれ、社員に自律性を求め、上長/経営目線で行動することをほとんどの会社は期待していますが、目線を上げるためには情報が必要です。

目線が上がるとは、未来を見据えて現在を俯瞰することですが、組織を取り巻く様々な状況を知らないとこれはできません。
同じ情報を渡してないのに、上長が「管理者目線になってほしい」というのはただのわがまま。管理職が持っている情報を、少なくとも能動的にとれる場所に置くことが社員に自律性を期待するスタートラインだと考えます。

受動的な人ではなく、能動的な人をサポートする

受動的な人に対してフォローアップするのはとても管理コストがかかります。一般的に、大企業は会議の種類も参加者も多いですが、受動的な人も含めて全員に情報共有するためのコストをかけているといえます。

これはこれで一つの方法ですが、とにかく手間がかかるし、社員側が「情報を教えてくれない方が悪い」という他責思考になりがち。

弊社では、全員と情報共有するための会議が少ない代わりに、会議の議事録を含めて、GitHub/Slack/Googleドキュメント、もちろん弊社サービスのtebikiなど、メンバーが能動的にとりにいける場所に情報を置くことを大事にしています。言い換えると、能動的な人をサポートすることを主眼に情報共有設計をしています。

情報を正しく活用するためにWhyから共有する

情報共有しない理由の一つでよく挙げられるのが、社員がその情報を誤って使うから、というのがあります。例えば、未確定の新機能開発や販促キャンペーンを顧客にコミットしてしまう等。

確かにそういう問題はあるのですが、なぜその企画をしているのか/なぜ顧客にコミットしてはいけないのか、というWhyの部分も共有することで、全員の目線をあわせ、リスクを最小限にできると考えています。

会議のファシリテーションと議事録のスキル

KPIなどの結果に加えて、その結果に至るプロセスであるミーティング内容を共有することが大事です。
自動書き起こしやZoom録画などは、見る側に時間がかかってしまうので、議事録の共有を諦めるか、議事録作成に大きな業務量をかけることが一般的です。

弊社では、そもそも効果的な会議運営をしていれば自然と共有できる議事録が出来上がると考えています。

弊社はこの2点を会議で励行しています。
・会議前に、各自がアジェンダに論点を記載しておく。
・会議中、議論しながら議事録をとる。

自分が議論しながら議事録を書くというスキルは、一定のタイピング速度があれば訓練したら誰でもできます。
会議の場で出てきた論点をテキストで明文化して、その場で目で確認しながら論理構造を整理することができるので会議が短くなるし、議事録もできるし、一石二鳥な感じです。

Slackのダイレクトメッセージはできるだけ使わない

放っておくとSlack等の社内SNSはダイレクトメッセージの比率がどんどん増えます。特に、どこまで公開の場で書いていいかわからない新入社員がダイレクトメッセージを使う傾向があります。

弊社では、プライバシーや給与に関することを除いて、公開チャネルに投稿することを徹底しています。情報共有のためというのもあるんだけど、オフィスでの他の人の会話がなんとなく耳に入ってくる、という状況をオンライン空間でも作りたいと思っています。

給与を公開していない理由

給与以外の情報をオープンにしてると、給与関連の情報統制の手間が目立つので、給与も全公開したい気持ちに定期的になります。世間のほとんどの会社と同じく弊社では非公開にしている理由は以下の通りです。

・給与は個人的でセンシティブな情報と考える人が多い
自分の給与が他の人に知られる=自分の知られたくない大事な情報をさらされてしまう、という感覚を持つ人は多いです。

・他の人の評価材料をすべて知ることはできない
評価者は様々な材料を総合判断して決めますが、評価者以外の人が、他の人の「様々な材料」はすべて把握できません。自分の持っている情報だけで他の人の給与を見てしまうと、給与が高すぎる/安すぎる、という印象を持ってしまいます。

・給与は批判の対象にしかならない
誰しも、自分の良いところは過大評価し、悪いところは過小評価します。他の人との差を客観的かつ冷静に判断できる人はとても少ないです。

※成果と個人貢献度合いが完全連動するビジネスなら、歩合制にして給与を公開するのはアリだと思います。

さいごに

自然に任せてると情報は抱え込まれてしまい、全社員がアクセスできる公開情報の比率はどんどん下がります。
不確実性が高い事業にチャレンジするスタートアップにとって、できる限り情報を共有し、メンバーが能動的にとりにいける場所に情報を置いて組織の突進力を高めることは、会社のインフラとも言うべき大事なことだと思っています。本記事が、情報共有のやり方に悩む人たちに参考になればうれしいです。

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