AbemaTVだけでなくサイバーエージェントでは、様々なバックグラウンドを持った技術者が活躍しています。
今回皆さんにご紹介するのは、東京大学や電気通信大学、理化学研究所で教育・研究分野に携わったのち、2016年10月にサイバーエージェントに入社した森下です。
これまで培ってきた統計処理技術を武器に、入社後はデータ解析やデータマイニングを行う研究開発組織「秋葉原ラボ」に所属し、現在は「AbemaTV」のログ解析による統計的なユーザ像の推定に取り組んでいます。
「民間企業はサイバーエージェントが初めて」と語る森下。これまでずっと研究畑を歩んできた彼に、サイバーエージェントに入社したきっかけや今後の展望について話を聞きました。
森下壮一郎
2016年10月 サイバーエージェント中途入社。秋葉原ラボに所属するデータマイニングエンジニア。東京大学人工物工学研究センターでの勤務の後、電気通信大学大学院情報理工学研究科へ。同大学脳科学ライフサポート研究センターに所属後、理化学研究所で統計処理技術研究に従事。
これまでの経歴について教えてください
2005年から東京大学人工物工学研究センターで助手(現在は、「助教」という呼称)を務めた後、電気通信大学での勤務を経て、サイバーエージェントに入社する直前は理化学研究所で医用データの解析を行っていました。
専門は、数理統計学の応用としてのパターン認識です。
また、情報倫理にも少々取り組んでいて、電子情報通信学会にて、技術の発展に伴って新しく生じる倫理的諸問題について考える「技術と社会・倫理研究会」の専門委員を務めています。ここでは、インターネット上でのいわゆる「炎上」についての現象も話題に上ったりします。
これまでずっと、いわゆるアカデミック職でしたので、民間企業に入社したのはサイバーエージェントが初めてでした。
とは言っても、私が所属している秋葉原ラボでは、論文発表などの研究活動も積極的に行っている部署なので、特に違和感もなく溶け込むことができたように思います。
サイバーエージェントに入社したのはどういったきっかけだったのでしょうか?
秋葉原ラボ研究室室長である福田が東大在学中に、私が当時助手を担当していた縁があり、声をかけてもらいました。
これまでずっと行動解析に基づく意図推定に関する研究に携わってきました。例えば東京大学では、公共空間を歩行する人物の目的地推定や、ケーブルテレビの視聴ログ解析を行っていました。特に視聴ログ解析は現在携わっている「AbemaTV」関連の業務に直接繋がっています。
その傍らで、電子情報通信学会の技術と社会・倫理研究会で取り扱われるテーマを通じて、Webサービスのログの統計処理に携わりたいと思うようになりました。Webサービスのログは、そのサービスにおけるユーザの行動そのものです。その解析による意図推定は、いままで取り組んできた研究テーマを活かせる上に、Webサービスの質の向上に役立つだろうと考えました。
そういった意味で、多様なWebサービスを展開しているサイバーエージェントは、開発環境として非常に魅力的でした。
2016年10月に入社してから、現在の担当は?
「AbemaTV」のログ解析を通して、統計的なユーザ像の推定に取り組んでいます。「AbemaTV」は他の動画配信サービスと異なり、インターネットテレビ局として、起動すれば何か番組がやっているというもので、ユーザにとって受け身的なサービスですから、ユーザのライフスタイルに合わせた番組編成が必要です。
一方で、約30チャンネルもあり、視聴予約機能もありますから、サービスがユーザにどのように利用されているかを解析することで、番組編成担当者へのレポーティングが改善されたり、ユーザにとってより精度の高いレコメンドサービスに繋げられると考えています。
今後の展望を教えてください
現在総務省で、ユーザの視聴履歴についてのガイドライン改正について議論されているのですが、おそらくこれから業界全体が、動画サービスの視聴履歴をサービス向上のために役立てやすくなる方向に進むと思っています。
これまで放送事業者にとって、視聴履歴などのユーザのサービス利用履歴の利用に関する制約が厳しい状況だったのですが、上記の流れから今後は制約が緩和され、業界全体でインターネット放送も含めた動画サービスのユーザビリティ向上を目指していくことになるのではないでしょうか。
そういった時代の流れの中で、私としてはこれまで培ってきた統計処理技術を生かして、「AbemaTV」を視聴するユーザ体験の改善に積極的に取り組んで行けたら良いと思っています。
ありがとうございました!