“無料で楽しめるインターネットテレビ局”という、これまでにない新たな動画配信事業「AbemaTV」
従来のオンデマンド型動画サービスとも異なる、全く新しいスタイルの動画サービスのため、プロダクト開発だけでなく各KPIの数値分析や戦略設計についても日々試行錯誤を重ねながら、積極的に取り組んでいます。
今回は、AbemaTVのウェブアナリストである須磨に「AbemaTV」ならではのデータ分析・活用方法を聞きました。
須磨守一
2011年サイバーエージェント中途入社。UXデザイナーとしてPC版Amebaプラットフォームの開発・運用に従事。その後、ディレクターへのジョブチェンジを経て、スマートフォン版Amebaプラットフォームのオープン化プロジェクトに参画する。2014年11月からウェブアナリストとして、Amebaアプリや数々のメディアサービスの分析と改善提案を担当、2015年9月より現職。
現在の担当業務を教えてください
サービス改善に活用するためのKPI設計、ログ設計、レポーティング、分析・施策提案・効果検証などを一気通貫で担当しています。「AbemaTV」では分析用途に応じて複数のログツールを使い分けていまして、私は主にGoogleアナリティクスなどの外部ツールを活用しプロダクトやコンテンツの改善に取り組んでいます。
また、各担当者がGoogleアナリティクスを使って自走できるようにGoogleアナリティクスの勉強会を行ったり、Googleアナリティクス公式個人認定資格(GAIQ)取得プロジェクトを立ち上げたりして、「AbemaTV」だけでなくサイバーエージェントのメディア管轄向けの人材育成も行っています。今では、事業責任者はじめプロデューサー・エンジニア・デザイナーなど50名ほどがGAIQを取得し、日々の運用・開発に役立てています。
ディレクターというキャリアを経てウェブアナリストになったんですね
どういう経緯だったのでしょうか?
ディレクターとしてPC版Amebaプラットフォームの開発・運用を担当していた際、新規会員登録におけるユーザービリティを向上させるためにGoogleアナリティクスなどを使って局所的な分析・効果検証をしていたのですが、機能単位の効果測定ではなくサービス全体で、データを元に意思決定できる環境をつくりたいなと思ったことがきっかけです。
2014年当時は自社のログシステムをメインに使っていました。データサイエンティストやアナリストによる統計学的分析などに活用するには適しているのですが、ログデータを集計するためにはSQLを書く必要があるため、多くの場合データ出しを分析担当者に依頼する必要があり、結果的にボトルネックになっていたんです。
現場の人間を含めサービスに関係してる人すべてがサービスの状況をタイムリーに把握したり施策の効果検証ができるようにしたりするために、誰でも使える開かれたデータ解析プラットフォームが必要だと感じていました。
そこで、「サービス改善のためにGoogle アナリティクスなどの外部ツールを導入し、それらノウハウを広く社内に展開していきたい」ということを長瀬(サイバーエージェント執行役員 兼 AbemaTV開発局局長)に直接提案し、実現しました。
AbemaTVのウェブアナリストとして日々働く上で、どういった部分でやりがいを感じますか?
"インターネットテレビ局" というサービスはこれまでなかったので、KPI設計・ログ設計に関してもこれといった定石というものがなく、自分たちでゼロから作り上げる必要がありました。これは非常にやりがいを感じるところです。
また、データドリブンな組織を作りたいという思いからウェブアナリストを志しましたが、AbemaTVではまさにデータをもとに行われる意思決定の連続です。
今では代表取締役以下、担当取締役から各番組の担当者までアナリティクスのアカウントを持ち、各事業部の担当に応じたレポートを参照し意思決定に活用しています。現在「AbemaTV」のアナリティクスアカウントには200人以上のユーザーがいます。皆、日々真剣にデータに向き合っているので、その分質問や指摘、要望もたくさんもらっています。
メンバーからの要望で、なにか象徴的な出来事はありましたか?
同時接続数をリアルタイムに確認できるレポートがあるのですが、私自身ログの確認用に使う簡易的なレポートであまりレポートとしての価値は感じていなかったんです。
しかし、実際に生放送番組の制作スタジオに行き担当者にヒアリングしたところ、そのリアルタイムデータをみながらコーナーを延長するなど番組進行に活用していることがわかりました。具体的な内容は伏せますが、その中でさらに詳細なデータ抽出ができないかと要望をもらったことがありまして、実際にそのデータを使っていないとでてこない発想で、非常に勉強になりましたね。
データはあくまでもデータなので、それをどうアクションに繋げるかはそのサービスやビジネスを深く理解することが不可欠で、ログ設計においてもそれが求められていると改めて感じました。実際の現場でのデータ活用方法を目にすると、もっとブラッシュアップしなければいけない部分が数多く分かって非常に参考になりますね。皆のデータに関する熱量が非常に高いので、その分ログ設計やレポーティングにおいての要望のレベルも高いと感じています。
最後に、今後の目標について教えてください
私自身ウェブアナリストとしてのキャリアはまだ2年間と短く、まだまだ駆け出しといって良いくらいなのですが、この2年間濃い経験をたくさんさせてもらったことで、サービス改善のためにどういったデータを収集すべきかという点において知見が積み上がってきたかなと思っています。
ただ、そのデータを活用し事業成果に直接結びつける部分に関しては自分自身まだまだ努力しなければいけないと感じているところです。「AbemaTV」をマスメディアに押し上げられるよう、サービスと共に自分自身もウェブアナリストとして、より成長していきたいと考えています。
ありがとうございました!