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週4日勤務制度ができるまでの軌跡

アンドゲート田村です。
株式会社アンドゲートという会社の代表をやっています。

この記事では「週休3日・週4日勤務の制度を作ったが、様々な壁があった・今でもまだある」というお話を書きます。
最近は出社頻度を増やしてみたものの、やはりメンバーは目の前で作業していて放置プレイなので、週休3日・週4日勤務について文章にまとめます。

あなたは働くことが好きですか?

さて、本題です。

「あなたは働くことが好きですか?」
「働かなくても生活できるなら、今の仕事を続けますか?」
と聞かれたら、何と答えますか?

私は究極の二面性の持ち主なので
「働くことは人生そのものであり、仕事が大好きである!」
という意見と
「働かなくても良いなら働くわけないよね」
という意見の、2つが同時に出てきます。

一般的にも「やらされる仕事」というのは面白くなく、意義のある仕事は面白いと感じるのではないでしょうか。
生活のために嫌々仕事をしている人と、ライフワークとして仕事をしている人では、同じ「仕事」でも意味合いが大きく変わってきます。

労働時間なんか興味ない

私は、仕事の基準は「提供している価値の質と量」だと考えています。
昔から1日18時間働くこともあれば、1日3時間しか働かないこともありましたが、提供している価値が顧客や関係者の期待値を上回っていれば問題は起こりません。
逆に、1日18時間働いたとしても、期待値を上回らなければ不合格です。

この考え方は一般的ではないので、他人には押し付けず、自分の中だけのマイルールとなっていますが、仕事の基本は「消費した時間」ではなく「価値の質・量」である点は大きく間違っていないように感じます。

経営者の端くれとしては、従業員には「働け!」とも「働くな!」とも言っておらず「価値提供だ!」と言っています。
ただし法人ですので、国によって定められた労働時間の管理はキッチリ行っています。
守るところは、ちゃんと守る。

「働かない自由」と「働く自由」

急に超意識高い系の田村が登場します。予めご了承ください。

世の中の風潮としては「働かない自由」が目立ち「いかに労働時間を少なくするか」に焦点が当てられています。
しかし、私は「働く自由」もあると考えています。

「働く自由」とは、過度な労働時間制限を行わず、知識や経験を積むことで自らをアップデートすることを指します。
例えば、1日8時間働く人と、1日10時間働く人では、1日2時間分の知識や経験の差が生まれます。
その1日を積み重ねると、1ヶ月では40時間、1年では480時間、10年では4800時間の差が生まれます。

4800時間を8時間で割ると600日分、600日を240日で割ると2.5年となり、20代の10年間を8時間労働で過ごした人と10時間労働で過ごした人では2.5年分の知識や経験の差が生まれます。
長く働けば知識や経験を積めるのか?と言えば、必ずしもそうではありませんが、知識や経験は複利の仕組みなので、影響は大きくなる一方です。

「かわいい子には旅をさせよ」とも言いますし、体は衰えていくので元気のある20代(もしくは一番若い「今」)のうちに多少の無茶をすることで、その後の20年・30年の仕事の難易度を下げることは立派な戦略であり、権利であり、「働く自由」であると考えています。

とは言え、この考え方を他人に強要するとブラックなので、マイルールのご紹介に留めておきます。

平等と公平

「平等」と「公平」について常日頃から考えていますが、この世で唯一「平等」なのは「時間」のみであり、その他は不平等です。
不平等なものはコントロール可能であり、「公平」にすることができます。
真の「平等」はコントロールできず、不公平となります。

詳しく説明すると、何かしらの理由により体の動きが周りよりも遅く、通常2秒かかる動作が10秒かかるとします。
1つの動作で8秒の差が生まれてしまうため、その人はハンディキャップを負うことになります。
そのハンディキャップのある人でも「公平」に生きられるように、バリアフリーやユニバーサルデザイン等の工夫が施されます。

もしも「時間」自体が誰かに付与可能であれば、ハンディキャップのある人に1動作に対して8秒の時間(=寿命?)を与えれば良いですが、残念ながら時間だけは人に与えることができません。
その代わり、時間に代替する価値によって公平さを担保しています。

ここで言いたいことは、唯一無二の平等(≠公平)である時間を労働の基準にして良いのか?ということです。

ピカソの30秒

「ピカソの30秒」という出典不明の逸話があります。

画家のピカソがファンに頼まれ、短時間で絵を描きました。
ピカソは代金として1万ドルを請求すると、ファンは「たった30秒で?」と驚きます。
ピカソは「30秒ではない。30年と30秒なのだよ」と答えました。

繰り返しになりますが、仕事は「消費した時間」ではなく「価値の質・量」によって決まると考えています。
「価値の質・量」は知識と経験によって決まります。
新米のエンジニアが3日かけても解決できなかった課題を、ベテランが30秒で解決する光景は珍しくありません。

同一労働同一賃金の観点で極端に言えば、同じ「エンジニアリング業務」なので同じ賃金となりますが、生み出される価値は大きく異なります。
誰がやっても同じ質・量の価値を生み出す装置があれば、平等が公平になりますが、知的労働においては「時間をかければ良い」というものではありません。

「人月」の納得感

弊社では「人月」という言葉を使用しません。
これは良くも悪くも、かけた時間ではなく提供した価値の質・量で勝負したいから、という想いがあります。
かけた時間が多ければ提供する価値の質・量が上がるのは事実ですが、本質的な価値の質・量を基準に評価しなければ不健全だと考えています。

しかし、我々がそう考えていたとしても、世間一般や顧客はそう考えません。
顧客であれば、発注の妥当性を確認するための基準として人数×時間、つまり「人月」の指標を用います。
人口減少社会においては、総「人月」数は減っていくので、社会全体で見れば緩やかに衰退してしまう指標ですが、第三者への説明責任で言えば、これほど納得感のある指標はありません。

「人月」の指標を脱却するためには、ROI(投資利益率)を予め設定し、達成できているか・いないかを確認します。
しかし、このROIを設定するにもマネジメント側は頭を悩ませることになるので、細かい部分の計算は省かれることになります。

本当の意味で「人月」から脱却するためには、世の中の意識を変えなければなりません。

週休3日・週4日勤務制度の仮実装

弊社のビジョンマップには「目指せ週休3日」があります。
(PMVVを新たに作成しているので、もうすぐ刷新されます)

仕事は「時間」ではなく「価値」なので、週休3日だろうと週休4日だろうと、ちゃんと価値が提供できていれば問題ない、と考えています。
しかし、実際に「週休3日」を実装しようとしたところ、様々な改革が必要なことがわかりました。

評価制度の改革

「時間」ではなく「価値」と言っているので、「価値」の基準を決める必要があります。
売上や利益であれば定量的でわかりやすいものの、投資活動やバックオフィス業務については算定が難しいものがあります。
完璧な評価制度はすぐにできないとしても、少しずつ「時間」から「価値」を基準にした評価制度を構築する必要があります。

また、国の制度では「同一労働同一賃金」や「ノーワーク・ノーペイの原則」等、知的労働に適していないものがあります。
こういった制度の目的を一つ一つ読み解き、最適な制度にするためには時間を要することになります。

ビジネスモデル・サービスの改革

社内のお話しであれば社内で済ませれば良いのですが、サービス提供先の顧客には関係ありません。
「この人は週休3日・週4日勤務なんです」と言って理解していただければ良いのですが、なかなか厳しそうなことは想像できます。
その為にも、労働集約や時間提供ではないビジネスモデルやサービスにしなければなりません。
常に新サービスを開発し実証実験を行っていますが、PMFを達成するまでには時間がかかります。

組織の意識改革

いくら制度を作ったところで、使われなければ意味がありません。
「週休3日・週4日勤務にしたのに、結局週5日働いている」
「なんとなく、休みにくい」
「週4日にしてパフォーマンスが落ちている」
…容易に想像ができます。

意識という形のないものを一気に変えることはできません。
新しい施策を試して、理解して、広めていくことが必要です。

週休3日・週4日勤務は無理なのか?

上記の通り、様々な課題があることがわかり「もう"時間"を基準にしていいや」と心が折れそうになりますが、それでは文明の発展が止まってしまいます。
社会の変化に対応するだけでなく、社会に変化を与えるのが我々の使命です!!!
様々な課題の背景は「時間」を基準にしていることなので、まずはその「時間」基準に則り、徐々に本来の「価値」基準に変化させていくことにしました。

週休を3日・報酬額はフルタイムの約80%に設定することで、週4日勤務制度を仮実装です。
言い方を変えれば「ただの時短社員」ですが
「フルでは働けないけど、週4日なら働ける」といった層から参画してもらい、徐々に目指す制度に近づけていきたいと考えています。

挑戦はまだまだ続きます。
待ってろよ!週休3日!世の中に対しての宣戦布告じゃい!

週4日勤務制度を作ってみた、というお話しでした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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https://twitter.com/tmkn_jp

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