大企業とスタートアップを経たエンジニアから見るBCGDVのカルチャー


BCG Digital Ventures(以下、BCGDV)は、大企業との共創を通じて、新規事業を創出しているクリエイター集団です。エンジニアリングやデザインなどのプロフェッショナルが在籍し、プロダクトとビジネスの両輪で革新性の高い大きな事業をグローバルに生み出し続けています。

クリエイターが中心に在籍しているBCGDVには、エンジニア、エクスペリエンスデザイナー、ストラテジックデザイナー、プロダクトマネージャー、グロースアーキテクト、そしてベンチャーアーキテクトという職種があります。今回の連載では、それぞれの職種について、実際に在籍しているメンバーを紹介しながら、どんな仕事をしているのかをお伝えしていきます。

さて、第一回目となる今回登場するのは、IoTのスペシャリストであるエンジニアの岡田貴裕。大企業とスタートアップを経験し、2017年にBCGDVに入社しました。こちらの記事では「エンジニアから見るBCGDV」を紹介してきます。

「良いプロダクトはスケールしてほしい」が入社のきっかけに

岡田「新卒でエンジニアとしてソニー・エリクソンに入り、その後ユカイ工学に転職しました。この2社を経験して感じたのは、良いプロダクトを作るということと、それが世の中に広く受け入れられる、ということは必ずしも直結するわけではないんだな、ということ。例えばそのプロダクトを出すタイミングが世の中の時流を捉えているか、社内のマーケティングチームやセールスチームとリンクしているか、一気に伸ばすための資金はあるか......。そういった色々な要素が組み合わさって決まっていくものなんだなと感じました。」

そう話す岡田は、現在BCGDVのアメリカ拠点で、グローバルな海運企業と協業したプロジェクトに関わっています。長距離・長期間の運輸をより効率的・最適化するサービスを生み出すためのチームの一員として、さまざまなセンサやエッジコンピュータを組み合わせてデータを取得・解析することで、大幅な安全性向上、コストカットが可能になるエンジニアリングを担当しています。

岡田「BCGDVは、アセットを持った大企業と密につながった状態でスタートアップのように企画を進めていけるので、本当に良い技術をスケールさせやすいという利点があります。大規模な事業に対してエンジニアとして何らかのアイデアがあっても、影響力の小さな会社にいては実際に現場で技術をテストする機会もなければ、そもそも大企業にアイデアを売り込むチャンスもありません。けれども、BCGDVであればそれができるんですね。

海運って結構シブいことをやってるなと思われるかもしれませんが(笑)、世の中の需要がいろいろなところにあって面白いです。技術を通して世界につながっている感覚は、BCGDVならではかもしれませんね」

現在は海運の大規模なプロジェクトに参加していますが、もともと岡田の専門は、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたエンジニアリング。いわゆるIoTと呼ばれる分野でした。

ファーストキャリアは、ソニー・エリクソン。年間で数千万台を売り上げる『Xperia』にデフォルトで搭載されているAndroidカメラアプリを開発していました。エンドユーザーも多くやりがいを感じていましたが、6年後にはユカイ工学に転職。ソフトウェアの端から端まで全体像を学びたくなり、修業のつもりで環境を変えたのだと岡田は言います。

岡田「大企業は大企業で良い面もあれば、少し物足りない面もあって。一つのことに集中できる環境ではあるのですが、“全体の一部”という感じもぬぐえませんでした。カメラアプリ一つとっても、クラウドサービス、電話帳、編集ソフトといった他のアプリに紐づいています。全体像が分からないと新しいアイデアも生まれにくいのです。そこで、クラウドにハードウェアにソフトウェア、その全てに網羅的に関われるユカイ工学を転職先に選びました」

ユカイ工学では、「BOCCO」と呼ばれる家庭用コミュニケーションロボットや、IoTセンサーを活用した低価格ホームセキュリティシステム、運送会社と連携した後付けできる家庭用スマート宅配ボックスなど、さまざまなプロダクトの開発に従事。ロボットの中で動くプログラムを書いたり、開発全般に関わっていくうち、自他ともに「IoTのスペシャリスト」と認知されるようになっていきました。

岡田「プロダクト開発という面では何の不満もなく、前職には今でも感謝しているくらいです。ただ、いいプロダクトを作ることと、ビジネスとして成功することはやっぱり別なんですよね。スケールの面で改善の余地があると思っていたんです。もう少しビジネスやマーケティングに詳しい人や、大きな規模の商流の中で仕事をしてみたいと思うようになりました」

BCGDVとの出会いはそんなときでした。転職を相談した友人からBCGDVのことを聞き、「こんな業態があるのか」と一気に興味が湧いたと岡田は振り返ります。ビジネスサイドと近い距離で仕事がしたいが、アセットのある大企業では分業制がほとんど。BCGDVは「距離の近さ」と「規模の大きさ」のどちらも持ち合わせていたため、「スケールするためのボトルネックが、ここでなら解消されそうだ」と期待し、入社を決めました。

スケールの鍵は、製品そのものの価値に加え「仕組みをハック」すること

BCGDVはプロジェクト単位でメンバーがアサインされるため、一般的な部署がありません。プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアといったクリエイターに加え、ビジネス面に携わるベンチャーアーキテクト、BCGのコンサルタント、さらにはコーポレートパートナー(クライアント)からなる混成チームを作り、新規プロダクトの企画・開発を始めます。

入社後、岡田がはじめて取り組んだプロジェクトは、“Digital Connected Cycle"。つまり、IoT自転車です。スピードメーターを出したり、スマホと離れた状態でロック解除を検知すると通知が来る仕組みにしたりと、セキュリティ面の機能を強化しました。これはクライアントワークではなく社内発のプロジェクトでしたが、アイデアをプロトタイピングし、一気に形にしていきました。

岡田「今となっては類似プロダクトが増えてきましたが、当時は参照できるプロダクトもそう多くなかったので、開発のプロセスが思い出深いです。オフィス周辺の恵比寿の街並みを実際に走行してみると、バックミラーの角度が甘いだとか、ナビはもう少し大きい方がいいだとか、そういう意見が次々に出るんですね。デザイナーとエンジニアが同じ場で同じものを創るってこういうことなのかと、このプロジェクトで学びました」

岡田が入社してきたときのことを、同じプロジェクトに参加していたエクスペリエンスデザイナーの花城泰夢はこう振り返ります。

花城「それまでは、アイデアはあっても迅速にプロトタイプできるリソースがありませんでした。岡田さんが入社してからは、ガラッと変わりましたね。いきなり3Dプリンターを出してくるし、プロトタイプを検証してフロントエンドエンジニアにフィードバックをして……スピードが格段に増しました」

入社して1年が経過した頃に携わったInsurTech(保険)のプロジェクトにも、岡田には深い思い入れがあるといいます。InsurTechの領域は、すでに世の中でもさまざまな取り組みが始まっています。例えば保険販売の場が、会社や窓口からLINEで手軽に契約できるSNSを使った販売チャネルへと変化しつつあること。保険をかける対象や保険のかけ方、保険金の計算方法も、ビッグデータやAIなどのテクノロジーの進化に伴って変化してきています

岡田「どうして思い入れがあるかというと、仕組みをハックすることでこれまでの購買層と違う層へもリーチできる手応えを得られたから。それまではアプリやロボットなど、製品そのものに価値を持たせるものを作ってきました。今回のプロジェクトで、保険商品にIoTのようなちょっとしたテコを組み合わせることで、全然別の価値を持つサービスに変えられることが分かりました」

花城「このプロジェクトのとき、岡田さんは自分でクライアントにピッチをしに行ったんですよ。エンジニアがふくらませる世界観って、ビジネスサイドの言語に乗せると伝わりづらくなってしまいがちですよね。岡田さんはプロトタイプを作るのも速いし、エンジニアである自分の言葉でダイレクトにピッチもしちゃう。珍しいタイプのクリエイターで、重宝されています」

とにかくアウトプット。言語の壁は“モノ”で超えていく

「とにかくアウトプット」というのも、BCGDVのカルチャーの一つ。ピッチに向けてまずは全員で1,000近いアイデアを出します。その中から「フィジビリティはあるのか」「プロダクトマーケットフィットはしているのか」「儲かるのか」といった観点から100、そして10へと絞っていきます。

岡田「僕は全部自分でやりたい性格なので、ピッチの場にも出ていくことが多いです。プレゼン慣れしていないうちは、他のメンバーのやり方を見て真似ようと思っていました。すると、それぞれがみな、自分なりの強みを活かした話し方をすることに気付きました。僕はすぐにデモを作ろうとするし、デザイナーの花城さんはコンセプトだけが書かれたA4の紙1枚でストーリーを膨らますし、ビジネスサイドの人はこうすれば儲かるとロジックでせめる。この多様性が面白いところでもあり、共創することでうまく作用しているなとも感じます」

花城「でもやっぱり、エンジニアが商談の場にいることは強いですよね。ビジネスに明るい人でも、テックフィジビリティの話になるとなかなかピンと来ないもの。岡田さんは速攻でプロトタイプを作ってくるので、商談の場で“モノがある強さ”は何度も実感しました」

BCGDVでは上司部下の関係がほとんどなく、専門性を持った個々のプレイヤーが集結した集団。部署や職種の境界もゆるやかなので、自分の領域外でも、関心があればすぐ情報を得ることができます。ファイナンスについて知りたければ、ベンチャーアーキテクトに聞く、カスタマーについて知りたければ、ストラテジックデザイナーに聞く。「とにかくアウトプット」に加えて、「素早くアウトプット」という共通意識があるため、すべてにおいて“話が早い”といいます。

"ブロックチェーン"や"xR"といった新たな技術の知識を習得するときも、slackに「#ブロックチェーン」などといったチャンネルが作られ、関心あるメンバーが自主的にジョイン。チャンネル内で記事やイベント情報などの共有が行われています。

世界11箇所に拠点を持つBCGDVでは、国境を超えてプロジェクトに参加することもあります。現在岡田は米国マンハッタンビーチオフィスのプロジェクトに参加していますが、得意領域を伸ばしていくことで、海外オフィスから声がかかることも珍しくありません。

岡田「実は私はあまり英語が得意ではないので、議論のときは正直置いていかれてしまうこともあります。なので、どうしてもこっちの方向性がいいと思うときには、実際にプロトタイプを作って説明することがあります。海外に出ると、とりわけモノが共通言語の役割を担ってくれているなと感じますね。現場からは『もう少し英語を話せるといいね』なんて言われることもありますが(笑)」

1年後、自分がどうなっているかを見通せないのもBCGDVの特長かもしれません。それは世界規模でプロジェクトが動いているからだけではありません。自分たちで企画して立ち上げた事業が法人化するとなったとき、ジョイントベンチャー側の人間として転籍することもあるからです。

岡田「会社としてはむしろそういった形で出ていくことを推奨されています。そこがコンサルティングファームとの違いだと思います。単なるアドバイスではなく、僕たちもかなりのオーナーシップを持たせてもらっている。だから、アイデアを出すときは『これが法人化したら、自分が社長をできるか?』が問われます。そういう意味で、スタートアップのような野心を持ちながら働くことができるんです」

「自分の企画」という当事者意識が、ビジネスを加速させます。メンバーの中には、起業を志していたけれども、あえてBCGDVに入社した人も。まだ世の中にないものをつくりたい、それも個人ではできない規模のものを。そう野心を燃やしている人に最適な環境がBCGDVにはあるのです。

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