BCG出身の経営者が集結。当時と今をつなぐBCGカルチャーを探る。“Digital Day2019”(前編)

2019年夏、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)東京本社にて、BCG Digital Ventures、Digital BCG、BCG内のTechnology Advantage PracticeなどのBCG Japan内デジタル組織を横断した情報共有のためのミーティング “Digital Day2019”が開催されました。

 今回は、そのなかで行われたBCG出身の経営者を招いたパネルディスカッションの様子についてご紹介します。

BCG出身の経営者3名によるパネルディスカッション

BCGでビジネスを学び、起業家として世に飛び立つ。BCGはこれまで、多くの起業家を輩出しています。今回のミートアップでは、BCG出身の経営者3名が古巣に舞い戻り、起業家精神が涵養される組織文化について意見を交わし合いました。


一人目のゲストスピーカーは、freee株式会社 執行役員 金融事業本部長(兼 freee finance lab株式会社 代表取締役)の武地健太さん。2008年にBCGに入社し、約7年間にわたり金融、産業財、小売業界等のクライアントに対する、事業戦略策定や組織設計などのプロジェクトに従事しました。

二人目は、株式会社一休 代表取締役社長の榊淳さん。2001年に米国スタンフォード大学大学院にてコンピュータ・サイエンスの修士課程を修了後、2003年にBCGに入社しました。約6年間コンサルタントとして活躍したのち、2009年にアリックスパートナーズ、2013年に一休に入社。2014年に取締役副社長COOに就任し、2016年2月より現職。

三人目は、株式会社DROBE 代表取締役CEOの山敷守さん。東京大学卒業後、DeNAを経て、2016年リード・プロダクトマネジャーとして、ジャパンオフィスの設立フェーズだったBCG Digital Ventures (以下、BCGDV)に参画。2019年4月に、パーソナルスタイリングサービス「DROBE」を設立しました。

ファシリテーターは、BCGDVジャパンヘッドの平井陽一朗が務めました。平井は大学卒業後、総合商社を経てBCGへ入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコンCOO(最高執行責任者)、ザッパラス社長兼CEO(最高経営責任者)を務めたのち、再びBCGに。BCGDV東京センターの創設をリードし、2016年4月の同センター開設後は、BCGDVジャパンヘッドに就任しました。


#BCG時代に言われた「思い出フレーズ」は?

――はじめにアイスブレイクということで、BCG時代に言われた「思い出フレーズ」は何でしたか?(平井)

武地:BCGに入社して初めてのプロジェクトで言われた「今日からお前が一番だ」という言葉ですね。これだけいうと名誉なことのように聞こえますが、「お前が一番(使えない)」という皮肉だったんですよね。それから、バックオフィス部門の人たちにはいつもKYだと言われていましたね。事業会社に行ったら、真っ先に失敗するタイプだって……

榊:「お前がここで生き残れる確率は51%だ」と言われたのが思い出フレーズなのですが、それ以上に、今日10年ぶりにBCGのオフィスに来てビックリしたことがあります。平井さんのアシスタントさんが「平井さん、二つあります」と会話を始めるんです。皆さんはこれに慣れているかもしれませんが、「二つあります」って最初にわざわざ言うのはコンサルっぽさですよね(笑)。一般的には、そんな前置きのないまま一つ目が始まりますから。

山敷:私はこれです、「手が空きましたが、お手伝いできることありますか?」。これ自体は変わったフレーズでもないと思いますが、問題なのは、これを言われたのが夜中の24:30だったということ(笑)。毎日こんなに遅くまで仕事をしているわけではありませんが、プロジェクトが佳境を迎えたときはチームが連帯感に包まれるので、夜中であっても帰宅する前にこの一言が自然と出る雰囲気なんですよね。

#BCGで働いたことが、社長業にどう活きている?

――今日は3名とも「代表取締役」ですが、BCGで働いたことが今の仕事にどう活きているか・または活きていないかについて、教えていただけますか?


山敷:活きたこと、活きなかったこと、どちらもありますね。BCGDVでは新規事業を検討することの繰り返しでしたが、事業会社や今のDROBEでビジネスを考えるときと、ほぼ同じ動作をしていたんですよね。深みや質はそれぞれのケースで異なりますが、基本動作は変わりません。チームで0→1を創り上げていく流れを何周も経験できたのは良かったです。

活きなかった部分としては、私の場合は数カ月前に立ち上げたばかりの「ドベンチャー」なので、自主的に戦略を考えるのが私とCOOの2名だけなんですね。すると大手にいたときの組織論とは違った動き方も出てくるし、分析のためのn数が足りなくても試してみようという意思決定になります。とはいえ仮説の精度は、BCGDVの経験で高まったと思います。

榊:BCG時代に、いろんな経営者にお会いしました。社長は孤独だとか、社長は決めることが仕事だとか色々言われていましたが、今社長になって思うのは「社長は暇」ということです。事業ごとに役員がいるので、社長自身は担当を持ちません。だから「社長は、自分が何をするか決めることが仕事」だと思いますね。

だから関心のあるAI分野の勉強をしているんですけど、社長になってもコンサル時代と変わらないこともあります。毎週、70枚くらいの提案資料を作っています。一般的に役員会があると、部下がレポートをつくってシェアをすると思いますが、一休では逆なんです。私が作って、みんなにシェアする。この資料作成能力はBCGで培われたものですね。

武地:社長業が暇なのは同意ですね。規模は小さいですが、プロダクトごとに責任者がいて強い情熱を持って取り組んでいます。ただ、月に一度だけ社員に言いたいことを言える「詰める日」を作っています。責任者に任せる前提として、freeeではOKRを導入していて、クオーターに一度、次の3ヶ月のOKRを徹底的に議論して方針を明確にする機会を設けています。

失敗談もあります。大きな組織を率いるときは4つのマネジメントをしなければいけないと言われています。ミッションのマネジメント、組織のマネジメント、戦略のマネジメント、オペレーションのマネジメントの4つです。私は「戦略」は鍛えられていたんですけど、オペレーションと組織については全く分からなかった。どこを見てマネジメントすればいいか分からず、結局放置してしまったことがありました。あれは大失敗でした。

個人の能力やプロフェッショナリズムを考えたときに、BCGはやはりレベルが高い。多様な職種があり、色々なモチベーションの持ち方があると言う現実に目を向けなかった結果、組織マネジメントに失敗してしまったんだと思います。

#会社のゴールはどこ? エグジット?

――会社のステージも三者三様ですよね。山敷さんはシード期、武地さんは上場を見据えるメガベンチャーで、榊さんは老舗ベンチャー。それぞれが、個人として、事業として、会社として、この先どんなところを目指していくのかが気になりました。


榊:私は実はあまり考えていませんでした。BCGにいた頃って、ビジネスは売上を上げるゲームくらいに思っていたところがあったんですよ。宿泊ビジネスは「空室を売っている」という見方もあれば、「いつもと違う癒しの空間を提供している」とも見ることができます。レストランにおいても売上を見るのではなく、気の合う仲間同士で美味しいものを食べるプライスレスな時間をどれだけ創り出せたかと見ることができます。

数字の見方も少し変わりました。5年前は300億円だった売上高が、今では3,000億円になっているんです。生み出す幸せを10倍にできたってことですよね。だからエグジットよりも、幸せの総量を増やしたいっていうのがゴールかもしれません。


武地:freeeはミッションドリブンな会社なので、仮に上場をして組織形態が変わったとしても、中身はいい意味で何も変わらないと思います。freee全体では「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げて、freee finance labでは、ファイナンス格差に取り組むことを宣言しているのですが、おそらく社員は100%こういったことを語れると思います。

山敷:2019年4月に設立したばかりのいわゆるシード期なので、資金調達をして上場をしていくという未来は見据えているのですが、そこを目指すというよりは、どこかで踏まなければならないステップと捉えています。今は会社に紐づくサービスが一つだけなので、まずはこのサービスの成功、プロダクトマーケットフィットを目指します。個人的な目標にはなりますが、1歳の娘が20歳になったときに使ってもらえるように。20年以上存続する組織を目指したいですね。

――以前は、AIが流行りだからAI、シェアエコが流行りだからシェアエコ、といったように「成功の法則」に当てはめるように経営をする人が少なからずいました。3名の話を聞いて、ソーシャルゲームをする経営者は減ってきているのかもしれないなと思いました。社会的な価値というのが経営の源泉になっているのはとてもいいことですね。


BCG出身の現役経営者からお話を伺うことで、BCGグループ・BCGDVで働くことの意義を改めて考える良い機会となりました。後編では、この日お披露目になった新開発の社内コミュニケーションツールや、パーティの様子についてご紹介します!

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