クライアントの要望通りか、自分の「わがまま」か。クリエイターが提案すべき「第3の案」
Photo by Hoi An Photographer on Unsplash
クリエイターの葛藤について
今回は、以前私のNoteで公開した記事を、これから仲間になるクリエイターの皆さんにぜひ読んでいただきたく、Wantedly向けに加筆・修正してお届けします。
受託制作やクライアントワークの現場では、クリエイターはしばしば葛藤します。 「クライアントの言う通りに作れば正解なのか?」 「でも、もっとこうした方が面白いのに」
ビジネスである以上、顧客の要望(ニーズ)を満たすことは大前提です。しかし、それだけでは新しい価値は生まれませんし、何より作っていて楽しくないですよね。
私たちブランコでは、あえてクリエイターの「エゴ」や「わがまま」を大切にしています。 今回は、僕が考えている「マーケットイン(市場への適応)」と「プロダクトアウト(作り手の意思)」のバランス論と、日々の提案で実践している「ある手法」についてお話しします。
マーケットインとプロダクトアウト
ビジネスの世界には「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という言葉があります。
ざっくり言うと、マーケットインは「市場のニーズに合わせる」考え方。お客さまが何を求めているのかを調査し、その要望を形にするスタイルです。 反対に、プロダクトアウトは「まず自分たちが作りたいものを作る」という考え方。「市場があるかどうかは二の次。世の中にはこれが必要だと信じているから出す」という、パイオニア的な発想です。
一般的に、受託制作やブランディングの仕事をしていると、自然と「マーケットイン」寄りになります。 クライアントの課題を聞いて、「それなら市場が望んでいるのはこういう形ですね」と正解を導き出す。それはビジネスとして正しい姿です。
しかし、そこで終わってしまうのは、クリエイターとして少しもったいないとも思うのです。
「ABC案」を作ってみよう
マーケットインは成功確率が高い反面、「みんながほしいもの」を作るので、ありきたりな結果になりがちです。一方でプロダクトアウトは、大外れするリスクもありますが、当たれば革新的なイノベーションになります。
だからこそ僕は、仕事の中でこの両方の視点を持つために、よく「ABC案を作ってみよう」と提案します。
- A案: お客さまの要望を可能な限り取り入れた「優等生」な案(マーケットイン要素が強い)。
- B案: A案をベースに、少しだけオリジナルなアイデアを盛り込んだ案(中間的な位置づけ)。
- C案: 完全にこちらのセルフィッシュ(利己的)な想い、あるいは「攻めの提案」をぶつけた案(プロダクトアウト要素が強い)。
これらを並べて提示することに意味があります。 そうすると、お客さまは「なるほど、ここまでが自分たちの想定内(A案)で、ここからが新しい発想(C案)か」と認識できるからです。
「わがまま」なアイデアこそ大事
クリエイターなら誰しも、「これをやりたいんだ」「この技術を使いたいんだ」と強く思う場面があるはずです。いわゆるセルフィッシュな案です。
しかし、マーケットイン(正解)だけが優先される現場では、その想いは「余計なもの」として埋もれてしまいがちです。 とはいえ、仕事である以上、お客さまが求めているものを無視して自分の作りたいものだけを作るわけにはいきません。
そこで大事なのが、「両方を提示する」という姿勢です。 「お客さまが望んでいるもの」と「自分が提案したい新しいかたち」を並べて見てもらう。二兎を追うからこそ、三兎目が見えてくることもあります。
たとえその場でC案(攻めの案)が採用されなくても、お客さまの中に「こういうアプローチもあったのか」という気づきが残ります。それが次の仕事の種になったり、議論の呼び水になったりする。そこが面白いところです。
どっちが正しいか、ではなく「どう混ぜるか」
「マーケットインとプロダクトアウト、どちらが正しいの?」と聞かれたら、答えは「どちらも正しい」です。
実際のところ、僕たちも日々のプロジェクトで、この両方を行ったり来たりしています。 お客さまの要望という「枠」を満たしつつ、その中に自分たちの攻めのアイデアを忍ばせる。そうやって生まれたものが、後で振り返ると「実は一番ウケが良かった」なんてこともよくあります。
市場のニーズ(Logic)と、作り手の情熱(Passion)。 この二つをどう混ぜ合わせ、最適な着地点を見つけるか。それがプロフェッショナルの腕の見せ所なのだと思います。
あなたの「C案」を聞かせてください
ブランコでは、言われた通りの「A案」を作るだけで満足しないクリエイターを募集しています。
エンジニアなら、「要件は満たしているけど、この技術を使ったほうが将来性がある」という提案。 デザイナーなら、「トレンドとは違うけど、このブランドにはこの表現が絶対に合う」という提案。
そんなあなたの「わがまま」や「こだわり」を、私たちは歓迎します。 もちろん、A案を作る基礎力は必要ですが、それだけではつまらない。 ぜひ私たちと一緒に、マーケットインとプロダクトアウトの境界線で遊びませんか?
「自分のアイデアをもっと仕事に活かしたい」と思った方は、ぜひ「話を聞きに行きたい」ボタンからエントリーしてください。お待ちしています。
※本記事は、私のNote『マーケットインとプロダクトアウトと僕たちの仕事について』を元に再編集したものです。