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【元デンソー×元キヤノン対談】大手製造業バックグラウンドを活かして、事業フロンティアを担う二人の今までとこれから

ーー今日はよろしくお願いいたします。まずはじめにお二人から自己紹介を頂いても宜しいですか?

原田:原田泰直です。2020年の3月に入社をして、今までSCM(Supply Chain Management)でパートナーサイドの構築(新規開拓からサプライパートナーマネジメントまで)を一貫して推進しています。

中村:中村優太です。2020年の3月に入社をして、アナリティクスチームにアサイン頂いた後、2週間で異動になり、新規カテゴリーの型化を7月頃まで推進していました。8月からお客様のオンボーディングを行うCXチームで従事しています。

ーー短期間で色々と担われていますね。

中村:日々ロールが変化していくのは、CADDiの特徴かもしれないですね。原田さんはCADDiだと珍しいかも。

原田:たしかに。社内でも少数派だとは思います。SCMが担うロールが非常に広い事も影響しているかもしれません。

ーー前職ではどんなお仕事に従事されていたんですか?

原田:デンソーで、加工部品の調達を4年したあと、2年間商品企画部署の立ち上げをしていました。調達時代は、原価分析から工程改善、サプライヤーでの投資計画作成など深く現場に入り込みながら、サプライヤーと一緒に成長していくような動きをよくしていました。その後、元々CASE(電動・自動運転・シェア・コネクテッドを指す造語)に携わってイノベーションが起きる最前線で働きたいのもあって、商品企画部が立ち上がることを伺ったので立候補して異動。商品企画部では、市場調査・ユーザー調査を自分の専門として、コンセプト企画関係の仕事にも従事しましたね。

中村:Canonのプリンタ事業部で需要予測や新製品の市場投下を行い、その後アメリカで営業と営業企画を行い、2019年からは戦略立案を行っていました。どこのセグメントを攻めていくのか、投資をどれだけするのかをプランニング、分析、交渉をしていました。

ーーお二人とも、前職で裁量の大きいお仕事をされていますね。どのような所でやりがいを感じられていましたか?

原田:共通してあるのは、現場に入り込みながら解像度高くできるという仕事はとてもおもしろかったです。とにかく現場に答えはあると思ってるのでそういうのを大事にしている環境は良いですね。デンソーは現地現物という文化があり、そうした動きは奨励されていました。調達時代は、サプライヤーと一緒に成長していくことを大事にしていたので単に部品を安く買うだけでは意味がなく、常にそれがサステイナブルであるかを求められていたのが良かったですね。CADDiのバリューでいう至誠に通ずるものがあり、時にはサプライヤーに対して「こんな安い価格本当に成立しているの?ロジックがないなら御社に出すのは難しい」といって、えいや的な安い見積もりを了承しないケースさえありました。

商品企画時代は、当初からやりたかったイノベーションに関わるということができたとともに、社内を見渡しても調査とか商品企画をやってる人は全然いなく、フロンティアを開拓している感が面白かったですね。調査会社と、新たな調査手法の共同研究もしたりしていて、刺激的でした。

中村:戦略立案では、市場/売上規模も大きく、自身で差配できる予算も年間で数億円規模になるので非常に刺激的でした。3-5ヵ年のレンジでどう事業成長を描くか考えて、分析して実際にグローバルブランドのお客様との交渉も行えるのは楽しかったですね。その結果、ビジネスの見通しが数年先までたつ事もあり、事業貢献を強く感じることもできたので、入社前に想定していた想像をはるかに超えるワクワク感をもって働かせてもらいました。

ーー成果として誇れるエピソードがあれば教えてください。

原田:調達時代の話ですね。昔からずっと流れていて硬直化したスターター部品市場において数億のコストダウンを実現したときです。

製品が多品種少量かつ短納期ででてくる部品領域で、場当たり的に発注が決まる事も多く、パートナーを最適選定できていない、パートナーさんも最適なラインに流せていない事もありました。そのため、キャパシティの逼迫も引き起こしていました。もう無理じゃないか?と諦められていた領域だったのですが、数百の図面とにらめっこして、一定類似性に目処が立つことがわかりました。その結果、生産技術や設計、企画、パートナー企業の方を巻き込み、数多くある類似品のパターンを分析し、今後の見通しをつくることで、合理化ライン投資できる目処が立ち、コスト低減とキャパシティ拡張ができることに。先日、その町工場の人と久しぶりに電話する機会があったのですが、今もその合理化の動きは進み、キャパシティにも余裕が生まれていることをお伺いし嬉しく思いました。

中村:アメリカでの営業活動経験です。2017年の7月から営業と企画をやってましたが、営業がほぼ初だったので、ノルマが結構厳しかったです。しかし、数字のための営業ではなく、お客様の問題解決に愚直に向き合ってきました。全然関係ないエクセル講座やお客様のネットワーク環境設定をやったり、シカゴで震えながらコピー機を繋いだりもしてました。気づいたらノルマ達成していたり、2018年は年間予算の230%を出して、Sales Award頂いたのは良い思い出です。セールスアワードは現地メンバーしかなかったのですが、現地のトップに掛け合ってサクセスの賞を作っていただきました。

ーー前職でもご活躍されていたお二人が、新しいチャレンジをしようと思ったきっかけはなんだったんですか?

原田:商品企画部でプロダクトを企画していたのですが、その未来が5年先とか10年先なんですよね。イノベーションを起こすのにいち早く関わりたかったというのがあります。

あとは、担当領域的に「プロダクト売り」の思想になってしまい、短いサイクルで製品を改善していくサービス的な考えでプロダクトをつくっていくことができなさそうで、これは相当な危機感がありました。「そのうち市場価値がなくなっちゃうんじゃないか自分」っていう。

あとはエンジニアと近いところで仕事したかったのもあります。既存の技術ありきだし、かといって自分もハードウェアへの提案は何もできないしで結構大変でした。

中村:人にも仕事にも一切不満もなかったのですが、戦略立案の仕事がハマりすぎていて、次にどうしたい?って時にあまり希望がなかったりしたんですね。ビジネス的にも100のものを110にすることを目指す形で、ゲームのルールも結構決まっていたので。10年後も振れ幅はあれど、この辺かこの辺になるのかなーとある程度見えてしまっていて、その確認ができたらよかったんだっけ?と思ってしまいました。それで外にも目を向けてみようと思ったのがきっかけですね。

ーーCADDiを知ったきっかけを教えて下さい。

原田:代表の加藤が大学のクラスメイトだったので。僕が前職で調達をやっていたこともあり、CADDi創業前によく調達のことをヒアリングされていました。

中村:加藤のTwitterーのリツイートが回ってきて知りましたね。

ーー候補が数多ある中で、CADDiに入社を決めたポイントは何だったんですか?

原田:昔から加藤に話を聞いていて、最適発注・最適調達がめちゃくちゃ難しいというのには共感しており、ここでイノベーションを起こせたら相当いいなと思ってました。前職で行き詰まりを感じてたこともあったので、ジョインを決めました。

中村:製造業が好きなんですよね。日本のモノづくりって世界に誇れるクオリティがあるのに、そのポテンシャルを解放しきれていないなと思っていたんです。最終的にはこの「負」を当事者として解決する仕事をするつもりでした。CADDiを知る前は、某コンサルファームに行く気満々だったんですが先述のTwitterでCADDiの事を知って、一回お話を聞いてみることにしたんです。実際にメンバーに会ったら、解こうとしている課題が自分と本当にフィットしていて、解くためのプロダクトも素敵でした。自分が取り組みたい課題に既に真摯に向き合っている会社があるなら入らない理由はないなと思ったんです。

原田:中村さんは誰と面談したんですか?

中村:柿澤さん幸松さんです。2人とも議論に一切の妥協がないなぁとお話して思いました。加工に関して曲げたらどれだけ残るのか、3mmと6mmの差異など紙をもってきて熱く語ってくれたんですよね。目立たない細かい設計が重要な役割を果たしている事が製造業ではよくあるので、そういう部分を目を輝かせながら話してもらえると製造業出身の自分としてはワクワクを隠せないですね。

原田:それはすごいわかります。熱意すごいですよね。

中村:あと、外からみたCADDiは本当に優秀な方が多いと思っていたので、面談に臨む時ちょっと緊張していたんですよ。そしたら幸松さんが「中村さんにお伺いしたい事があります、僕と一緒で(見た目が若く見えるので)最初は舐められやすいと思うのですが、どうやって打破されたんですか?」って質問されて。。

原田:(笑)

中村:そうくるんだ、想定外だわ~って面くらったのと同時にリラックスできたんですよね。論理だけではなく、温みがあるメンバーと一緒に仕事ができるんだろうなとイメージが持てたのを覚えています。

ーー実際に入社されて想定通りだった事と想定外の事があれば教えて下さい。

原田:想定通りだったのは、まだまだ何も整っていないし、全てはこれからという段階だったところ。想定外だったのは、とにかくスピードが早く、ステージがガンガン変わっていくので、常に三半規管の感覚が狂うような感じ。あとは、SaaS等とも違う既存のスタートアップがやってない領域なので、とにかく「これをやったら良い」という型の部分がとても少ないところですね。色々なベンチャースタートアップがある中でも、想像以上に0->1な部分が大きいです。

中村:既存の延長線で皆考えていないですよね。0→1、0→500のイメージがあるかも。笑

原田:わかる。既存のエッセンスが入っていたとしても決して100→110とかではなくて、100→1000にできるかって考えていると思います。

中村:自分にとって想定通りだったのは皆「コトにフォーカス」をしている点ですね。キャディのカルチャーでも明文化されてるところなんですが、ロール関係なくモノづくり産業のポテンシャルを解放することに全員で向き合っていると感じます。想定外だったのは、泥臭さですね。Canonにいたので製造業ならではの泥臭さは肌感もっていたつもりでしたが、スタートアップでも自ら切り込んでいくことが求められるので泥臭さ度合いは濃いと思います。だからこその面白さもあります。

原田:「コトにフォーカス」でいうと、slack上でアイディアやto doをポストできるオープンチャネルがメンバーそれぞれにあるんですが、ある時私がパートナーさんとの会話の内容とちょっとしたアイディアをメモしたんですね。そしたら、エンジニアがすぐに反応してくれていくつか質問した後、すぐにプロダクトの機能開発で検討してくれて2-3週間後に実装されてた事がありました。

中村:よくありますよね。だからプロダクトも本当にユーザビリティが高いんだと思います。リリースもほぼ毎日あるしFBのしがいがありますよね。ありがちなTechの押しつけをCADDiでは感じたことがないので本当にリスペクトを現場に持ってくれていると感じます。

ーーCADDiで今までの経験が活きているなぁと思うことはありますか?

原田:マニアックですが原価まわりの所ですね。個人的に原価が好きなのもあるんですが、製造業では原価を共通言語として話す所があるので今も活きているなぁと感じます。どの工程に何秒使っているのか、ここのコストを動かすと全体にどんなインパクトがあるのか、間接費の計上のしかたなど、モノづくりを数字で表現してパートナーさんとディスカッションができるのは強みですね。原価で製造業を捉える事を仕事としてやってきていないとできないことだと思っています。

中村:CADDiではじめて量産品作った時も、活きていたんじゃないですか?

原田:はい。最初パートナーさんに見積を出していたんですが、金額に2倍も差異があったんです。なので工程を分解して、コストを圧縮できそうなポイントを見つけて改善案を提案しました。結果、大きくコストダウンをする事ができて量産化をうまく進める事ができました。

中村:80年も続く会社から創業3年の会社に転職して、メンバーも化け物(笑)ばかりだったので、通用するものがあるか不安だったんですが、モノゴトを整理→型化することはCADDiでもバリューになっていると思っています。非線形で成長しているCADDiでは、突破する動きと整える動きを同時で高速に回しているので、整える所でバリューは出せていると感じます。

原田:製造業の現場を肌感含めて知っているっていうのもすごく強みですよね。例えば、スタートアップって一年で2倍とか10倍の成長ってありますけど、キャディのパートナーがその成長をするのって構造的にほぼほぼ無理だったりするんですよ。なぜなら、投資してマシンいれるだけで半年かかったり、土地取得するだけで2年とかかかるから。こういうのを理解しているだけでも、どのようにサプライサイド拡張していくべきかの戦略立てが変わってきます。例えば、設備メーカーと握って超短納期でマシンいれてラインつくってもらえるようにするなど打ちても出てきますよね。

中村:ですね!製造業の現場って、論理だけでは解決しないところだと思います。コスト/ビジネス視点が強すぎて決めつけで物言いをしたり、モノづくりに対してのリスペクトがないとコミュニケーションが地獄になります。笑 実際は敬意を持って知ろうとすると腕を広げて迎えてくれる「下町魂」溢れる方々ばかりなのでその肌感を知っていることは活きていますね。

原田:直近入社された製造業出身の佐藤さんは、入社1週間でパートナーさんの所に行くことになったんですが、すぐに仲良くなって関係構築されてました。それも肌感を知っていたからこそだと思います。

中村:製造業って思いも本当に大切ですよね。

原田:そうですね。思いがないとコスト通りやってもうまくいかないですね。現場を清濁合わせて知っている事が調整する場面でも役に立っているなぁと感じます。

中村:佐藤さんだけでなく、材料調達では阪和興業出身の湯川さん、プラントではコマツ出身の陽造さんが活躍されていますよね。製造業出身メンバーがCADDiの事業フロンティアを担ってますよね。手前味噌ですが。

原田:自分がコストモデルを作っている意識が、製造業出身メンバーは強いからかもしれないですね。

ーー製造業出身の方がCADDiに入社される際に持っておくと良い心構えなどあれば。

中村:スピード感はおそらく全然違うと思います。会社の成長しているスピードが原田さんも言われたとおりすごく速くて、個人で意思決定できる範囲も広いので最初は辛いかもしれません。今もやっている時はめちゃくちゃ辛いし、週に2回位『無理無理』って絶望感があるんですが、3か月位立つと『あれ?こんな登っていた?』と思えるので結果良いと思っています。

原田:繰り返しにはなるのですが、非線形の成長をしているので、既存の延長線上で考える事から離れる必要があると思っています。例えると今までマラソンで走っていたけど、100/200m走を何度も走ることになるイメージです。あとは、会社がどうするではなく、自分でどうするのかという意識は強く持ってほしいですね。どうしても大きい会社にいると意思決定に自分ではない誰かのフィルターを通してしまいがちなのですが、CADDiは違います。何が課題があれば誰かではなく、自分が変えていく意識を皆持っていますね。

中村:前職だと、思っている事があっても数か月置いておくこともありましたが、CADDiだと1週間おいておくと先延ばしにしすぎたなと感じます。

原田:うんうん。なんで3日も置いたんだろうって思います。スピードの速さはCADDiの良さでもありますね。つい最近も、ある大きな調達課題に対してこんなことやれるんじゃないかって社長とエンジニアチームに展開したら、2週間くらいで実装され、パートナーさんからとても驚かれましたね。ある工程の生産性が3倍くらいになったのですが、techの人たちの実装力の高さには本当に驚きます。

ーー最後に、これからCADDiでやっていきたいことはなんですか?

原田:町工場をワクワクさせ続けたいんですよね。デンソーではパートナーとサステナブルに成長する事を大切にしていて自分の軸になっています。町工場って本当に優秀な人が多いんですよ。決められた納期をきちんと守って、定時で帰りながらクオリティも高い。でもポテンシャルを解放しきれていないんです。その負をどうにか解消したいですね。

世界観でいうと、CADDiに図面が入った瞬間に図面が工場へと流れて一定自動でプログラムされて、製品がつくられていく世界を実現したいですね。その結果、削減された工数をパートナーは技術開発にあてたり、投資にあてたりできるようになったらと思っています。

今、そうした未来に向けてキャディは少しずつ色々なプロダクトを作れているので、果てしなく遠い未来だけと、着実に向かっている気がしています。

中村:プロダクト側に行きたいです!将来製造業を支えるプロダクトに対して自分も関わりたいって想いが強かったので。それから、どちらかというとアナリティクス人材なので、分析を担うような部署にも行けたらと思っています。


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photo by Taiga Yamazaki

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