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「変わりゆく製造業の未来に適応したい」と転職から1年。キャディで得た自信とは

今回お話を伺うのは、大手製造業コマツからキャディへ転職し1年経った生産管理部の北島陽造さん。この1年で、どのように働き方や考え方が変化したのでしょうか。

コンフォートゾーンにいては、成長できない

ー前職は株式会社小松製作所(以下、コマツ)に勤め、原価企画という部署で設計開発から販売までサプライチェーン全体を任されていた北島さんですが、改めて転職した理由をお聞かせいただけますでしょうか?

前職は、自身のスキルが会社に最適化されていて、ある種の居心地のよさがありました。ただ、製造業界も今後はAIの導入やロボットの協働など益々のデジタル化が進んでいくのが明白で、自分がそこにダイレクトに関われていないことの危機感も感じていました。コマツである程度先が見えたキャリアを歩むことと、先が見えない新たなチャレンジを通じてキャリアを積んでいくことを考えたとき、後者に魅力を感じたのが転職の理由ですね。

ー転職先をキャディにした決め手はありましたか?

デジタル化に関わりたいという思いがありながらも、さすがに今からエンジニアにキャリアチェンジするのは正直怖いしこれまでのキャリアが勿体無いと思っていました。キャディはこれまで自分が培ってきた製造業のナレッジも活かしながら、デジタル領域に知見を拡げられるし、関わろうと思えばプロダクト開発にも関われる可能性があり、こんな環境は他にないと思い転職を決めました。

ーありがとうございます。前回のインタビューでは、キャディで事業開発からスタートしたとおっしゃっていましたが、その後、入社してからは具体的にどんな仕事の遍歴をたどられてきましたか?

最初は大物製品カテゴリーを立ち上げるチームに配属されて、製作をお願いするサプライパートナーさんの開拓に最初の3ヶ月は従事していました。そこから徐々に案件を実際に動かしていく段階に入り、そこからはわりと色んな領域に手を出し始めましたね(笑)

新規パートナー開拓もしつつ、1つひとつの案件の生産管理もしながら、そこから更にお客様への新しい領域の提案にも少しずつ入っていきました。昨年リリースした組立サービスだったり、プラント受注などキャディがそれまでやっていなかった未知の領域について、現場で具体的な案件を通じてお客様と正面から向き合ったことで、キャディの業務領域を拡大することに貢献できたと思っています。

ーそれは北島さんが意図して……というよりは、様々な現場に駆り出されたということだと思いますが、どうして様々な場面に駆り出されたんでしょうか??

最初は自分で意図して入っていったというのが正しいですね(笑)。キャディの社内では、「お客様に対してこういう新しいことをやったら喜んでもらえるのでは?」という会話が色んな所で展開されています。組織が違うしとか自分の担当領域じゃない等は一切考えずに、面白そうな所に顔を出し、気がついたことは遠慮なく口を挟んでいきました(笑)。更に、口を挟むだけでなく、自分でもその中でボールを持って形にしていくことを繰り返していると、自然に多方面から話が集まるようになりました。

ー簡単に見えて実は非常に難しいことだと思いますが、何か前職の経験が活きたということはありましたか??

凄く活きたと思います。私が前職で担当していた、運転席(キャブ)は非常に技術的な範囲が広い分野だったんです。自分でロボットをつくる技術はないですが、そのロボットがどういう構成で出来ていて、実際の製造工程はどうなっていて、更に言えばどういう要素がコストに影響があるのか等についてだいたいどんなものかをイメージすることができました。ジャンルも溶接、板金、樹脂、ガラス、塗装、組立、ハーネスなどと幅広かったので、様々な領域で他のキャディの社員より知見があったので、臆せず突っ込んでいけたのではないかなと思いますね。

あとはベースの知識があったからこそ新しい知識の吸収も早かったと思います。前職の小松製作所は基本鉄がメインの会社なので、アルミやステンレスなどに関しては全く知識がない状態だったんですが、本などを読んで勉強していきました。この時も、元々の知識があったからこそ、新しい知識と紐付いて繋がる部分がたくさんあり、より自身の解像度を上げやすかったかなと感じています。

機械加工も小松製作所時代はそこまで関わることがなかったですが、どんな加工法があるか等、要素(点)の知識はありました。キャディに入ってお客様やパートナー加工会社と話をする中で、例えば、架台など大きい構造物の溶接のひずみを抑制する為に機械加工が有効である等、実際にモノを作る上での活きたノウハウがどんどん出てくる中で、これまで持っていた点の知識とそれが線として結びつくことで、1+1が2でなく、3にも4にもなる感覚がありました。

他にも、こういった具体的な材料や加工の話だけでなく、製造業のサプライチェーンにおける現場の肌感があるだけでも、大きなアドバンテージだと思います。板金作って溶接して塗装して組み立てて、お客様に納品するまでの一連の流れの中に、図面には書かれていない、気を付けなきゃいけないポイントがたくさん隠れています。例えばそれが納品する時の荷姿だったり。カバーは掛かっているけど、ハンドルがあるものだと、輸送時にぶつかって折れてしまうリスクがあるから別送すべきとかって製造業の経験がある人からすると当たり前な話ではあるんですが、そもそもそれをリスクだと知らないまま突き進んでしまうケースもこれまでは存在したのが実状です。製造業のサプライチェーンにおける現場の肌感があるからこそ、こういったリスクを検知できて対処できるし、更に言えば、それをお客様にフィードバックすることで揺るがない信頼を獲得できる場面も多々あります。

製造メーカーで培った、製造業における現場の知識や経験があると、キャディでは様々なシーンで活躍できるのを働いてみて実感しています。

壁にぶつかり、たどり着いた「徹底した現場主義」という答え

ーありがとうございます。仕事をする中でぶつかった課題はありましたか?

キャディはOKRというフレームワークを使用し、目標に対してどう成果を出すのかを整理するのですが、論理的思考が苦手だったこともあり、行き詰まったり思い通り進捗しないことがたくさんありました。

考えれば考えるほど迷走してしまい、結果、答えがないものを考える時間が増えていたように思います。入社してから3〜9ヶ月くらいは、周りにどう追いついたらいいのか、どう打開すればいいのかと悩んでいました。そんな風に悶々としながらも目の前の案件をこなすことに必死で、考えなきゃと思うもののそこに時間も割けず、負のループに陥っていたように思います。

ー正直、迷走した時期があったのですね。では、そこをどう乗り越えられたのでしょうか

僕の隣に非常にスマートに仕事ができる方がいて。自分より優秀だなぁと最初は焦燥感があったのですが、その人はその人なりのバックグラウンドや経験がある訳で。真正面で戦っていてもそりゃ勝てないよな、と割り切れるようになったんですね。

悩み続けた結果、真正面から戦いに行くのではなく、そうではないポイント……、たとえば皆がタッチしていない新しいところを広げにいくとか、放置されがちな難しいものを拾いにいく中で、どうそれを攻略して形にして会社の成長につなげていくのかを考えるように意識を切り替えたんです。

ー「意識を切り替える」、なるほど、いい気付きですね。

当時、自分が持っていたKR(目標)は「架台の品質保証」だったのですが、そもそも売らないと品質保証も何もないよなと(笑)。

そこでまず、自分で持っているKR(目標)から視点を上げて、チーム全体で持っている売上目標に向かって、それを達成するためにはどうすべきなのか?と思考を切り替えることができたのが、ひとつのターニングポイントだったと感じています。

売上に意識が向くと、タネはあるけど技術的にスタックしてしまっていて具体的な形になっていないものなど未着手の課題が見えてきて、それを拾いにいき、改善し形にする。すると、もともと持っていた製造業の知識やバックグラウンドが活きるようになり、課題解決の質も上がっていき、複数の案件が素早く回るようになって、売上も立つようになってきたんです。先程とは逆に正のループが回り始めました。

ーターニングポイントの他に、視点を切り替えられたきっかけはありましたか?

僕は内省が苦手なので、自分で内省して視点を切り替えられたというより、外的な影響が大きかったですね。ひとつはあるお客様の存在です。悩みながら少しずつ自分の現場主義の特性を活かして、とにかく納品時に毎回立ち合っていた時に、あるお客様の現場を取り仕切るベテランの方が僕のその姿勢を気に入ってくれて、試作品の段階で真摯なフィードバックをたくさんくれたんです。その丁寧なフィードバックを活かして、量産にスムーズに移行でき、実績が出ることで自信に繋がりました。もうひとつの外的な影響はある同僚の存在です。その人は、僕をとにかく色んな現場に引っ張り出してくれたんですよね。たくさんの打席に立てたことで、結果的に多くの気付きが生まれ、どんどん視点が変わっていきました。

ーキャディでは「個に迫る」をテーマにしてますが、まさに北島さんはそれを体現されたのですね。結果として北島さんは、著しい成長を通じ会社に貢献した人に贈られる「解放賞」を受賞されましたが、その要因は何だと思いますか?

やはり色々な現場にたくさん駆り出してもらえたことが大きいのかなと思います。様々なお客様に会って話をしたり、色々な分野にチャレンジをすることを通じて、自分が力を発揮できるゾーンを見定めることができたんです。そういう機会を創ってくれた周りの人達に感謝しています。これまで培った製造業の知識や経験を活かして、「ちょっと新しくて未知なゾーンへ踏み込む力」が僕の強みだと気付くことができました。

転職が「課題解決能力」と「自信」を与えてくれた

ー改めて振り返ってみて、キャディに転職してよかったと思いますか?

本当に良かったです。キャディの事業と仕事が単純に楽しいのもありますが、仮にキャディのビジネスが成り立たなくなって解散になったとしても、どこの会社でもバリューを発揮できる自信が持てるようになりました。

ーどこでもバリューが発揮できるというのは強いですね。そのように考えられるようになったのはどうしてでしょう?

キャディの高い目標と圧倒的なスピード感の中で、一定の成果を出せているという事実が非常に大きいですね。こんなに速く目まぐるしく状況が変わる中でも、そこに戸惑うことなく動けるようになっているし、どうやったら成果を出せるかを考えられる思考力も付いてきています。あとは、大企業での経験とスタートアップでの経験を両方できたことも大きいと思います。今ではどんな規模の企業でもやっていける自信があります。

ー前職と比べて、スキル的に身についたと思うことはありますか?

思考の幅は広がったと思います。一番身についたのは、課題解決力ではないでしょうか。前職では、考えなくても課題はふってくるのものでした。、ふってきたものをこなすのに必死だっというか……。

ー課題に対しての答えを考えることはあっても、課題そのものについてを考える機会は少ないということはよくありそうですね。

リソースは有限な中で、どの課題を説いていくのが一番事業インパクトがあるんだっけという視点は、前職のときはまずなかったですね。自分の持っているアイテムでどれだけ原価改善するのかという視点しかなかったです。キャディでは事業インパクト視点で、例えば採用(=人的リソースの調達)まで考えてそこに関わっていたりしますが、前職の時はそんな機会は全くなかったです。

今は課題そのものを疑って「これとこれなら、どっちの課題を解いていくのがより大きな成果に直結するのだろう?」と考えることから始まります。この辺りの話って、本にも書いてあることだと思うんですが、知識としてあっても実際の状況で実践してみないことには血肉にはならないんですよね。キャディにいると思考と実践がフル回転で進んでいくので、血肉としてのポータブルスキルが付くと思います。

ーありがとうございます。今後の北島さんの今後の展望も教えて下さい。

今後は現場のお客様やパートナーさんのニーズをプロダクトに繋げるような仕事にもっと挑戦していきたいと思っています。これこそ、エンジニアのいない普通の製造業企業にいたらできないキャディならではの仕事だと思っています。

その他には、キャディの事業成長を更に盤石にするために、組織を強化する取り組みを加速させたいです。自チームにおいて、毎回僕一人のパワープレーでこなしていくのではなく、組織として誰でも同等のクオリティでより効率的にパフォーマンスできるように自身のナレッジの標準化や型化を推進したいと思っています。

あとは完全に個人的な野望ですが、宇宙事業とゴルフ事業をやりたいです(笑)。

ーありがとうございます(笑)。最後に、製造業で働く方々へのメッセージをお願いします!

課題がふってくるのをただ待つだけでなく、最初からガンガン動いて、自分から課題を意識的に見つけに行くのは非常に大事だと思います。そうは言っても難しいよと思う人は、それが当たり前になっているキャディのような環境にとりあえず飛び込んでみるのもいいかもしれません。

あと、変化は楽しんだほうがいいと思います。どんどん変化が求められる時代の中で、せっかくなら楽しんだほうがいいかなと。変化に対して「なんで変わっちゃうの?」ではなく、変わったことを楽しむ視点があれば、また違った発想が生まれると日々感じています。

Photo by Taiga Yamazaki

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