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雑誌SWITCHインタビュー『ココネの新しい冒険~』 ココネ株式会社代表取締役社長CEO 高谷慎太郎

この記事は「SWITCH 2022年9月号」に掲載された記事を許諾を受けて転載しています。
PHOTOGRAPHY :GOTO TAKEHIRO
TEXT :SWITCH

人の感性を大切にしたデジタルコンテンツサービスの提供を目指し、2008年に創業されたココネ株式会社。

スマートフォンアプリ「ポケコロシリーズ」「リヴリーアイランド」などのソーシャルネットワークエンターテインメントコンテンツを多数展開、いわゆるアバターサービスと呼ばれる業界におけるリーディングカンパニーを自負するココネ株式会社の代表取締役社長CEOに、この7月、高谷慎太郎が就任した。

Web3時代の到来において、これまで大切に育んできたものを基盤としながら、グローバルカンパニーに変貌を遂げ、“ココネらしいメタバース実現”に向けた新しい挑戦がはじまる。

――ココネとの出会いを教えてください。

「二年程前に、ご縁あって前ココネ社長冨田(※現cocone connect代表取締役社長)と打ち合わせする機会がありました。そこでこれからココネがより大きく成長するための組織づくり、特に人材採用において何か力に…ということで業務委託として当初はご一緒させていただきました。ココネのことは『ポケコロ』を手掛ける会社、そしてハンゲームを創業し、大きな成功を収められたレジェンドである千さん(※現取締役会長 千龍ノ介Chun Yanghyun)が率いる会社であるというぐらいで、深く実態を理解してはおりませんでした。

私自身は大学卒業後ゲームメーカーのSEGAに入社し、業務用/家庭用/PC/モバイル等々のゲームコンテンツのプロデュース業務に従事したのが社会人のスタートとなります。二〇〇〇年頃にダーツの魅力にハマって、『Bee』というダーツバーを開業し、『ダーツライブ』というネットワークダーツサービスをプロデュースしました。そして、同グループで株式会社ダーツライブを創業し、代表を約十二年務めました。その後同社を離れてからも、デジタルエンターテインメントコンテンツの企画制作、ライブ配信プラットフォームの事業展開と、いわゆるデジタルエンターテインメントの業界にはずっと携わっているのですが、どちらかというと勝ち負けや順位を競うような、割と刺激の強いサービスを手掛けることが多かったので、『ポケコロ』の様なかわいらしく穏やかなサービスとは縁遠かったのです。

そんな中、千と食事を一緒する機会がありまして、その日にCCP事業(※ココネではアバター事業をCCP/Character Coordinating Play事業と呼ぶ)の魅力、どんな考え方でココネを経営しているか、今後のグローバル展開、“ココネらしいメタバース実現”の構想などたっぷり聞くことができ、千の人柄、考え方、創造力にすっかり魅了されてしまいました。その後も何度か千、冨田と対話を重ねることでココネの魅力、可能性に心動かされて、入社を決意し、現在に至ります。」

――ココネの魅力とは?

「あらゆるところで、お客様のことを常に思って仕事をすることをここまで徹底している会社は数少ないと思います。ほんの一例ですが、CCP事業の収益基盤はアイテム販売が大部分を占めるのですね。そのデザインはほぼ全て社員である内部デザイナーがデザインしているのです。ゲームをはじめとするこうしたコンテンツ企画制作開発においては、アートディレクター/クリエイティブのトップは社内にいながらも、コスト面を考慮して制作の大部分を外部委託することが一般的です。そんな中ココネではグループ全体で約三百人のデザイナーが所属しており、それぞれがお客様のことを思って、一喜一憂しながら一生懸命デザイン業務に励んでいます。当時私の常識としては『なぜ? どうして?』という感じで、千に尋ねたところ、『大切なお客様に自信を持ってアイテムを提供するには、信用信頼できる社内デザイナーがいいでしょう』と、ストレートな一言回答がありました。

また、企画運営体制もとてもユニークで、“無課金で遊んでくださるお客様”“課金して遊んでくださるお客様”“たくさん課金して遊んでくださるVIPのお客様”と、それぞれお客様のニーズに合わせて明確に企画運営の担当チームが分かれており、どのお客様にもそれぞれ楽しんでいただけるような工夫をそれぞれがいつも考えています。アイテム制作も企画運営体制も、いずれも当たり前のことと言えば当たり前のことなのですが、私の経験上ここまで徹底している会社には出会ったことありませんでした。むしろ実現したいなと思いつつもなかなか実現できないのが実情だと思いますが、それを当たり前のように全社で真摯に取り組む姿勢に驚きを覚えました。

それから、お客様に対してのみならず、社員に対する考え方もびっくりするようなことがたくさんありました。ココネを創業した時に千は事業領域を決めることはなく、ただただ良い会社を創りたいという思いで設立したそうです。良い会社とは、良い人が集まれば良い会社になる。しかし創業間もないココネは無名だし、売上も一切ない。せめて皆が心身ともに健康でいられるように、美味しい食事と適度な運動を提供することは自分の責務である、という考え方のもと、創業間もなく赤字のころからデリとジムが在ります。見え方は福利厚生なのですが、ベースにある考え方に深く感銘を受けました。この七月からは大切な時間を社員に返そうということで、水曜日の午後を自由に使える時間とする制度も始めました。千のみならず他経営陣、社員皆、誰と話してもこのような考え方が根付いている、浸透していることにとても驚きました。」

――フェイスブックがメタと社名変更を発表したこともあり、メタバースという言葉が注目されています。しかし言葉ばかりが独り歩きしている感もあります。ココネは、そして高谷さんはどのようにメタバースについてお考えですか?

「メタバースという言葉はこの一年でグッと身近になりましたね。メタバースはVRで表現される、あるいは3Dのオープンワールドで表現される等々、様々な意見がありますし、実際これから多数のサービスがローンチされてくると思います。我々ココネも“ココネらしいメタバース”の実現に向けて、グループ内で様々な角度で表現、技術検証を進めていますが、未だこれが正解だろうという結論には辿り着いていません。

ただし、いくつか仮説があります。その世界において、現実世界ではなり得ないかもしれない姿であっても、アバターとして自分を表現できること、そのアバターに愛情を注いで自己投影し、アイデンティティを感じられること、そして他者との関係性(コミュニケーション)がしっかりと成立するような仕掛けが存在すること。ここまではこれまでココネが『ポケコロ』ローンチ以来十一年取り組んできたことそのものなのですが、プラスアルファとして、これまでのサービスにおいて130億個を超えるデジタルアイテムを販売してきた実績 踏まえて“何らかの経済性・資産性が実装されており、経済圏があること”がココネらしいメタバースの成功に必要な要素ではないかと考えております。そういった考えに基づき、ブロックチェーンという技術基盤でアイテムのNFT化、トークンエコノミーの実装といったWeb3ならではのサービスを鋭意企画開発中です。本号が発売される頃には数タイトル発表できていると思います。これからのココネにどうぞご期待いただければと思います」

(プロフィール)
高谷慎太郎
1973年生まれ。グローバル展開を見据えた経営体制強化と共に、Web3時代におけるココネグループの新しい在り方に挑戦するココネ代表取締役社長CEO。

SWITCH 2022年9月号, スイッチ・パブリッシング

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