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日本のマンガを、世界へ。AI翻訳×ファンコミュニティで「言語の壁」を壊す、共同開発の裏側

株式会社Gaudiy(以下、Gaudiy)では、Mantra株式会社(以下、Mantra)とブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムの共同開発を開始した旨を、昨年プレスリリースにて発表しました。

マンガは、海外にも多くのファンを有する日本のカルチャーですが、そのさらなる海外展開を阻んでいるのが「言語の壁」です。

AI翻訳技術に強みをもつMantra社と、ブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティを提供するGaudiy社の取り組みは、その課題を解決する大きな一歩となります。

今回は、Mantra代表の石渡 祥之佑さんと、弊社でコミュニティマネージャーを担う中町 諒佑さんに、マンガ翻訳の抱える課題や共同開発に至った背景、さらに実現したい未来についてお話しいただきました。

写真(左):Mantra株式会社 代表取締役 石渡 祥之佑(@mntr_ja
博士(情報理工学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、東京大学生産技術研究所特任研究員等を経て、2020年 Mantra株式会社を設立。「世界の言葉で、マンガを届ける。」を合言葉に、マンガ機械翻訳技術の研究開発に従事。
写真(右):株式会社Gaudiy コミュニティマネージャー 中町 諒佑(@RNmlc1
大学在学中にサンフランシスコに渡り、1年間VRスタートアップでインターンするなど、最新テクノロジーや文化に関わる。トークンエコノミーなど価値主義的なブロックチェーンの思想に惹かれ、Gaudiyのビジョンに共感しジョイン。現在は、ユーザー視点でのプロダクト設計に従事。

※本記事は、PR TIMES STORY公開記事からの転載となります。

マンガの海外展開を阻む「言語の壁」を、テクノロジーの力で解決したい

ーー最初に、お二人の自己紹介をお願いできますか。

石渡)昨年の1月にMantra株式会社を設立して、CEOを務めています。もともと大学院では、修士、博士の5年間にわたり自然言語処理の研究をしていたのですが、在学中から起業の準備を進めていました。

Mantraでは、テクノロジーで言葉の壁をなくし、マンガに関わる世界中の人を幸せにすることをめざして、マンガ専用の多言語翻訳エンジン「Mantra Engine」と、翻訳業務を効率化するツールを提供しています。

マンガの海外展開は、翻訳やローカライズに多大な時間やコストがかかることから、費用対効果が見込めるものでない限り、なかなか海外で展開しづらい状況があるんですね。

そこをAIの力を活用して効率化し、1冊でも1ページでもより多くの作品が海外で読まれたり、逆に将来的には海外の新人作家の作品が日本の大きな漫画マーケットで楽しめるような世界を作りたいと思っています。

中町)めちゃくちゃいいですね。

石渡)中町さんとGaudiyさんのプロジェクトについても聞かせてください。

中町)Gaudiyでは、マンガやアニメ、音楽、ゲームなどのIPコンテンツに対して、ブロックチェーンを活用したコミュニティサービスを提供しています。

僕は、そのコミュニティにいるファンをエンパワーメントさせていくようなプロダクト設計や、キャンペーン企画などを担っています。

もともと学生の頃は、サンフランシスコにあるVRのスタートアップで1年ほどインターンをしていて、そこでコンテンツなどの文化に対してすごく興味をもちました。一方で、そういった価値が生まれるところに対してお金がうまく回っていないことに問題意識を持ったんです。

そんな中で、ブロックチェーンの「価値を正しく還元できる」という仕組みがすごく刺さって。ちょうどその時、代表の石川と出会い、Gaudiyのビジョンが僕が目指したい未来とも合っていたので、ジョインすることにしました。

なので、僕自身もそういったコンテンツの還元ではないですけど、正しい価値の還元に挑戦していきつつ、グローバルなプロジェクトにも挑戦していきたいですね。

石渡)世界で勝負できるクオリティのIPコンテンツが、日本にはたくさんありますよね。

中町)そうですね。海外の人と話すと、やはりマンガとかアニメの話は絶対に出てきますし、簡単に真似できないようなIPコンテンツや文化はやはり国の競争優位になる部分だと思っていて。そういうところで勝負したいなと学生の頃からずっと思っていたので、文化とテクノロジーを併せて、独自優位性みたいなものをうまくつくっていきたいなと。

だから今回のプロジェクトにかける想いは、かなり強いですね。

「AI翻訳技術」と「ファンコミュニティ」という最高のタッグを結成

ーー今回の共同開発に至った経緯について教えてください。

中町)はじめはGaudiyからお声がけさせていただきました。

実は、Mantraさんの資金調達のプレスリリースが出た時に、社内のSlackでシェアされて、みんなで「これはすごい、いいね!」となったんです。

というのも、MantraさんのAI翻訳と、Gaudiyのファンコミュニティのようなファンが集まる場所を掛け合わせたら、すごく新しくて、ファンがワクワクするようなことができそうだなと思いまして。それでお声がけさせていただきました。

でも実際、最初に話を聞いたとき、どう思われましたか?

石渡)お話を聞いて、すぐに「あ、これは最高だな!」となりました(笑)。

僕たちが開発している機械翻訳の技術は、もう何十年もずっと研究されているけれどまだまだ解明しきっていない、人類にとってすごく難しい技術なんです。

なので、このAI技術とともに、いかに「人」が精度を高めていくかというところも考えないといけないなとずっと思っていました。そこで機械翻訳エンジンだけでなく、翻訳したものを人手で修正できるツールなども作っていたわけです。

でもやはり最も理想的なのは、本当にその作品のことを好きな人が翻訳にコミットしてくれることだと、以前から社内外でも話していて。それをなんとかできないかと思いつつも、コミュニティをイチから作るのもすごく難しいことだと思っていました。

そこに「コミュニティをやっていますよ」というGaudiyさんが現れたので、「はい、ありがとうございます!」みたいな感じでしたね(笑)。

中町)お話しして、すぐその場で進めていただくことになりましたよね。

お互いにたぶん目指しているところが似ていて、僕らもグローバルの市場に日本のIPコンテンツを届けたいと思っていましたし、コミュニティのファンをエンパワーメントできるなと感じました。

石渡)機械学習やAIの枠組みだけでは成立しないというのは感じていたので、これは上手くいくなと思いましたね。あとは、得意としている部分が違うというのも、共同開発しやすいですよね。

中町)そうですね、競合にはならないですし。でもなんか面白いですね。AIとブロックチェーン。

石渡)そのキーワードだけみると、めちゃくちゃ尖ってる(笑)。でも本気でやってますね。

「ニーズがあるのに届けられない」現状を仕組みで変えていく

ーーマンガの翻訳に特化したのはどのようなきっかけがあったんですか?

石渡)マンガ好きなのと、自然言語の研究もやっていたので、言語はもともと好きだったんですよね。

個人的なバックグラウンドでいうと、母が中国出身で、父が日本出身だったので、幼い時から海外にいく機会が多くあって。そこで、マンガやアニメなどのエンタメコンテンツが国境を越えて楽しまれている時に、ちょっと世界が平和になっているのかなと幼いながらに感じていました。

でも実際、エンタメ領域で機械翻訳に取り組んでいる人はすごく少ないです。

というのも、エンタメの翻訳は本当に難しくて、自動化しづらい。しかも市場規模も産業翻訳に比べるとすごく小さいので、きちんと取り組む人自体がすごく少なくて。でも僕たちはそこをガチでやって、世界がちょっと平和になれる瞬間を増やしていきたいんです。

中町)めちゃめちゃ良いですね。

ーー日本のコンテンツについては、どのように捉えているんですか?

石渡)事業の観点でいうと、僕たちはどの国のコンテンツだから尊いみたいなことは思っていなくて、日本の漫画も尊いし、韓国のウェブトゥーン(ウェブ漫画)も同じくです。

だから僕らは、どちらかというと「コンテンツが生き生きするようなパイプ」をつくりたいですね。

日本では、コンテンツのポテンシャルはあるけれど、言語の壁などによってその可能性を十分に発揮できていないケースがありますよね。そこを突破できたらいいなと思っています。

中町)それこそ海賊版の話もありますけど、ニーズがしっかりあるにも関わらず適切な価値で届けられていなかったり、それによってクリエイターさんにもきちんと価値還元できていなかったりしますよね。その辺りの課題を、僕らが力を合わせて解決していきたいですね。

石渡)イチ漫画ファンとしてやりたいです。僕たちは法人向けのサービスも提供しているのですが、たまに漫画家さんからご連絡をいただくこともあるんですね。

どのような内容かというと、「海外にもTwitterをフォローしてくださっているファンの方々がいるのですが、その国では正規版がないので、海賊版で私の作品を読んでくれています。なにか良い方法ないですか?」みたいな話で。

そういった話をしてくださる作家さんは、すごく複雑だと思うんです。海を越えて自分の作品が読まれることは、本人にとってはすごく嬉しいじゃないですか。でも、それが法的に正しい形ではないので、なんだかモヤモヤするというか、違うんだよなーという気持ちもあると…そういう話を伺うと、すごく歯がゆいですね。

ファンの人たちも正規版はないけれど、その作品を愛しているから、自ら翻訳したり、翻訳された海賊版を読んだりしてる訳で…みんな辛いみたいな感じですよね。

中町)本当にそうですね。

二次創作とか、その辺の文脈とも重なるなと感じていて。作者さんもやっぱり嬉しいんだけど、たとえばちょっと本編と違う風に書かれていたりとか、そういう歯がゆさみたいなものがあると思うんですよね。


僕らはそれを「トークンエコノミー」の仕組みを取り入れて、ファンの貢献をきちんと可視化したり、それを公式として認めることでファンが安心して活動できる場所みたいなところを目指していきたくて、そういう文脈でも今の話はすごく近しいものを感じました。

石渡)同じような話ですよね。同人誌をつくるのも、翻訳版をつくるのも結局、好きな人がつくっていくということなので。

中町)ファンとコンテンツ、そしてコンテンツをつくる人を正しく繋いでいきたいですね。

熱量の高いファンとAI翻訳技術が「距離」と「時間」の壁を超える

中町)僕らは、週刊少年ジャンプさんの「約束のネバーランド」というマンガのコミュニティを運営しているのですが、英語、中国語、韓国語、スペイン語など、海外のファンの方々の投稿もよく見かけます。

また以前、「GANMA!」に連載されているマンガコンテンツのコミュニティを運営していたときに、海外のユーザーさんから「これを翻訳して届けたいのですが、権利的に大丈夫ですか?」といった質問が実際にきたりもしていて。ファンの方々も、作品に貢献したい想いがすごく強いんだなって思いました。

石渡)そうですよね。とくに好きな作品だったら、貢献したい!続いてほしい!みたいな気持ちを、みんな持っていると思う。

中町)その熱量の高いファンの人とAI翻訳を掛け合わせ、そこに貢献したファンに正しく収益還元できる仕組みを入れることで、ファンをエンパワーメントすることもできますし、すごくポテンシャルがある取り組みだと感じています。

石渡)感じますね、無限ポテンシャル(笑)。

ファンが直接的に翻訳にコミットできるような仕組みがあることで、世界中の人々にコンテンツを届ける上で生じる言語や流通の壁をなくせたら最高ですね。本当に、世界が変わると思いますね。

生まれたばかりの漫画が、世界中で同時に楽しめる世界を実現したい

ーー今回の共同開発をきっかけに、IPビジネスをどのように成長させていくのか教えてください。

中町)さきほどの海賊版などは大きな問題になっているので、まずはそこの課題を乗り越えてニーズのある場所にしっかりと価値還元できる仕組みをつくっていきつつ、既存のマーケットがない場所でも、IPコンテンツを広めていきたいですね。

石渡)僕は、コンテンツが流通するスピードがめちゃくちゃ上がれば良いなと思っています。かつて飛行機が距離をグッと縮めたように、いまはインターネットが開通したことでより一層、実際に離れてても隣にいるみたいに話すことができます。

一方で、コンテキストがすごく重要な領域、たとえばマンガみたいにテキストと絵を含めて翻訳しなくてはならないような技術的にもチャレンジングな領域でいうと、言語の壁はまだまだ存在していると思っていて。

それが完全になくなった先に何があるのかというと、あるところで生まれたコンテンツが、もう地球の裏側ですぐ楽しんでもらえるみたいな世界じゃないですか。それはもう熱すぎるなと。そうなったらいいなと本当に思うんですよね。

電子配信によってコンテンツの流通スピードが早くなったけれど、まだ残っている言語の壁を、僕たちは技術の力でなんとか取っ払いたい。その先にクリエイターさんたちも、僕たちも、ファンも、みんなが超ハッピーな世界があると思っています。


中町)今回のプロジェクトが、まさにその第一歩というか。日本からだけじゃなくて、世界中のコンテンツが瞬時に、いち早くローカライズされる方法をうまく実現できるといいなと思いました。

いまは、日本で生まれたコンテンツがTwitterなどで話題になっても、海外の人達は見れていないので、その話題を同時に楽しむことができない。その時間と距離が縮まり、世界中で同じ話題でコミュニケーションが取れるようになりますよね。

石渡)そうそう。

当然、僕たちが気づいていないだけで、逆にまだ知られていないけれど面白い海外のコンテンツが、絶対にいっぱいあると思います。言語の壁を取っ払って、そのような世界を実現できたらいいですよね。

それも遠い未来じゃないと思っていて、10年前と今を比べても、状況がすごく変わっているじゃないですか。たとえば10年前であれば、テレビ番組を放送される時間にみるのが当たり前で、海外のコンテンツを見るには映画館に行くとかしかなかったと思うんですよね。それが今では、Netflixで韓国ドラマとかを普通に見られるし、世界で同時配信もされている。そういうことがマンガでも増えたら、すごくいいなと思います。

中町)間違いないです。あとコンテンツを楽しむという体験においても、同じコンテンツが好きなファンの人同士の繋がりが生まれるのも良いですよね。

石渡)そうですね。今回のプロジェクトで、それを加速していきたいです。

◾︎さいごに

共同開発に至るまでの経緯や、そこに込めた想いをお伝えさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。日本が誇るマンガを、世界のファンの方々と一緒に広めていく取り組み、ぜひ応援いただけますと幸いです!

もっとGaudiyについて知りたい方へ

Gaudiyの『Why』について、共同創業者の後藤が語っている記事です。

今回の対談インタビューをしたGaudiyのオフィスについては、こちらをご覧ください。


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