本日は、当社が運営する住宅型有料老人ホームについてお話ししようと思います。(※文章中に記載している介護施設は、「住宅型有料老人ホーム」のことを指しています。)
介護施設に入居したくて、来た人なんていないよ
会社説明会やインターンシップで、介護施設の運営・管理の責任者たちがよく言う言葉があります。
「入居してすぐの利用者様のほとんどの方が、この施設に来ることを望んでなんてなかったし、(表現が適切でないかもしれないけれど、)人生半分諦めたような、そんなマイナスの気持ちを持って来られることがほとんど。」
福祉系の知識・経験ゼロで、この企業に飛び込んだわたしは、最初ピンとこず。でも、次のことを言われ、ハッとしました。
「介護受けたい?できれば自分で何でもできる状態でいたいやろ?それに住み慣れた家でずっと暮らしたいし、家族とか友人とか気心知れた人の近くに居たいと思うやろ?」と。
この記事を読んでいる皆さんはどうですか。わたしは、こう問われたとき、確かにそうだなと。それに、もし福祉系の企業で勤務していなければ、施設のなかを知る機会なんてほとんどないし、得体の知れない場所にいくのは不安だな、、、と。
新卒採用の選考時にマネージャーが学生の皆さんに話していたのですが、利用者様のご家族もまた、「ホームへ入居という選択が本当によかったのだろうか」と悩まれている、、、と。
現実を知る
わたしはそのとき、「あー、これがホームで働くスタッフが直面する現実なのか」と思いました。個人的には、マイナスの気持ちの人と向き合うのって、大変なことじゃないか?!と思ったし、それでも続けるモチベーションって何だろうと不思議にも感じました。
もう1つの現実に注目する
とは言うものの、「利用者様と話すことが楽しい!」という声をたくさん聞くし、そのイメージの方がわたしは強いからなぁ、、、と相反する感情が生まれました。うーん。むむむ、、、
あるスタッフは、利用者様との漫才みたいな動画を撮影して見せてくれるし(笑)そこに映る利用者様は、安心した様子でスタッフとの掛け合いをしているし。人生を悲観している様子は見えてこないからこそ、頭ではわかるけれど、理解しきれないもやっとした感情になりました。
また、最近は新型コロナウィルスの感染症対策の視点から、各拠点とオンラインで繋がることも多く、そんな時はきまってスタッフの隣に利用者様がおられるのですが、家(いえ)感が半端ないのです。笑
大変 ⇔ 楽しい 相反する状況ですが、、、
Q.どちらが本当なのでしょうか。
A.答えは、ホーム長たちの言葉に全て詰まっていました
わたしは、人の気持ちをマイナスからプラスに変えるって難しいし、色々な経験をしてきた人生の先輩たちが乗り越えられない、、、と項垂れている状況に働きかけていくって、難易度高っ!と思うのですが、ホーム長たちがいつも言うのは、、、
「入居すぐの方は、人生を半ばあきらめたようにも見える、、、そういった状態の人に対して、理念にある<生きる喜びを感じられる“自分の居場所”の提供>って、そうそう簡単じゃないよ。でも自分たちまで暗い顔していてもしょうがないし。だから利用者様の前でスタッフは、自分がどんなに疲れていてしんどくても、笑顔だし、元気にあいさつするし、利用者様の趣味や好きなことを調べて話しかけるし、少しでも仲良くなるために行動するよ!そこからどんどん関係ができていって、笑顔を見せてくれたり、〇〇さんと話せてよかったという声をもらったりするとやった!と思うね。
それに、家族の方が施設に遊びに来た時に、利用者様がスタッフや他の利用者様と仲良く笑顔で話している姿をみたら、安心するからね。」と。
あと、こんなことも話してくれました。
「これはスタッフに共通する想いだと思うけれど、利用者様から<〇〇〇さんが来るのを待っていたで!><△△△さん、明日休みなん?出勤しぃや>と、自分が必要とされているなと感じる言葉をいただくと、何物にもかえがたい喜びになるし、また頑張ろうと思う。」と。
それを聞いたとき、「そっか!そっか!スタッフは、こうして利用者様やご家族、そして自身にとっての<生きる喜びを感じられる“自分の居場所”>をつくっているんだなぁ、、、」と思いました。
当サイトにあるストーリーでは、スタッフが普段の仕事に対する想いを語っています。気になる方は、そちらもご覧ください。
自分の居場所
One Visionでは、企業理念を普段の仕事のなかでも行動に反映していけるように、研修が組まれています。
例えば、当社の理念のなかには、「自分の居場所の提供」という言葉があります。「自分の居場所」とは何なのか、、、ここから考えます。
想像してください。
あなたが思う「自分の居場所」と隣に座っている人の「自分の居場所」イメージは、全く一緒でしょうか。一言一句同じ。そんなことは、まぁないでしょう。One Visionで働くスタッフもそうです。わかっている!わかっている!と思いながら、想いがズレていくこともあります。だからこそ、年に1回は理念研修を開催し、その意味を共有し合うことで、普段の意思疎通に繋げていきます。
また、仕事で提案した内容が却下された!!! → その理由が理念に沿っていなかったから、、、そんなこともあります。ここからもわかるように、理念を普段から、意識する環境下におかれます。
どうして、理念にこだわるのか
「理念にこだわりすぎじゃないか?!」 そう思われるかもしれませんが、介護の仕事って正解がないんです。だからこそ、基準や指標がないとスタッフの自律的な動きを妨げることになり、サービスの質の維持が困難となる事態を招くことになるのです。利用者様の一番近くにいるのは現場(=介護施設)にいるスタッフであり、そこが混乱すると利用者様への影響がダイレクトに出てしまいます。そういう意味では、現場の意見や考えというのは、とても大切にしていて、そこからの声で生まれた制度などもあります。こちらは、またの機会にお話ししますね。
以上、当社の住宅型有料老人ホームのお話しでした。
今回は、わたしが福祉の世界に飛び込んで、一緒に働く人たちはこんなことを考えて働いているのかぁ、、、としみじみ感じたことをお届けしました。