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広い視野を持った「よそ者」こそ地方に必要 岡田崇×糀屋総一朗対談2  引用先:ローカルツーリズムマガジン

https://note.com/localtourism/n/ne7a3eac077d2  (引用先:ローカルツーリズムマガジン)

何歳からでも人は変われる

糀屋総一朗(以下、糀屋):岡田さんは2021年に株式会社Plan・Do・See(プラン・ドゥ・シー、以下PDS)から独立されて、オペレーションをデザインするユニットである「tomorrows」を立ち上げましたが、現在は主にどういったお仕事を担当されていらっしゃいますか。

岡田崇(以下、岡田):様々やっているのですが、現在のクライアントは、某ビール会社のグループ会社である飲食店の事業会社などでで、1つブランドの事業丸ごとの立て直しプロジェクトですね。内装は欧風にしたりしているんですが、内容は居酒屋のようになってしまっていて……それをもっとモダンな体験を作ろうというコンセプトで変えていきたいなと思ってるんです。

糀屋:相手は大企業の社員の方ということですよね。

岡田:そうです。彼らは真面目で、どちらかというと、これまで「上の指示に忠実に」働く人達だったので、どうしても指示を待ってしまう人が多いんですよ。でも僕は30代、40代でも人は変われると信じてるので、とにかく「これはどう思う?」「あなたの意見は?」って質問しまくるんです。それから、いいことに対しては「いい!」、悪いことに対しては「よくない!」、と徹底的に言うようにはしてます。

もちろん、最初は当然拒絶反応もあるし、なんだこいつ……と思われてるのも感じます。でもそこで引いたら僕が入った意味がないので。最近では社員さんたちに「岡田さんって、僕たちのことを洗脳しに来たんですよね」って言われるようになりました(笑)。

糀屋:指示待ちから変わってきてると?

岡田:そうですね。ちょっとずつですけど変わってきてくれてるなという感じはします。このプロジェクトに参画を決めた時、「これから荒波が待ってるけど、楽しみながらやろう」と自分で決めました。楽しくなければ仕事じゃないですからね。

糀屋:いやほんとそうですよね。楽しみながらやっていきたいですよね。

ローカルでは「珍味路線」を取る

糀屋:イェール大学助教授の成田悠輔さんが日本の進むべき路線として何かの番組で話をされていたのですが、最近、僕はローカルでは「珍味路線」をとっていくのがいいんじゃないかなと思ってるんです。「他にはない、そこだけで醸成された何か」みたいなものとどれだけ接続できるか、みたいな軸が良さそうな気がしているんですよね。

岡田:「珍味路線」めっちゃいいと思います! 僕はそれって言いかえると「偏愛」というワードにもなるんじゃないかなと思ってます。どんどん偏っていく、そういう時代になるんじゃないですかね。

糀屋:なりかけているというか、もうなっているとも思います。

岡田:「どうぞ好きなようにやってください」って感じじゃないですか? 自己責任だし……となると、今まで抑制されていたようなことがぐぐっと出てきたり、好きなものをもっと伸ばしていったりということがありえるのかなと。とはいえ、日本はまだまだ同調圧力が強いですけどね。

糀屋:やっぱりありますよね。僕はコロナで非常にそれを感じましたね。それまではリアルに同調圧力を感じたことってほとんどなかったんですけど、コロナで「マスクしなきゃいけない」とか染みついてしまった慣習が日本人からなかなか抜けないなと。大人になってから同調圧力の強さを初めて感じましたね。

岡田:僕は海外3カ国に合計5年住んでて、日本に帰ってきてやっぱり辛いなと思いましたよ。その時はすごく同調圧力を感じました。今のマスクもそうですけど。大島ではみなさんマスクしてるんですか?

糀屋:みんなしてませんね。そもそも漁師さんが多い島で、彼らがマスクしてないですから。

岡田:コロナで同調圧力強いなと思ったりしてますけど、「そうじゃない」と思う人達が地方への移住をしたり、そういう動きが目に見えてくるようになったのかなという気もします。

それこそ今までは銀座の百貨店に行って美味しいものを食べて帰る、という休日が、地方に行ってグランピングをして地元の美味しいものを食べて帰る……みたいに変わりつつありますよね。

糀屋地方が東京にある価値観を追い求めてもうまく行かないんじゃないかと思ってます。結局地元の人がつまらないと思ってるもののほうが価値があったり。これはもうみんな言ってますけど、結局それを見いだせる力と、それに適切な値段をつけられる感覚が必要になってくるんですよね。

でもそれって、みんなができるわけじゃない。「誰と会ったことがある」「こういうお店に行ったことがある」「こういう国に行ったことがある」、そういう経験に依存する部分ってけっこう大きいと思います。だからそれをどう実現できるようにしていくかというと、結局「人」になる。そういう「人」はどれだけいるのかという話になる。

岡田:地方の方って、一般的にはみなさん見てる世界ってすごく狭いじゃないですか。僕はPDSに入ってすぐに成果を出したので、社長の野田が何人かをニューヨークに連れて行ってくれたんです。それまで野田から「お店の照明は暗くしろ」と100万回ぐらい言われてたんですが、僕らは当初全然腑に落ちてなかったんです。

でもニューヨークの街に行ったら、イケてるレストランはどこも、段差でつまづきそうになるぐらい店が暗くて、テーブルだけにバチッと照明が当たってたんです。それを見てから、PDSがプロデュースするお店の照明は全部変わりました。結局そういうことなんですよね。1回見たり、経験して腹落ちしないとわからない。

糀屋:まさに。そういう意味では「よそ者」が必要だし、一度地元を出て戻ってきた方に頑張ってもらうということになるんですよね。

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