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「世界最高水準のオミクス研究拠点を目指す」東大博士課程在籍中に起業したCTOが語る、研究支援サービスを展開する理由とは

オミクス研究が社会を変える

生き物の身体を構成している分子の大規模データのことをオミクスデータといいます。代表的なオミクスデータは身体の設計図ともいわれる「ゲノム」ですが、遺伝子を制御するスイッチのような役割を果たす「エピゲノム」や、最近巷で注目されている「腸内フローラ」もオミクスデータと呼ばれます。

「ゲノム」とは両親から受け継いだDNAの配列情報そのもののこと。つまり、生まれたときから決まっている情報で、その中には、例えば体格や太りやすさなどを左右する様々な遺伝子が存在しています。

一方で、「エピゲノム」はDNAの配列はそのままに、その遺伝子の働きをコントロールするスイッチのようなもので、外的要因によって変化していきます。一卵性双生児の例にあげると、双子は同じDNA配列を持っているのに、だんだんと体の特徴や性格、体質が異なってきますよね。これは、生活習慣など後天的要因からエピゲノムが変化し、遺伝子の働きが変化した結果なんです。

何が言いたいかというと、このようなオミクスデータを深く解析することによって、これまで分からなかった病気が発症する仕組みが理解できたり、適切な治療方法の発見につながるのです。また、オミクスデータを活用できる対象はヒトだけではありません。動物、植物、微生物まで、あらゆる生き物でオミクスデータを取得することができ、いろんな産業分野で活用されることが期待されています。

近年、オミクスデータを読み取る技術が飛躍的に発達し、膨大なデジタルデータとして急速に蓄積され始めました。これは、誰もが新しい発見を見出す機会があることを意味しています。しかし、新たな発見は膨大なデータの中に埋まっており、簡単には見つけることができず困っている研究者がたくさんいらっしゃいます。

だからこそ、私たちは社会を豊かにする「新しい発見」を掘り起こすために、最先端の技術を活用して、オミクスデータを効率的かつ効果的に解析する技術の向上を日々追及しています。

なぜ、起業→研究支援サービスをはじめたのか?

東京大学大学院に在学中、大規模オミクスデータの専用解析アルゴリズムの開発・応用を専門として研究業務を行っていました。しかし、データ解析を担う研究者人材が圧倒的に不足していました。当時の私ですら、同時に10もの共同研究を抱えていたときもありました。そうなると、解析データを共同研究先に返すのにどうしても時間がかかってしまいます。もちろん自分たちの研究もあります。

これからさらにデジタルデータが膨大に蓄積されていくというのに、このままではオミクス研究全体の発展が遅くなってしまうと、とても危惧しました。そこで、独立したオミクス研究支援拠点を作りたい、というモチベーションが出てきたのです。

大学などの研究室では学生という人材が流動的で、データ解析のスピードや品質を一定に保てない事情があります。そこで、独立した会社として人材を確保することで、安定的にしっかりとした精度の解析結果を決まった納期で納品できるようにしたいという考えがありました。

もう一つ、オミクス研究の成果をいち早く社会実装したい、という思いがありました。学術機関に所属する研究者が申請して獲得できる大きめの研究費(科研費など)は、がんをはじめとする致命性の高い病気に紐づくテーマのものが多く、どうしても分野が限られる傾向にあります。しかし、ヒトは致命性の高い問題に対してのみ、課題を抱えているわけではありません。

そこで、独自に研究費を獲得するルートとして、産業と基礎研究を組み合わせてその相乗効果で新たな価値を生む仕組みを作りたい、という思いがありました。例えば、医師(MD)の方々は臨床と基礎研究を組み合わせることで、相乗的に独自の価値創出を実現しています。その「臨床」を「産業」に置き換えることで、これまでにないスタイルの研究支援が実現できると考えました。つまり、オミクス研究で得られた成果の社会実装や事業化まで、伴走して支援するということです。

実際に、ライフサイエンス事業に取り組む大手企業の研究を支援させていただく機会も、ここ数年でかなり増えました。当時、あのまま大学にいたら、このような経験をするのは難しかったと思います。

国内最高水準のオミクス解析拠点に

まずは1~2年くらいのスパンで、お客様が「オミクス解析」といえばレリクサが第一に思い浮かばれるようにしたいと思っています。そのためには自社内の努力だけでなく、いろいろな企業・研究機関の先生方との連携が必要です。データ解析だけでなく、技術開発も一緒に取り組んでいくことができれば、オミクス研究はもっと発展するでしょう。私たちと一緒に面白いことをやりたいと考えている方がいらっしゃれば、ぜひ声をかけていただきたいですね。

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