こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。
URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産、生活サービス、ホテル等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。
今回は、東急グループの各サイトを横断する「東急・東急電鉄公式サイト」(以下、公式サイト)の開発という、一大プロジェクトに着目。同プロジェクトに携わった、PdMの北浦さん・バックエンドエンジニアの雲野さん・コンテンツディレクターの三寳さんにお話を伺いました。前編では、公式サイトを開発するに至った背景や課題、開発時に工夫したことなどをお話しいただきました。
東急グループの「顔」を再構築するプロジェクト
―はじめに、公式サイト開発における皆さんの役割を教えてください。
北浦:今回のプロジェクトは、公式サイトのフロントのサイト開発だけでなく、その裏側で情報を支える“東急共通コンテンツ基盤”の開発も同時に進めるという、2つの大きなプロジェクトが並行して動いており、双方のプロダクトマネージャーを担当しています。
雲野:東急の看板サイトである公式サイトをどんな時でもお客様に安心して使っていただけるような新機能の開発、障害対策などを担当しています。
三寳:公式サイトに掲載するためのコンテンツを各所から収集したり、自分自身で作成したりというコンテンツディレクションを担当しています。また、東急グループ各社や東急株式会社内のさまざまな事業部に対し、コンテンツ入稿を依頼する営業活動も行っています。
北浦:公式サイトは、東急グループ全体の情報を横断的にお客様へお届けすることを目的としています。公式サイトとは別に、「共通コンテンツ基盤を作る」というもう1つのプロジェクトが並行して進んでいるのは、そのためです。
本日参加している雲野(うんの)さんと三寳(さんぼう)さんも、公式サイトと共通コンテンツ基盤、両方のプロジェクトに携わったメンバーです2チームが足並みをそろえて進めています。
―まず、今回の公式サイト開発について、その経緯を教えてください。
北浦:これまでの東急の公式サイトは、東急株式会社の広報部が運営しており、「企業向けのサイト」としての役割を担っていました。
URBAN HACKSは、前提として「デジタル上の顧客接点を強化していく」という改革意識を持っています。「東急の顔であるウェブサイトがグループ全体に散らばっている情報をまとめ、顧客向けに提供するデジタル顧客接点となるべきではないか」という課題がありました。これを解決するために、今回の公式サイト開発プロジェクトが発足。グループ内の情報を集め、顧客向けの公式サイトを開発することになりました。
常に立ちはだかる課題と、それぞれの葛藤
―公式サイトの開発において、それぞれの視点から見た課題を教えてください。
北浦:「企業向けの公式サイトは今後、どうしていくのか」「グループ各社が個々に持っている情報をどう集約し、発信するか」という、2つの課題がありました。つまり、これまで通りの企業向けの情報発信と、顧客向けの新たな情報収集・発信という、2つのテーマを両立させる必要がありました。
これまで公式サイトを運営していた広報グループとの意向の調整をはじめ、まずは両テーマの課題解決に向けた調整から始めました。
三寳: コンテンツ入稿を依頼する中で、各事業やサービス担当者の方々との連携自体が思うように進められないケースも、中にはありました。理由としては、「コンテンツ制作に割けるリソースが足りない」「コンテンツを作った経験やノウハウがなく難しい」といったものでした。依頼時点では公式サイトがまだ開発中のため、完成例を見せられないという難点もありました。そこで、新規制作ではなくすでにあるコンテンツの活用をご提案したり、「この公式サイトがリリースされた暁には、こんな世界が実現できます!」とリリース後のビジョンを一緒に描いて、働きかけを行っていきました。
雲野:公式サイトは東急の看板サイトですので、当然、急な障害やサーバーダウンは許されません。リスクをカバーしながら、お客様が安心して使えるように障害対策を行っていくことが課題でした。いかにサーバーダウンさせずに、アーキテクチャ選定に力を入れて早期リリースできるか。この2軸に力を入れていました。
4つのページに再編成!こだわりたいのは「世界観」
―特に意識したことは何ですか?
北浦:最も意識したポイントは、各コンテンツの目的に合わせたUI/UXの設計や、世界観です。もともと、東急株式会社・東急電鉄株式会社の2つのコーポレートサイトにあった情報を整理し、東急電鉄サイト・東急沿線のまちの魅力を発信する新メディア、東急株式会社コーポーレートサイト、東急電鉄株式会社コーポレートサイトの4つのディレクトリに再編成しました。この4つは、それぞれターゲットが異なります。つまり、サイトを訪れる状況、ニーズが全く異なります。そのため、それぞれの目的にあった情報設計と、サイトの世界観を追求しました。
―UI/UXやデザインについて、具体的に配慮された点はありますか?
北浦:今の時代には当たり前なのですが、これまでやりきれていなかった、スマートフォンでの閲覧に最適化し、ユーザーに優しい設計にすることです。お客様が移動中などスマホからサイトを見たとき、いかに見やすいサイトにするかを意識しています。
東急には、さまざまな事業やグループ会社があります。今回の公式サイトは、それらの事業やグループ会社が発信する情報を集約することを目指しているため、世界観だけでなく見やすさも意識していました。
「東急・東急電鉄公式サイト」って、どんな人?を言語化
―開発中、ユーザー目線を大切にするためにどんな工夫をしましたか?
三寳:コンテンツについては、お客様に求められるコンテンツはどんなものか、仮説を立てながら収集・作成していました。公式サイトは、今までになかったユーザー向けコンテンツが、たくさん掲載されるサイトになります。ある程度の予測はできるとはいえ、どんなコンテンツがお客様から実際に求められているのかは、リリースしてみないと分からない部分もありました。そんな中でも、せっかく東急グループについて横断的にご覧いただけるサイトなので、クオリティの高いコンテンツをしっかり出していくことは意識していました。
また、これまでになかったブランディング寄りのコンテンツや、丁寧に作り込んだコンテンツ、「東急で働く中の人」のコンテンツなど、「ならでは感」を大事にしていましたね。これまでのコンテンツも踏襲しつつ、少しずつ実験的に手を加えていくことで、お客様に求められるコンテンツを作れるよう取り組んできました。
北浦:サイト設計面でいうと、他のプロダクトと同様にまず定量調査を行いました。沿線に住んでいる方と沿線に住んでいない方それぞれに対して、どんな情報をどんなタイミングで、何を通して取得しているのかを調査しています。お客様にとって、どんな情報があるとより便利なサイトになるのかを、初期段階で把握しました。
また、やってみて面白かったと思っているのが、「サービス人格」を作ったことです。公式サイトを人に例えるとしたら、どんな人か言語化しよう」というワークショップで、URBAN HACKSメンバーだけでなく、ビジネスオーナーのメンバーも合わせて15人ほど集まって意見を出しあいました。「サイトを擬人化する」という感じです。
ペルソナは他のプロダクトでもよく作ると思いますが、擬人化はあまり聞いたことがないですよね。今回は特に、UHだけでなくビジネス側のメンバーも一緒になって、「サービス人格」を一緒に作ったのが面白かったです。このプロセスを通じて、メンバー間で「この公式サイトはどんな人か」「どんな印象を与えたいのか」という認識をすり合わせることができましたし、判断に迷ったときも“この人格だったらどうふるまうか”という基準を持てるようになりました。
公式サイトを擬人化して出来上がった「東急涼子さん」のイメージ
―続く後編では、開発で苦労した点やその先に見えたやりがい、今後のビジョンをお伺いしました。(後編はこちら)