Marsdyは2018年の設立以来、業務のほとんどをリモートで進めています。事業が拡大し、メンバーが急速に増える中、2024年12月に初めてリアルで集まって「全社会」を開催しました。主力のサービスAutoDateが立ち上がって4年目となる今、なぜ「全社会」なのか。Marsdyはどんな組織を目指しているのか。代表の武藤大揮に聞きました。
メンバーが120人を超え「更に成長の加速を」
――昨年(2024年)12月に、初めてリアルの場でMarsdyのメンバーが一同に会する「全社会」がおこなわれました。背景を教えてください。
武藤 Marsdyの主力サービス、AutoDateは、さまざまな企業のDXを社外からオンラインで支援しています。2023年秋に3.2億円の資金調達を実施し、積極的にマーケティング施策をおこなったこともあって、2024年に入ってからお客さまが急増してARR(年間経常収益)も2倍以上に伸びています。Marsdyのメンバーは業務委託の人も多く、フルタイムではない働き方の人もたくさんいますが、いまでは2025年3月時点で120人以上と、100人の大台を超えるまでになっています。ここで更に成長を加速したいという意図もありました。
――全社会には何人くらいが参加し、何をおこなったのでしょうか。
武藤 当時の半数にのぼる人数が参加しました。メンバーの大半は業務委託で、遠方に住んでいる人も多いですし、ご家庭の事情で平日の午後に出られない人もいます。それを考えるとかなりの参加率です。コアなメンバーはほぼ全員が参加していました。
懇親が目的なので、最初に乾杯をしてから5分間ほどこれまでの事業の振り返りをしましたが、それ以降は、「Marsdyの最初のオフィスはどこだったでしょう?」(武藤の自宅の納戸だった)といったクイズや、ビンゴなどをしたりしたほかは、歓談の時間を多めに取りました。
――普段の業務はリモートが中心です。なぜこのタイミングで全社会を開催したのでしょうか。
武藤 普段は月に1回、全社でオンラインミーティングをやっているのですが、そこではビジョンや業務に関する情報共有が中心です。私でさえ、9割くらいはリアルで会ったことがなかった人ばかりでした。
昨年、第1号となる正社員が入社したので、8月ごろに、彼を囲んでディレクターチームで飲み会を開催したところ、とても盛り上がって楽しかったんです。
一度もリアルでは会わずに仕事をしてきましたが、やっぱり直接会って人となりがわかると、仕事の進め方も違うのではないかと感じたのが1つ目の理由です。オンラインだと、じっくり雑談をすることはあまりありませんし、リアルで1度会うだけでも、一気に距離が縮まります。
2つ目の理由としては、オペレーター、ディレクター、エンジニアとも急速に人が増えたので、連帯感を強めたいという狙いもありました。
これまでもうまくコミュニケーションをとって業務を進められていて、特に問題があったわけではないのですが、やはり、相手の雰囲気や性格、人となりがわかっていた方が気軽に話せますし、より円滑に業務が進められるようになるのではないかと考えました。
盛り上がっていた話題は「あのDXは大変だった」
――全社会の雰囲気はいかがでしたか。
武藤 思いのほか、みんなものすごく“歓談”して盛り上がっていました。業務整理を担当している女性が、実はすごいボディビルダーで、写真を見せてもらって周りが驚いていたり、仕事では真面目な感じのエンジニアが、冗談ばかり言ってみんなを笑わせていたり。4年近くオンラインで一緒に仕事をしていた人同士が、実はものすごく家が近いことがわかったりもしました。
でも、一番盛り上がっていた話題は「あのDXは大変だったよね」でした。「最初は無理じゃないかと思っていたけど、なんとか頑張ってできた」といったことを、あちこちのテーブルで楽しそうに話していたのが印象的でした。
SaaSは、提供するものが最初から決まっているので、「できないと思っていたことができた」ということはなかなかないかもしれません。しかしAutoDateは自動化と手動のハイブリッドだからこそ、「できないと思われていたことを、できるようにする」という達成感が生まれる。あらためてAutoDateというサービスのおもしろさや可能性を感じました。
――全社会を開催したことで、何か変化はありましたか。
武藤 明らかに提案をしてくれる人が増えました。私に対してもチームのリーダーに対しても、社内の業務の回し方、お客さまへの提案の仕方、既存サービスの改善案など、「もっとここをこうした方がいいんじゃないか」といったアイデアがたくさん上がるようになりました。おそらくほかにもさまざまな変化はあると思うのですが、それはこれからじわじわと表れてくるのではないかと思います。
AIの進化がAutoDateの追い風に
――全社会がおこなわれたのは2024年末です。2025年のAutoDateについて、どのような見通しを持っていますか。
武藤 AutoDateは、全国のさまざまな専門家をデジタルで繋いでDXを推進していることが強みの一つです。急成長の背景には、こうした質の高いDX専門家によるチームの力があるのはもちろんですが、特にここ半年ほどは、AIの急速な進化も追い風になっています。このトレンドは今も続いており、AutoDateはその進化の果実をダイレクトに享受できています。
AutoDateは、自動化と手動を組み合わせたハイブリッドなやり方で企業の業務負荷を削減していますが、AIのお陰で、自動化対応できる範囲が広がったり、処理スピードや精度が上がったりと、サービス全体が大きく進化しているのです。
例えば、手書きで記入された申込書をイメージしてみてください。
決められた項目はまだしも、備考などの欄には、自由記述に近い情報も記載されています。こうした紙(PDF)データは、昔であれば人が目視して手作業で何らかのフォーマットに入力してからでないと、自動処理ができませんでした。そうすると結局、「最初から最後まで手動でやった方が楽なのではないか」ということになり、業務削減には繋がりにくかったのです。
それが今では、手書きであってもPDFから自動でデータを取得してテーブル化することができます。人の手が入るのは、テーブル化したデータの補正のみですが、それは我々が担います。お客さまの側は、手書きのPDFをAutoDateに引き渡すだけで済み、そこから求める自由な形式のアウトプットを得ることができます。
自動化だけでは100%の精度は達成できませんが、我々が補正を入れることで、迅速に精度の高いアウトプットが得られます。
多様なバックグラウンドの人が集まることで強いチームに
――今後、Marsdyをどんなチームにしていきたいですか。
武藤 これからも、「リモートでさまざまなDXの専門家を繋いでサービスを提供する」という形は変わらないと思います。そして、今後ますます多様な業界、業種、部署、業務のお客さまのDXに対応するためには、いろんなバックグラウンドの人がいた方が強いチームになりますし、より質の高いサービスが提供できます。
例えば、SIer出身の人だけなど、似たバックグラウンドの人ばかりのチームだと、同じアプローチのアイデアしか出て来ないでしょう。しかし、お客さまが多様な分、我々も多様な方がいい。1人の万能な人に依存して100の仕事をしてもらうよりも、さまざまなバックグラウンドを持つ10人で分担し、それぞれの強みを生かした仕事を持ち寄ってもらう方が、我々独自の価値を出しやすいと考えています。
――正社員と業務委託のハイブリッドチームというのも、そういったチーム作りに繋がっていますね。
武藤 私はそれほど意識していないのですが、それはあるかもしれません。社外の人からは、「正社員数人だけでこんな成果を上げられるなんて奇跡だ」と言われたことがあるのですが、私からすると、「いや、Marsdyは(業務委託の人も含めて)120人くらいいて、多くのDX専門家の力を結集しているわけだから当たり前のことだ」という感覚です。
全社会のとき、「業務委託の人ばかりなのに、こんなに強いチームになっていてすごい」と言っていたメンバーもいたようですが、確かに「(社員と業務委託の)垣根がない」と言う人は多いです。業務委託であっても、「社外の人」扱いをされることなく、普通にチームのメンバーとして業務をこなしていますから。
――それはなぜでしょうか。
武藤 AutoDateが「コトに当たる」ことを会社のカルチャーとして重視していて、その考えを軸にしてメンバーが動いているからだと思います。正社員だから、業務委託だから、○○さんだから、ということではなく、誰もが「このお客さんの業務を改善するため」という仕事に向かっています。
今が一番面白いタイミング
――どのような人材を求めていますか。
武藤 フォーマットがバラバラで、構造化されていないデータにも対応できるAIが生まれていますから、それを使いこなす人が必要です。新しい自動化技術を自分で触ってみて、おもしろいと思えるような人がいいでしょうね。
また、繰り返しになりますが、既存のやり方にとらわれず、「コトに当たれる」人であることも欠かせません。「手書きの情報をDX化するなんてムリだ」と思考停止するのではなく、「それを実行するためにはどうすればいいのか」を考えられる人です。
こうした素養を兼ね備える人には、ぜひ私たちのチームに加わってほしいですし、そういう人にとっては、私たちがやっていることは本当に面白いと思います。
また、私を含め、今のコアなメンバーはビジネスサイドのバックグラウンドがある人が多いので、テクノロジー起点で「過去と比べて今はこんなことができるようになっているから、もっとこんな市場に打って出られるのではないか」といった視点に立てる人にも加わってほしいです。
Marsdyに加わっていただくには、今が一番面白いタイミングです。
――「今が一番面白いタイミング」といえるのはなぜでしょうか。
武藤 まず外部環境を見ると、「既存ツールや既存システムによる業務改善は難しい」という認知が広がってきている一方で、労働生産人口は減少し続けており、「DXにより生産性を上げて顧客へのアウトプットを上げなくてはならない」というプレッシャーは高まっています。AutoDateはそこに直接、改善策を提供できます。
しかも我々は、それを今始めたばかりというわけでなく、これまで2、3年、もがきながらやってきたことが実を結んで急成長している時期にあります。この状態でDXの市場にチャレンジできるのは、非常に面白いタイミングだといえるでしょう。
また、先ほどお話した「AIの急速な進化」がDXの現場で出来ることを大きく広げているのもチャンスだと考えています。
一方内部環境を見ると、2025年3月時点で現状約120人のメンバーのうち、正社員はまだ7人です。面白いマーケットを前にして、業務オペレーションはシステム化されていますが、まだ会社組織がないという状態。今から組織を作り始めるところです。市場が盛り上がる時期に、組織を作る立場に回れるという機会は、なかなか貴重ではないでしょうか。