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仕組みを変えることから、産業改革を。同じ志を持つ会社がタッグを組み、“印刷”と“梱包”から世界を変える

松本 恭攝(まつもと・やすかね)      辻 俊宏(つじ・としひろ)

ラクスル株式会社 代表取締役     株式会社ダンボールワン 代表取締役

2020年12月、株式会社ダンボールワンはラクスル株式会社と資本提携しました。互いの知見や顧客基盤を活用すべく動きはじめています。なぜ資本提携に至ったのか、またそのことで両社にどのようなメリット・相乗効果が期待できるのか、両社の社長からお話を伺いました。

同じ未来を目指す会社同士の、奇跡的な出逢い

―今回、ラクスルがダンボールワンへの資本参加に至った理由・背景について、ご説明いただけますか。

辻:
当社は昨対でプラス100%、MBO時から約22倍ほどの成長を遂げています。ただ、成長はしているものの非常に大きな課題も出てきました。

まず1つめが「業務過多疲弊症」。ラクスルもかつて急成長の時に陥った症状だとは思うのですが、いわゆる成長痛です。お客さまからどんどん注文いただける一方カスタマーサポートや出荷・製造などのオペレーション全般においては一人当たりの負荷が急激に高まっています。人手不足も重なり、どの業務も兼任を重ねていることで余裕が全くありません。

このように、オペレーションの崩壊を防ぐために成長・マーケティングを止めざるを得ない状況を打破し、今後さらにスケールするための知見をいただきたいと考えたのが、資本提携の理由の一つです。北陸地方ではなかなか大きく成長しているベンチャー企業はいませんし、相談できる相手が本当にいなくて……。

それから、今までふわっと掲げていた「古い産業にインターネットを持ち込んで変えていこう」というミッションを、今回の資本業務提携を通じ、はっきりとしたビジョンに掲げたかったというのも大きな理由です。

松本
辻社長のお話を伺っていると、昔を思い出しますね(笑)。

今回の出会いは本当に奇跡だなと思うくらい、素晴らしい提携だったと思います。弊社がなぜ提携したかという理由としては3つ挙げられます。

1つは、ダンボールワンが事業として圧倒的な成長をしていること。数字を見た瞬間、この事業はすごいと確信を持ちました。
2つめは我々が理解できる、成長イメージを明確に持てる素晴らしい事業であること。かつ、自分たちには切り拓くことができなかった領域なんですよね。印刷のeコマースを始めて8年経ちますが、似ているようで全く性質の違うビジネスであるために難しかったんです。そんな領域で素晴らしい成長している会社と一緒になりたかった。
3つめは、このダンボールビジネスにおいて、我々がサポートできることもあるのではないかと思った点です。実はこれが大きくて、まさに先ほど辻社長がおっしゃっていたような組織や体制の課題に、我々も直面し乗り越えてきた経験があるわけです、我々が過去に見た景色を、辻社長が今体験されている。弊社の経験やナレッジ、人的サポートがあることで、100億を超えたときに成長が鈍化していくのではなく、成長が加速していくことが実現するんじゃないかなと思えました。
それから、辻社長がラクスルのことを好きでいてくださって、話をしたらビジョンを共有しているのがわかったのも大きかったですね。


もともと、私が一方的に2010年からラクスルをベンチマークし、目標としていました。それこそ今のラクスル の前身である「印刷比較.com」の時代からベンチマークしていたのですが、当時はパッケージ印刷というカテゴリーがあったので気になったのです。毎年、代表の挨拶が更新されるのもずっと拝見し、経営者として勉強させていただきました。比較サイトから印刷受発注のプラットフォームに転換された時も、ビジネスモデルを転換するあたってこんなことが大変だろうな、などと勝手に想像していました。「SPEED、SPEED、SPEED」という当時の行動指針も覚えていますよ(笑)。

ちなみに、かつてはラクスルマガジンの中に「印刷の達人」というコンテンツがあり、印刷を知らない方向けの説明が掲載されていました。僕もダンボールの印刷に関しては詳しかったのですが、チラシや名刺に関しては初心者だったので勉強になりましたね。 正直、ラクスルの社員以上にラクスルオタクかもしれません(笑)。

同じ景色を見たことのあるラクスルだから出来るサポートと、
独特の梱包市場で成功しているダンボールワンが秘める可能性。
相乗効果によって、両社はもっともっと成長できる

―ダンボールワンとラクスルのカルチャー・ビジョンについて、改めてご紹介いただけますか。


弊社はもともと「古い産業にインターネットを持ち込むことで変えていこう」というミッションを掲げていましたが、根底にある思いはラクスルのビジョンと同じでしたし、そうありたいと願っていました。今回の資本業務提携によって、ラクスルと同じビジョンを堂々と掲げられるようになったのは一番の喜びです。
弊社のスタッフは非常に成長意欲が強く、日々学びたいという志向を持っています。成長意欲や伸びていきたいというカルチャーに関しては、ラクスルと非常に近いものがあるのではないのかなと思っています。

松本
弊社は2009年に会社設立し、ダンボールワンの皆さんもご存知の通り、日本の印刷会社をネットワークでつなぎ、空いた時間で印刷をしてお客様に届けるというeコマースを行っています。

我々のビジョンは、まさに「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」です。

日本は非常に古い仕組みが蔓延しています。例えば明治維新直後の150年前にできた仕組みであったり、戦後75年前に作られた仕組みなどが、バリューチェーンやその習慣取引でまだまだ通用しているわけです。こういった仕組みが日本社会の根底をなしてはいる一方、そこで働く人やユーザーはみんなデジタルを前提として生きる世界になってきています。それにも関わらず、小売流通の世界はデジタルを前提にしていない。ビジネスの世界でインターネットを使わずに仕事をすることなんてないのに、インターネットを前提とした産業の仕組みになっていない。我々は印刷業やダンボール、物流広告などを今の時代に合った形に産業のあり方を作り直しているのです。これが「仕組みを変えれば」という部分ですね。

そして、この新しい仕組みを日本中に広げ、すべての人に使ってもらうデファクトスタンダードになることで「世界はもっと良くなる」と考えています。

0から1を作り、そして1を100に、すなわち社会のインフラにしていくこと、これを我々のビジョンとして非常に大切にしています。

先ほど、辻さんから「成長することに貪欲だ」というお話がありましたが、これは0から1を作るアントレプレナーとして、非常に大切な部分だと思います。そして1を100にしていくというところは、お客様に価値をちゃんと認めてもらい、競争しながら最も選ばれるサービスになって伸ばしていくということ。この2つの非連続を生み出し、連続的にしっかりと伸ばし続け、磨き込んでいくことが我々のカルチャーであり、それを実現するための行動指針「Raksul Style」があります。

  • 「Reality(高解像度)」高い解像度を持って物事を判断していくこと。
  • 「System(仕組み化)」それをシステムや仕組みに落とし込んでいくこと。
  • 「Co-Operation(互助連携)」さらにそれを様々なバリューチェーンの方、サポートパートナーと一緒に作り上げていくこと。

これらの3つを基に、ヴィジョンを実現していきたいと考えています。

―資本提携したメリットを活かし、実現したい事業目標などがあれば教えていただけますでしょうか。


まずは、「学びたい」ですね。ラクスルからご連絡いただき、ラクスルのメンバーの方々にお会いした際の視座がものすごく高くて驚かされました。ラクスルと一緒に事業を成長させていきたいのはもちろんですが、それ以上にラクスルから学びたい!一緒に仕事をしたい!と強く感じたのを覚えています。もちろん、この資本提携で私自身も企業家として経営者としても成長していきたいと思っています。

そして、自身の成長がひいては社員・従業員の成長にもつながり、会社が成長していければいいと考えています。普段から「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンは従業員に説明していますが、一番最初に掲げた松本さんからもぜひとも直接思いを伝えていただきたいですね。


松本
直接的なシナジーとしては、現在100万を超えるラクスルのお客様に、ダンボールという新たな商品をお届けできること。これが一番大きな変化です。
もう1つはシナジーなんて関係なく、ダンボール領域を伸ばしていくこと。ダンボール単体で1兆円超のマーケットの大部分をデジタル化し、その際に必ずファーストチョイスで選ばれるサービスを作り上げていくことで領域全体の成長につながると思います。


そのためにも、僕らの今の課題である経営上の知見はどんどん学ばせていただきたいです。12月からは各部門にしっかり連携する、まさに互助連携を浸透させようとご助力いただいているところです。オペレーションが立ち直ってきている中、ネクストステップとしてガバナンス・コーポレート周りを整理していければと考えています。

弊社のサイトはラクスルを参考にして作った箇所もあり、一見似ているようなものもあるとおもいます。今後はさらにこれらのシステム、いわゆる受発注のバック側などを一緒に作り込んでいければとも思っています。

―松本社長から、ダンボールワンのメンバーに一言お願いいたします。

松本
これまで皆さんは、小さな船をずっと全速力でこぎ続け、その結果かなり遠くまで来ることができました。ほとんどの船が沈んでいく中、沈まずに皆さん一人一人の腕力によって大きな海にたどり着けたのは素晴らしいことです。ラクスルは今後、まずこの船を大きくし、大波が来ても倒れないようなしっかりとした船になるようにし、さらにその船を漕いでいく仲間になれればと考えています。

先ほども言った通り、ダンボールは非常にポテンシャルのある事業です。辻社長は非常に腕力が強いので一緒にいて大変なこともたくさんあったと思いますが(笑)、それでもこんな会社はほとんどないですし、皆さんいい経験をされてラッキーだと思います。これまでの10年を糧に、次の3年、5年は全く違う景色が見えるようになり、さらに楽しい旅になっていくと思います。

目の前の大変な体験を乗り越え、違う景色をどんどん一緒に見ていきましょう。


ありがとうございます。

本当に強力な仲間を得たと思っていますので、今後最速でダンボールワンは、ビジョン実現に向けしっかり事業成長させていきたいと思います。


採用情報はこちら

https://danballone.com/recruit/

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