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第二創業期のオルビスがリブランディングにかける想い「ブランド体験を通じて“スマートエイジング”の価値を届けるD2C企業へ」<代表×商品開発者インタビュー>

「自分らしく前向きに、美しく生きる人々であふれた世界を実現する」をミッションに進化を続けるわたしたち、オルビス株式会社。

約200名のメンバーが働く弊社は、新たな時代に向けリブランディングを進めている真っ只中です。今回は、そんな進化に至るまでのオルビスがこれまで大切にしてきた価値、そして今後向かっていく未来を弊社代表の小林琢磨と数々のオルビスブランドに寄り添ってきた商品企画部長の西野英美に語ってもらいました。

◼創業から育んできた「スマートエイジング」の価値観


ーーオルビスは現在、リブランディングの過程にありますよね。どのような背景で第二創業期としてリブランディングをするに至ったのですか?

小林:1987年創業のオルビスは、世の中がバブルの絶頂期で豪華で華美なものを価値とする時代に、真逆の価値提供を貫いてきました 。

その後90年を超えてバブルが崩壊し、シンプルで本質的な価値を志向するようになった人々にオルビスの思想がマッチし、失われた20年と言われるほど日本経済が落ち込んだ90年代後半から2000年代前半に成長期を迎え業績を伸ばし続けることができました。

その背景には、アンチエイジングの価値観を大手化粧品メーカーがこぞって形成していった時代に、それとは逆の「肌や人自身が持っている、本質的な力を引き出して自分らしい年の重ね方ができたと納得できること」を目指す「スマートエイジング」の原型となるシンプルな考え方がいつもありました。

ですが、企業規模の拡大とともに自らの本質的なアイデンティティをいつの間にか薄めていってしまったんですよね。

安定や効率化を追求し、内部視点をただ強めるだけでは、市場の変化に対応できないと感じました。従来お客様にお伝えしていた「通販」や「オイルカット」といったツールは、お客様に価値提供する上での手段。その手段ありきでなく、あらためてブランド思想の軸に立ち返り、戦略を立てようと動き出しました。

西野:そうですね。私たちは常にストーリーの中心を「人・あなた」とし、化粧品そのものを華美に、高機能にするのではなく、あなたの肌そのものを美しく高機能にすることをミッションとして掲げてきました。

創業以来「肌が持つ本来の力を信じ、不要なものには頼らない」という信念をブラさずに商品開発をしていますが、今一度原点に立ち返り、社員一丸となって同じ方向に進む道筋が見え始めたのは、2018年、琢磨さんが代表になり、「我々はブランドビジネスをやっていくんだ!」と全社員の心に訴えかけた時でしたね。

社員の目の色、会社の空気がガラッと変わったというか、あの感覚は今でも鮮明に覚えています。

小林:具体的には、社内組織の改革やビジョンの見直し、戦略策定及びブランド価値の再定義に基づくCI・VIの全面刷新、そして象徴スキンケアである新オルビスユー、ディフェンセラの開発などを実施しました。

「大手に果敢にチャレンジするベンチャーであった創業時に持っていた深淵やビジョンを、組織やプロダクトに込める」ことを意識して、リブランディングを進めています。ポイントはいつも僕たちは一人ひとりの個性とシンプルさを重視するリベラルなブランドでありたい、ということですね。

◼️事業ドメインを「通販ビジネス」から「ブランドビジネス」へ オルビスが進む未来

ーー商品に関しては具体的にどのような部分から見直しをはじめたのですか?

西野:事業ドメインを「カタログ通販ビジネス」としていた当時は、「今月は何を買おうかしら」と毎月楽しみに待っていてくださるお客様のために、バラエティ豊かな新製品を数多く開発していました。ダイレクトマーケティングの強みを活かし、商品に対してお寄せいただくお客様の声を真正面から受け止め、それを大切にしながらモノ作りをすることに誇りを持っていました。

一方で、既存顧客志向・実務志向に偏った考えが組織に根付き、市場全体を捉える視点やビジョンドリブンな思考が薄れていることに次第に危機感を感じ始めました。

ーー進化が必要だと感じた一番のきっかけはありますか?

西野:直接お話しするのは初めてだと思いますが、実は私、心が突き動かされた琢磨さんの言葉がありまして……。

小林:何だろう。

西野:「誠実ということの本質を履き違えてはいけない」という言葉です。

私たちは、これまでの事例や経緯に捉われ、無意識のうちに、お客様の不満を解消して要望を叶えることが目の前の目的になっていて、それを「誠実」としてしまっていた部分もあったな…と。

ある会議で、琢磨さんが、そうじゃない、とピシャリ。

お客様の期待を超え、斜め上に一歩引き上げるようなリーダーシップを発揮することこそが、本当の誠実さだと説いてくれたんですよね。


ーーその気づきが、現在行なっている進化へとどのようにつながっているのでしょうか。



西野:リブランディングを担う象徴商品なので、これまでオルビスが築き上げたアセットの上に商品の強みを発揮していくことは、強く心に決めていました。変化ではなく進化させたい。

そのため、過去に遡り、我々が大切にしてきたことやオルビスの信念を改めて見つめ直し、社歴や経験関係なく、とことんメンバーと共にディスカッションを重ねました。振り返ってみると、案外こうしたことってやってこなかったなと。

小林:新入社員から社長まで総力戦と言っていたのは、まさにこのことだと思っています。信念を改めて見つめ直し、全社一丸となって戦っていこうと思っています。

西野:今インタビューを受けているこの部屋でも、よく話合いをしていましたね…。本当にやってよかったなと思います。

少しずつブランドの顔となる商品の輪郭が見え始めてくると、そこからは面白いほど、商品コンセプトやメッセージ、訴求方法などのアイデアがメンバーからポンポンとでてきて…。

常に立ち返ることの出来る信念があることの心強さと、商品に対するブレない想いを全員で心の底から理解することの大切さを痛感しました。


ーー西野さんや開発担当者の方が改めてオルビスの価値を見つめ直し原点に立ち返ったからこそ、信念が形になってきたのですね。

小林:そうですね。オルビスが提供していきたい「スマートエイジング」を体現するプロダクトが、新オルビスユーです。今までの信念を掘り込んできたからこそ見えてきたものを反映した商品になったと思っています。

続々と入るベストコスメ受賞のニュースも嬉しかったよね。




ーー美容誌やファッション誌が選ぶベストコスメでは、オルビス至上最多の36冠(19/4/22時点)を達成したと聞いています。

西野:はい。ブランドの価値を全社員が心から理解し、1,500人以上に向けて、自分達の言葉で商品の魅力を届けて回ったメンバーの努力が実りました。

説明を分かりやすくするために自分たちで小道具を用意したり、分刻みのスケジュールで東から西、海外へと駆け回ったり、直接お客様と触れ合ったり…、とにかくできることは何でもやりました。

商品企画だからといって「つくって終わり」の人任せではなく、まずは自分たちが率先して動くことをとにかく大事にし、メンバーはそれにしっかり応えてくれました。そうした努力の甲斐あって、市場にご評価いただけたのは本当に嬉しかったです。「やっぱり私たちの商品って良いよね」「この商品で戦っていける」という自信と決意を後押しするとても嬉しいニュースでした。

◼️ブランド体験を通して「スマートエイジング」を提供していく

ーーオルビスが化粧品を提供することを通して、世の中にどのようなインパクトを与えていきたいのかと考えられていますか?

小林:「スマートエイジング」という価値観や生き方を、ビューティブランドとしての体験価値を通して届けたいと考えています。もちろんプロダクトは中心となりますが、プロダクトだけにとどまらないオルビスのブランド体験を通して一人ひとりが誰かと比較することなく、自分らしく生き生きと年齢を重ねていけるという社会の実現に貢献していきたいと思っています。

ブランド体験という意味では、本質的にコストパフォーマンスの高い商品やサービスの提供という従来の価値に加えて、ブランドとしての思想やストーリーが宿るクリエイティビティを発揮し、生活の全ての基盤にネットが繋がっていく時代に真の「心地よさ・快適さ」を提供していけるD2Cブランドへと進化していきたいですね。

西野:琢磨さんがよく我々社員に言う「自らが一流の消費者になりなさい」というメッセージも私好きなんですけど、 まずは自分たちが世界中にあふれる感度の高い情報を積極的にキャッチアップして、体験して感じてセンスを高めていく、そして、できることを積み上げ式で考えるのではなくて、子供のような純粋な気持ちで「こういう商品あったらいいよね」とか「こういうことできたら凄いよね」というのを、とことん語りつくせる組織であり続けたいと考えます。

できるか出来ないかではなく、やるかやらないかを、みんなで楽しく議論していきたい。自分たちもワクワクしながら、その人その人の美しさを引き出していくモノづくりができたら最高だなと思っています。

◼️「17年いても飽きない」のがオルビス。アイデンティティである本質的なベンチャースピリットを持ち続ける組織


ーーちなみに、西野さんは17年間オルビスで働いていますが、そこまで働き続けられる理由は何でしょうか?

西野:常に進化しフレキシブルに動く、チャレンジスピリットが細胞に刻まれた組織集団だから…でしょうか。17年いても飽きないんです。

小林:17年か。当時僕の母親がオルビスを愛用していて、シンプルで常に新しいプロダクトやサービスに挑戦していく姿勢を気に入っていたのを思い出したよ。

西野:そうだったんですか!それは初耳でした。なんだか嬉しいですね。スタートアップ企業も刺激的で魅力を感じることもありましたが、大切なのは、歴史や業種、規模などで言われる一般的概念におけるベンチャー企業に入ることではなく、ベンチャースピリットを持ち続けられる会社かどうかだな、と思い巡らせ、今に至るという感じです。

あと、オルビスというブランドを好きな社員が多いことろも、ステキだなと思っています。

小林:確かに、本質的だと思う。

西野:これからも、潜在ニーズを読み解き、時に世の中に問いを立てながら、Wow!なプロダクト体験で人類をリードしていきたいと思っています。


ーーそんな進化を続けているオルビスには、どんな人が働いているのでしょう?

小林:オルビスは現状、500億円を約200人で運営している組織です。認知度や財務的な基盤がありながら、挑戦することを重視しフレキシブルに変化していくベンチャースピリットが融合している会社は他にないと思います。

また、よりいいものを作るために時間を使いたいと考える人が多いんです。生産性・効率性を高めていける、商品や自身の持つ仕事に対して非常に「まっすぐ」な頼もしいメンバーが多いと思っています。シンプルかつ本質的で、邪念がないまっすぐさがありますね。

オルビスはリベラルなブランドであり、固定概念に対して真逆なチャレンジをしてきました。これから先、オルビスの価値観が受け入れられていく10年になると、僕は考えています。



【プロフィール】

小林 琢磨(こばやし・たくま)

代表取締役社長

大学卒業後、2002年株式会社ポーラに入社し、BtoB事業にて営業・商品企画・販促企画・物流と一連のバリューチェーン全体に携わった後、新チャネル進出を担当。 その後2009年ポーラ・オルビスグループの社内ベンチャーで立ち上げた株式会社DECENCIA取締役、2010年同代表取締役社長就任。2017年1月、オルビス株式会社取締役就任、2018年同代表取締役社長就任。 経営管理修士(MBA)

西野 英美(にしの・えみ)

商品企画部長

2002年、オルビス株式会社に入社。 スキンケア、メイク、メンズ、海外ブランドと多岐に渡る商品企画の経験を持ち、ブランドの基幹スキンケア『オルビスユー』の初代ブランドマネージャーを務める。その後、原価・開発管理のマネジャー、新規獲得プロモーションのマネジャーとキャリアを重ね、2018年より現職。

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