建築施工管理の担当者って、何年もかけて現場で地道に仕事を覚えるのかな……? そんなイメージを持っている人がいるとしたら、それはもう古いかもしれません。
AIやロボットの活用が進み、これまで職人さんが担っていた作業の一部が代替されるなど、建築現場は大きな変化の真っただ中にあります。 だからこそ、株式会社Rottでは「人にしかできない現場全体のマネジメント力」をいち早く育てるべく、「時代の変化に合わせて仕事の教え方も変わるべき」だと考えています。
「背中を見て覚えろ」という古い慣習を捨て、未経験でも最短距離で成長できる仕組み作りに注力。店舗施工を中心に、幅広い現場の施工管理を手がけながら、業界未経験スタートでも一人ひとりが着実に力をつけられるようにしているんです。
AI時代のこれからも建築現場では人間が活躍できるの?未経験でも早く成長できる仕組みって?気になる疑問を、Rottの代表取締役・酒井洋典にぶつけてみました。
店舗施工だけじゃない。Rottが幅広い工事を手がけられる理由
—まずは、Rottの建築事業について教えてください。
今は店舗施工をメインにしています。ホームセンターやアミューズメント施設などの商業施設が中心ですね。
ただ、僕たちは「店舗施工専門の会社」というわけではありません。住宅工事なども含めて、建築に関するご相談であれば幅広く対応しています。
—かなり守備範囲が広いんですね。
僕自身、これまではさまざまな分野の建築工事全体を取りまとめる仕事をしてきました。高速道路や超高層ビルのような特殊な工事は別ですが、それ以外なら「どうやって形にするか」はイメージできます。
必要な協力会社さんとチームを組めれば、「これはできません」とお断りするケースはほとんどないんです。
—内装だけ、外構だけといった部分ごとの施工ではなく、建物全体を見ているイメージでしょうか?
まさにそうです。「内装屋さん」「外構屋さん」のように専門分野を持つ会社はたくさんあります。でも僕たちは、その一つ上の立場で現場全体を見ています。
いわば「小さな総合建設会社」のような存在ですね。建物全体を俯瞰しながら、お客様にとって最適な施工方法を考えられる。それがRottの強みだと思っています。
犬小屋も大型店舗も同じ。施工管理は「現場全体を動かす」仕事
—施工管理という仕事について、業界をまったく知らない人でもわかるように改めて教えてください。
施工管理と聞くと、「現場で作業をする仕事」というイメージを持つ人も多いかもしれません。でも実際は、現場全体をスムーズに進めるための「司令塔」のような役割なんです。
工事のスケジュールを組んだり、施主さんや協力会社さんと打ち合わせをしたり、品質や安全を確認したり。
そもそも施工管理はいろいろな専門分野の人たちを取りまとめる仕事であり、一つひとつの工事分野について、職人さんレベルで熟知している必要はありません。現場全体の流れを理解して、必要な人と人をつなぎながら工事を前に進めていく。それが一番大事だと思っています。
—建物の規模が変わると、仕事の内容も大きく変わるんですか?
実は基本的な考え方はあまり変わらないんです。極端な話をすると、犬小屋でも大型店舗でも、建物を作る流れは同じなんですよ。
もちろん規模が大きくなれば関わる人や工程は増えます。でも、「どういう順番で進めるか」「誰に何をお願いするか」という考え方は一緒。だから、一つひとつ経験を積んでいけば、自然と対応できる現場も広がっていきます。
—ただ未経験だと、「専門知識を身につけるのが大変」と感じる人も多そうです。
その気持ちはわかります。でも、最初から全部を知っている人なんていません。
むしろ大事なのは、現場で「わからないことをわからないと言える」こと。わかったふりをして工事を進めるほうが、よほど危ないですからね。
僕も若い頃は、わからないことだらけでした。でも、現場にいる関係者に正直に聞いて、一つずつ覚えてきたんです。その積み重ねが今につながっています。
だからRottでは、未経験で入社した人に「わからへんかったら、現場で聞いたらええやん」って伝えています(笑)。そのほうが成長も早いですから。
—酒井さんも、若手の頃は仕事を覚えるのに苦労したんですか?
僕の若手時代は、正直言って大変でしたよ。先輩に質問しに行くと「こんなこともわからんのか!」と言われたり、「黙って先輩の仕事を見て覚えろ」という雰囲気だったり。入社して2〜3年は、ずっとそんな感じでした。
でもある時を境に、「わからんことはわからんと正直に言って、何度でも聞きまくるしかないな」と開き直れるようになったんです。
—どんなきっかけがあったんですか?
その怖い先輩に、僕が詳しかった車の機構の話をしてみたんですよ。そうしたらその先輩が「俺、そんなん知らんかったわ」って素直に言ってくれたんです。
それで「あ、先輩にだってわからんことがあるんやな」「知らんもんは『知らん』と正直に言っていいんやな」と気づいたわけです。それからは臆せずに、さらにしつこく先輩に質問できるようになりましたが、随分と無駄な時間を過ごしてしまっていたような気もしますね(笑)。
「背中を見て覚えろ」はもう終わり。未経験者が育つ仕組みづくり
—そんな経験を踏まえて、未経験で入社した人には、どんなふうに仕事を教えているんですか?
昔のような「先輩の背中を見て覚えろ」という教え方では、もう人は育たないと思うんですよ。横で先輩の仕事をじっと見ていても、「今、何をやっているのか」がわからなかったら、覚えようがないじゃないですか。
だからRottでは、プラモデルを組み立てるような感覚で、仕事を覚えられるようにしています。まずは工程を一つひとつ理解すること。「次はこれ、その次はこれ」と順番に覚えていけば、少しずつ全体の流れも見えてきます。
—プラモデル作りと同じく、各工程の説明書があるイメージですね。
はい。ちなみに店舗施工では「模様替え工事」と言って、基本的な建物の形は変えず、店舗の床や壁紙を張り替えるだけのケースもあります。こうした仕事は建物をゼロから建てる仕事とは違って、覚える工程が比較的少ないんです。だから、まったく経験がない人でも入りやすいと思います。
まずは店舗施工で現場の流れを理解し、できることを少しずつ増やしていく。そうやって経験を積んでいけば、いずれはもっと大きな現場にも対応できるようになります。
—専門知識を習得するためには、どんな勉強が必要ですか?
資格取得を目指して勉強するのが一番だと思います。
現場では、自分が経験した工事しか学べません。でも資格の勉強をすれば、自分がまだ経験していない工事や施工方法についても知ることができます。だから会社としても、建築施工管理技士の資格取得に向けた通学費用などをサポートしています。
現場で経験を積みながら、知識も身につけていけば、施工管理担当者として見える景色がどんどん変わっていくと思いますよ。
—仕事の進め方そのものも変わりつつあるんでしょうか?
はい。たとえば協力会社さんとのやり取り一つ取っても、もっと仕組み化できると思っているんですよ。今までは相見積もりを取って、「A社さんのほうが安い」「B社さんのほうが高いけど技術力も高い」などと判断することが多かったんですが、これって経験がない人にはなかなか難しいですよね。
そこで、見積もりに関する業務をシンプルにして、判断しやすくしたいと考えています。具体的には、電気工事なら◯◯万円前後、といった具合に工事ごとの金額を標準化し、相手に応じて変えるのではなく統一したワンプライスにするイメージです。
経験だけに頼るのではなく、仕組みで支えられる部分を増やしていけば、経験の浅い人でも早く業務に慣れていけるはずです。
「ロボットが天井を張る時代」にRottが描く、施工管理の仕事の未来図
—酒井さんは、これからの建築現場の変化をどのように見ていますか?
ものすごいスピードで変わっていくと思います。今までと同じやり方では通用しなくなるでしょうね。
最近では、「人じゃなければできない」と思われていた建築現場の仕事も、どんどんデジタル化が進んでいます。ドローンで現場を確認したり、職人さんのヘルメットにカメラを付けて遠隔で状況を確認したり。
さらに、ロボットの活用も進んでいます。たとえば大手ゼネコンでは、部屋の天井を張るロボットがすでに開発されているんですよ。電源が止まらない限り24時間働き続け、文句一つ言わない「働き手」が現場にいる時代が、現実になり始めています。
—そこまで現場が変わると、「施工管理」という仕事の意味も見直されそうですね。
そうですね。とはいえ、品質を確保したり、施工ミスを防いだりといった施工管理担当者の仕事は今後も重要だと思います。
また、施主さんや設計事務所さん、仲介業者さんといった関係者とコミュニケーションを取ったり、現場全体をマネジメントしたりするような、「人と人の間に立って判断する仕事」は、これからも人が担っていかなければいけません。
どんどん効率化が進んでいく中でも、人にしかできない役割の価値は、むしろ高まっていくんじゃないでしょうか。
—だからこそ、Rottでは人材育成に力を入れているんですね。
はい。もっと技術が進化する前に自分たちの色をしっかり出していかないと、一瞬で飲み込まれてしまうような気がしています。
だからこそ僕は、新しく入社した人に遠回りをさせたくないんですよ。昔のように何年もかけて経験を積んでもらうのではなく、合理的に、最短ルートで現場全体を見られるように人材を育てたいと思っています。
—最後に、この記事を読んでRottに興味を持ってくれた人へのメッセージをお願いします。
これから入社する人には、「Rottが最後の会社」だと思ってもらえるようにしたいですね。「この会社でキャリアを終えてもええかな」と思えるくらいの環境やキャリアを、会社として返していきたいです。そのために必要な教育体制や効率的な業務体制を、さらに進化させていくつもりです。
将来的には、建築事業全体を任せられる人材を育てていく必要もあります。いずれは、そうした役割にも手を挙げてもらえたらうれしいですね。