100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。
今日も複業メディア「ウィズパラ」取り上げたテーマ「フリーランスの鉄火場「クラウドソーシング」の今を探ってみて見えてきたWeb業界の昔と今」の記事をご紹介していきます。(元記事:https://wizpara.com/3016/)
フリーランスであれば一度は使うであろうクラウドソーシング。
じぶんはこのメディアやSNSで情報発信するたびにクラウドソーシングで仕事を獲るというのはフリーランスにとってじり貧でおススメできないと繰り返し述べてきました。
理由はプラットフォームの構造上、発注者側があまりに有利になるからです。
仕事が無ければ足元を見られ、最低時給にも満たない報酬でハードルの高い仕事をやらされる羽目になる・・・そういった印象があるからです。
逆に発注者側に回ってこういったプラットフォームを利用するのは賢いと思います。(仕事の発注はあくまでフェアな条件で)
そういった意味でクラウドソーシングプラットフォームの利用は今まで発注者として利用したことが数回あるにとどまっています。
しかしこれらのクラウドソーシングプラットフォームは仕事の受発注だけでなく、市場調査に非常に使えるのです。
今回は最近の業界動向を把握しようとひさびさに各種クラウドソーシングプラットフォームを見渡し、記事にまとめていきます。
今のクラウドソーシングプラットフォーム界隈を調べてみた
まずは2025年12月現在のクラウドソーシング界隈、業界地図というか全体像を見ていきましょう。
まずは大きくカテゴリ分けすると4つに大別できます。
①総合クラウドソーシング(仕事の“何でも屋”)
案件数・利用企業数の規模で最大になるのはこちらのカテゴリになります。
そしてクラウドソーシングと言えば最初に思いつくような大御所の企業名が並びます。
・CrowdWorks(クラウドワークス)・・・最大手
・Lancers(ランサーズ)・・・準大手
□ 本カテゴリの特徴
ライティング/デザイン/サイト制作/データ入力/事務ほか、
Web系だけにとどまらず幅広い業務をカバーします。
単価の幅は広く、最近は高単価のB2B向けも増加しています。
最近の傾向としてAIの台頭の影響で単純作業案件が減り、やや専門職比率がUPしている傾向があります。
②スキルマーケット系(個人スキルの商店街型)
「案件応募」スタイルではなく「スキルを出品する」スタイルが前述のカテゴリとは違うところです。
まさに個人スキルの商店街という表現が的を得ているかと思います。
代表的なプラットフォームとしては下記になります。
・ココナラ(最大手)
・スキルクラウド
・タイムチケット
・Notta・VoicePingなど音声系派生も増加
□ 本カテゴリの特徴
ジャンルはクリエイター系から傾聴・相談系・占い系AI生成系など裾野が広く単価設定の自由度も高いです。
実名で応募するのが苦手な人にも向いているプラットフォーム群です。
③エンジニア・クリエイター特化型(高単価)
“クラウドソーシング”というよりフリーランスエージェントと表現する方がマッチしています。
単価の主戦場はこちらに移った感があります。
代表的なプラットフォームとしては下記になります。
・レバテックフリーランス
・ITプロパートナーズ
・Midworks
・クラウドテック(CrowdWorksの上位サービス)
・Another works(副業系)
・Offers(エンジニアスカウト)
□ 本カテゴリの特徴
月単価60万〜120万の案件が中心で、うまくマッチングできれば継続して働き続けられる案件が多いです。
企業のDX/AIプロジェクト需要増で市場は成長中です。
月に80万円を継続して稼ぎ続けられるのであればフリーランスにはすごく魅力的に見えるはずです。
ただ常駐案件などは契約社員と何が違うんだと思う人もいるかもしれません。
④タスク・マイクロワーク特化(超大量の軽作業)
このカテゴリは単価は低いが、AI学習・事務作業など、まだまだ企業の需要は底堅いです。
代表的なプラットフォームとしては下記になります。
・シュフティ(低単価の大量案件)
・Yahoo!クラウドソーシング(タスク型)
・Scale AI / Gengo AI(英語圏中心・日本でも一部採用)
□ 本カテゴリの特徴
まずタスク単価は低い。
最近の傾向としてAI学習データの作成(タグ付け・評価)案件が増加中。
フリーランス目線とすればスキルより作業量で勝負という人は利用の余地あり。
ただ自分の意見としてはスキル獲得して単価を上げる方にベクトルは持って行った方が良いかなとは思います。
データで見る各クラウドソーシングプラットフォームと利用者
それではCrowdWorks(クラウドワークス)やLancers(ランサーズ)、ココナラなど主要なクラウドソーシングプラットフォームの決算説明や各種データについて見ていきましょう。
CrowdWorks(クラウドワークス) – 最新決算まとめ
◆ 収益・成長(2025年9月期、直近の通期決算)
売上高:約226.7億円(FY2025累計)
営業利益:約17.6億円
粗利益・各四半期とも拡大傾向
→ 売上・利益ともに前年を大きく上回る増収増益が続いています。全体で過去最高益を更新する勢いです。
◆ 利益のトレンド
営業利益は堅調で、全四半期とも前年超え。
今後も営業利益率のさらに改善(中期的に10%程度以上)を目指す方針を立てています。
◆ 規模感
フリーランス登録者数:約743万人
登録企業数:約107万社
→ 国内最大級のプラットフォームとして圧倒的な規模を確保しています。
◆ ポイント
売上・利益は順調に伸びており、プラットフォーム事業自体の収益性も上昇。
DX領域・データベース活用による新規事業開発・登録者基盤の価値化にも注力しています。
Lancers(ランサーズ) – 最新決算まとめ
LancersはCrowdWorksより規模が小さめですが、フリーランスマッチングだけでなく「AI/AX支援(企業向けDX支援)」などへ事業領域を拡大しています。
◆ 2025年3月期(2025年5月発表・通期)
売上高:約45.9億円
営業利益:約1.09億円
経常利益:約1.15億円
当期純利益:約1.76億円
自己資本比率:約41%程度
→ 営業利益は黒字化・前年同期比改善傾向です。
◆ 決算説明資料の方向性
AIプロダクト(営業AIエージェント等)、AXコンサルティング、DX支援系サービスへの投資・事業拡大を進めています。
中期的には営業利益の改善・事業構造転換を目指し、配当も開始しています。
ココナラ – 最新決算まとめ
FY2025(2024/9–2025/8)通期業績
売上高 約94.1億円(前年比 約+42.9%)
営業利益 約2.56億円(前年は約3.05億円)
純利益 増益傾向:前年を上回る水準の見込み(通期予想で前期超え)
利益率 純利益率 / 純利益ベース:3〜4%程度(TTMで約3.2% 前後)
→ 連続で大きな成長を維持。売上の成長率は過去数期でも高い水準。
→ 利益は黒字を維持したものの、営業利益率はやや縮小。
→ 第3四半期までの累計では純利益が前年同期比 +25% 前後と好調。
→ 利益率自体は高くないですが、売上成長が続いています。
売上は急伸しており、ここ数期で安定成長中で、特にマーケットプレイスの活性化が牽引しています。
・コアとなる「スキルマーケット」だけでなく出品数・利用者数増加
・サブスク・月額支援サービスの展開
・AI活用による応募・マッチング支援
など複数方向でサービスを強化しています。
◆ 強いところ
1. 売上成長が高水準・・・市場シェア・需要が引き続き拡大している証拠。
2. 多様な収益源の形成・・・1対1マーケットだけでなく、エンゲージメントを高める有料サービス・AIツールの導入で売上機会を増やしています。
3. マーケットプレイスのデータ蓄積が資産化・・・スキル・ユーザー情報という強いデータベースを持ち、AI活用で価値提供を強化中。
◆ 課題・注意点
◎ 営業利益率はまだ低めで、コスト管理・収益構造改善は引き続きテーマ。
◎ 競争環境の激化:単純スキルマーケットだけでは利益が出にくく、付加価値提供が求められている市場構造。
(CrowdWorks・ランサーズとの競争もある)
クラウドソーシングを見渡して感じた昔と今の違い
市場は成長しているが「中身」が変わってきています。
単純作業やコンペ型の低単価案件は減り、企業向けの高付加価値案件や専門マッチングが増えています。
プラットフォーム各社はAI機能(検索やマッチング)やDX投資に力を入れていてサービスの差別化が進んできています。
一方で低単価競争・偽装フリーランス・ワーカー保護の課題は依然として残っており、単価の二極化(高単価案件は残るがジュニア向けは安め)が起きています。
フリーランス目線から言うと「プラットフォーム一本槍」では稼ぎにくくなってきており、専門特化+直接契約(エージェント経由含む)+AI活用が勝ち筋になってきていると言えます。
◆ 業界全体の方向性をまとめると
・単純作業 → AI置換
・専門職・コンサル寄りが需要増
・B2Bの大型案件を取れる人が強い
・個人スキルマーケットは“表現力”勝負(ココナラ系)
今後のクラウドソーシングとフリーランスの付き合い方
最後にわれわれフリーランスがクラウドソーシングをうまく駆使していくにはという視点で考えてみましょう。
・専門性を明確化する
— 「何の問題を誰にどう解くか」を明確にする=何を売るかを明確にする。
単なる“コーディングできます”は弱い、高単価案件は明確な経験・成果で選ばれる。
・プラットフォームの使い分け
— 入門〜タスクはCrowdWorksやランサーズ/副業・短期は各種マッチング、高単価はエージェント(レバテック・ITプロパートナーズ等)や直接営業という風に使い分け、あるいは同時併用する。
・AIを“味方”にする
— AIをうまく活用して提案文のブラッシュアップ、プロトタイプの素早い作成、ドキュメント生成などで生産性を上げ、価値提供の時間へ集中する。
プラットフォーム自体もAI機能を導入中なので、それら機能も上手く活用する。
・契約条件や「偽装フリーランス」に注意
— 長期常駐で実質社員の指示を受けるような関係は法的リスクあり・・要は「偽装フリーランス」扱いになっていないか。
支払条件・業務範囲を明確に。フリーランス側のトラブル報告も上がっているので注意。
・自分の窓口を増やす
— プラットフォームだけでなく、SNSでの情報発信、既存顧客の紹介、ローカルコミュニティやオフラインの繋がりも並行する。
ネットが浸透しつくされた世の中だからこそ、逆にリアルでの立ち回りが重要になってきているとも言える。
まとめ
ひさびさにクラウドソーシングプラットフォームを見渡してみて、大きな気づきがありました。
クラウドソーシングプラットフォームの進化だけでなく、業界を取り巻く流れ・トレンドなども把握できるのが、クラウドソーシングを活用するメリットとも言えますね。
今まで立ち位置として仕事獲得手段としてのクラウドソーシングの利用は推奨していませんでしたが、認識が改まりました。
プラットフォーム側もフェアトレードを推進するような工夫も進めていますので、今後のフリーランスはプラットフォームそれぞれの特徴や利点を見極めながら上手く使いこなしていくことが求められるでしょう。