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看護が大好きだからこそ選んだ起業という道

はじめまして、はよんです!
メディカルギーク株式会社の代表をしています。

より多くの方に私や会社のことを知って頂きたいと思いストーリーを始めました。
今回は私が多くの方に一番よく聞かれる「なぜ起業したのか」について書きたいと思います。

目次

  1. 幼少期からの夢
  2. 毎日めちゃくちゃ忙しいのに患者さんとの時間が少ない看護の現場
  3. この仕事が大好きだ
  4. あまりにも過酷だった3人育児と仕事の両立
  5. 末っ子の体調不良と入院
  6. 自問自答を繰り返す日々
  7. ここまで読んで頂いた方へ

よろしければ続きはnoteにてご覧ください!

1. 幼少期からの夢

よくある話ですが、昔から看護師になるのが夢でした。

現在の私を知っている多くの方はこの話をすると驚かれるのですが(笑)、幼い頃は身体が弱く、小学校低学年くらいまでかなりの頻度で入退院を繰り返しました。

入院中、看護師は常に点滴をしている私の着替えを手伝ってくれ、夜中はトイレにも付き添ってくれました。(病院の夜は幼稚園児にとって恐怖でしかなかった)

学校のプリントを見てくれた看護師もいたし、ご飯を全然食べないと叱ってくれる看護師もいました。

気付けば私は、大きくなったら自分も看護師になって私みたいな人の世話をするんだ、と自然に思っていました。

その後、私は看護大学へ進学。

大学の実習で人生で初めて出産に立ち合わせて頂き、感動というよりは女性と赤ちゃんの命がけさに大きな衝撃を受け、妊娠中から産後はもちろん、女性の一生を支える助産師という仕事に大きな魅力を感じました。

大学4年間で看護師と保健師の国家資格を取得した後に大学院へ進学し、看護研究と助産学を学び、助産師国家資格を取得しました。

2. 毎日めちゃくちゃ忙しいのに患者さんとの時間が少ない看護の現場

大学院修了後は、年間600人程度の赤ちゃんが生まれる都内大学病院の産科病棟に助産師として就職しました。

大学病院なので、正常な妊婦さんだけでなく、合併症を持つ妊婦さんや生まれつき疾患のある赤ちゃんを妊娠した方など、様々な疾患や背景をお持ちの方がいらっしゃいました。

土日夜間問わず他院からの緊急搬送もたくさん受け入れていました。

毎日めちゃくちゃ忙しいのは言うまでもありません。

目の回る忙しさというのはこういうことか、と人生で初めて分かり、猫でも良いから手伝ってくれと思ったことも沢山あります。(真剣に!)

毎日慌ただし過ぎる現場のスピードに付いて行くだけで精一杯だった一方で、ふとした瞬間に思うことがありました。

もっと患者さんとゆっくり関わりたい

しかし、実際はそんな物理的な時間はもちろん、何よりも私の心の中にそんな余裕は1ミリもありませんでした。

患者さんとの時間が少な過ぎる

この違和感は私の経験年数が上がるにつれ、より強くなっていきました。

しかしその一方で、私は娘を出産し半年で復帰、その後息子を出産し、娘2歳8ヶ月、息子1歳6ヶ月で病棟へ完全復帰し夜勤もしていました。

年数が上がるにつれ、私の中でのこの違和感は大きくなりましたが、年子育児をしながらフルタイムで働いていた私は毎日の生活を維持し無事終わらせることで正直精一杯でした。

3. この仕事が大好きだ

私が2人の小さな年子を育てながらも、過酷過ぎる病棟で仕事を続けられたのはこれに尽きます。

自分の無力さに落ち込んだこともあるし、悔しい思いもたくさんしました。

怖いこともたくさんあったし、夫の隣で一晩中泣いた時もありました。

しかし、

患者さんやそのご家族から「ありがとう」と言われた時の何とも言えない達成感

日に日に良くなる患者さんやご家族を実感できる喜び

心身共にかなり大変な時期を一番身近で寄り添い応援できる使命感

この仕事は世の中のどんな仕事でも体験できない充実感があります。

私は私なりに誇りを持ってこの仕事をしていたし、大好きなこの仕事を身体が動く限り続けるつもりでした。

ですが、こんなに仕事が大好きで強い意志を持っている私でも仕事を続けることは出来ませんでした。

4. あまりにも過酷だった3人育児と仕事の両立

仕事と育児の両方が今までとは別の次元で大変になったのは、ちょうど私が大学病院に勤めて7年目の頃です。

就職した当時は年間600件だった分娩件数が1200件になりました。

分娩件数の増加に伴い、ベッド数も増加しましたが、配置される助産師の数はほとんど変わりませんでした。

そして私の同期はもちろん、1個上の先輩も1個下の後輩も誰も病棟ではもう勤めておらず、ちょうど私のような中堅助産師が不足していました。

通常業務はもちろん、学生の指導や委員会など、病棟業務以外の仕事も私に任せられ、仕事はより一層忙しくなりました。

昼食を10分で流し込み昼休みを返上しながら仕事をしても仕事が終わらない日が続きました。

さらに私は、3人目を出産して10ヶ月の育休を頂いた後、娘4歳、息子3歳、末っ子0歳で病棟に復帰しました。

保育園の19:30お迎えのデッドラインに毎日ギリギリで滑り込み、そこから20時前に帰宅してから、3人の夕食とお風呂、寝かしつけまで何一つ余裕がない日々でした。

愚図る子ども達にイライラしながら、なんとか毎日を無事終わらせていました。

今振り返ればこの頃の私は、私の短い臨床経験の中で、最も患者さんに寄り添えてなかったと思います。

患者さんと寄り添う時間よりも、お迎えの時間を優先していました。

勤務開始前から、どうすれば定時で帰られるかをずっと考えていました。

今日私は何をしていたのだろう

なんでこの仕事してるんだっけ

電車に揺られながら、そんなことを考えることもありました。

一番助産師として迷子になっていた時期でもあります。

一方で私の中でもここまで仕事を続けてきたというプライドもあり、

仕事が時間内で終わらないのは、仕事復帰したばかりで要領が悪い私のせいだ

育児が大変なのは今がピークでもう数ヶ月もすればもう少し楽になるはずだ

毎日自分に何回もそう言い聞かせながら、なんとか毎日をこなしていました。

しかし、そんな私のプライドが一瞬で崩れ落ちるきっかけがありました。

5. 末っ子の体調不良と入院

1歳になったばかりの末っ子の高熱が続き、採血をした結果肝機能がかなり悪化していたため入院することになりました。

我が子のものとは思えない採血結果を見て、何も考えられなかったことを今でも覚えています。

肝機能の低下に伴い、肝臓がかなり肥大していました。要するにめちゃくちゃお腹が出ていました。

入院施設のある小児科に末っ子はすぐに搬送されそこの医師から、

「お母さん、いつからこんなにお腹大きかったの」

と言われ時に、私は何も答えることができませんでした。

そして、その時私の中で一気に何かが崩れ落ちました。

私は仕事で患者さんもまともに見れていない

家で自分の子どもも見れていない

目の前でぐったりし点滴やらモニターに繋がる我が子を見て、絶望の淵に立っていました。

末っ子の入院をきっかけに私は退職を決意しました。

あの過酷な現場でこれ以上仕事を続ける気力が当時の私には全く残っていませんでした。

6. 自問自答を繰り返す日々

退職した私は、4,3歳の育児をしながら入院する末っ子の病院へ毎日通い続いけました。

大好きな仕事を自ら退職した悔しさと無念、そして末っ子がどうなるか心配と不安で、今思い返せばかなり情緒不安定だったと思います。

一時はどうなるかと思っていた末っ子も少しずつ回復し、それに伴い私も少しずつですが自分のこれからについて考えられるようになりました。

私の中で答えは明確でした。

大好きな仕事を続けたい

常勤で夜勤もして病棟で働きたい

どうすれば私は、大好きな看護の仕事を続けることが出来るのか考えました。

第一の選択肢は働く環境を変えることです。助産師としての私の場合、

  • 自宅から近い病院
  • 分娩件数が少ない病院
  • ハイリスクな女性や赤ちゃんを受け入れていない病院

等が挙げられます。

しかし正直この業界はどの病院でも忙しいのです

どの病院でも定時で変えられないのは当たり前です。(特に病棟勤務)

となると転職をしても意味がないのではないかと真っ先に察しました。

一方で、看護業界の中では育児が大変な期間を仕事をセーブするというのが見えない常識になっています。(他の業界もそうかもしれませんが)

例えば、勤務形態や体制ごとに以下のような選択肢を取ることができます。

  • 外来勤務:夜勤がない、土日休みのことが多い
  • 日勤のみ勤務:病棟で夜勤をしないという選択肢(人員配置や職場の理解不足によっては不可能)
  • 時短勤務:短時間勤務という選択肢(人員配置や職場の理解不足によっては不可能)
  • 非常勤勤務:週数回のみ働く

これらの選択肢は決して間違っていません。

それでも私は常勤で夜勤もしてバリバリ働きたかった

育児のためにキャリアをセーブするという考えは全くありませんでした。

しかし思い返してみれば、当時私が知っている看護現場の上司で、育児と仕事の両立をしている人はいませんでした。私が出会ってきた上司、尊敬する上司は、

  • 独身、または結婚していても子どもがいない
  • 子どもがいる場合は、かなり身近に育児のほとんどを担ってくれる家族がいる

のいずれかでした。

そもそも育児をセーブせず常勤で働くという考え自体が、この業界では不可能なのかもしれない

子育てと仕事を全力投球したいのはわがままなのかもしれない

とすら思いました。

そして仮にこれが事実だとしたら、女性が約9割の業界でこれは理不尽すぎると強く感じました。

(あくまでも当時の私の知見です、世の中には仕事も育児も両立している看護管理職もいらっしゃると思います)

私の夫は、私のキャリアに対する考えを誰よりも心から尊重し応援してくれていました。朝7時前に出勤する私に代わって、1人で3人の子どもを起こし、保育園に連れて行くまで一連の育児を毎日実施していました。

また、夫婦がやらなくても良い家事はなるべくアウトソーシングすることに同意していたので、料理の作り置きサービスや家事の代行も利用していました。

家族の理解とサポートがあって、ここまでやっても仕事を続けられなかったということは、もしかしたら私以外にも仕事を続けられない看護職が全国にはたくさんいるのかもしれない、と徐々に気付き始めました。

私のように無我夢中で毎日を維持しこなすことだけで精一杯の看護職が全国にたくさんいるかもしれない

だとしたらそれはどう考えてもおかしい

この業界を変えなくてはいけない

これが起業するしかないと思った経緯です。

仮に起業するとして、どうすればこの業界を良くできるのだろうか。

そこですぐに思いついたのが「患者さんとの時間が少ない」という、病棟で働いていた時からずっと抱いていたあの違和感です。

今までの自分の仕事の仕方を冷静に考えてみました。

すると仮に私が育休から復帰後に仕事が慣れてきて、多少要領良く出来たとしても、短縮できる時間はせいぜい30分くらいではないかと推測できました。

しかし私は実際毎日、昼食を10分で流し込んだ上に、残業を2時間しないと業務が終わりませんでした。

つまり30分の短縮だけでは全く足りません。

となると、患者さんとの時間を確保するためにはもっと残業するしかありません。

それでも、私のように時間内でしか働けない看護師はそうすることが出来ないし、そもそも「仕事する時間を増やす」という方法は全く根本解決ではありません。

つまり患者さんとの時間を増やすためには、業務にかかる時間をもっと大胆に減らすしかありません。

当たり前のことですが日常生活では、SNSを利用すればいつでもどこでもスマホを使って、連絡したい人に情報共有をすることができます。

相手が読んだかどうかは既読機能で確認することも出来るので、わざわざ会ったり話をしなくても情報共有は短時間で容易にすることができます。

しかし多くの看護現場では、リーダーに情報共有をするためには、予めPHSの番号を自分のメモに転記し、リーダーがPHSを受けるまで耳に当てながら片手で別の仕事をして、PHSに全然受けないとなると病棟内を走って直接リーダーに会って情報共有をしています。

実際の現場には、今のIT技術があれば一瞬で終わるはずなのに、そうではなく人力で行っているフローが数えられないくらいたくさんあります。

ITをもっと看護の現場に取り入れることで、業務時間が短縮するに違いない。そうすることで、患者さんとの時間が捻出できるのではない。残業が当たり前の状況も改善できるかもしれない。

このように考えた結果、看護業務を効率化するようなアプリを開発し現場に導入する会社を設立しようと思いました。

7. ここまで読んで頂いた方へ

ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!

実はこの後にも、地獄のプログラミング学習とか、会社設立後のわちゃわちゃ、プロダクトのピボット等、まだまだ伝えられていないことがたくさんあります。

メディカルギークは創業2期目に入る、まさに0→1のスタートアップです。今年の夏にシード調達を完了し、今はプロダクトのPoC真っ只中です。

今この時も、目の前の患者さんやご家族に寄り添い、日本の医療を支えている看護職が全国に160万人います。

そんな看護職の手元に1秒でも早くプロダクトを届け、時間と心に余裕の持てる環境を作りたいと、チーム一同心から思い毎日業務に励んでいます。

会社の事業のことやもちろん、ここに書ききれなかった今までの経過なども含めて、少しでも興味のある方はお気軽にご連絡下さい!

オンラインのカジュアル面談、コーヒー飲みながら、お酒飲みながらお話ししましょう。(食べるのも飲むのも人と話をするのも大好物です!! )

今後も定期的に会社や事業について書いていきたいと思いますので、少しでも気になったり興味持って頂いた方はnoteフォローして頂けるととても嬉しいです!

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長々とお付き合い頂きありがとうございました!

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