Vice President of Impact / Executive Trainer
滝川 麻衣子
大学卒業後、産経新聞社に入社。警察取材からキャリアをスタートし、その後、経済記者として企業や金融、霞が関など幅広い経済ニュースを取材。2017年4月、Business Insider Japanの立ち上げに参画。記者・編集者、副編集長として働き方や生き方をテーマに取材。2021年、社会人教育を手掛けるスクーに入社。執行役員Chief Content Officerとして学びのコンテンツの企画制作に従事。2024年、Schooエバンジェリストとして活動。2024年11月、EVeMに入社。
目次
Vice President of Impact / Executive Trainer
滝川 麻衣子
ーーまず、滝川さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
ーー新聞社を離れる決断をされた背景には、どのような葛藤や思いがあったのでしょうか?
ーーその後、Business Insider Japanの立ち上げに参画されていますが、そこでの経験はいかがでしたか?
EVeMで描く未来:働き方改革→学び方改革→人への投資
ーーEVeMのどのような点に共感し、何を達成したいと考えていますか?
ーーEVeMとの出会いは、(CEOの)長村禎庸さんの著書「急成長を導くマネージャーの型」だったそうですね。
ーー今後、EVeMでは、どのようなことにチャレンジしたいですか?
ーーまず、滝川さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
新聞社、WEBメディア編集部と長年のメディアキャリアを経て、社会人教育のSaaSでコンテンツの責任者及び経営メンバーとして仕事をしました。キャリアの基盤を築いたのは、間違いなく15年以上働いた新聞記者時代です。新卒で産経新聞の記者になり、初任地広島での4年間は、事件取材がほとんどでした。ひとたび殺人事件が起こると、地取りと言われる聞き込みに始まり、犯人の逮捕、警察取材、起訴された後の裁判の判決までを追い続けます。事件が起きれば昼も夜も関係なく、休みも吹き飛ぶ生活でした。
そんな日々に、ある殺人事件の裁判の傍聴でふと感じたのが、追い続けてきた「犯人」のいる目の前の被告人席と、記者である自分のいる傍聴席を仕切るバーを乗り越えるのは、いとも簡単であるということです。バーの向こう側(被告人や裁判官のいる法廷)にいるのか、こちら側(取材記者のいる傍聴席)にいるのかは、まさに紙一重だなと思いました。
生まれた環境や出会う人によっては、私も向こう側にいたかもしれない。
その時に、人はただ一生懸命に生きるべきだし、自分たちを取り巻く環境や社会を常に今より良きものにするために、もがき続ける必要があるのだと実感しました。苦しいこともたくさんありましたが、この時期のことは、私の仕事観や人生観に大きく影響していると思います。
ーー新聞社を離れる決断をされた背景には、どのような葛藤や思いがあったのでしょうか?
大阪本社を経て、もっとも長くいた東京本社の経済部では産業界や日銀、金融、霞が関などを担当しました。
新聞社は、夜討ち朝駆けの取材が当たり前。朝早くから夜遅くまで働きます。記者の仕事自体は好きでしたが、30代で子どもを産んでから、仕事と子育ての両立の難しさに葛藤がありました。夕方に子どものお迎えに間に合うように帰る生活では「いつ前線に戻るんだ」という、周囲からのプレッシャーも正直、感じていました。インターネットの時代にうまく変化適応できない紙媒体至上主義に、もどかしさもありました。これからはどう考えてもインターネットの時代なのだから、そこに挑戦したいという思いも強かったのです。
育児と仕事の両立に先々のキャリアが見出しにくいこと、インターネットの時代に乗り遅れそうな危機感から、やりがいを感じてもいたし自分を育ててくれた新聞社ですが、離れることを決めました。
ーーその後、Business Insider Japanの立ち上げに参画されていますが、そこでの経験はいかがでしたか?
Business Insider Japanでは、記者・編集者、副編集長を経験しました。マネジメントを最初に経験したのもこの時期です。
大手メディアとは違って、新興メディアは記者クラブ主催の会見にも入れませんでした。取材先開拓や認知度アップは苦労も多かったのですが、とにかく刺激的で全てが面白くて。夢中で仕事をしました。大手メディアとは違う切り口で、長時間労働見直しからの働き方改革、仕事と家庭両立の社会的な葛藤、個人のキャリア観の変化、スタートアップ起業家や#MeTooのうねりといったテーマの取材に力を入れていて、大きな反響に手応えも感じていました。子育てをしながらの仕事はハードではありましたが、今でも尊敬するボスである女性編集長(ジャーナリストの浜田敬子さん)のもと、編集部は新しいことに挑戦するエネルギーに満ちあふれていました。
ゼロイチで何かを作り上げること、人集めからチームを築いて挑戦を続ける道のりの面白さとハードさは、忘れられません。
EVeMで描く未来:働き方改革→学び方改革→人への投資
ーーEVeMのどのような点に共感し、何を達成したいと考えていますか?
EVeMの「ヒトが活躍する社会」のためにも「マネジメントを誰でも使えるテクノロジーにする」という考えに、とても腹落ちしたのです。まさに私が、記者編集者の仕事を通じて追い続けてきた「少子高齢社会の課題解決」に通底するものがあったからです。
ここをもう少しいうと、新聞記者、WEBメディアの後に、2021年末に社会人教育SaaSのSchooに参画しています。新聞社、WEBメディアで取材をするうちに「現代日本のほとんどの問題の根幹は、急激な少子高齢化に変化適応できないことにある」と気づきました。その処方箋として「働き方改革」の次に来るのが、社会人が学び続ける社会をつくる「学び方改革」だと直感したからです。Schooでは初めてのメディア以外のビジネスや経営の仕事を通じて、本当に多くの経験をさせてもらいました。コロナ後のデジタル化の流れも追い風に、リスキリングや人的資本経営といった社会の流れも体感しました。
そんな中で行き着いたのが「世界一の少子高齢社会で課題解決のカギを握るのは、人への投資」との考えでした。
中でも、最も投資対効果の高い人的資本投資が「マネジメント改革」になることが、EVeMの描く世界に出会ったことで、自分の中で鮮明になりました。今の日本は、従来の終身雇用、年功序列の日本型雇用や組織が維持できなくなり、望むと望まざるにかかわらず大きな変化を迫られています。多様な個の才能を活かしてチームや組織の力を最大化するのも、もしくはそれらをつぶしてしまうのも、新しい個と組織の関係を作り出すのも、化学変化を生み出すのも、すべての組織はマネジメントの力に大いに左右されるからです。
ーーEVeMとの出会いは、(CEOの)長村禎庸さんの著書「急成長を導くマネージャーの型」だったそうですね。
はい。SchooでCCOとして仕事をする中で、マネジメントの悩みを抱えていた時に出会ったのが、長村さんの著書でした。
「答え」を求めて手当たり次第にマネジメントの本を読む中で、初めはゴリゴリのベンチャー経営者の書いた本に見えて『自分に合うかな』と半信半疑でした。しかしながら読み進めるうちに、非常にロジカルでひたすら実践的なマネジメントの技法に加えて、繊細な感性にあふれていて、その絶妙なバランスにみるみる引き込まれました。
実はBusiness Insider Japan時代にも、長村さんには取材でお会いしていて、読んでいくうちにあの長村さんだと気づきました。後にEVeMからお声がけをもらい、トレーナーを統括している北島聖士さんや、プロダクト開発や人事責任者も担当する辻本知範さんら不思議な魅力のある人たちに出会う中で、私自身の「少子高齢社会の課題解決」というライフテーマと、EVeMのミッション「すべてのチャレンジにマネジメントの力を」が、「人への投資」という文脈で見事にリンクしていることを実感し、入社を決めました。
EVeMには、とても個性豊かで熱量の高い人たちが集まっています。細部にまでこだわり抜くプロダクトやそれを構築する言語、ロジカルゆえにフェアな思想に、触れた人を惹きつける『吸引力』のようなものを感じています。
ーー今後、EVeMでは、どのようなことにチャレンジしたいですか?
メディアの仕事では情報というコンテンツ、社会人教育のSchooでは学習コンテンツと、長年コンテンツの仕事に携わってきました。ヒトに伴走するトレーナーとして、EVeMでは「体験」というコンテンツづくりに挑戦したいです。
社会のありようが大きくかたちを変える時代に、ヒトに行動変容までをもたらすのは、コンテンツに加えて「心に火をつける体験」が必要だと考えるようになったからです。
もう一つは、言葉を扱う仕事をずっとしてきましたが、EVeMのもつ不思議な吸引力と技術としてのマネジメントを社会に伝えること、たくさんの人に波及させることで、力になれたらと思っています。マネジメントは「企業」に限らず、自治体でも非営利団体でもチームでも、あらゆる組織に必要なものだと思っています。
そうしてEVeMを通じてあらゆるマネジメントをエンパワーすることで、多様な人が活躍する社会をつくりたい。
それによって、未来に希望の持ちにくい少子高齢化の時代に、大いなるゲームチェンジを共に起こしたいですね。