TIECLAN マネージャー VIVIさんインタビュー
プロフィール
VIVI(TIECLAN マネージャー)
株式会社TIECLAN所属のeスポーツマネージャー。大学時代から動画編集者として活動を始め、eスポーツ業界でのキャリアは3年目。現在は、英語力を活かした海外大会での通訳・現地対応、選手リクルーティング、YouTube運営や動画編集まで、多岐にわたる業務を担当。“何でも屋”として現場の最前線でチームを支えている。
eスポーツ業界に入ったきっかけ
―― eスポーツ業界に入ったきっかけを教えてください。
きっかけは、ただ『APEX』が好きだったことです。でも、プレイヤーとしては全然ダメで(笑)。だから自然と、上手い人のプレイ動画を観るようになりました。特に韓国のストリーマーさんにハマって、毎日配信を追いかけていたんです。
ある日、彼が動画編集者を募集しているのを見て、「やるしかない」と応募しました。当時、大学で動画編集を少し学んでいたのもあって、うまくハマったんだと思います。
―― 編集者としての関わりからスタートされたんですね。
はい。でもただの“編集”ではなく、eスポーツの世界の裏側に初めて触れた瞬間でもありました。どんなふうに試合が組まれて、選手がどう準備して、配信がどう回っているのか。全部が新鮮で、「この中で生きていきたい」と思ったんです。
ちょうどその頃、コロナで止まっていたオフラインの国際大会が少しずつ戻ってきていて、日本のチームは英語で動けるスタッフが足りていませんでした。私は英語が得意だったので、通訳や現地対応を担当するようになり、選手とも直接関わる機会が増えていきました。気づけば動画編集だけでなく、選手サポートも含めたマネジメントの領域に踏み込んでいて。
結果的に、そこが今の私のキャリアの出発点になりました。全部、流れと勢いでしたけど、「好き」がちゃんと仕事に変わった瞬間でもあります。
TIECLANに入社した理由
―― TIECLANに入社した決め手は何だったんでしょう?
TIEの名前自体は、けっこう前から知っていました。『APEX』観戦が好きだったので、強いチームの一つとして普通に見てましたし、「この人たち、本気でやってるな」と感じていたんです。
実は、前職でもAPEX部門のマネージャーをしていたのですが、チームの方針が変わって、「もうFPSには注力しない」と言われてしまって。当時の選手たちも一斉にチームを離れる流れになりました。
ちょうどそのタイミングで、TIEがAPEXに本格参入して、しかも結果を残しはじめていて。「今、APEXやるならTIEしかないな」と思っていました。
―― かなり縁を感じたんですね。
そうなんです。実際、前のチームで一緒に働いていた選手にもTIEから声がかかって。自分がマネジメントしてた選手がTIEに認められてるのがすごく嬉しかったし、それが後押しにもなりました。
あともう一つ、TIEの代表である森林さんと、過去にワールドカップの現場で挨拶したことがあって。その時の印象がめちゃくちゃ良かったんですよ。偉そうな感じが全くなくて、ちゃんと現場を見て、選手やスタッフの話を聞いてくれる人だなって。
それらが一気に重なって、「ここで働くべきだな」と思って、迷いなくTIEに入りました。
TIECLANの魅力
―― VIVIさんが感じる、TIECLANの魅力はどこにありますか?
一番は、“応援する文化”が根付いてるところです。
TIEには選手だけじゃなく、ストリーマーも所属していて、ストリーマーの皆さんが選手を全力で応援してくれるんです。試合があると「応援配信」って形で、自分の配信に視聴者を集めて一緒に選手を見守ってくれたり。
実際、1月の世界大会では、何人かのストリーマーさんが現地まで応援に来てくれてました。これって、どのチームでも当たり前にあるわけじゃなくて、TIEだからこそできるチーム一体感だと思ってます。
―― チーム全体に熱量があるんですね。
そうなんです。みんなが本気で「勝ってほしい」「一緒に走りたい」って思ってる。そういう空気の中で働けるのは、マネージャーとして本当に幸せです。
あと、応援が盛り上がると、選手本人も明らかにメンタルが変わるんですよ。「こんなに応援されてるなら、ちゃんと結果出さなきゃ」ってスイッチが入る。だから私は、裏方ですけど、“応援の設計”も仕事の一つだと思ってます。
業界内でのTIECLANの立ち位置
―― TIECLANの業界内での立ち位置については、どう見ていますか?
かなりユニークなチームだと思います。まず、APEXに特化しているという点が最大の特徴です。
多くのeスポーツチームは、VALORANTやストリートファイターなど、複数のタイトルに参入して、それぞれの部門を展開していくのが主流です。でもTIEは、そういった拡張路線ではなく、あえてAPEX一本で勝負している。
そのうえで、ガレリアさんやNTTさんといった業界でも名のあるスポンサー企業が支援している。これって、実はかなり珍しいことなんです。
普通は、複数タイトルを持つ大規模チームがそういったスポンサーを獲得するものですが、TIEは“APEX専門”でありながら、その規模に見合うリソースと注目を集めている。この立ち位置が他のチームとは明確に違うところだと感じています。
だからこそ、「自分がこのタイトルで結果を出したい」と本気で思っている選手やスタッフが集まりやすいんです。チームとしての方向性が明確なので、余計なブレがない。芯が強いチームだなと思いますし、私もそこにすごく共感しています。
マネージャーとしての役割
―― 現在は具体的にどのような業務を担当されていますか?
選手のマネジメントが中心です。最初の段階から関わることが多くて、たとえば「新しい選手をチームに迎える」となると、そのリクルーティングから私が動きます。
業界に入ってから長いので、世界大会で顔を合わせたことのある選手も多くて、「チーム探してる?」みたいなラフな声かけがきっかけになることもあります。
そこから、選手が大会やイベントに呼ばれたときには、クライアントとのやり取りも担当しますし、世界大会があるときは、ホテルや航空券の手配、現地での生活サポートまで全部やります。
―― 現場の最前線ですね。
はい。『APEX』は親会社がアメリカなので、運営とのやり取りは基本すべて英語です。選手と運営の間に立って、連絡や通訳も担当しています。
また、YouTubeの運営にも関わっていて、切り抜き動画の管理や編集者さんとのやり取りもしてます。あと、元々編集が入り口だったので、配信を見て「ここは面白かったな」と思えば、サクッと自分で動画を作ったりもします。
YouTubeの数字が伸びていくのを見るのが、地味に嬉しいんですよね(笑)。
“何でも屋”であるということ
―― まさに「何でも屋」ですね。
ほんとにそうです(笑)でも、それが苦じゃないんですよ。好きでやってるから。
一緒に動いているうちに、選手のことをどんどん好きになっていくんですよね。「この人は絶対に伸びる」とか、「もっと評価されていいのに」って本気で思えるようになってくる。そうなると、何でもやりたくなるんです。
「この人が世界に行きたいなら、私がその道全力でつくる」ぐらいの気持ちで動いてます。やらされてるんじゃなくて、自分からやってる感覚。それが、たぶん自分にとってのモチベーションになっています。
TIECLANの組織文化
―― 社内の雰囲気やカルチャーについて教えてください。
一番感じるのは、「やりたいことが通る組織」だということです。
たとえば、「この企画やってみたい」とか「こういう動画撮りたい」といった提案に対して、「いいね、やってみよう」とすぐに前向きに返してもらえるんです。上の判断を待って止まることがないから、動きが早い。スピード感がある環境だと思います。
ただ、その分「自分でやり切る力」も求められます。誰かがテンプレートを用意してくれるわけじゃなくて、自分で考えて、自分で動く。それを面白がれるかどうかが大事です。
―― かなり自主性が尊重されている環境なんですね。
そうですね。TIEでは、「誰かがやるべき」と思ったことに対して、「じゃあ私がやります」って言える人が重宝されます。言われたことだけやる人より、自分から拾える人が活躍できる組織です。
もちろんそれって簡単じゃないけど、全員がそういう姿勢で動いているから、チームとしてのスピードも熱量もすごく高い。
「仕事だからやる」じゃなくて、「チームのために動く」っていう意識が全員にあるんですよね。そこが、TIEの強さだと思います。
森林社長との関係性
―― 代表の森林さんは、どんな方ですか?
めちゃくちゃフットワークが軽い人です。動くのが早いし、「やる」と決めたらすぐ行動に移すタイプ。
しかも、現場感覚がすごくあるんですよ。元々ストリーマーとして活動されていた経験があるので、選手や配信者の立場にすごく理解がある。
たとえば、選手からの要望に対して、普通の会社だったら「それは無理」とバッサリ言われそうな場面でも、森林さんは一旦ちゃんと話を聞いてくれます。「それ、わかるよ」って共感してくれるんです。
―― トップが現場を理解してくれているのは、安心感がありますね。
本当にそうです。話が通じるし、アイデアも通しやすい。だからこそ、「やってみたい」と思える空気ができてるんだと思います。
偉そうに構えることなく、チーム全体を巻き込んで動こうとしてくれる。そのスタンスが、
TIEの空気を作ってる気がします。
今後の展望
―― これから、TIECLANでどんなことをやっていきたいと考えていますか?
今って、やろうと思えば何でも挑戦できる環境なんですよ。やりたいって言えば「じゃあお願い」って任せてもらえるし、実際に動けばみんながサポートしてくれる。そういう空気があるから、自分の中でも自然と「もっとできることを増やしたい」って思えるんです。
そして、やっぱり一番は選手を支えること。
目の前で努力してる選手の姿を、私はずっと見てきました。言葉にしない不安も、ギリギリまで追い込んでる姿も、全部見てる。だからこそ、「この人たちをちゃんと支えきれる存在になりたい」と思うんです。
マネージャーとしてだけじゃなく、人として信頼される存在になって、選手の挑戦を最後まで支えていけたら本望です。