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【R2 Enablement Insight】日米比較から見えてくる営業人材育成投資の違い

「今まで、皆さんはどのような営業研修やトレーニングを受けてきましたか?」
これは弊社がセミナーなどでよくお伺いする質問です。

「上司や先輩の背中を見て営業を学んだ」「人事部主催の集合研修があるが営業向きではない」「研修は新入社員時代ににビジネスマナー研修を受けたきり」といった声をよく聞きますが、これを読まれている皆さんは如何でしょうか。

もう一つ質問です。「みなさんの会社で営業育成投資額は一人当たりいくらですか?」。多くの場合即答できる企業はこれまでの経験からみて皆無です。

少しデータを見てみましょう。


日米企業における営業投資の比較から見えてくること

「日本の人事部 人事白書」(2017年版, 2018年版)によると、

  • 企業が研修の中で注力した研修は「新入社員研修」がトップで53.2%に対し、営業・販売 研修は6.9%
  • 必要な育成方法として「OJT」と回答した企業は81.6%(1位)で「社内/社外講師による研修」で、69.1%(2位)と10ポイント以上の差

であることがわかります。また、

「教育研修費用の実態調査」(2018年度版, 2019年度版, 2020年度版)によると従業員1人あたりの教育研修費用は、

  • 2016年度:3万7177円
  • 2017年度:3万8752円
  • 2018年度:3万4607円
  • 2019年度:3万5628円

と記されています。

一方、欧米企業の人材育成の実態はどのようなものなのでしょうか。

グローバル最大の人材開発協会ATD(The Association for Talent Development)が発表している「State of Sales Training」(2016, 2019)の中で営業一人あたりに企業が投資するトレーニング費用は、

  • 2016年に平均1,459ドル/年
  • 2019年は平均2,326ドル/年(latest as of 2021.Mar)

と記されています。少なくとも欧米では営業育成投資を増やしているということがわかります。

(出典:The Association for Talent Development:State of Sales Training 2016, 2019)


営業投資は別の角度からも見ても増えていると言えます。海外の大手リサーチ機関であるCSO Insightsによる「 Sales Enablement Report」には、

  • 調査対象企業のうち61%がセールスイネーブルメント専門組織、あるいはプログラムを設け営業パーソンの育成に取り組んでいる

という調査結果が示されています。セールスイネーブルメント専門組織とは育成プログラムを含む営業に特化した支援専門組織です。継続的な売上拡大に向けて専門組織を新たに設置しているのです。

(出典:CSO Insights:Fifth Anual Sales Enablement Study)

Apple to appleの比較はできませんが、全体的な傾向として日米企業の営業投資の違いを以下のように捉えることができそうです。

似ている日米企業の営業課題感

「エースに頼りきり」「OJTだけだとばらつきがある」「育成効果が検証できない」「新人営業の立ち上げ期間が短縮されない」「新人営業の離職率が下がらない」
これらは欧米企業でも抱える営業課題として挙げられることの多いテーマです。

セールスイネーブルメントはこれら課題に対する「画期的な解」として北米を中心にリーディングカンパニーに採用され企業に成果をもたらしてきました。

前述したCSO Insightsの中で「イネーブルメント専門組織のある会社」は、「専門組織を持たない会社」と比較し営業予算達成率、成約率共に高いという検証結果が示されています。
セールスイネーブルメントという仕組みを武器に、欧米企業はヒト(専門組織)とモノ(育成プログラムとシステム)に積極的に投資をし、売上拡大を目指しドライブしてきたのです。

ところで2010年頃に誕生したと言われるセールスイネーブルメントですが、単なるブームではなく目下欧米では更に拡大傾向にあります。なぜでしょうか。

答えはコロナ禍によるリモートワークやオンライン営業への対応です。大手Sales technologyベンダーであるHubspotが2020年10月に発表したレポートによると、コロナ禍において「予算を達成した65%の企業がセールスイネーブルメントの専門チームを設けており、イネーブルメントへの投資が収益の拡大に貢献した」と回答したことが示されています。実際、米国で開催されているセールスイネーブルメント関連のカンファレンスやウェビナーに出席すると、企業がnew selling styleの変革と対応、育成に取り組んでいる工夫や様子が伝わってきます。

これは日本企業の営業部門にとっても決して他人事ではないのではないでしょうか。


データ活用でばらつきを抑え、底上げを図る

では、リモート下の営業課題に対してセールスイネーブルメントはどのように企業に貢献しうるのでしょうか。キーワードは「データ活用」と「標準化」です。

「リモートワークでも新人に対して効果的な営業トレーニングを施したい」といった課題は最近よく聞くものです。営業責任者、また営業メンバーにとっても非対面のコミュニケーションは大きなテーマになっています。イネーブルメントはこの課題にどう役立つのでしょう?

これは一例ですが、自社の営業アプローチのあるべき姿を捉えた上で、成果を生み出す行動やスキルを体系化し、それらを養成するトレーニングをオンラインで提供することが考えられます。営業成果を起点に必要な行動・スキルや知識を設計、データで一気通貫させるイネーブルメントの効果が発揮できる場面といえるでしょう。

また、「リモートワークになり部下の育成の進捗や成果が掴めない」という課題もホットトピックの一つです。「放っておくと営業力の低下に繋がってしまう」といった危機感は日本のみならず米国においても最近取り上げられます。これに対しては、個々のトレーニングの進捗状況・スキルのレベルを可視化した上で、部下の方々の営業成果と紐づけ一元管理できるプラットフォームをマネージャーに提供するといったイネーブルメント施策が考えられます。

「データ」や「標準化」というワードを見聞きすると、「管理」や「味気無さ」といったイメージが先行してしまうかもしれませんが、これらはあくまで手段であり目的ではありません。

リモートワークという環境下において部下の方々の「躓き」をいかに察知し「成長」「底上げ」「成果」に導くか。データを活用しながら、営業成果・行動・スキルや知識を一気通貫でつなぐセールスイネーブルメントは今後加速するリモート営業活動において一層価値をもたらすものとして、企業から注目をされているのです。

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