大手監査法人を経て、PwCコンサルティングで財務会計・基幹システム導入のプロジェクトを数多く手掛けてきた山中は、2024年3月にパトスロゴスに入社しました。
なぜ、財務領域のキャリアを持つ彼が、畑違いとも思える人事システムの領域へ転身したのか。
その背景には、コンサルタント時代に直面した統合型システムの構造的な課題と、それを解決しようとするパトスロゴスの「HR共創プラットフォーム」への深い共感がありました。
入社から約1年半。組織規模が2倍になる変化の中で、コンサルタントから事業会社のPMへと転身し、何をやりがいに感じているのか。顧客、開発、そして連携先のSaaS会社など、複雑な関係者と向き合いながら、最適解を模索し続けるパトスロゴスのPMの実態について語ってもらいました。
財務会計の現場で痛感した、既存システムの構造的な限界。統合型とSaaSが抱えるジレンマへの回答
——山中さんは長年、財務会計や基幹システムの導入支援をされてきました。一見すると人事領域とは無縁に見えますが、なぜパトスロゴスの掲げる「HR共創プラットフォーム」に可能性を感じたのでしょうか?
領域こそ違いますが、日本企業が抱えているシステムの構造的な課題は、財務も人事も全く同じだと気づいたからです。
前職時代、大企業向けのSAP導入やリプレイスを支援してきましたが、そこには共通した課題がありました。それは、統合型ERPを導入しても、結局は現場のスピード感に追いつけず、システムが陳腐化してしまうということです。
統合型はデータの一気通貫というメリットがありますが、その巨大さゆえに機能追加や改善の動きが鈍くなります。システムが大きすぎて環境変化に適応できず、現場のニーズに応えられないんです。
その反動で、今は勤怠はA社、タレントマネジメントはB社といった特化型SaaSを選ぶ企業が増えています。機能もUXも優れていますが、今度はデータがバラバラに分断され、そのつなぎ込みのために、人がシステムごとにデータを入力し直すといった本末転倒な事態が起きています。
統合型とSaaSどちらを選んでも課題が残るという構造的なジレンマに、多くの企業は苦しめられてきました。
——なるほど。そのどちらを選んでも課題が残るという状況に対し、パトスロゴスはどのような解を提示しているのでしょうか?
私たちの「HR共創プラットフォーム」は、まさにその第三の選択肢であり、システムアーキテクチャとしての最適解だと確信しています。
このプラットフォームの肝は、各社が提供する優れたSaaSを否定せず、それらをデータの分断なしにつなぐハブになるという点です。既存のSaaSを使いながら、裏側ではあたかも一つのシステムのようにデータが統合されます。企業はシステム移行の莫大なコストを抑えつつ、本来やりたかった創造的な人事業務にリソースを集中できるようになります。
財務会計の世界でデータの整合性やシステム間連携の難しさに悩み続けてきたからこそ、このデータをつなぐという思想がいかに難しく、かつ革命的であるかが痛いほど分かりました。単なる業務効率化ツールではなく、企業の人的資本経営を支えるインフラになり得ると考えています。
——システム制約やデータの分断から解放されたその先に、どのような世界を描いていますか?
端的に言えば、人事が本来の仕事をする世界ですね。 お客様と話していると、レポートを作るだけで一日が終わるとか、システム間のデータ修正に時間を取られているといった話を本当によく聞きます。これでは、経営層が人的資本経営を掲げても、現場の実務が追いつかないのが実情です。
私自身、キャリアマネジメントや人の成長には個人的に強い関心があります。システムという仕組みの部分で負を解消することで、人事担当者が社員一人ひとりの顔を見て、ケアや育成に集中できる時間を生み出したいと思っています。パトスロゴスがインフラとして機能することで、様々な会社の組織がもっと強くなる未来を本気で信じています。
自社プロダクトを持つからこそ味わえる。「事業をつくるPM」が背負う、ヒリヒリするような責任感
——パトスロゴスの組織にはセールスやエンジニアといった異なる専門性を持つメンバーがいますが、そうした他職種と連携する中で、パトスロゴスにおけるPMはどのような役割を担っているとお考えでしょうか?
一言で言えば、各チームの強みを繋ぎ合わせ、ビジョンをお客様の現場へ実装する役割ですね。
スタートアップなので、私たち一人ひとりの力は限られています。ですが、社内には、突破力のあるセールスや高い技術力を持つエンジニアがいます。彼らが切り拓き、創り出してくれた機会やプロダクトを、絵に描いた餅で終わらせず、最終的にお客様が使える状態にまで仕上げて届けることに責任を持っています。
ただ、私たちが向き合うのは社内だけではありません。その関係者の中に連携先の他社SaaS会社も含まれている点が、PMとして最も難しく、かつ面白いところです。
——一般的なシステム導入のプロジェクトマネージャーとの違いについて教えてください。
一般的なシステム導入のPMは、基本的には顧客と自社の二者間の調整で済みます。しかし、私たちは「共創プラットフォーム」ですから、連携先となる給与システムや勤怠システムの仕様、APIの制約、相手先の開発スケジュールまで考慮に入れないと、プロジェクトが前に進みません。
——それは非常に複雑なパズルですね。顧客の要望、自社のリソース、そして連携先の制約など、これらが衝突した際、どのように合意形成を図っているのですか?
そこはもう、タフな交渉と、現実的な落とし所を見つけるバランス感覚が試されます。
例えば、お客様の要望が連携先の仕様上、技術的に実現不可能なケースがあります。 その際、単に断るのではなく、運用フローの変更によって同じ目的を達成する代替案を提示したり、時には連携先ベンダーと直接交渉してAPIの改修を働きかけたりもします。
コンサル時代と違うのは、私たち自身もプロダクトを持っているということです。コンサルの時は、あくまで他社の製品を導入する立場だったので、機能がなければ「できません」と割り切ることもできました。でも今は、自分たちのプロダクトの未熟さも含めて、すべての責任を背負う必要があります。
——「製品への責任」を持つことで、顧客への向き合い方は変わりましたか?
劇的に変わりましたね。コンサル時代は、提案して、導入して終わりという側面が少なからずありました。でも今は、導入後の活用まで見据えないと、SaaSビジネスとして成立しません。更新契約をしていただけるか、長く使っていただけるか。そこまで考え抜くと、時にはお客様の要望に対して「それはやらない方がいいです」とブレーキをかける勇気も必要になります。
本当に価値ある実装に絞り込み、営業がお客様と高い期待値で合意してきたとしても、PMが現実的なラインに着地させるといった、そのヒリヒリするような責任感こそが、事業会社でPMをやる醍醐味だと感じています。
「失敗を責めない文化」が、高速なトライアンドエラーを生む。整っていない環境でこそ試される、仮説を形にする力
——入社された2024年3月から現在までを振り返り、プロダクトや組織はどのように変化・進化しましたか?
目に見えて大きく変化しましたね。まず組織規模で言うと、私が入社した頃と比較して社員数は約2倍になっています。プロダクトに関しても、「Combosite人事給与」や「共創プラットフォーム」の機能がリッチになり、連携できるSaaSの数も着実に増えています。 大手企業様からの引き合いも増えており、スタートアップとして一つ上のフェーズに入ったという実感がありますね。
——組織が急拡大する過渡期において、PMとして働く面白さや難しさはどのような点にありますか?
良くも悪くも、決まりきっていないことが多い点ですね。 日々状況が変わるため、マニュアルやノウハウが完全に整備されているわけではありません。コンサルタント出身者からすると、最初は戸惑う部分もあるかもしれません。
しかし、パトスロゴスには、失敗を責めない文化が根付いています。正解がない中で、自分の仮説を立て、まずはやってみる。そして、うまくいかなければすぐに修正する。このトライアンドエラーを高速で回せる環境は、完成された組織では味わえない面白さです。 整っていないからこそ、自分事としてルールを作り、物事を前に進めていけます。その余白を楽しめる人にとっては、非常にエキサイティングな環境だと思います。
——この1年半の中で、特に手応えを感じたエピソードがあれば教えてください。
導入プロジェクトが完了した後、お客様から「あなたたちとプロジェクトができてよかった」と言っていただけた時ですね。 特に印象的だったのは、若手の担当者様と、当社の若手メンバーがタッグを組んで進めた案件です。
初めてシステム導入を担当されるお客様に対し、当社のメンバーが親身になって伴走し、難しい局面も一緒に乗り越えていきました。最終的にプロジェクトが無事完了した際、お客様の上司の方から「うちの若手にとっても素晴らしい成長機会になった」と感謝の言葉をいただいたんです。 単にシステムが入っただけでなく、プロジェクトを通じて人と人が成長し、信頼関係が生まれる。こういう手触り感のある成功体験は、何度味わってもいいものです。
「迷っているなら、まずは一度来てみてほしい」事業を自分で動かしてみたいという熱量さえあれば、弊社は最高の環境
——パトスロゴスのPMとして活躍できるのは、どのようなマインドを持った方だとお考えですか? 求める人物像について教えてください。
スキルセットで言えば、もちろんITの知見やプロジェクト管理能力は必要ですが、それ以上に重要なのが”おせっかい”であることだと思っています。
——”おせっかい”ですか?
はい。弊社のようなスタートアップでは、時には誰の担当でもないボールが落ちてきます。これはPMの仕事じゃないから、業務範囲外だから、と見て見ぬふりをして線を引く人は合わないと思います。面倒だなと思っても、組織のため、お客様のために、自分の責任領域の境界線を勝手に踏み越えていける人がマッチすると感じます。
もちろん、何でもかんでも抱え込めばいいわけではありません。どこまでなら自分で救えるか、という責任分解点を持ちつつ、それでも一歩前に出て首を突っ込むような”おせっかい”ができる人と一緒に働きたいです。
——最後に、現在コンサルティングファームなどでキャリアに迷っている、あるいはパトスロゴスに興味を持っている候補者に向けて、メッセージをお願いします。
率直に申し上げると、迷っているなら、まずは一度来てみてほしいですね。
コンサルタントの方は賢いので、転職のリスクやキャリアパスを細かく計算しがちです。でも、やってみなければ分からないことの方が圧倒的に多いです。特にパトスロゴスのような急成長フェーズの企業では、入社して3ヶ月後には状況がガラッと変わっています。
もし、今の環境で、提案だけで終わる虚しさや手触り感のなさを感じているなら、一度話を聞きに来てください。人事の専門知識はなくても構いません。事業を自分で動かしてみたいという熱量さえあれば、弊社は最高の環境になると思います。