これまでの記事では、建物や農地の検出、太陽光パネルの配置、発電量のシミュレーションなど、発電量予測機能そのものの開発について紹介してきました。
また、顧客デモを通じて、実際の施工を考えたパネル配置や、営農型太陽光への対応など、より実際の利用場面を想定した改善も進めてきました。
こうした開発によって、画面上で発電量や収益をシミュレーションできるようになりました。
しかし、実際の業務で利用することを考えると、画面で結果を確認できるだけでは十分ではありません。
お客さんからも、シミュレーション結果をレポートとして出力したいという要望をいただきました。
そこで今回は、発電量予測の結果をExcelファイルとして出力するレポート機能を開発した話を紹介します。
シミュレーション結果を資料として使えるように
発電量予測機能では、指定した建物や農地にソーラーパネルを配置し、発電量や収益などをシミュレーションできます。
ただし、これらの結果が画面上に表示されるだけでは、後から数値を確認したり、ほかの人に共有したりする際に不便な場合があります。
例えば、太陽光発電設備の導入を検討する際には、年間の発電量だけでなく、工事費や将来的な収益など、さまざまな情報を確認する必要があります。
また、予測結果の数値だけでなく、どのような計算によってその結果が算出されたのかも重要です。
そこで、シミュレーション結果をExcel形式で出力し、発電量や収益の予測データと、その計算根拠をまとめて確認できる機能を実装することにしました。
365日分の発電量や気象データを出力
今回のレポート機能では、対象となる建物や農地について、365日分のシミュレーションデータをExcelに出力できるようにしました。
出力する主なデータは以下のとおりです。
- 発電量:太陽光パネルによってどれくらいの電力を発電できるか
- 消費電力:建物や施設でどれくらいの電力を消費するか
- 気温:発電量予測に関係する気温データ
- 日射量:太陽光発電に必要な日射量のデータ
これらをExcelにまとめることで、年間の合計値だけでは分からない、日ごとの発電状況や季節による変化なども確認できるようになります。
例えば、太陽光発電では季節や天候によって発電量が変化します。
年間発電量だけを見ていると分かりにくいこうした違いも、365日分のデータを出力することで、より詳しく確認できます。
また、Excel形式であるため、出力したデータを使ってグラフを作成したり、必要な項目を抽出したりすることもできます。
発電量だけでなく、工事費や将来の収益も
太陽光発電設備の導入を検討するうえでは、発電量だけでなく、費用や収益も重要な判断材料になります。
そのため、今回のExcelレポートには、発電量などのデータに加えて、工事費や設定した運用年数に応じた収益のシミュレーション結果も含めています。
太陽光発電設備は、設置した時点だけでなく、その後の長期間にわたって運用する設備です。
例えば、20年間の運用を想定する場合には、初期費用に対して、その期間でどれくらいの収益が見込めるのかを確認する必要があります。
今回のレポートでは、シミュレーション時に設定した年数に応じた収益情報を出力することで、発電量の予測だけでなく、長期的な運用を考えるための資料としても使えるようにしました。
計算結果だけでなく、計算式も出力する
今回のレポート機能では、もう一つ重要な要望がありました。
それが、計算結果だけでなく、計算式もExcelに含めることです。
例えば、シミュレーションによって年間の収益が算出されたとしても、その数値だけでは、どのような計算によって求められたのかが分かりません。
特に費用や収益のような数値は、計算の前提や算出方法も確認できることが重要です。
そこで、発電量や収益などの予測結果とあわせて、計算に使用する式もレポートに含めるようにしました。
これによって、単にシミュレーション結果を一覧にするだけではなく、その数値がどのように算出されたのかを確認できるレポートになりました。
Excelレポート機能の実装
今回のレポート機能については、自分が実装を担当しました。
発電量予測では、すでに画面表示のために発電量や消費電力、費用、収益などのデータを扱っていました。
今回の開発では、それらの情報をExcelとして出力できるようにすることが中心でした。
レポートには、365日分の発電量や消費電力、気温、日射量といったデータに加え、工事費や設定した年数の収益、計算式など、さまざまな情報を含めています。
画面上では必要な情報を見やすく表示することが重要ですが、レポートでは、後から確認したり、ほかの資料に利用したりできるよう、必要な情報をまとめて出力することが重要になります。
同じシミュレーション結果でも、画面表示とExcelレポートでは求められる役割が異なります。
今回の実装を通じて、シミュレーション結果の活用方法を一つ増やすことができました。
シミュレーションから、その先の業務へ
これまでの発電量予測機能の開発では、建物や農地を検出し、太陽光パネルを配置して、発電量を計算することに取り組んできました。
しかし、実際にお客さんに利用してもらうことを考えると、シミュレーションができるだけでは終わりません。
その結果を確認し、比較し、ほかの人に共有し、設備の導入を検討するための材料として使えることも重要です。
今回のExcelレポート機能は、そうしたシミュレーション結果を実際の業務につなげるための機能でした。
顧客からの要望をきっかけに、365日分の発電データや気象データ、工事費、将来の収益、計算式などをまとめて出力できるようになりました。
これによって、発電量予測機能は、単に画面上でシミュレーションするだけでなく、その結果を資料として活用できるものへと一歩進みました。
次回はシリーズ最終回として、これまで紹介してきた機能を実際に動かすために行った、不具合修正やデプロイ作業などについて振り返ります。