1
/
5

「三菱商事からDNXヘ。完璧を求める大企業と、不完全な情報量で早く最適な判断を求めるVC」---Investment Manager 向川恭平①

DNX Venturesには多様なバックグラウンドをもつメンバーがいます。
これまでManaging Director以外をご紹介する機会があまりなかったので、
今回は改めて東京オフィスのアソシエイトたちのキャリアや仕事を紹介します。

今回登場するのは、Investment Manager 向川恭平。
2009年に入社した大手総合商社・三菱商事を退職し、DNXへ転職。
大企業から13人の小さな組織に大転換をした向川に、
今回はその決断の理由と、両者比較におけるVCの特徴について聞きました。

弊社の中途採用を受けるか考えている方々にはもちろん、
VC業界に関心のある皆さんに読んでいただける内容になっていると思います。
ぜひ記事の内容が気に入ったら、シェアなどご協力をお願い致します!


一生にひとつの大仕事、次々に革新が起こるVC/スタートアップ。

DNXに入社を決めたのは、UCバークレーへMBA留学中に3ヶ月間DNXのUSオフィスでインターンをさせてもらったことがキッカケでした。

僕は2009年に三菱商事に入社、水事業部で国内外の上下水道事業への投資事業や、水道の運転管理をするジャパン・ウォーターという子会社への出向を通じ、「水の民営化」に向け頑張っていました。水道インフラの老朽化が進むなか、これを効率的に解決する術がなく社会問題に。「水の民営化」は商社だからこそチャレンジできる領域で、本当にワクワクしながら仕事をしてきました。

2016年、三菱商事の社費留学で2年間ビジネススクールに。クリーンテックで有名だったカリフォルニアのUCバークレー校を選びました。でも実は、選んだ理由がもうひとつあって。「水道インフラ業界」って保守的で変化がものすごく遅く革新が起こりにくい。次々に革新が起こっていくVCやスタートアップも面白そう、接してみたいという好奇心もあったわけです。

そこで、友人にDNXを紹介してもらい、USオフィスでの3ヶ月インターンに応募。「VCの全てを知りたい!」という要望に、DNXは3ヶ月間本当になんでもやらせてくれました。某LPと一緒に、テーマを絞り、商品を売るのではなくライフサイクルでマネタイズするサブスクモデルを考えたり、米国スタートアップのDD(Due Diligence)をしてInvestment Memo(投資委員会資料)をつくって社内プレゼンもしました。スタートアップのピッチに同席して最初の判断をさせてもらったり、Alchemist AcceleratorやPlug and Playのdemo dayに参加させてもらったり、多くの起業家に会う機会にも恵まれて。

いよいよ三菱商事に戻るという時には、とても悩みました。社費で留学に出してもらい、素晴らしい経験を積ませてもらったことはもちろん、部長をはじめ水事業部の皆さんを心から尊敬していましたし、純粋にチームが好きだったんですよね。今後も水事業に関わる起業のチャンスがあればいつでも戻りたいと思えるくらい、水事業へのフィットもある。ただ、「国内の水道事業を民営化する」という仕事は、一生をかけてもできるかわからないような大仕事。大袈裟かもしれませんが、もし達成できたとしても数十年かかり得るスピード感でしたし、どうしてもせっかちな自分の性格上、ひとつのことに辛抱強く取り組める自信がなかったんです。そうして、この業界、その中でも一番お世話になっていたDNX一択で選びました。



200億円の投資を3年に1件の大企業と、3億円の投資を1年に15件のVC。

大企業で仕事をしていてもVCで仕事をしていても、本質的にはやっていることは変わらないなという印象をもちました。商社の投資と今の仕事は、ファンダメンタルには違わないと思います。

大企業でも投資先との信頼関係は欠かせません。出向先のジャパン・ウォーターは各浄水場の現場の所長さんがたくさんいる環境で、信頼関係を築いて彼らのサポートをする必要がありました。台風で河川が氾濫し、取水口が詰まった時には、本質的には僕が問題解決をできるわけではないのに、すぐに駆けつけたことで所長さんからの信頼が厚くなり、その後ビジネス判断をするために重要な情報を頂いたりとか。

今の投資の仕事も、投資させてもらう立場として起業家に認めてもらえる存在であることが重要であり、成功のカギだと思うんです。

共通するのは、苦しいときや究極の場面で逃げないこと、覚悟と腹極めを見せること。例えば、DNXでも、僕らがリードインベスターとして入っている投資先の売り上げが思うように伸びず、次の資金調達ラウンドまで資金繰りがもたないという場面で、本質的にその製品が良ければブリッジファイナンスで協力することも多いんです。こういった投資する側/される側の信頼関係の築き方というのは、大企業でもVCでも共通して大事だなと感じています。

違うところと言えば、大企業のほうが、判断をするために集める情報の完璧性を求めるということ。そのために徹底的に情報を集めるし、そのために時間をかけて資料も作る。投資判断をするために完璧なモデルが必要なわけです。ひとつの判断によって動く金額がめちゃくちゃ大きいから当然ですよね。

一方VCの方は、1年間に3〜4億円の投資を15件しないといけません。200億円の投資を3年に1件やる大企業とは規模も時間軸も大きく異なる。だからこそ、VCは不完全な情報量の中で、いかに早く最適な判断をするかが重要になる。そして、個人的な能力として、少ない情報でこれが正しいとチームが決断できるよう説得する力、決断力や説明力が求められるんです。

そうやって、幾度と小さい判断をしていくことで、いろいろな事例も蓄積されていきます。当然判断を間違えたりいろいろな失敗もするわけですが、お金を使って何が良くて何が悪いか学べるとも言えるかも僕の場合は手を動かして学びたいタイプなので、たくさん事例を経験することができることは貴重だなと感じています。


後編へつづく
VC歴1年、やりがいはこれから。
自分の名前で仕事をする世界だからこそ
「自分のコミットする領域を見つけたい」---
Investment Manager 向川恭平②


(文/写真・上野なつみ)

DNX Venturesでは一緒に働く仲間を募集しています
5 いいね!
5 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング