こんにちは、株式会社RAYVEN代表の鈴山佳宏です。
RAYVENは、僕とCTOの鈴山英寿、双子の兄弟2人で創業した会社です。今回は、僕たちがどんな道のりを経て起業にたどり着いたのか、その経緯を紹介します。
目次
■ エンジニア街道と、医療街道
■ きっかけは「怖さ」だった
■ きっかけは、まさかの同居
■ 「作れば売れる」という幻想
■ 転機になったのは「露出」だった
■ 今つくっているもの
■ エンジニア街道と、医療街道
まずは、自分たち2人のこれまでについて。
僕は医療系の大学に進み、放射線技師を目指しながらAIによる画像診断の研究をしていました。学生時代は家庭教師業を個人で行っていたのですが、「時給ベースの仕事はどうしても頭打ちになる」という壁にぶつかりました。この気づきが、後に「労働集約型ではないビジネスをやりたい」という発想につながっていきます。
一方、兄の英寿は大学時代からプログラミングに触れており、オンラインのプログラミングスクールでメンターをしながら、個人で小さな開発案件をこなしていました。1件500円のExcelマクロを1時間かけて組む、というレベル感からのスタートです。その後「実務経験を積むなら大企業の方が信用がつく」と考え、新卒でLINEヤフーへ入社。社内でも異色のSWATという部署に配属され、PayPayカードへの出向や総務省対応案件など、難易度の高い案件に投入されながら経験を積んでいきました。新卒1年目から副業も申請しており、2年間ずっと開発の仕事を並行していたそうです。
医療とIT、まったく畑違いに見える2人でしたが、最終的には同じ「起業」という結論にたどり着くことになります。
■ きっかけは「怖さ」だった
なぜ起業しようと思ったのか。この動機は、僕と兄とで少し違います。
僕の場合は、「中学、高校、大学と進むにつれて、選べる選択肢がどんどん減っていく感覚が怖かった」というのが根本にあります。専門性を深めるほど後戻りができなくなり、社会人になればその流れがさらに加速するのではないか。そういった危機感がずっとありました。
兄はもう少し違う角度から起業を考えていました。コロナ禍で世の中全体が不安に包まれていた時期に、自分の職業の生涯年収を計算してみたことがきっかけだったといいます。手取りを計算した結果、「これではやりたいことに対してお金も時間も足りない」と気づいたそうです。
■ きっかけは、まさかの同居
実際にどう動き出したかというと、始まり方は意外とシンプルでした。
当時、僕が勤めていた病院は大阪、兄が通っていた大学院は京都。距離が近かったため、家賃を抑える目的で同居を始めました。そこでお互い起業したい気持ちがあることが分かり、それぞれ事業を模索し始めることになります。
とはいえ、いきなり法人化するにはまとまった資金が必要です。そこで最初は個人事業主として、2021年頃からそれぞれ仕事を探すところからのスタートでした。実際に法人化にこぎつけたのは、そこから数年経った2024年のことです。
■ 「作れば売れる」という幻想
エンジニア出身にありがちな落とし穴に、僕らもそのまま陥りました。「プロダクトを作れば売れるだろう」と思い込み、欲しいものを作っては失敗する、を個人事業主時代にひたすら繰り返していました。
法人化してからは、資金繰りとの戦いが待っていました。月々の支出は100万〜150万円ほど。口座残高が減っていくプレッシャーは相当なもので、起業する人にとってメンタル面で最もこたえる部分だと思います。ソフトウェア開発は在庫を持たない分、経営の厳しさがそのまま数字に出てしまうところが、当時は特につらい時期でした。
■ 転機になったのは「露出」だった
流れが変わり始めたのは、AIスタートアップとして注目されるようになってからです。経済産業省やNICTが主催するピッチイベントでの受賞をきっかけに、大手企業との協業や、AI活用セミナーへの登壇機会が増えていきました。
技術力があるだけでは評価されず、露出を増やして初めて技術が正しく評価される。これがこの時期に得た気づきです。もちろん前提として、確かな技術基盤があってこその評価であり、AIブームに乗っただけの企業とは違うという自負があります。
■ 今つくっているもの
現在僕らが手がけているのは、社内のドキュメントや業務ツールへのAIエージェントのアクセスを安全に管理するプロダクト「Tsumiki」です。AIが社内の機密データにアクセスする時代になったからこそ、情報漏洩やプロンプトインジェクションといったリスクをどう防ぐか、という課題意識から生まれたプロダクトです。
リリースからまだ1年ほどですが、すでに複数の賞を受賞し、大阪万博への出展、Yコンビネーター主催のハッカソンへの参加、シリコンバレーでのプログラム参加など、着実に実績を積み上げてきました。今後はプロダクトの海外展開と、日本におけるAIガバナンスの標準づくりを目指しています。
「AIとITで企業を変え、文明を進めていく」というのが僕らの掲げるビジョンです。会社員時代より給与が下がった時期もありましたが、資産としては増えています。会社にお金を残し、事業成長を優先する。そういった判断ができるのも、地道な個人事業主時代を経てきたからこそだと思っています。