こんにちは。株式会社HOKUTOの採用広報の徳永です。
今回は、HOKUTOの代表を務める五十嵐北斗(いがらしほくと)さんにインタビューをさせていただきました。世の中に全然出回っていない弊社の創業ストーリーを存分に語っていただきました!HOKUTOに少しでも興味のある方は、ぜひ最後までお読みください!
去りゆくメンバーに言われた「北斗さんは絶対に成功しない起業家だと思います」
-本日はよろしくお願いします!まず最初に、五十嵐さんの自己紹介をお願いできますか?
よろしくお願いします。医師・医学生向けのサービスを提供している株式会社HOKUTOの代表取締役、五十嵐北斗です。
-五十嵐さんがHOKUTOを創業されたきっかけを教えてもらえますか?
子どもの時からずっと起業家になりたかったんです。父親が医者で、親とは違う道を歩みたかったんです。「ビジネスといったら東京だろう!」と思い、大学進学を機に北海道を出て、中央大学の商学部に進学しました。そして大学2年生の時に、お世話になっていた教授に急かされる形で最初の会社を作り、1年で見事に失敗しました(笑)。
-1社目は失敗だったんですね…!
次の挑戦では、インターネットを使った出張トリミングサービスの会社を作ったんです。ペットとユーザーである飼い主に対してすごい熱量を持っていた共同創業者がプロダクト周り、僕が経営面を担当することになり、2016年3月にスタートしました。
無事資金調達をし、オフィスも借りてガンガン攻めていましたね。今となっては恥ずかしい話ですが、PMFの意味も分かっておらずコスト感覚もなかったので、雰囲気でお金を使いまくっていました。
-何か嫌な予感がします…。
その通り。
ある日思うんです。そもそも僕自身ペットを飼ったことがないし、ユーザーのニーズも全然わかっていない。自分自身が、全然事業に共感していない。相方に全て任せていたんですね。でも調達をしないと会社が潰れるので、この違和感を無視して突っ走っていました。
社長がこんな中途半端なので、終盤は経営陣全員がこの事業はうまくいかないことがわかっていたと思います。事業の拡大が止まらず、歯止めがきかない一方で、ギスギスしてきた会社からメンバーがどんどん離れていきました。
ついに発案者の後輩までやめて、残ったのは業務委託の数人と僕だけ。彼らも契約期間が残っているから留まっていただけで、「次の契約は更新しない」と言っていました。残ったメンバーに「北斗さんはユーザーを一切見ていない。そんなやつのプロダクトがユーザーに刺さるわけない」と言われてしまい。ずっと見透かされていたんですよね。
最後の1人に言われた「北斗さんは絶対に成功しない起業家だと思います」という言葉は、今でも痛烈に覚えています。
-それはインパクトの強い言葉ですね…。
その言葉を最後に、メンバーが全員いなくなりました。周りからも冷たい言葉を浴びせられ、精神的にだいぶ追い詰められて。
ある日、唯一の親友に相談をすると、「一回休んだら?」と言われました。僕も限界だったので休むことを決め、その場で投資家の松山大河さんに連絡を入れたんです。
迎えたアポ当日、「ちゃんと謝ってちゃんと休もう」と思い、大河さんのいるオフィスへ。ただずっと応援してくれていた大河さんの顔を見たら「やめます」の一言がどうしても出てこなかった。代わりに「ピポッドしてもいいですか?」という発言が無意識に口から出たんです。
-え?
僕もびっくりしました。休むつもりが、まさかのピポッド宣言(笑)。
大河さんには「そんなことか!心配したよ。で、次何すんの?」と言われ、全くアイデアがない状態だったので即興で「ペットで…」と答えたんです。すると大河さんが「ペットにこだわらなくていいよ、俺は北斗に投資してるんだから」と言ってくださいました。
(え、ピポッドってありなの?)
まず浮かんだのはこれですね。悩むあまり視野がかなり狭くなっていて、意固地になっていました。ピポッドができるとわかると、気持ちがだいぶ楽になって。
また、大河さんに「キャッシュはあるの?」と聞かれ、即答で「あります」を答えました。本当は50万しか残ってなかったんですけど(笑)。この日に精神は回復し、アイデアも金もない、僕の3度目の挑戦が始まったのでした。
全国行脚が生んだ「HOKUTO」の構想
-ここまでだけでもだいぶ波乱万丈ですね(笑)。まず最初に何をされたんですか?
よしやるぞ!と気合をいれるも、特に状況は変わってませんでした。「残り50万で次は何しようかな~」と考えていた時に、親から「一度帰省しなさい」と連絡が来ました。特に東京に用もなかったし、帰ることにしたら、羽田空港でばったり高校の同級生に会ったんです。
-お!キーパーソンの予感…!
彼は北海道の医学部に通っている友達でした。「何してるの?」と聞いたら、研修先の病院を探しに東京に来た、ただ全然いい病院に出会えず一旦帰ろうとしているとのことでした。詳しく聞くと、医学部には「みんなの就活(日本最大級の口コミ就職サイト)」のようなものが一切なく、病院主催の説明会しかないので、情報を集めるのに大きく苦労しているそうでした。
これは大きなペインがあるぞと思い、帰省を終え東京に戻った後、知り合いの医学部生から直接話を聞きました。1人で過ごすには広すぎるオフィスを解放し、病院探しに上京した地方医学部生の拠点にして、初対面の彼らからも愚痴を聞きまくったんです。
一方でキャッシュもほぼなくなっていて、最後にここに張るべきか、ずっと悩んでいました。
前回の失敗は、事業ドメインにどうしても興味を持てなかったことが一番の原因。ただ、今回の対象は医学生。医学生を相手にすることで、自分が選ばなかった医師への道を見ることができる、そして変えることができる。弟も医学部に入ったばかりだったので、いずれ使ってくれるサービスになるかもしれない。そういう想いから、「最後ここにかけてみよう」と決心がつきました。
-株式会社HOKUTOの始まりですね。
そうです。決心をつけ、早速「医学部就活ドットコム」というサイトを作りました。インターネット上で、研修についての情報を直接病院から取ることができるサービスです。病院は後からとればいいと思い、コンセプトが刺さるかどうかFacebookに投稿することで試してみました。
-相変わらずの行動力!結果はどうだったんですか。
全然登録してもらえませんでした(笑)。羽田空港で僕にアイデアをくれた同級生も登録してくれてなくて、彼に連絡をいれたところ「どうせ変んな病院からたくさんメールが届くんでしょ?どうしても登録してほしいならするけど」と言われました。
全く刺さってなかったんです。サイトをリリースした日の夜、すぐにその友人のいる旭川に飛びました。どういう情報を知りたいのかをもっと深掘るために、旭川医科大、札幌医科大、北大を巡り、50人の就活中の医学部生に話を聞きました。
2ヶ月ほど滞在し、話を聞いては情報項目を追加し、スプレッドシートにまとめていって。ただ北海道で一通りヒアリングをしても答えがわからなかったので、次は青森へ行き、各地の医学部生と話してました。その後は山形へ。どんどん南下していったんです(笑)。なかなかヒントを得られず、各都道府県を回って東京まで戻ってきたところ、慶應大学の医学部生と話す機会がありました。
-東京に戻ってきたんですね。どういう話を聞いたんですか?
慶應大学の医学部では、先輩が研修先の感想をまとめた冊子を後輩に渡すという伝統がありました。ちらっと中身を見せてもらったところ、たくさんの口コミがまとめられていて感動したんです。ただ同時にここに載っていない病院もたくさんあると聞き、その場にいた6人中5人がそこを受けていたんです。情報の質と量はあるけど、掲載されている病院数が少なかったんですね。
「これの全国版を作ろう」、そう決めました。やっと作るべきサービスの方向性が決まり、引き続き全国を行脚しながら口コミを集め、2018年1月に「HOKUTO resident」をリリースしました。
-ついに!反響はどうでしたか?
大きかったです。一気にたくさんの医学部生が登録してくれました。
ただ、その時点で会社の残りのキャッシュは3万円を切っていました。このサービスが伸びることがわかっていたので、急いで投資家を回ったんですが、「馬力がすごい」と評価してもらって(笑)。会社をなんとか存続させることができました。
-馬力はもうずっとすごいですからね(笑)。
ありがとうございます(笑)。
医療業界に、本質的な価値提供を
そして、次のテーマがマネタイズ。人材紹介会社や研修病院を回って、マッチングビジネスを提案しました。自分が食べれるくらいには稼げるけど、市場として小さいので、何か抜本的に新しいアイデアが必要だと感じたんです。そこで、今HOKUTO residentを使ってくれる医学生が医師になった後も使えるサービスを作ることにしました。そんなサービスが作れたらスケールできる、と。
-なるほど。
そこでまた僕の特技、全国行脚です(笑)。1年前にHOKUYO residentのヒアリングで出会った医学生が現役の医師になっていたので、みんなに会いに行く形で再び全国の病院を回ることに。「現役の医師のニーズ、課題はどこにあるのかを聞きたい」と連絡すると、みんな積極的に会ってくれました。
-現役医師は、どういう課題を持っていたんですか?。
医師は自分の仕事の中で、たくさんの調べ物をするんですね。各症状についての情報や薬の投与量の計算式、論文を膨大な情報の中から探すんです。WiFiの弱い病院だと、1つのことを調べるのに大量の時間がかかる。Googleで検索しても患者向けの情報しか出てこず、「検索が面倒くさい」という課題が日本中で起きていることがわかりました。
「ここ解決したらいけるじゃん」と考え作ったのが、医師向けの臨床支援サービス「HOKUTO」でした。単語を検索すると、一発で必要な医学情報にアクセスできるサービスです。2018年の10月にベータ版をWebサービスとしてリリースしました。
ただ、実際の臨床現場にいる医師に使ってもらうとなると、スマホで使えるアプリが必要だと感じ、資金調達をして採用を強化しました。また、絶対にマネタイズさせなくてはいけないし、スケールするかチェックしないといけないと思い、引き続き現役の医師には会いまくりました。海外の医師が使っている類似のアプリを探すために、中国やタイ、インドネシアにも飛んだんです。
-国内を飛び越え、海外まで…。どうやって現地の医師に会ったんですか?
「花粉症です」といって通院し、翻訳アプリを使ってコミュニケーションをとりました。僕英語しゃべれないので(笑)。
-これぞ、「馬力がすごい」ですね(笑)。収穫はありましたか?
「ひとつのアプリで医療情報にたどり着ける」という僕たちが目指す世界観を持つプロダクトは、海外にありました。多くの医師が既に使っていて、確信を持って帰国することができましたね。
帰国後、無事2019年末に正式にアプリ版をリリースしました。ただ、今後サービスを伸ばしていくにあたって、会社として現役医師のノウハウや知見がいると感じ始めていました。医学部生向けの「HOKUTO resident」は、なんとなく想像のつく就職活動という領域なので、自分たちだけでできたんですけど、ここからどうしようと悩み始めたんです。そんな時に出会ったのが、現在役員であり現役の医師でもある山下です。
-ここぞというタイミングで、適した人物と出会いますね。すごい。
そうなんです。HOKUTOの構想を練るために全国行脚をしていた時に、とても共感してくれた1人の医師の方がいました。彼はポケットマネーから出資してくれたんです。とても有難く受け取った数日後に、彼から連絡がきました。彼の先輩が「それは詐欺なんじゃないか、出資した相手に会わせろ」と怒っている、と。その先輩が、山下でした。
-絶対出資した医師の方だと思った…!
そうですよね(笑)。いざ対面して、HOKUTOの構想について熱く説明すると、彼もとても共感してくれました。それだけに留まらず、「一緒にやらせてほしい」とまで言ってくれました。
山下が入ったことで一気にアプリが磨かれていき、今や全国の研修医の20%が使ってくれています。その成長を見て、さらに投資が集まり、事業も伸びてきました。そして昨年末、メルカリの創業メンバーのPM山本が事業の可能性を信じてジョインしてくれて。超優秀な仲間に囲まれ、現在も事業を進めています。
-事業、組織づくりともに今急成長中なんですね。ここまで起業を志した時から現在に至るまでたくさんお話を聞いてきましたが、最後に現在のことをお聞かせください。五十嵐さんの社長としてのこだわりは何ですか?
ユーザーの声を聞いて、プロダクトに反映させて、価値が磨かれて、ユーザーがハッピーになる。
ビジネスの基本は、これだけだと思います。そのためには、使ってくれるユーザーの顔が常に頭に浮かばなくてはいけないし、事業ドメインへの共感やこだわりは強く持たなくてはいけません。
僕の過去のお話をたくさんさせていただきましたが、今までの僕は起業をすること自体が目的になっていて、ユーザーを全く見ていませんでした。もちろん最初は起業を目的にしてもいいんですけど、「ユーザーを幸せにする」という本質部分に向き合い続けないと、大きな事業インパクトを生むことはできません。
本質的な価値貢献をする。僕がこだわり続けているのはこれのみです。そのためにもユーザーの立場に立つ、一次情報を取り続けることは欠かしません。
また、これはメンバーにも求めていて、HOKUTOのバリューの1つに「FOR OBJECTIVE」という言葉があります。これは直訳すると、「目的のために」。「世の中の医療を改善する」というHOKUTOの目的を常に意識して動くことを求めているので、バリューに落としました。
-わかりやすくありがとうございます。今、代表としてどういう想いで会社を経営していますか?
医師家系である家族や全国行脚で出会った医学生と現役医師の影響もあって、今は医療業界に大きなリスペクトと価値を感じています。
HOKUTOアプリを磨けば磨くほど、医師の意思決定のスピードと質が圧倒的に上がる。僕は全ての医療従事者に価値を届けたい、そしてその先にある患者さんを救いたい。そんな想いを今は持っています。
-今後の展望を教えてもらえますか?
まずはHOKUTOアプリを日本中の医師に使ってもらえるよう、磨き続けることですね。そしてそれを基軸に、患者さん向けのサービスや病院向けのサービスなど医療業界全体にユーザーを広げていきます。日本だけに留まらず、世界を代表する医療IT企業にしていきます。
-最後に、求職者のみなさんへ一言お願いします。
たくさんの失敗をしてきた僕ですが、ようやく夢中になれる事業、そして最強の仲間と出会えました。医療業界への興味はもちろんないと楽しめませんが、今の時点で全く接点や知識がない方でも構いません。入社後にどハマりさせてみせます。医療というインパクトの大きい領域で、本質的な価値貢献をしたい方はぜひ一度お話しましょう!
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