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「一人ひとりが輝く」お菓子作りの現場からーハンディギャップを乗り越えて

 兵庫県の尼崎市に「シリゼ」という名前の小さなお菓子屋さんがある。カヌレやブールドネージュといったフランスのお菓子を伝統的な製法に基づいて作っている。

 私はここのお菓子を初めて手に取った時、他のお店にはない「温かさ」を感じた。大きな工場のラインで作れらたものではないことが直感的に分かった。 

 「シリゼ」では何らかのハンディギャップを持つ人たち自らがお菓子を作っている。一般的に、ハンディギャップを持つ人たちは、比較的簡単な作業に従事することが多いのだが、シリゼではお菓子作りの基礎から学ぶことができる。生地を作ったり、お菓子を焼いたり、果ては包装まで、一連の作業をハンディキャップの持つ人たちが行っている。

 株式会社シリゼの社長・後藤邦夫さんは、約十年前に一人目の障がい者を雇い入れたそうだ。

「最初はお互いに不安でしたが、教えたことをしっかり身につけてくれました。今ではここを巣立ち、立派なパティシエとして活躍しています。それから「就労支援」の制度を活用して、障がいのある方々を積極的に採用するようにしました。現在は10人ほどのスタッフがいます。簡単な作業をさせるだけでは、彼らの自立を促すことはできません。時にはお菓子作りだけでなく、物の考え方やチーム内での人との接し方についても考えてもらっています」(後藤さん)

 取材に訪れた時は研修の様子を見学させてもらった。後藤さんの講義を聴きながら、実際に手を動かし、和気藹々とした雰囲気で作業を進めていた。1日の仕事を終えて、帰宅の途に着く時も、彼らの顔には「働くことの喜び」が滲み出ているようだった。

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