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Cynaps設立の背景 -IoT/技術に対する想い-

シナプス株式会社の代表取締役 岩屋です。
2020年3月に当社を立ち上げました。
その際の会社設立の背景や、きっかけとなった課題感をお話したいと思います。

<会社設立の背景>
シナプスという会社を立ち上げた背景には、元々高校生ぐらいから起業を考えていたという思いがありました。工業高専で学んだ電子工学が好きだったこともあり、ビジネスに取り入れていきたいと考えたのです。
また、シナプス立ち上げ前に所属していた上場会社では新規事業を立ち上げを行い、スピンオフすることを思い描いていましたが、上場企業だからこその制約も多くあり、事業を立ち上げることは簡単ではないことも学びました。

そこで、自分一人で立ち上げることを決め、最初は一人で始めました。
その後、IoTで新規事業をやりたいと考えていた佐藤さん(現シナプス取締役COO)が加わりました。立ち上げる初期段階では目をつぶって進めなければいけない事も多々ありますが、自分たちでやってみようと決めたのです。

<立ち上げに至った課題感>
①日本の技術に対する危機感
かつての「技術立国日本」というステータスが揺らいでおり、世界の先進国に遅れを取っているという課題感を強く抱いています。

現在、世界で活躍しているのはソニーやトヨタなど一部の企業に限られています。
例えば、2023年の世界のトップ50企業において、トヨタが52位にまで落ち込むという深刻な事態です。
かつて日本の半導体産業は、1988年に約50%もの世界シェアを誇る主力産業でしたが、2030年にはシェア0%にまで低下することが示唆(総務省)されてます。このような傾向はあらゆる業界で急速に進んでおり、海外製品が日本の企業に代わって市場を席巻しています。

携帯電話もかつては様々なメーカーが競っていましたが、スマートフォンの時代になると海外メーカーが参入し、一瞬で市場を支配するようになりました。黒物家電(テレビやレコーダーなどの生活必需品でない娯楽品)においても海外製品が増え、白物家電についても海外メーカーが進出してきており、この状況が続けば日本の白物家電も危機に瀕することになるでしょう。
さらに自動車産業も危険な状況に立たされています。カーナビシステムでは、従来は各自動車メーカーが独自のOSを開発していましたが、Googleが自動車メーカーにAndroidのライセンス提供を開始しました。つまり、Googleとの技術提携によってカーナビシステムや自動車制御システムなども標準化され、差別化が難しくなる可能性があります。最終的には車の設計図やリファレンスデザインなどもオープンソースで提供されるかもしれません。このような状況では、日本の自動車メーカーがGoogleの影に隠れてしまい、ユーザーも多く失ってしまいます。これは技術的にも好ましくない状況です。

このように、これまで日本の産業は優れた製品を数多く生み出してきましたが、それが海外製品に取って代わられつつあります。

日本の企業価値はそれほど変わっていないか、ゆっくりと成長はしているのですが、一方で海外企業は10倍や100倍に成長しています。そのため、このままでは日本の企業は淘汰される可能性があります。

こうした事態を見て、なぜ手を打たないのか、変えないのか(あるいは変えられないのか)という疑問が湧きました。
誰も手を打つ(打てる)人がいないのであれば、私は絶対にこの状況を自分が変えたいと思い、真剣にこの問題を解決したいと思っています。
世界を貶めるのではなく、世界と切磋琢磨し競争し合いながらまだまだ日本の技術を成長させたいのです。

②IoT事業で真の課題解決をしたい
IoT事業は様々展開されていますが、成功している事業が少ないのが現状です。
理由は、課題を解決するソリューションを作れる人材が少ないからです。多くの可能性が存在しすぎて、アイデアが散漫になってしまう傾向があります。

アメリカのGEという企業がPredix(プレディックス)というIoTのプラットフォームを開発しましたが、結果として4000億円の損失を出し、事業を縮小せざるを得なくなりました。その理由は、何でもかんでもプラットフォームに組み込もうとしてしまったことです。彼らは、世の中であまり使われない機能までをプラットフォームに盛り込み、多くの人が本当に必要とする機能を見落としてしまいました。

現在、様々な製品としてIoTが登場していますが、継続的に使用される観点ではまだまだ課題があります。

クレジットカードの決済端末や飲食店のPOSシステム、流通の出荷システムなどは一部ではIoTが普及していますが、まだまだ部分的な機能であり、万人に普遍的に使われ続ける観点では改善の余地があります。

この課題を解決するために必要なのは、企画力であると考えます。技術力も重要ですが、何が本当に必要なのかを分析し、企画しさらにわかりやすく訴求できる能力が求められます。

なぜ私たちはBA CLOUDを開発したのかというと、起業当初は、IoT開発は難易度が高いので開発者の負担を軽減するシステムが必要だと考えスタートしました。しかし、IoT開発を希望するメーカーや事業者からの依頼の多くは、そのIoTシステムは誰が必要としているのか、どのような利点があるのか、というような疑問を持つものが頻繁に寄せられることがわかりました。
開発を楽にする仕組みは重要ですが、開発対象の物が何かの重要な課題を解決するものでなければ、IoTの意義はありません。

私なら、そういった課題をたくさん見つけることができるなと考えました。
様々な技術を駆使しながら、課題を正しく把握し、それを解決する方法を見つけ出すことが子どもの頃から得意です。

そうした能力を持つ会社は実は他にはほとんど存在しないと思います。IoTの会社はたくさんありますが、大規模なシステムを数多く開発し運用してきた経験を持つエンジニアがいるIoTの会社もほとんどありません。

だからこそ、IoTの魅力的なテクノロジーを活用しないのは勿体ないと感じ、私たち自身で取り組むことにしました。
IoTや技術に対する情熱は非常に強いです。

③エネルギーと環境に関する技術にテコ入れをしたい
現在、エネルギーや環境に関連する課題は多く取り上げられていますが、そこに対応する技術はまだまだ未熟であると考えられます。そのため、私たちは多くの打ち手が可能だと考えています。

なぜ皆がエネルギーや環境問題を取り上げているにも関わらず、技術的な問題に本気で取り組まないのかと疑問に思ったことが始まりでした。
例えば、原子力発電は非常にシンプルな仕組みで動いています。核燃料が核分裂を起こし、その熱でタービンを回し、電気を発生させるという原理です。しかし、この原理は少し前時代的なのではないかと思います。燃料を燃やして(化学反応させて)、タービンを回すという点においては、火力発電とあまり変わりません。例えば、火力発電の場合、家庭で利用する際には発電時に使用した燃料のたった30%のエネルギーしか得られていません。
ここには大きな改善の余地があるのではないかと疑問に思います。3倍のエネルギーを生み出しても、そのうちの1/3しか利用できないのは、大量の無駄が生じている=改善の余地ありと考えます。

私がこの分野に着目した理由は、スタートアップ企業として資源が限られている中で、IoTテクノロジーを活用し、社会に貢献することを軸に考えてきました。そして、売上・利益の向上、実績の構築、技術の蓄積という3つの要素が重なるポイントで取り組みたいと思っていた中で、世界的に新型コロナウイルス感染症の影響が広がっていた状況でした。

コロナ対策製品であれば急速に普及していくだろうと気づきました。
その中で、私たちの技術で即座に開発可能であり、将来にも繋がる領域は何かと考えた結果、「換気の見える化」が必要な分野だと判断しました。

いろいろ調べて見ると、事業所の換気装置は24時間365日換気扇を回しながらエアコンを使用し絶えず稼働していることを知り、単純に空調の無駄遣いはもったいないと感じました。

家庭用ではあまり問題になりませんが、事業所用の建物では、空調には非常に多くのエネルギーが必要です。
さらに調査を進めると、換気装置を常に稼働させ空気を入れ替えることによる空調にかかるエネルギー負荷の半分ほどが、換気による外気の負荷だということがわかり、換気の見える化は換気制御につながると気付きました。

現在、空調装置のモーターや温度調整などの難しい制御により、省エネを実現していますが、その前に無駄な換気を止めることでさらなる効果があると考えています。
先行して、換気の見える化システムを広めてみた結果、驚くほどの無駄な換気が多い実態が見えてきました。

この状況や実態を知り、誰も取り組んでいないなら、自分たちで取り組むことにしました。
この取り組みにより、世界中のエネルギーの制御が可能となります。
2050年にはエアコンの数が3倍になり、世界のエネルギー増加の40%がそれによるものと言われていますが、私たちの換気制御を行えば、そのエネルギーを半分に減らすことができ、その影響は非常に大きいと言えます。
環境にも良い影響を与えるだけでなく、事業者の電気代も大幅に削減できるため、両方にとって有益です。
そのため、多くのみなさんが喜んでくれるのではないかと考え、まずはこの取り組みに取り組むことを決めました。

シナプスはこのような背景で立ち上がった会社です。
まだ若い会社ですが、IoTや技術、そして世の中の課題解決に対する想いは非常に強いです。
私たちに共感してくれる方と、ぜひ一緒にこれからのシナプスを作って行けたら嬉しいです。




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