こんにちは。インターンの樽見です。
今回は、2024年11月にアーリーリフレクションに入社したエンジニアのGregさんにお話を伺いました。
NASAでのインターンや東京工業大学での博士号取得、VRや計算技術の研究など、多彩な経歴を持ちながら、趣味でドローンを製作するなど、仕事以外でもテクノロジーへの情熱を燃やすGregさん。
これまでの歩みやモチベーション、そしてアーリーリフレクションでの目標についてお話を伺いました。
▼Gregプロフィール
2013年にジョン・キャロル大学でコンピュータサイエンスと東アジア研究の学士号を取得。在学中、NASAの気候シミュレーション部門および地球科学部門でインターンを経験する。その後、東京工業大学の計算知能・システム科学学科(現:コンピューターサイエンス学科)で計算知能とシステム科学の修士号および博士号を取得した。 卒業後は5年間同大学で助教を勤め、GPUコンピューティングや高性能計算(HPC)、3Dビジュアライゼーション、人工知能(AI)などの研究に従事。その後、約4年間最先端技術を活用した研究機関においてVR研究チームを率いる傍ら、高性能コンピューティング企業にてシニアシステムアーキテクトを経験。 2024年11月、GregはエンジニアとしてEarly Reflectionsにジョインした。GPUの専門家でありながら、趣味の時間でドローンを製作するなど幅広いテクノロジー領域に関心がある。
-大学での専攻について教えてください。
大学はアメリカのジョン・キャロル大学でコンピューターサイエンスと日本語を学んでいました。
-二重専攻だったのですね。なぜ日本語を学ぼうと思われたのでしょうか。
私の大学はリベラルアーツカレッジで、外国語を学ぶ機会がありました。その中でも日本語を選んだのは、日本という国が一番面白そうだと思ったからです。アメリカとは全く違う文化を持っていながら、とても安全で発展している。そんなところに興味を惹かれ、在学中は南山大学への留学も経験しました。
-留学先の南山大学では何を学ばれたのですか?
3、4か月間の留学で一日5時間、みっちり日本語を学びました。
その時、日本の文部科学省の奨学金について知り、修士を取りにまた日本に戻ってきたいと思うようになりました。学位取得だけでなく日本で新しい経験もできるので、アメリカの大学院に行くより面白いと思ったんです。
-その後実際に日本に戻って来られたわけですが、その前にNASAでのインターンを経験されているとのことでしたよね。NASAでのご経験についても聞かせていただけますか?
私は、気候研究センターの高性能コンピューティング部門に所属していました。
このセンターは主に気候研究を専門としていましたが、私の部署は他の部署と頻繁に連携しており、その結果、地球科学部門でも仕事をすることになりました。
NASAのメンバーの中で星の磁場をシミュレーションすることに興味を持っている方がおり、私はスーパーコンピューティングをより高速化することでデータの処理速度を上げる手伝いをしていました。
星の磁場活動のシミュレーションは、地球の気候に大きな影響を与える太陽天気の予測に役立つ可能性があります。
-素晴らしいご経験ですね。大学卒業後は日本に戻って来られたのですよね。
はい。東京工業大学(東工大)大学院のコンピュータサイエンス学科で研究を行いました。
私は生命情報科学の研究室に所属しており、インタラクティブな微小管シミュレーションの作成に取り組んでいました。微小管とは、細胞内にある非常に細い管のことです。
私にとって「インタラクティブ性」は非常に重要な要素であり、迅速かつ直観的に実験や検証が行えるだけでなく、まるでビデオゲームのような没入感もあり熱中していました。
その後、研究の対象をVR(仮想現実)へと広げ、VR空間内でシミュレーションをインタラクティブにする方法を探求しました。
-東工大で修士号と博士号を取得されてからアーリーリフレクション(以下:アーリー)に入社するまでは、どのようなキャリアを積まれてきたのでしょうか。
東工大を卒業してからも5年間、同じ研究室で助教をする傍ら、GPUプログラミングやAIについて東工大の学生に英語で授業をしていました。
その後約4年間は、最先端技術を活用した研究機関においてVR研究チームのリーダーを務めながら、計算技術とシミュレーション技術を専門とするハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)会社にてシニアシステムアーキテクトをしていました。
-そのような輝かしいバックグラウンドをお持ちのGregさんですが、なぜアーリーに転職しようと思われたのですか?
前職の仕事は好きでしたが、会社側の事情で転職せざるを得ない状況になりました。そんな時、前職のつながりでアーリーのことを知ってから、若くて優秀なメンバーがいる環境に惹かれました。
アーリーは活気に満ちた雰囲気があり、素晴らしい仲間たちと一緒に働けるだけでなく、「Early Bar」イベントで社外の多様な人々と出会う機会もあります。
さらに、前職では同僚のほとんどが生物学を専門としていたため、コンピューターサイエンス分野の人々と協力する機会がほとんどありませんでした。しかし、アーリーには多くの技術やビジネスのエキスパートが集まっているため、そのような刺激的な環境で成長したいと思いました。
-なるほど。Gregさんほどのご経歴やスキルをお持ちの方であれば、ビッグテックへの転職も十分可能だったと思うのですが、そういった選択肢は考えませんでしたか?
小さくて変化の激しい企業で働くことのほうが自分に合っていると考えました。
小さい組織のほうが自分がしたことのインパクトを感じやすいですし、変化が激しければ一つのプロジェクトだけでなく様々な分野に挑戦できます。アーリーは、新領域への参入もでき入社後は様々なプロジェクトに携われる点が魅力的でした。
-幅広いテクノロジーに関心があるGregさんにぴったりな環境だったのですね。実際にアーリーに入社してから約一か月が経過しますが、既に参加しているプロジェクトはありますか?
今は少しずつ全てのプロジェクトに触れている段階で、今後本格的にジョインするプロジェクトを決めていく予定です。アーリーのプロジェクトの大部分を占めるWeb開発ですが、私自身Webプログラミングは経験がなかったため、実案件に入る前に学習プロジェクトという形で二週間でウェブサイトをつくるチャレンジをしています。
まだ本格的に関わっているプロジェクトはありませんが、私は3Dビジュアライゼーション分野の知見が深いので、3Dモデルを活用しているBIMSTOKの改善に貢献できるのではないかと考えています。
-確かに、BIMSTOKとGregさんの専門領域との親和性は高そうですね。他にやってみたいプロジェクトはありますか?
Web開発以外の領域でいうと、LiDAR技術に関するプロジェクトに興味があります。
LiDAR技術とは、レーザー光を発射し、その光が物体に当たって反射して戻ってくるまでの時間を測定することで物体までの距離を正確に計算し、環境の詳細な3Dマップを作成する技術のことです。
また、ロボット工学や3Dアニメーション、VRの分野にも強い関心があり、そういった企業とのコラボレーションにも興味があります。以前、アーリー主催の定期イベント「Early Bar」で田中さんが関連した外部の企業を招待していて、とても興味深かったです。
-本当に幅広い領域に関心をお持ちなんですね。
はい。趣味でドローンを作ったり、ラジコンカーを作ったりしています。最近は、家にスマート水槽をつくることに熱中しています。
▲日本のドローン規制を考慮して作った99gのおもちゃドローン
▲四輪駆動のラジコンカー
-オフィスに飾ってある作品を拝見しました!スマート水槽って何ですか...?とても興味深いです。
現在、作成の初期段階です。完成させるためには、タンク、フィルター、照明、センサーシステムを設計し、組み立てる必要があります。デザインにはスマート照明やセンサー、さらには耐震性も必要です。また、機器はすべてタンク内に収め、背面に何も掛けないようにすることで、テーブルやアパートのスペースを最大限に活用し、コンパクトで効率的な設計を目指しています。水槽作りを通じて、化学や生物学に関する学びがさらに進んでいます。例えば、窒素循環やリン循環、水中の光波長の伝播、異なる波長が植物や有益な細菌に与える影響などについて学んでいます。大変ではありますが、非常にやりがいを感じています。
▲初めてのアクリルカット、溶接、チューブ曲げ
-入社して1か月ほどですが、実際働いてみてどう感じますか?また、今後の目標を教えてください。
アーリーの温かい環境のおかげで、スムーズに馴染むことができました。
メンバーの助けを借りながら、これまで触れてこなかったWeb開発の分野を学んでいます。その他さまざまなプロジェクトに取り組む機会に恵まれ、今後の新しいプロジェクトにも期待しています。
特に、3DビジュアライゼーションやAI関連プロジェクトにおいてGPUの専門知識を活かすチャンスが広がっていることに大きな可能性を感じています。
私はこれまで12年間、GPUプログラミングに携わってきました。特にグラフィック処理やAI分野におけるGPU活用に深い知見があり、NVIDIA Deep Learning Institute認定インストラクターとしての経験も持っています。こうしたバックグラウンドを活かし、アーリーが進めている新しいプロジェクト「Early AI」にも携わっていきたいと考えています。
「Early AI」は、AIやデータ技術を活用し、ソリューション提供と業界のデータ連携を推進する新たな取り組みです。現在、私はこの立ち上げメンバーの一員として、AI技術の強化およびGPU技術の応用を推進していくことを目標にしています。
また、本年のアメリカおよびグローバル市場への展開についてのディスカッションにも加わっており、私自身が米国出身であること、そしてこれまでの国際的な経験を活かしながら、技術力を基盤とした新たなビジネス展開に貢献したいと考えています。
内部メンバーとのコラボレーションはもちろんのこと、外部の優れたパートナーや企業とも連携し、AIやシミュレーション、GPUを活用したプロジェクトを通じて、アーリーの技術力をさらに高める一助になれればと思います。
-最後に、今後のビジョンについてお聞かせください。
「Early AI」の立ち上げとグローバル展開を通じて、世界の技術市場に大きなインパクトを与えるようなプロジェクトに取り組んでいきたいです。ビジネスや業界知識を広げ、AIやロボティクス関連の取り組み(LLMやコンピュータビジョンなど)にも挑戦していきたいと考えています。
そして、AI技術やGPU技術を通じて新しい価値を創出し、アーリーの成長に貢献するとともに、私自身も技術者としてさらに進化していきたいと考えています。
Gregさん、ありがとうございました。
幅広い先端技術への知見や、新しいアイデアを積極的に実践する姿が印象的でした。
今後の更なるご活躍を期待しています!