生成AIの普及によって、テクノロジーは一部の専門職だけのものではなく、誰もが扱うスキルへと変わりつつあります。
その変化の中で、自分のキャリアにどう向き合い、どこから学び始めるべきか—そうした問いを感じている方も多いのではないでしょうか。
「Google Launchpad for Women」は、クラウドやAIを“実務で使える力”として身につける機会を提供するプログラムです。本記事では、日本でのプログラムを主導するグーグル・クラウド・ジャパン合同会社 デベロッパーマーケティング マネージャーの中莉沙氏と、トレーニングを担当した株式会社G-gen トレーニング課 佐藤亜由美氏に、取り組みの背景と学びの現場について話を伺いました。
Q1.
Google Cloud が「Launchpad for Women」を立ち上げ、継続して実施されている背景には、どのような課題意識がありますか。
IT 業界におけるジェンダーギャップの解消は、単なる数としての多様性を追求することではなく、新しい価値を生み出していくために、非常に重要な課題だと考えています。現状も IT 業界や技術職における女性の比率は依然として低く、それが原因でキャリア構築の選択肢が限定されてしまっている場面がまだ多くあるのではないでしょうか。しかし、テクノロジーは本来、使う人のバック グラウンドを問わず、可能性を広げてくれる平等なツールであるはずです。
Google Cloud としては、この格差を埋めるための具体的なアクションとして、女性がクラウドや AI というテクノロジーを自分の武器にし、自信を持って理想のキャリアを切り拓いていけるような環境を整えていきたいと考えています。
本プログラムを通じて、心理的なハードルや「難しそう」という先入観を取り除き、一人でも多くの女性が IT 業界の主役として参画できるよう後押しをできればと考えています。
Q2.
昨年(2025年)の開催を振り返って、Google CloudGoogle側として特に手応えを感じた点や、参加者の反応・変化の中で印象に残っていることがあれば教えてください。
昨年は APAC 全域で日本が唯一の開催地域という大役を担いましたが、結果として 500 名近くの方々にご参加いただき、その熱気に私自身も圧倒されたのを覚えています。昨年メインとした「Cloud Digital Leader」は、クラウドの仕組みを丸ごと体系的に学べる内容でした。今年の「生成 AI」のような特定の技術というよりも、なんとなく知っているクラウドの知識を、自信を持って使いこなせる知識へと整理したい、というニーズが強かったように思います。
参加者の皆さんは、業界や職種、今のスキルセットもバラバラでしたが、クラウドの知識は絶対に必要である、という共通の危機感や期待を持たれていました。そんな皆さんの背中をそっと押し、学び始める最初の一歩を一緒に踏み出せたことに、大きな手応えを感じています。この昨年の土台作りへの熱量が、今年のより実践的な生成 AI 学習への勢いにも繋がっていたら嬉しいなとも思っています。
Q3.
今年の「Google Launchpad for Women 2026」を通して、昨年との違いや、新たに見えてきた気づきがあれば教えてください。
昨年の 3 倍以上となった本プログラムの参加者数からも、生成 AI に対する関心の高さが伺えました。今年は特に非エンジニア層や多様な職種からの参加が目立ち、生成 AI が特定の人向けの技術から誰もが使いこなせるビジネススキルへと変化したのではないかと実感しています。ただ、生成 AI が身近になった一方で、「何から手を付ければいいか分からない」という漠然とした不安を抱く人が少なくないのではないでしょうか。そういった方々にとって、本プログラムは具体的な学習の入り口になり得ると改めて気づきました。また、単なる知識の吸収に留まらず、業務への実践を前提とした参加者が増えたことも昨年からの大きな変化の一つです。「抽象的な理解が、実務に使える解像度へと変わった」という声を多くいただいたことも、今年ならではの大きな気づきです。
Q4.
認定資格取得支援は昨年から継続している取り組みですが、今年は Generative AI に特化する など、より実務に近い内容が盛り込まれました。こうした構成は、参加者の学びや姿勢にどのような影響を与えていると感じていますか。
認定資格の取得が学習のゴールではなく、絶え間なく進化するテクノロジーに追いつき続けるための現在地を確認するマイルストーンとして機能していると感じます。変化の激しい時代において、自分のスキルが市場のどの位置にあるのかを客観的に把握することが難しく感じることも多くあるのではないでしょうか。資格取得というプロセスを通じて「自分は何を理解し、何が足りないのか」を自己認識することは、キャリアにおける大きな自信に繋がるとも考えています。
また、今年は特に実践へのアウトプットを重視する方が増えているとも感じました。イベント中に参加者から寄せられたご質問からも、単なる認定資格対策というよりも、習得したスキルや知識を明日から活用するための実践的な質問も多くあったように思います。学びは常に自分のためであるべきで、一時的なインプットに止まらず、その後のアウトプット、そして継続的な学習こそが、実践的なスキル習得において重要であると少しでも体感いただけたのではないかと考えます。
Q5.
今年は「生成AI」がカリキュラムの柱の一つですが、女性のキャリア開発においてAIスキルがどのような「武器」になると考えていますか?また本プログラムを通じて、参加者にどのようなスキルレベルやマインドセットになってほしいと考えていますか?
生成 AI は、キャリアの悩みを共に解決し、個人の可能性を最大化させる心強いパートナーになり得るのではないかと考えています。誰もが開発者になり得るこの時代、ライフステージの変化に左右されず、自分の望む選択をするための強力な武器として活用していただきたいです。 参加者の皆さんには、完璧な習得を目指して足踏みするのではなく、「まずは身近な困りごとを AI で解決してみる」という軽やかなマインドセットを持ってほしいと考えています。この業界に身を置く当事者として、私自身も生成 AI の可能性に圧倒されるがまま、実際にどこまで習得するのが十分とされるのか、自信をもって使いこなせていると言えるのはどのレベルなのか、と漠然と不安にかられることもあります。たとえ個人のスキル習得の第一歩が、Gemini へのプロンプトを工夫するという内容であったとしても、それは立派なスキル習得であり、自分に合ったペースで学び続け、自分専用の AI パートナーを確立できる状態こそが、私たちが期待する理想の姿ではないかと思います。
Q6.
「Launchpad for Women」を実施するにあたり、トレーナーを担うパートナーとして G-gen を選んだ理由を教えてください。Google Cloud として、どのような点を重視されていますか。
G-genさんには、高度な技術力と豊富なトレーニング提供のご経験に加え、エンジニア育成に対する深い洞察と共感があるためです。有益で高品質なコンテンツのご提供だけではなく、受講生に寄り添った学習体験の設計も、確実なスキルアップにおいて重要であると考えています。G-genさんは、まさにその点へのご理解も深く、カリキュラムの構成からトレーニング中の雰囲気作りに至るまで、細部への気配りと圧倒的なデリバリースキルを兼ね備えており、私たちのビジョンを形にする上で欠かせないパートナーだと思っています。
Q7.
「Launchpad for Women」を進めるうえで、Google Cloud ではトレーナーにどのような役割や姿勢を期待していますか。昨年に続き、佐藤亜由美氏にトレーナーを依頼された理由や決定打、そして彼女の指導が受講者に与える影響についてもお聞かせください。
トレーナーには、知識の伝達だけでなく、受講生の意欲を支え「自分にもできる」という成功体験を届ける役割を期待しています。佐藤さんの、トレーニングの実績やご経験はもちろんですが、参加者の不安を払拭する抜群のホスピタリティと、ポジティブなエネルギーはとても魅力的です。この 2 日間のオンライン研修という集中力を維持しにくい環境下で、彼女の明るく参加者を鼓舞する指導は、参加者の学習意欲を劇的に高めてくれました。開催中は参加者からの質問を常時受け付けておりましたが、参加者同士がお互いを励ましあったり、学習に対して前向きに取り組まれているような様子が伺えるコメントも、多数自然発生しておりました。社会人になって自分のために学習をすることは、時に孤独さを伴うと思います。そんな中でも、佐藤さんは本プログラムの参加者の方々に仲間意識さえもを与え、ある種クラスの担任の先生のような特別な存在として、皆さんを完走までしっかりと導いてくださいました。単に技術を教えるだけでなく、プログラム終了後も自走できる「学習のコツ」や「楽しむマインド」まで伝えてくださるため、受講者の長期的なキャリア形成に極めてポジティブな影響を与えていると確信しています。
Q8.
「まだ自分には早い」「ITは難しそう」と躊躇している女性、そして誰もが安心して新しい挑戦に向き合える環境づくりに関わるすべての人へ、メッセージをお願いします。
本プログラムのオープニングセッションで弊社代表の三上も言及しておりましたが、学習を始めたことそのものが、すでに最大の成功であり、大きな一歩であると考えています。AI が身近になった今、IT はもはや特別な誰かのものではなく、全員のものになりました。完璧を目指して焦る必要はないと思います。なんでも気になったことから小さく始めて、自分のための学びを続けて欲しいです。生成 AI は利用する人の数だけ、ユニークな使い方や体験がありますよね。そのちょっとした体験が、もしかしたら身近な人にとっても役立てられることかもしれないし、共感を得ることも大いにあると考えます。学びやスキル習得においては特定のゴール達成だけではなく、成功も失敗も含めた「試行錯誤のプロセス」こそが、これからの時代を生き抜く財産になるのではないでしょうか。自分にとって必要なことから少しずつ、楽しみながら続けてみてください。
私たちGoogle Cloud も、皆さんのような挑戦者が正当に評価され、プロセスを楽しめる環境を共に作っていきたいと考えています。皆さんユニークな体験が、誰かの課題を解決する力になるはずです!