経営者にとって、本当に必要なつながりとは何でしょうか。
取引先になりそうな人。仕事を紹介してくれる人。専門的な知識を持つ人。
どれも大切ですが、信用金庫職員として多くの中小企業経営者と向き合うなかで、私は「人脈の広さ」だけでは解決できない課題があることを知りました。
経営者に本当に必要なのは、名刺の枚数ではありません。
自社の状況を理解し、本音で相談でき、必要なときに一緒に動いてくれる相手とのつながりだと考えています。
数字の奥にあった、経営者だけが抱える迷い
信用金庫では、融資や資金繰りの相談を通じて、さまざまな業種の中小企業経営者とお会いしました。
決算書や事業計画書を見れば、会社の経営状態を数字として把握できます。しかし、経営者が抱えている悩みのすべてが数字に表れるわけではありません。
「売上を伸ばしたいが、何から手をつければよいか分からない」
「新しい事業を始めたいが、社内に相談できる相手がいない」
「営業、人材、Webなど、自分の専門外のことを誰に相談すればよいか分からない」
会社では最終的な判断を求められる立場だからこそ、社員や取引先には弱音を見せにくいものです。
相談相手がいたとしても、その人に自社の事情や業界の背景まで理解してもらえるとは限りません。
多くの経営者と接するなかで、経営課題そのものだけでなく、安心して本音を話せる相手が少ないことも大きな問題だと感じるようになりました。
「誰を知っているか」だけでは事業は前に進まない
交流会へ参加すれば、多くの人と名刺を交換できます。SNSを活用すれば、短期間で数百人、数千人とつながることも可能です。
ただし、知り合いの数が増えることと、事業が前に進むことは同じではありません。
その場では話が盛り上がっても、次の連絡をするきっかけがなく、そのまま関係が途切れてしまう。お互いの事業を十分に理解できず、「何かあればお願いします」で終わってしまう。
私自身も、独立後に販路づくりで苦戦した経験があります。
信用金庫勤務やWebマーケティング会社での役員経験があっても、自分で事業を始めれば、待っているだけで仕事が生まれるわけではありません。
そのときに改めて実感したのが、単に人と知り合うだけでなく、お互いの強みや課題を理解し、具体的な行動につながる関係を築くことの重要性でした。
本当に必要なのは「相談・補完・行動」につながる関係
私が考える、中小企業経営者に必要なつながりには、大きく3つの要素があります。
すぐに売り込まず、本音を聞いてくれる人
経営者同士の出会いが、最初から営業目的になってしまうことも少なくありません。
もちろん、仕事につながることは大切です。しかし、その前に必要なのは「いま何に困っているのか」「どこを目指しているのか」を話せる関係です。
相手の課題を理解しないまま商品を提案するのではなく、まず話を聞く。その姿勢が信頼関係の出発点になります。
自分にない知識や視点を補ってくれる人
経営者が、営業、マーケティング、財務、人材、法務など、すべての領域に詳しくなることは現実的ではありません。
だからこそ、自分の専門外について相談できる相手や、自分とは異なる視点を持つ経営者とのつながりが重要です。
答えを一方的に教えてもらうだけでなく、対話を通じて考えを整理することで、自社だけでは見つけられなかった選択肢が見えてくることがあります。
話して終わらず、行動まで進められる人
どれだけ有益な話をしても、行動につながらなければ事業は変わりません。
「この人なら紹介できそうです」
「一度、三者で話してみましょう」
「その課題なら、こういう方法を試してみてはどうでしょうか」
このように、次の一歩を一緒につくってくれる人がいることで、つながりは初めて事業の力になります。
つながった後に価値が生まれる場をつくりたい
こうした経験が、現在運営している経営者・決裁者向けコミュニティの原点になっています。
エグゼマッチでは、単に参加者を集めるだけではなく、経営者同士のマッチング、案件や人脈の共有、経営課題の壁打ち、オンライン交流会、勉強会などを行っています。
課題を参加者同士で話し合う「課題応援会議」も、その取り組みの一つです。
すぐに正解を出すことが目的ではありません。異なる業種や経験を持つ人の意見に触れることで、経営者が一人では気づけなかった視点や行動のきっかけを得られる場を目指しています。
現在、エグゼマッチが運営するコミュニティには、合計200名以上の経営者層が参加しています。
人数を増やすことだけではなく、参加した方同士が継続的に関わり、相談や紹介、協業が自然に生まれる仕組みをつくることを大切にしています。
経営者が一人で抱え込まなくてよい環境へ
経営の最終判断をするのは、経営者自身です。
しかし、すべての課題を一人で抱え、一人で答えを出す必要はありません。
困ったときに相談できる人がいる。自分にない知識を補ってくれる人がいる。必要な相手を紹介し、行動を後押ししてくれる人がいる。
そのような関係は、短期的な売上だけでは測れない、経営者にとって大きな資産になると考えています。
名刺交換で終わる出会いではなく、課題解決や協業につながる関係を増やしていく。
信用金庫職員として経営者と向き合い、自分自身も経営者になった今、私はそのための環境をつくり続けたいと思っています。
株式会社エグゼマッチの取り組みについては、コミュニティ運営事業のページでご紹介しています。