広告運用担当者と、マーケター。
この2つは、似ているようで少し違う仕事だと思っています。
- Google広告やMeta広告の設定ができる。
- 管理画面を見ながらCPAを改善できる。
- 媒体のアルゴリズムを理解している。
- クリエイティブを改善してCVを増やせる。
もちろん、全部大事です。
僕たちも広告運用を仕事にしている以上、こうした知識や技術は常に勉強しています。
でも、それだけで「マーケターになった」とは言えないと思っています。
僕がマーケティングで大事だと思っているのは、
「なぜ、この人はこの商品を買うのか」
まで考えることです。
広告をクリックした人の、その一歩手前に何があったのか。
なぜ今日検索したのか。
なぜ競合ではなく、この会社を選ぶのか。
その人は、本当は何に困っていたのか。
ここまで考えるようになると、広告の見え方はかなり変わります。
今回は、実際に僕たちがお客様の広告を考える中で経験した話をもとに、「広告運用担当者からマーケターになるために何を考えればいいのか」を書いてみます。
この記事では、大きく5つの話をします。
- 広告運用担当者とマーケターの違い
- 管理画面だけでは分からないこと
- 「なぜ買うのか」をどうやって見つけるのか
- 広告の成果をどこまで見るべきか
- ピクシスがどんなマーケターを目指しているのか
特に、広告運用の仕事には慣れてきたけれど、
「このままずっと管理画面を触るだけでいいのかな」
「もっとマーケティングそのものをできるようになりたい」
と感じている人に読んでもらえたらと思っています。
1. 広告を運用できることと、マーケティングができることは同じではない
Webマーケティングという言葉があります。
ただ、僕は「Webマーケティング」という特別なものがあるというより、マーケティングという大きな活動があって、その手段としてWebを使っているだけだと思っています。
Google広告もMeta広告もSEOもWebサイトも、すべて手段です。
だから、
「Meta広告のアルゴリズムを理解している」
「Google広告の設定方法を知っている」
ということ自体は、もちろん強みですが、それだけで成果が出るわけではありません。
極端な話、広告の設定が完璧でも、
誰に届けるのか。
何を伝えるのか。
その人は何に困っているのか。
ここを間違えていれば、成果にはつながりにくい。
反対に、ここを深く理解できると、同じ広告媒体を使っていても、考えることが変わってきます。
だから僕は、広告運用担当者からマーケターになる最初の一歩は、
広告を見る前に、お客様の事業を見ること
だと思っています。
2. 「神奈川 剪定」と検索した人は、なぜ今日検索したのか
以前、庭木の剪定サービスを提供しているお客様のマーケティングについて考えていたときのことです。
このサービスをGoogle広告で集客するとします。
例えば、
「神奈川 剪定」
と検索した人に広告を出す。
庭木を切りたい人が検索しているわけなので、当然かなり見込みの高いキーワードです。
広告運用担当者として考えるのであれば、
クリック単価はいくらか。
コンバージョン率は何%か。
CPAはいくらか。
どの広告文が反応されているか。
こういった数字を見ながら改善していきます。
もちろん、これは必要です。
でも、あるとき僕たちは、
「そもそも、この人はなぜ今日『剪定』と検索したんだろう?」
と考えました。
庭の木は、昨日突然伸びたわけではありません。
半年、1年と伸びていたかもしれない。
それなのに、なぜ今日検索したのか。
何かきっかけがあったはずです。
この「検索する直前に何が起きていたのか」は、広告管理画面には出てきません。
検索キーワードをいくら眺めても、分からないことがあります。
そこで、実際にお客様へ話を聞いていきました。
3. 話を聞いたら、「庭をきれいにしたい」の裏側が見えてきた
話を聞いてみると、単純に、
「自宅の木が伸びたから剪定したい」
という人だけではありませんでした。
例えば、親が亡くなり、実家がしばらく放置されていた。
久しぶりに帰ってみたら、庭木がかなり伸びていた。
実家を売却しようと思っているけれど、庭が荒れた状態では見栄えが良くない。
あるいは、離れて暮らしている父親や母親の家へ久しぶりに帰ったら、庭がかなり生い茂っていた。
そこで、
「少しきれいにしてあげたい」
と思った。
そんな背景がありました。
30代後半から40代、50代くらいの子ども世代が、自分のためではなく、両親が住んでいる家や実家のために剪定サービスを探しているケースもある。
ここまで分かると、
「庭木を切りたい人」
という顧客像から、
「離れて暮らす親の家をきれいにしてあげたい人」
「実家を売却する前に庭を整えたい人」
という、まったく違う見え方になってきます。
同じ「剪定」という検索でも、その裏側にある事情は違う。
そして、その事情が違えば、広告で伝えるべきことも変わります。
僕は、これが顧客解像度を上げるということだと思っています。
4. マーケターになるには、「検索キーワードの一歩手前」を考える
広告運用担当者からマーケターになるために、何か特別な資格が必要なわけではないと思います。
まずは普段見ている数字に対して、
「なぜ?」を一つ増やすこと
から始められます。
「このキーワードからCVが出ている」
で終わるのではなく、
なぜ、この言葉で検索したんだろう。
「この広告のCTRが高い」
で終わるのではなく、
なぜ、この言葉に反応したんだろう。
「この年代から問い合わせが多い」
で終わるのではなく、
なぜ、この年代の人に必要とされているんだろう。
そして、管理画面から答えが出ないのであれば、お客様に聞く。
営業担当に聞く。
実際にサービスを利用している人について聞く。
問い合わせ内容を見る。
商談でよく出る質問を見る。
広告の外側へ情報を取りに行く。
それを繰り返していると、
「誰に広告を出すか」
だけではなく、
「誰の、どんな課題を、このサービスなら解決できるのか」
という考え方に変わっていきます。
ピクシスでは、広告を考えるときも、
この会社の本当の強みは何なのか。
その強みを必要としている人は誰なのか。
その人は何に困っているのか。
どういうタイミングで、その課題を強く感じるのか。
というところから考えます。
その結果、Google広告が適しているならGoogle広告を使う。
Meta広告ならMeta広告。
SEOのほうがいいならSEO。
Webサイト自体に問題があるなら、サイトを改善する。
広告を売ることが目的ではありません。
お客様の事業成果を出すことが目的だからです。
5. CPAが下がったあとまで見る
もう一つ、広告運用担当者からマーケターになるために大切だと思っていることがあります。
それは、
広告の成果を、広告の中だけで終わらせないこと
です。
例えばCPAが、
20,000円から15,000円になった。
広告運用としては改善です。
でも、その15,000円で獲得した問い合わせが、まったく成約していなかったらどうでしょう。
反対に、CPAが少し高くても、その問い合わせの成約率が高く、利益が残っているのであれば、そちらのほうがお客様にとって良い可能性もあります。
だから僕たちは、
広告
↓
問い合わせ
↓
商談
↓
成約
↓
売上
↓
利益
まで、できるだけ考えたいと思っています。
ピクシスが仕事で大切にしてきた考え方の一つに、「Client Profit First」があります。
これは現在の公式VALUEではありませんが、仕事をするうえで今も大切にしている考え方です。
CTRやCPA、CV数はもちろん見ます。
ただ、その数字自体を良くすることを最終目的にはしません。
結局、お客様の事業は良くなったのか。
売上につながったのか。
利益につながったのか。
そこまで見て初めて、マーケティングだと思っています。
広告管理画面を触れる人ではなく、事業を前に進められる人へ
これからAIがさらに進化すれば、広告運用の仕事もかなり変わると思っています。
広告文を作る。
レポートを作る。
数値を集計する。
キャンペーンを設定する。
これまで人間が時間を使っていた作業の一部は、どんどんAIやシステムがやってくれるようになります。
そうなったときに、人間に残る仕事は何だろう。
僕は、
「この数字はなぜこうなったのか」
「この人はなぜ買うのか」
「この会社の本当の強みは何なのか」
「どこを改善すれば事業がもっと良くなるのか」
を考える仕事だと思っています。
つまり、広告を操作する能力以上に、顧客や事業を理解する能力が重要になる。
だからピクシスでは、
「広告担当だから広告だけ」
という人を増やしたいわけではありません。
広告を入口にしながら、LPを見る。
アクセス解析を見る。
お客様の商談について聞く。
商品について知る。
競合を調べる。
必要ならSEOやWeb制作についても学ぶ。
専門性を持ちながら、その周辺まで理解して、事業成果を考えられる人になってほしいと思っています。
「なぜ?」を考えるだけでも、仕事の見え方は変わる
広告運用担当者からマーケターになるために、明日からいきなりすべてのマーケティング施策をできるようになる必要はありません。
まずは、
「なぜ、この人は買ったんだろう」
と考えてみる。
それだけでも、かなり違うと思います。
なぜ検索したのか。
なぜ問い合わせたのか。
なぜ契約したのか。
反対に、なぜ契約しなかったのか。
広告管理画面の数字の向こうには、必ず人がいます。
そして、その人の行動には理由があります。
その理由を理解しようとすることが、広告運用担当者からマーケターになる一歩目なんじゃないかと、僕は思っています。
ピクシスも、まだまだ小さい会社です。
僕たち自身も、分からないことはたくさんありますし、マーケティングのやり方に唯一の正解があるとも思っていません。
だからこそ、管理画面に書いてある数字をそのまま受け取るのではなく、
「なんでだろう?」
と一緒に考えられる人と働きたいです。
広告運用はできるようになった。
でも、その先に進みたい。
媒体の専門家だけではなく、お客様の事業を前に進められるマーケターになりたい。
もしそんなことを考えている方がいたら、ぜひ一度話しましょう。
今すぐ転職を決めていなくても大丈夫です。
「ピクシスでは実際にどこまでお客様の事業を見るのか」
「広告運用担当者から、どうやって仕事の幅を広げていくのか」
そんな話からでも構いません。
僕たちもまだ途中です。
だからこそ、一緒に「なぜ?」を考えられる人と出会えたら嬉しいです。