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再生処理の現場 vol.3 越谷市立病院 中央滅菌室・手術室 酒井大志さん 『滅菌保証とは、患者さんとご家族の健康な未来を守ること』

再生処理の現場に立つ、さまざまな方の声を届ける「再生処理の現場」。vol.3の今回は、越谷市立病院の中央滅菌室に勤める酒井大志さんにお話を伺いました。これまでに酒井さんは、学会や研究会での発信や論文発表を通して、再生処理の現状を改善するための活動を続けてこられました。本記事では、2022年に日本医療機器学会から刊行され、酒井さんが作成メンバーとして参加している「医療現場における滅菌保証のための施設評価ツール」の解説をはじめ、滅菌保証の仕事に欠かせない責任感についてのお考えをお話いただきました。

再生処理の「深淵」をのぞいて

─酒井さんが再生処理の現場で働くきっかけは何でしたか?

私がもともとこの仕事に就いたのは、公務員試験に合格し、越谷市の職員として越谷市立病院の「中材」と呼ばれる「中央滅菌室」に配属されたことがきっかけでした。それ以前は料亭で板前をしていたのですが、結婚を機に将来を見直し、公務員を志したんです。

私に限らず、日本の再生処理業界で働いている方のほとんどは、偶然この世界にたどり着いた方ばかりだと思います。中材で働こうと思って若い頃から目指す方は、残念ながらまだ多くはいらっしゃらないのが現実です。

─配属が決まった時はどのような状況だったのでしょうか?

「そもそも中材ってなんだろう?」という状態から仕事がはじまり、前任の職員の方から業務内容について教わりはしたものの、ほぼ伝聞のようなかたちで、滅菌保証や再生処理についての科学的な根拠を持って話せる方はいませんでした。当時、素人なりにもこの状況に疑問を感じてはいたんですが、周囲に同じ危機感を持つ方はほとんどいなかったんです。

─酒井さんはこれまでに、再生処理の現状を変えるための活動をされてきていますが、まずはどういったことからはじめたのでしょうか。

ひとりで悩んでいても医療業界全体の現状が見えないので、まずはメーカー主催の勉強会や地方で開催されている滅菌の研究会などに参加するようになりました。そこで同じような悩みを抱えた方と徐々に知り合いになり、どうしていけばいいのだろうと話していくうちに、やっぱりまずは院内の方にこの現状を知ってもらう必要性を感じたんです。

医療施設は、それぞれのフィールドで一生懸命仕事をされている専門職の集まりでもあるので、自分に知識がないと説得力をもった話ができないですし、耳を傾けてもらえません。再生処理に携わる立場から、現状を変えるための意見を発信する上で、まずは根拠や知識が最低限ないといけない。さらに、ただ詳しいというだけでは不十分なので、年間数十人しか受からない第1種滅菌技師の資格を取得し、病院内の他の職種の方と対等にお話ができるような状況をつくっていきました。

─当時、同じように再生処理の現状に悩まれていた方々の共通の課題はなんでしたか?

再生処理の技術的な面の課題はもちろんありましたが、病院という組織内の立場から生じてしまう悩みもありました。再生処理に携わる職員は、私のように直接雇用の場合もあれば、委託業者の方や、常勤やパートなど、さまざまな形態があります。総じて病院の中での立場は低く、滅菌器や洗浄器といった装置の購入や滅菌保証のために必要な検証などを病院側に申請することは難しいですし、そもそも話すら聞いてもらえない場合もある。

そういった背景や立場の違いに関わらず、再生処理に関わるすべての人たちは、科学的根拠に基づいた滅菌保証を実施しなければならない。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉がありますが、長年経験を積んでいくほど見えてくるものがありますし、勉強していくことでわかる滅菌保証の奥深さをのぞいた時に、現実を省みた際の理想とのギャップに苦しんでいる方が数多くいます。



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