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己を貫きUIデザインの必要性を確立_刺激を常に吸収して腕を磨き続ける

はじめまして。マツダ株式会社のデザイン本部プロダクションデザインスタジオ インターフェースデザイングループ(以下Gr.)でアシスタントマネージャーを務める諸川波動と申します。

私は東京のユーザーインターフェースデザインのプロダクションで2000年から仕事を始め、自動車メーカーや家電メーカーなどから業務委託を受けて製作していました。UIデザインは他のデザインプロダクトに比べると歴史が短く、日本国内で業務として成り立ち始めたのは2000年代に入ってからです。その頃はユーザーインターフェースの制作会社が少なく、さまざまなメーカーからの引き合いが多くありました。ただ、2010年を過ぎた頃から自社でUIデザインの機能を持ち始めるメーカーが増え、私自身の将来を考えるようになりました。プロダクションで多様なUIやサービスデザインを取組むことも楽しかったのですが、当時これから大きな変革が起きると想像していた自動車産業で夢のある仕事がしたい。メーカーでお客様に商品を直接届ける立場に就いてみたい。そう思うようになり、自身の理想を叶えようと、2014年にマツダへ転職しました。

マツダに入社して領域の幅広さを実感

制作会社とメーカーで行う業務では関わる人数が圧倒的に違うところに一番刺激を受けました。自動車を構成する部品は2万点以上と言われ、様々な領域のエンジニアがいます。UI領域にもユーザビリティを専門とするエンジニアがいてそれぞれが自分の仕事にこだわりを持っており、デザイナーとは全く違う視点でUIを捉えていました。さらにデザインに関しても、エクステリアデザインやカラーデザインなど、ひとつのプロダクトの中に幅広いデザイン領域があります。クルマにはあらゆるデザインやエンジニアリングが詰まったプロダクトであり豊かな文化もある、そういう点でマツダに入ったことでデザインに関する知見が広がったし、10年以上積み上げてきた私のキャリアではまだ足りない部分があることに気付き、伸び代を感じることができました。

クルマの魅力を体感した出来事

印象深いのが、まだ入社半年ぐらいで、ロードスターのメーターの中にGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)の部品を入れるプロジェクトを担当したときのこと。開発統括者との打ち合わせで、GUIはこういう見せ方をするのがいいですよね、と当たり前のように話を進めていたら、「クルマ全体のことを理解できていない」と指摘を受けました。たしかに当時の私はまだクルマの知識に長けているわけではないですが、開発統括者は画面の中のことに疎い。お互い「分かっていない」と意見をぶつけながら、侃々諤々と進めていたんです。それでもなんとか考えをひとつにまとめて試作車が完成し、一緒に乗ってオープンカーで走らせたとき、これまでの不満が吹き飛ぶほど気持ち良くて…。実際にクルマを操作しながら私自身が伝えた考えに対して、開発統括者の作りたかった内容と想いを聞いた時に、私が作っている領域はクルマという複雑なプロダクトの魅力を構成する一部であって、全てではないんだと。メーターの画面という車としては小さな部分にこだわりを持って取り組んでいたけれど、クルマとしての魅力については考えが足りていなかったと気付いたんです。それ以来、それぞれの仕事上の立場を考えることができるようになり、成長する機会になったと感じています。

勢いで駆け抜け、信頼を得てきた

私がマツダに転職した当時、まだUIデザインの役割や重要性が社内に浸透しておらず、情報の構成や動きといったいわゆる見た目以外の要素をデザイナーが考える必要があるのか?などの声もありました。私からすると、逆になぜこれがUIデザイナーの仕事じゃないの?って思うんですけど(笑)、時間軸を伴った抽象的なことを考えるのもデザイナーの仕事だということを少しずつ伝えてきました。正直、伝えるというか…私は勢いのあるタイプなので(笑)、自分がやるべきだと思うことを突き進めて、後から結果を追いつかせて信頼を得ていくという手法を貫いてきました。人によってやり方は違い、ベンチマークやリサーチなどを積み上げて、現状での課題やデザインの必要性を説明して進める方もいます。でも共通して目指すところは、市場のお客様/使う人が見てグッとくるような、美しいビジュアルでのコミュニケーションです。誰が見ても分かるようなエモーショナルなムービーで提案を行うことは、新しい領域であればあるほど効果的だと思います。UIデザインの領域では、世界的にも非言語コミュニケーションが主流になってきているので、時代にも合っているのではないかと感じていますね。

若手もライバルだと思い、切磋琢磨

一緒に仕事をしている若手のメンバーとは、私たちの仕事はブルーオーシャンだねってよく話すんです。会社の中でまだ確立されておらず、ここは私たちの領土だと言ったら認めてもらえる。発展途上であることを、ポジティブに捉えています。また、UIデザインは技術の進歩も流行り廃りも、とにかく速い。常にキャッチアップしていかなくてはいけませんが、新しいものにアンテナを張って生きるのは楽しいし、性に合っていると思います。私自身もまだまだ成長していきたいと思っていて、全員がライバルだと思っています。やはり入社2、3年目の人の方が“今”を捉えていると感じることが多いですし、感度が必要な仕事であるからこそ、立場や年齢を超えてフラットにリスペクトし合うことが必要だと思っています。デザインは移り変わりが激しい業界の上に、自動車も大変革期を迎えています。こういう時代の中で私自身含めUIデザイナーは、デザイナーの中でも最も既成概念に縛られないチームマインドでいられることを大切にしています。

一方でデザイナーはインプットも大事なので、休日には好きなギャラリーに出かけたりします。広島は東京と比べたら数こそ少ないものの人が少なくてゆっくり鑑賞できます。地元や周辺地域アーティストの活動も活発でクオリティも高く、広島という場所や文化と密接に関わりながら活動している姿勢にアイデンティティを感じられてカッコイイ。東京はたしかに刺激的で面白いですが、広島はヨーロッパの小さな街みたいに景色がきれいで地産地消の文化もあります。土日は川沿いを散歩して癒されたり、少しのんびりして生きるのも贅沢だと思っています。

確固たる見解を持つことが大事

これから入っていただく方には、課題に対して自分なりの見識を持っていることを求めたいです。言われたことは何でもやります、ではなく、こんなことがやりたいとしっかり伝えられる人。マツダといえば真のクルマ好きがクルマを造っている会社のイメージですが(笑)、これからは多様な「走る歓び」を生み出していきたいなと私は思っています。私自身、家族とキャンプやスノーボードに出かけるときに“非日常に連れ出してくれるツール”としてクルマやドライブを愛しているような感じです。今後はクルマというプロダクトに対し自分なりの愛着や将来像をもってる「多様な価値観のクルマ好き・走り好き」が増えてほしいと思いますね。

私はUIデザインがプロダクトデザインの重要なファクターだと認識される以前から取り組んできました。そんな前職から現職まで多くの経験を重ね、今ではメンバーを束ねる役割を任せられるまでになりました。様々な役割、立場を通じて得た苦労や達成感が自身の糧となり、UIデザイナーとしての強みになっていると、私は思っています。様々なキャリア経験の重要性を感じているので、インハウスでの経験しかないという方より、色んな経験を経て、UIデザインの基礎の大切さを認識している方が良いと思います。これからはヒューマンインターフェース通じてクルマの中だけでなく、クルマを軸とした様々なサービスで勝負していく必要があり、人と情報のコミュニケーションをより広い領域でデザインしていく組織になっていくことが目標です。アプリやゲームのような移り変りの速い媒体を手がけてきたデザイナーの知見と、マツダのものづくりに対するこだわりを融合させていけば、新しいモビリティの価値を生み出せるはずと信じて、日々仕事に取り組んでいます。

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