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「もとむのカレーパン」を育てる、ローカルブランディングの実践!【事業紹介】

株式会社アンド・フォースの代表を務める瀧口です。

私たちは、2018年に飲食事業を行う株式会社アンド・フーズ・ウィズを立ち上げ、自社ブランド「もとむのカレーパン」の企画立案、製造販売を行っています。

この度2022年7月、もとむのカレーパンは沖縄県ブランドとして初めて、「カレーパングランプリ2022®️」にて三年連続金賞を受賞しました。(ありがとうございます!!)

たくさんの皆さまに愛されていることを心から御礼申し上げるとともに、この機会に改めて、「なぜ、ブランディングカンパニーが、カレーパンを作ったのか?」という経緯とその実践についてご紹介していきたいと思います。

時に、ビジネスを動かす「利害の一致」。

私が昔から通う、東京・築地の焼肉店がありました。こちらの特長は、素晴らしい調理技術をもった職人さんがおり、お肉の調理、脂の処理、焼き入れの技術、そのすべてが絶妙なバランスを保って美味しさを表現していることでした。代表の城野氏は、「この技術をしっかり後世に伝え、より多くの人に美味しい焼肉を食べてもらいたい」という想いを持ち、一方では「お店に足を運ばないと食べてもらうことができない」という大きな課題も感じていました。

ちょうど私も、ローカルブランディングという中身が伝わりにくい仕事を「どうやったら世の中の人に、知ってもらうことができるか?」と考えている時期でもありました。

+ローカルブランディングについては、こちらの記事をご覧ください。

<記事リンク>https://www.wantedly.com/manage_posts/articles/428267

お互いの課題は、

商品に付加価値をつけて対外的に発信すること、

事業を長期的に継続させるための動力が必要、だったのです。

そこで私たちは、高度な調理技術を持つ焼肉店と、ローカルブランディングの知見を組み合わせて、新しい自社ブランドを立ち上げるという発想に至りました。

つまり、私の考えはこうです。

  • 自社ブランドを立ち上げ、ローカルブランディングを実践して市場に展開する。
  • そこで新しい価値を実現し、結果を出す。
  • それは自分たちのブランディングを体現する「商品」にもなるよね、と。

こうして、株式会社アンド・フーズ・ウィズを立ち上げ、築地焼肉「もとむ」と共に、新しい価値である「もとむのカレーパン」を生み出す事業にとりかかりました。

なぜ、カレーパンなのか?

築地焼肉「もとむ」の美味しさを伝えるために選んだ商材は「カレー」でした。うまみが凝縮した「A5ランク黒毛和牛のカレー」を、どうするのか?

結論からいうと、マーケティングの手法を活用しました。

現代社会で、家族みんなで食べることができ、持ち運びができる食品、消費量・消費回数の多い食べ物、その全てに当てはまるのが「パン」なのです。カレーとパンの相性はいわずもがな。そして何よりも、「カレーパンの王様」と呼ばれるようなNo.1企業は、まだ存在しないこと。このカレーパンというローカル市場に、注力することに決めました。

地域や文化が混ざり合う、“ちゃんぷるー”の可能性

もとむのカレーパンは現在、沖縄県の那覇空港から車で約15分の瀬長島(せながじま)にある「ウミカジテラス」で実店舗を営業しています。そして遡ること2018年、カレーパンの初めてのお披露目は、沖縄の「デパートリウボウ」で開催されたクリスマスマーケットのポップアップショップでした。

ではなぜ、沖縄なのか?

それはローカルブランディングの知見で、新しい価値を生むことができるからです。

私は、広告会社勤務の時代から沖縄の街づくりに参加し、沖縄にご縁がありました。沖縄には優れた文化がたくさんありますが、そのひとつが「ちゃんぷるー」という文化。これは混ざり合う、認め合う、補い合うということを意味します。長い年月にわたり、沖縄が日本だけでなく、中国や朝鮮半島、東南アジア、戦後には米国の文化を取り入れた歴史によって育まれてきたものです。

日本の台所と呼ばれてきた築地も、国内外の人々が非常に多く集まる街でした。私たちの持っている「A5ランク黒毛和牛のカレー」を、沖縄の文化とちゃんぷるーすることで、新しい価値を生み出すことができるのではないか。

なぜなら、ちゃんぷるーという文化そのものが、ローカルブランディングとの親和性が高いから。ローカルブランディングとは、同じ商圏、競合他社との比較を基準に活動するのではなく、新しい市場や地域とのつながりによって、新たな価値を生み出すことを可能にするモデルなのです。

オンライン化が普及し、新規ブランドであってもDtoC(Direct to Consumer)を活用して、様々な地域に住む人々に商品を届けることができるようになった、新しい経済活動が可能になったという今このタイミングもひとつ重要だと考えます。

こうしてカレーパンという商品、沖縄という地域性を組み合わせながら、事業を進めていきました。

沖縄だから生まれた、「一口目、感動^^」の美味しさ!

私たちのブランドが沖縄でなければならなかった理由が、もうひとつあります。

それは、「一口目の感動」を実現できる協力企業、株式会社第一パンの皆さんとの出会いです。株式会社第一パンは、1969年(昭和44年)に創業された製パンメーカーであり、沖縄県内のコンビニエンスストアや学校給食などにパンを卸している企業です。

その最初のお打ち合わせで、こんなお願いをしました。

「高付加価値カレーパンを作りたいので、パンの味がカレーに勝ってしまうような“パンカレー”にはしないでください」。

社長さん、とても驚いていました。

「パン屋に仕事するなって言うのかよ!って思った」と、今も語り草になっています。

私たちがカレーパン作りで追求したのは「一口目の感動」です。職人さんの手仕事によって、パンの中にカレーが行き渡るよう丁寧に包み込んであります。そして、女性や子どもたち、家族みんなで食べてもらう、その一口目の食べやすさを重視して、パンの大きさや形を練り上げ、試行錯誤の末にしっとりとした食感のパン生地になる独自製法にたどり着いたのです。だから、お口が小さい子どもたちが、一口目でカレーにたどり着けなくても大丈夫、パンの優しい甘みが口いっぱいに広がります!

第一パンの皆さんは、私たちの希望を叶えてくれる、素晴らしい技術力と熱意をもったパートナーになってくれました。その彼らにとっても、沖縄県企業としての意思がありました。「自分たちは、沖縄県の製パン市場の第一位ではない。だからこそチャレンジできることがあり、高付加価値パンに挑戦するべきだ」という想いです。自分たちにできることを模索し、新しい市場に挑戦する。私たちのローカルブランディングの実践に、前向きに参画してくれたのです。

+ そろそろ食べたくなってきた方は、オンラインストアへどうぞ!

もとむのカレーパン|motomu's curry bread - STORES|https://motomus-currybread.stores.jp/

ゼロからのデザイン、消えない「広告」を求めて

ローカルブランディングの仕事は、商材、商品、企業、地域をつなぐだけでは、もちろんありません。その商品の付加価値をきちんと高めていく、「クリエイティブ」を作ることも重要です。

もとむのカレーパンを、どう見せていくのか。

その世界観は、モダンであり、上品であり、親しみがあることでした。

どの世代のお客さまにも好まれ、期待感を抱いてもらうために、デザインはグレーを基調とするモダンで洗練された印象に。ベーカリーショップとして親しみやすさをプラスするために、パンと同系色のオレンジを効果的に使用し、オレンジは特色でアイキャッチになるように配慮しています。また、ロゴマークは円形で独立させることでアイコン化させています。

ウミカジテラスの実店舗は、海岸に面しているため、この最大のロケーションを生かして、空と海のブルーに映えるようにカラーリングはグレー×オレンジ。スタッフのユニフォームを黒にしています。モダン×洗練×親しみ×沖縄をすべて詰め込んで、デザインに落とし込んでいきました。

お客さまからも大好評だったのは「オリジナルショップバッグ」。ただの紙袋ではなく、手にとった人が思わず写真に撮りたくなるようなデザインを意識しました。そして、実際にお客さまが写真をとってSNSにアップしてくれることにつながり、オンライン上に「消えない広告」として残っていることも重要な結果です。まさに、考え抜いてクリエイティブを作ることの醍醐味だと感じています。

認知拡大のための、PR戦略は。

最初にもお伝えしたとおり、もとむのカレーパンは「カレーパングランプリ2022®️」にて三年連続金賞を受賞しました。2021年度からは沖縄県のふるさと納税・返礼品にも採択されています。ブランド開始から多数のメディアに取り上げていただき、このようなお墨付きを得たことは大変ありがたいことで、ブランドの成長にとって重要なファクターになっています。

私たちのもう一つの得意分野である、「PR」という仕事。

この戦略については、次回の更新でじっくりご紹介します。

「新しい価値」を育てていく

もとむのカレーパンの成り立ちを超特急でお伝えしました。現在、多くのお客さまに商品を手にとっていただけているのは、商品を愛してくださる方が増えていることに他なりません。お客さま、関係する全ての皆さまに、心から感謝しています。

最後に、もとむのカレーパンが生み出す「新しい価値」について。

食品は食べてお腹を満たすものですが、「誰かのための、何か」になることも大事な機能だと考えています。たとえば、もとむのカレーパンを食べるということが、心を満たすとか、ちょっと特別な朝食に食べる、みんなで集まる時に人と人をつなげるハブになる。そういう役割を持ちながら、新しい体験につながるようなブランドになりたい。

ローカルブランディングの視点からも、物が溢れた比較ばかりの市場でなく、その価値観から外に出て、必要とされる場所で商売を行い、必要とする人に届けていく。そうやってもっと皆さまに愛される、もとむのカレーパンを育てていきたいと考えています。

これからも精進していきますので、応援のほどよろしくお願いします。

+ローカルブランディングの導入にご興味をお持ちの方に、資料をお配りしています。弊社までお気軽にお問い合わせください。

<株式会社アンド・フォース> https://www.andforce.co.jp/

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