連日暑い日が続きますね。こんな時の仕事終わりの一杯は格別です。
最近は、職場で飲み会を開く機会も少なくなったと聞きます。そんな風潮がある中でも、当社では若い人たちが率先して懇親会を企画してくれています。私も声をかけてもらえるので、とてもありがたく思っています。
先日は、信濃川沿いの「やすらぎ提」に連れて行ってもらいました。
川の流れと対岸の夜景を眺めながら、屋外でいただく一杯は本当に格別です。
その懇親会の席で若い人たちに趣味を聞くと、アニメが好きという人が多いようでした。私も昔はよくアニメを見ていましたが、最近見るアニメは「鬼滅の刃」くらいなので、なかなか話についていけず申し訳なく思っています。(「#31:健康のすゝめ~食編~」参照)
もっとも、最近のアニメは見ていないのですが、実は私は別の意味で「アニメおたく」なのです。
若手社員との懇親会で訪れた、信濃川沿い「やすらぎ堤」の様子
スタートアップ企業が集まる会議で、当社を紹介する時間をいただいた時のことです。おしゃれな若い方々に負けないよう気合を入れてプレゼンテーション資料を作成しました。その時に駆使したのが、PowerPointのアニメーション機能です。
そう、私はPowerPointのアニメーション推しの「アニメおたく」なのです。
ところが、いざ発表資料を提出する段になって「資料はPDFでお願いします」と言われ、目の前が真っ暗になりました。時間をかけて作り込んだ力作のアニメだったのに。
何とか主催者にお願いして発表用PCにPowerPointをインストールしていただき、無事にアニメーション版で発表することができました。
プレゼンテーションに関して三つの転機がありました。
一つ目の転機は、コーチング研修講師養成研修でプレゼンテーションの訓練を受けたことです。
その研修の中で教わった「Visual Aid」という言葉が、私のプレゼンテーションに対する姿勢を決定づけました。
PowerPointで作る資料は、あくまでもVisual(視覚的)なAid(補助)であり、主役は発表者です。当たり前のことではありますが、この構造を改めて認識した時、目から鱗が落ちる思いがしました。
以来、「自分が聞き手にどう向き合い、何を伝えるか」を意識して発表するようになりました。(「#10:伝える力が未来を拓く ~プレゼンテーション 主役はあなた~」参照)
二つ目の転機は、キヤノンの御手洗会長の講話を拝聴した時です。
さすが一流の経営者だと思ったのは、数字が全て頭の中に入っており、何も見ずに話されていたことです。自分が発表する内容も、それくらい理解し尽くしていなければならないのだと感じました。
それ以来、原稿を読まないで発表することを心掛けています。特に数字については、いちいち資料を見なくても説明できる状態で臨むようにしています。
三つ目の転機は、海外企業の方々との会議でした。
彼らのプレゼンテーション資料は非常にシンプルで、1ページに3〜4行程度の文章しかありません。細かな説明を書き込むのではなく、メインストーリーは発表者自身が語るのです。まさに「Visual Aid」を体現したプレゼンテーションでした。
プレゼン資料には文字を詰め込み過ぎる人が少なくありません。聞き手に理解してもらいたいという思いから、説明を補足しようとして文字数が増えてしまうのは理解できます。しかし、聞き手はどうしても文字を追ってしまいます。その結果、発表者の話に集中できなくなり、かえって理解しづらくなってしまうことがあります。
プレゼン資料は、あくまでも「Visual Aid」です。見た瞬間に内容が伝わるものでなければなりません。
“Simple is Best”
資料はシンプルであることが最も重要だと考えています。
プレゼンの主役は発表者。シンプルな資料づくりを心がけています
とはいえ、「アニメおたく」としてはアニメーション機能を活用したくなります。そのため、PowerPointで作る「資料」にも主役級の役割を与えています。
その一方で、シンプルさを保つために「文章を1行以内に収める」ことには強くこだわっています。
1行に収めるのは意外と難しいものです。たまに1〜2文字だけ次の行にはみ出している資料を見かけますが、少し不格好に感じます。できればきれいに1行に収めたいところです。
私がよく行う手順をご紹介します。
1.文を分解する
文章の構造を整理し、各要素を上位レベル・中位レベル・下位レベルに分けます。
2.段落ちを活用する
まず上位レベルだけを1行にし、中位レベル・下位レベルは段落を下げて記載します。
段落の階層は基本的に三段階程度までが限度です。プログラミングでもネスト(入れ子構造)が深くなると可読性が悪くなるのと同じです。
3.言葉を磨き込む
修飾語の重複がないか、より短く的確な表現に置き換えられないかを検討し、日本語を磨き込みます。
どうしても複数行になってしまう場合でも、「単語」の途中で改行するのは避けましょう。1行ごとの文字数が多少不均等になっても、単語が分断される読みにくさを避けた方が良いと思います。
このような1行化の訓練を積み重ねることで、言いたいことをシンプルに表現する力が身についてきます。
さらに上級編として、英語版を作ってみることをお勧めします。英語は日本語より文章が長くなりがちなため、1行に収めるにはかなり工夫が必要です。
私自身も英語版を作る際には随分悩みました。コツは、日本語をそのまま翻訳するのではなく、「意味」を捉えて表現することです。イメージとしては英字新聞の見出しに近いでしょうか。
こうした訓練を重ねることで、「何が本当に伝えたいことなのか」というコアの部分が見えてきます。
以前はプレゼン資料といえば4:3が主流でしたが、最近は16:9が一般的になりました。そのため、1行化は昔ほど難しくなくなったと思います。
情報があふれる時代だからこそ、本当に伝えたいことを端的に表現する力が重要になっています。資料づくりの工夫は、そのまま思考の整理にもつながります。
ぜひ皆さんも『1行化』を通じて、シンプルに伝える力を磨いてみてください。
※次号は8月17日(月)リリース予定です。