未経験からでもデータエンジニアとして活躍できる――メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(以下、DA)には、そんなキャリアを実現した人材が数多く存在します。
ここではSIerや人材採用支援会社を経て、DAに転職し、大手外食企業のデータ基盤構築で辣腕を振るうデータエンジニアのインタビューを紹介。データエンジニアという仕事の魅力を紐解きます。
■インタビューに答えてくれたのは――
西條達也/Saijo Tatsuya
SIer企業、人材採用支援会社での経験を経て、2024年3月メンバーズデータアドベンチャーカンパニーに入社。同年8月より大手外食企業へデータエンジニアとして常駐。プロジェクト全体の設計からマネジメント業務まで幅広く担当し現在に至る。
キャリアチェンジの決断と入社までの道のり
――まずはDA入社前のキャリアについて教えていただけますか。
社会人になって最初に勤めたのはSIerです。システムの開発・運用を担当し、当時は膨大なコードと向き合う毎日でしたね。その後、人材採用を支援する会社に転職し、採用支援を担当。ここではBigQuery(クラウド基盤「Google Cloud Platform」のデータウェアハウス)を使用した簡易なデータ分析なども行っていました。
データを用いた施策提案を進める中で、お客様の納得感が得られているのか、データを適切に解釈できているかという点について、手探りで進めている状況でした。そこからデータに関する専門的なスキルが不可欠であると強く感じるようになり、キャリアを転換するきっかけになりました。
――なるほど。でも、いろいろとデータを扱う仕事がある中で、なぜデータエンジニアを志したのですか。
転職を考えるにあたって、まず取り組んだのはいわゆる“業界研究”でした。データサイエンティスト、データアナリスト、そしてデータエンジニアなど、それぞれの役割や業務領域を整理しながら、自分のキャリアにどの道が最もフィットするのかを見極めようとした。その結果、最も心を惹かれたのがデータエンジニアでした。
理由は大きく2つあります。
1つは、SIer時代に培った開発経験を活かせると感じたこと。もう1つは「この仕事はこれからニーズが高まる」という直感でした。当時は漠然とした感覚でしたが、今では確信に変わっています。AIが一般的になり、分析や可視化の多くは自動化されつつあります。しかし、既存データのクレンジングなどAIでの代替が難しい領域はデータエンジニアが担う必要があります。データエンジニアはまさにその基盤を支える存在であり、需要は今後も高まり続けるのは間違いありません。
――そして、入社先にDAを選んだというわけですね。
DAは常駐サービスを展開しているので、データエンジニアとして、さまざまな案件に関われそうだったことが魅力的でした。幅広い案件や技術に携わり、経験を積み重ねる環境が自分に合っていると思ったのです。
また、当時はいくら「データエンジニアになりたい」といっても自分は未経験。そのため、未経験からチャレンジすることに対し不安を感じていました。そんな中、「未経験でも挑戦可」という姿勢を明確に打ち出していたDAは私にとって大きな希望でした。
――希望に胸をふくらませて入社したと思いますが、その一方で不安はありませんでしたか?
もちろん、不安はありました。特に心配だったのはお客様先に常駐するという働き方です。前職ではほとんど自社オフィス勤務だったので、常駐先の企業文化に馴染めるのか、コミュニケーションの距離感をどう取ればいいのか、想像がつきませんでした。
また、データエンジニアとしての技術的な経験が浅いことも不安要素。「本当にやっていけるのか」という思いが頭によぎる中でのスタートでした。
――その不安はどこで解消されましたか。
入社後、研修を受ける中で徐々に緩和されていきました。状況により研修期間は異なると思いますが、私の場合、研修は約5か月間。長く感じるかもしれませんが、私にとってはとても充実した時間でしたね。TableauやPowerBI(どちらもBIツールの一種)、Snowflake(クラウドベースのデータプラットフォーム)、AWS(Amazonが提供するAmazon Web Services:クラウドサービスプラットフォーム)やGoogle Cloudといったデータエンジニアリングに必要なツールのレクチャーを一通り受けながら、少しずつ自分の中に「データエンジニアとしてのベース」が築かれていくのを感じました。
DAの研修のよさは、単なる知識習得にとどまらないところです。例えば「TableauとPower BI、どちらがよいのか?」とお客様に聞かれたとき、両方を触った経験があれば説得力が増します。比較対象をもっていることは、お客様の安心感や信頼感につながるものです。お客様にとっては、ときには、技術的な正解よりも「納得できる説明」が重要なこともあるので。
外食チェーンのデータ基盤をゼロから築く
――現在はどのようなプロジェクトに携わっているのでしょうか。
大手外食企業のデータ基盤構築に携わっています。DAからは私ともう1名がデータエンジニアとして常駐し、プロジェクトを進めています。私の役割は、お客様との調整やプロジェクト全体の設計・マネジメント。お客様が本当に求めているものを引き出し、全体像を描くことに力を注いでいます。もう1名のメンバーは、私が設計したものを実装する業務を担当。設計と実装が互いに補完し合うことで、スムーズに基盤が構築されていきます。
もちろん、作業量が膨大になる場面では、私も手を動かし、実装や検証に加わります。単なるマネジメントにとどまらず、現場の一員として汗をかくことで、チームとしての一体感が生まれる。お客様からの信頼も、そうした姿勢から育まれていくと思います。
――プロジェクトのミッションについて教えていただけますか。
こちらのお客様は、顧客情報やPOSデータが各店舗やシステムに分散していて、統合的に分析できる環境がありませんでした。例えば、アプリのキャンペーンの効果を測定したり、顧客行動を分析したりしたいのに、社内に保有しているデータがバラバラで活用できない。そこで私たちはAWSを基盤に据え、データを収集・統合し、安定的に分析できる環境を構築しています。さらに、Tableauを使って、お客様自らがデータを使って意思決定や施策検討ができるような支援を行っています。
――ここまでのプロジェクトを通して成長できたことはありますか。
技術的なところでは、プロジェクトの全体像を俯瞰できるようになりました。以前は基盤や分析といった限られた領域に視点が偏りがちでしたが、今はプロジェクト全体の構成はもちろん、そこに繋がる他のシステムのことも考慮した最適解を導きだすことを意識しています。視野が広がりより戦略的に動けるようになりました。
――この1年を振り返って、「やり切った」と胸を張れることはありますか。
データ基盤はAWSで構築していますが、プロジェクトが本格的に始まったのが2025年1月頃。そこから約1年間、データエンジニア2名体制で「データを自動で取得し、加工し、データベースに貯めて、可視化する」という仕組みをゼロから構築できたのは誇れることだと考えています。
さらに、構築したデータ基盤に目立った不具合が出ておらず、お客様に提示したスケジュールから遅れることなく構築を進められている点も成果の1つですね。
――これまでのキャリアで培った経験が、現在のプロジェクトを進める上で役に立っていると感じることはありますか。
SIer時代に培ったデータベースの知識はもちろん役立っていますし、人材系企業で培ったコミュニケーション力も大きな武器になっています。なぜなら、技術だけでなくビジネス側の視点をもつことで、エンジニアではないお客様とエンジニアリングの橋渡し役を担うことができるからです。そのためには、お客様の業務やビジョンを正しく理解することが不可欠。そして、そのために欠かせないのが、お客様との密なコミュニケーション。単なる技術提供にとどまらず、ビジネスの目的を共有しながら進めることで、より大きな価値を生み出せると考えています。
顧客の納得感を得るために
――データエンジニアの仕事の魅力ややりがいについて教えてください。
やはり、お客様からお褒めの言葉をいただいた瞬間にはやりがいを感じます。実際に「いろんなところに目を向けてくれてありがたい」「能動的に情報を取って、取り組みを推進してくれるので助かっている」といった言葉をいただいたときは、本当にうれしかったですね。
また、基盤を構築して終わりではなく、分析結果を事業戦略につなげるプロセスまで支援できるのも、この仕事の醍醐味だと思います。
――とはいえ、業務を進める上では大変なこともありますよね。
お客様は、必ずしもデータの専門家ではありません。だからこそ、成果物の価値を理解していただくための説明が難しい場面に直面することがあります。例えば、構築したデータ基盤について「この機能は不要では?」とたずねられることがあります。短期的にみれば不要に思える機能でも、長い目でみれば必要になるケースは少なくありません。その背景をどう伝えれば納得していただけるのか。そこにいつも心を砕いています。
このようなシーンでも、結局必要になるのはコミュニケーション力ですね。技術を正しく伝えるだけでなく、相手の立場に立ってわかりやすく示すことが信頼につながり、プロジェクトを前に進める原動力になるのは間違いありません。
――プロジェクトを進める際には、課題に直面することもあると思いますが、そのような課題を乗り越えるために、工夫していることはありますか。
1人で抱え込まないことですね。DA社内には経験豊富な先輩方がたくさんいるので、社内のチャットで悩みを投げかければ「このエラーはこういう原因かもしれない」「この設定を変えると動くよ」と具体的なアドバイスがすぐ飛んでくる。孤独に戦うのではなく、仲間と共に壁を越えていける環境があるのは心強いです。
仲間と支え合い、挑戦が成長へとつながる社内文化
――DA社内の空気感を、一言で表すとどんな言葉になりますか。
「風通しがよい」という一言につきますね。年齢や役職に関係なく、誰でも提案できる環境です。私もちょうど持ち込みの企画を上長に提案しているところです。アイデアや挑戦を受け止めてもらえる文化は意欲につながります。
また、社内勉強会が自然発生的に開催されるのもDAならではですね。誰かに強制されているものではなくて、同じ資格を受ける人同士で集まって勉強をしたり、同じテーマについて意見交換をするような会です。私も何度か参加しましたが、チームで学ぶことで、理解も深まり、モチベーションも維持できるのでありがたかったですね。
――働く環境としてはどうですか。
評価制度が細かく明確なのは働き甲斐につながっています。評価の際には、理由や改善点まできちんと説明してくれるので、納得感があり、安心して次のステップに進めます。
さらに特徴的なのが、評価項目に「育成・組織貢献」があること。例えば、勉強会を開いたり、資格取得のサポートをしたり、仲間のスキルアップに貢献するような取り組みも評価につながる。こうした仕組みが組織全体の成長を後押ししていると思います。
また、私がよく利用するのがキャリアアップ休暇という制度です。資格試験やセミナー参加の目的であれば有給とは別で年に3日まで休暇を取れる制度です。安心してスキルアップに取り組める仕組みが充実しているのは、本当にありがたいです。
――これから先、どのように成長し、どのような役割を果たしていきたいと考えていますか。
より多くのお客様の課題解決を支援できるよう、幅広い技術力を身につけていきたいです。将来的にはプロジェクトマネージャーとして、お客様の課題のヒアリングから戦略立案、データ加工・可視化まで一気通貫で対応できる人材を目指しています。お客様の声を丁寧に聞き取り、最適な基盤を設計し、分析結果を戦略に結びつける――その全工程をリードできる存在になりたいですね。
――最後に、これからデータエンジニアを目指す方と、DAに入社しようと考えている方へメッセージをお願いします。
未経験からでも、データエンジニアという仕事に興味があればぜひ挑戦してほしいと思います。私自身、最初は不安だらけでしたが、研修やサポート制度、そして仲間からの支援がある環境で成長できました。
データエンジニアは技術だけでなく、コミュニケーション力やビジネス理解力も活かせる仕事です。だからこそどんな経験でも必ず活かせる場面があります。実際、DAには多様なバックグラウンドをもつデータエンジニアがたくさんいます。元々ウェブディレクターや研究職、飲食店の店長をしていた人等々――。データに興味があって「もっと成長したい」気持ちがある人は、これまでの経験にとらわれず飛び込んでほしいですね。