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シンガポールで国際弁護士として活躍される森 和孝さんへインタビュー

Photo by Kelvin Zyteng on Unsplash

Definer 代表の阪本は、アドバイザーとしてご支援いただいている、

国際弁護士の森 和孝(もり かずたか)さんへインタビューいたしました。

現在はシンガポールで弁護士として活動されています。今まで、M&Aやブロックチェーン、トークン投資など、Web3企業の幅広いサポートをご経験されている、その素顔と信念、哲学に迫ります。


ご挨拶

阪本

「森さん、本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます!」

森さん

「いえいえ、いつでも。助けになれて良かったです。」

裁判官ではなく、弁護士として歩んだ最初の一歩

阪本

「法務面で多角的な観点でフィードバックをいただけると同時に、国別での法律観点での違いなど、ビジネスに非常に役立つ知見をいただき助かっています。まずは、ぜひ森さんのキャリアと経歴に関してお伺いしても良いでしょうか?」

森さん

「承知しました。私は、元々、少年事件とかに関わりたいと思い、裁判官への道を志して司法の道を歩みました。そんな中で、大学院を卒業した後の司法修習でとある弁護士の方に出会い、弁護士になろうと決めたのです。」

阪本

「おお、いつも心優しい印象を受けているのですが、やはり森さんはそう言った気持ちを持って司法への道を志したのですね。裁判官への道ではなく、弁護士の道を踏み出した理由はなんでしょうか?」

森さん

「とある弁護士の方に”裁判官は、調理されたものを食べて評価する仕事であって、材料を集めて、それをうまく調理することの方が大変なのだ”と言われたことに妙に納得しました。私は、少年事件などに関わる上で困った人を助けたいという気持ちがあったため、弁護士が自分に向いているのではないかと感じたのです。」

阪本

「なるほど、そう言った思いがあって、自分で良い結果を産んで行けるような弁護士を志したと。日本でまずは弁護士としてキャリアをスタートされた時のことをお伺いできますでしょうか?」

森さん

「まず、弟子入りした弁護士事務所で色々な案件を経験したのですが、自分自身でやりたいことを行ってみたいと感じて、半年で独立しました。」

独立して、事業が成長する中での悩み

阪本

「おお、半年で独立! すごい勇気ですね。私なら3年以上勤めてから、とか考えてしまうかも。独立された後はどうでしたか?」

森さん

「まずは、いわゆる街弁として、刑事事件、少年事件、民間の事件など幅広くご支援させていただきました。がむしゃらに働いていて、どんどん仕事も来て、多くの案件をこなしました。普通の弁護士よりは、稼ぐようにはなっていたと思います。一方で、限界を感じていたところもあります。」

阪本

「なるほど、独立された後も弁護士業は順調に進んでいたのですね。何かしら悩みがあったのでしょうか?」

森さん

「街弁という仕事は、基本的には紛争解決です。人に感謝されることも多いですが、一方で、怒鳴り込んでくる関係者がいたり、数多くの修羅場もありました。やりがいを感じる一方で、自分にしかできない仕事をまだ若いうちに追い求めたいという気持ちが強くなっていきました。」

阪本

「これは、弁護士という責任あるお仕事だからこその悩みですね。そこから、現在シンガポールで活躍されるようになるまで、大きな飛躍があると思うのですが経緯をお伺いしても良いでしょうか?」

森さん

「シンガポールに行くまでの経緯ですね。当時日本では、法人の顧問も実は増えて来ていて、海外の案件は海外の案件専門の事務所へ依頼するなどをしていました。それをみていて、自分もやってみたいなと。」

阪本

「おお、チャレンジ精神ですね。すごい!」

森さん

「学生の頃から、少し変わったことに興味を持ちがちで、一般的ではないアルバイトなども積極的に行っていました。たまたま、やんちゃな子の家庭教師を引き受けたら、噂が広がって、そういう子たち専用の家庭教師を大学時代はずっとやっていたりしました。骨は折れましたが、自分にとっても非常に良い経験ができました。」

阪本

「私の子供にも、森さんの心意気を学んでほしいです。子供が生まれたら、ぜひご挨拶に上がりたいと思います。海外の案件をやりたいと感じた後に、どうやってシンガポールまでの切符を掴んだのですか?」

シンガポールへの切符とブロックチェーン案件への出会い

森さん

「日本で一定通用してお仕事できたことを実感したため、海外で挑戦しようと感じて、まずはシンガポールで留学でもしようかと思って、Facebookで投稿してみたのです。そうしたら、高校の先輩から、”海外案件をやる弁護士を探しているから事務所で働かないか?”と誘われて。1年半、海外案件と英語を頑張ってシンガポールに来ました。」

阪本

「なるほど、Facebookの力は偉大ですね。私は高校の時に、両親の転勤でカザフスタンに行った親友とFacebookのおかげで再会できましたよ。シンガポールに行ってからは、どのような出会いがあったのでしょうか?」

森さん

「シンガポールだと、ブロックチェーン領域とか、Fintechの案件が多くて。先進的な投資家や起業家が集まりやすい、というのもあるとは思います。そういった中で、プライベートバンカーなどの金融関係の方とのお付き合いが増えました。ブロックチェーンの案件でそういったところに相談が行って、相談先に困って私のところにたどり着くという感じです。」

阪本

「おお、そこで、先進的な案件を担当されるようになったのですね。なかなか勇気がないとできないと思うのですが、どうして担当されたのですか?」

森さん

「ビットコインを、2016年ぐらいの時に本で勉強していて。”面白そうな世界がくるな”とぼんやりと感じていました。ちょっと面倒臭そうな案件でも、弁護士として結果を出すのがポリシーです。日本時代も、他所に相談に行って10件ぐらい断られた案件でも勝ったりしていました。」

阪本

「うーむ。聞けば聞くほど、ビジネスマンとしても、弁護士としても鑑のように感じます。ぜひ、そういった仕事の価値観をお伺いできればと思います。」

森さん

「他の人がダメだと言っても、別の切り口を見つけて、結果を出していくことを生きがいにしています。そう言ったことを求められると張り切っちゃいますね!例えば、知識の深さだけでも不十分で、発想を求められるため、そう言った柔軟さも大切にしています。」

森さんが考える、良い弁護士とは何か

阪本

「おお、なるほど。まさに”スーツ”のようなドラマの世界ですね。ぜひお伺いしたいのですが、良い弁護士、強い弁護士として結果を出せる人に共通する大切なことは何でしょうか?」

森さん

「”武器の多さ”はとても重要だと思います。刀の時代に、拳銃だと勝ち。ロケットの時代に、瞬間移動ができれば勝ち。日本がダメならこの国でやりましょう!みたいなこととか、他にも、例えば、心理学的な側面もしっかり踏まえて、裁判官への表現に気をつけたりしています。」

阪本

「なるほど、具体的にどのような表現をされてらっしゃるのですか?」

森さん

「これはあくまで単なる例ですが、例えば、セクハラを訴えたい顧客がいたときに。日記とか、友人への相談内容とかが証拠になるのですが、それをそのまま弁護士が証拠として提出すると、裁判官に信用されないことがあります。尋問の過程で、被害者の方に”確かに、日記につけていたと思います”と証言していただき、そしてその場で、証拠となる日記を裁判官の方に見ていただく。そうすると、裁判官の方も納得していただきやすいので。」

阪本

「リアリティ、ですね。これはとても大事なのでしょうね。さりげない表現で、相手の印象が変わってしまう。」

森さん

「弁護士の中には、同じ事実を説明しても、勿体無い説明をしてしまう方がいらっしゃいます。一度、不信感を持たれると、信頼されなくなってしまうので。そう言った、表現の観点をとても大切にしています。」

森さんが一緒に働きたい人

阪本

「これは、弁護士の世界だけにかかわらず、どの業界でも大切な心構えでしょうね。ちなみに、様々な業界の方とお仕事する中で、どういう人と働きたいか?お伺いしても良いでしょうか。」

森さん

「新しくて、ワクワクする世界観を実現しようとしている人ですね。儲かるだけではだめ、儲からなくてもだめ。バランスの良い起業家や、ビジネスマンが好きです。例えば、エンジェル投資する際も、どちらかというと、起業家の方に自分のワクワクする世界の畑を作ってもらうような感覚です。」

阪本

「投資いただいているので、少し照れます。私も、しっかり事業を回すことと、社会性を両立したいといつも感じています。エンジェル投資家としては、大切にしている感覚はありますか?」

森さん

「自分の知らない領域のプロフェッショナルに心惹かれますね。領域に詳しくないけど、とりあえず起業したいとかの方には投資しないです。あくまで、圧倒的な情熱と知識を持っている相手に対して、投資しています。あとは、他の投資家と異なる点は、他の人に自分の夢を投影しているかも。別の人生を想像する、というか。」

阪本

「それは、とても素敵なエンジェル投資の心持ちですね。とても納得いたしました。」

森さん

「弁護士としての仕事もエンジェル投資も、具体的な事務所や会社の子や孫の代への承継という次元ではなく、支援した結果、サービスや技術が世の中に残ることに少しでも貢献することで、そういった未来の世界に貢献できればという思いが強いです。」

阪本

「確かに、自身の実業以外で、そう言った形で社会に貢献するのは素敵ですね。また、シンガポールと日本を両方経験されて、様々な国の案件を見てらっしゃる中で、どういった社会や組織が良いと感じてらっしゃいますか?」

森さん

「個人的には、あまり組織的なことは好きではないですね笑 もちろん、組織は大切ですし、個人ではできないことをできたりもする。私の場合は、弁護士で超労働集約型なのでどうしても個人プレーになるというのはあると思います。あえて申し上げるならば、”頑張ると報われる、フェアな世界”でしょうか。」

森さんの仕事の哲学

阪本

「確かに、努力や実績に対して、フェアな報酬や、成果が報われるならば、経済も発展しそうですね。最後に、どういう哲学で仕事をされているか?お伺いしても良いでしょうか。」

森さん

「必ず、求められている以上を、+αで返す。ということを大切にしています。また、自分のポジショニングも常に意識していて。クライアントを成長させるために、ありとあらゆる手段を講じています。また、尖ったポジションを取りつつも地に足をつけて、しっかりと地道に結果を出すことも大切にしています。」

阪本

「私も、ポジションを気をつけつつ、しっかりと地道に結果を出すことを大切にして頑張ろうと思います。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!」
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