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『東京サマーランド』で知られる、あきる野市。都心も近く、自然豊かなマチで子育て世代にちょうどいい

ここ数年のテレワークの普及をきっかけに、会社に通勤する機会が大幅に減り、「都心に住む理由がなくなった」と考える人も多いのではないでしょうか。実際、広い住まいや豊かな自然環境を求めて、都会暮らしから “地方” へと移り住む人が増えています。今回ご紹介したいのが、東京都多摩地域西部に位置する「あきる野市」です。

1995年9月1日に秋川市と五日市町が合併して発足した「あきる野市」は、人口約8万人のマチ。都心までも電車・車で約1時間と交通の便が良く、豊かな自然環境に囲まれて、東京都なのにゆったりと暮らせるマチとして注目されています。最近は20代・30代の子育て世代で移り住み、マイホームを構える家族が増えています。今回「あきる野市」の魅力について、市長の中嶋さんにお話を伺いました。

あきる野市長
中嶋博幸

あきる野市出身。製材会社経営あきる野市議会議員(3期)、あきる野市議会議長を経験する。2022年9月4日より現職。政策の柱として「未来を支える世代を育てる」「暮らしと健康を守る」「あきる野の未来を創る」の3項目を掲げ、各種施策の推進を通じて、「すべての市民が、活き活きと暮らしていけるまちづくり」の実現を目指し邁進している。

「東京のトカイナカ」と呼ばれるほど、マチの賑やかさも、自然もある

ーーまずはじめに、あきる野市の地域性について教えてください。

あきる野市は、東京都の西部地域にあります。「あきる野市」と言ってもピンとこない方が多いかもしれませんが、『東京サマーランド』がある場所と言えば、イメージしてもらえるのではないでしょうか。南に八王子市、北に青梅市があり、その中間に位置するマチとなります。高速道路では、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のあきる野インターチェンジがあります。都心の新宿からであれば40〜50kmの距離で、車でも電車でも約1時間ほどで来られる場所ですね。

市内には秋川渓谷として知られる秋川が流れています。この川は多摩川の支流なんですが、水量が子どもたちの膝下位の清流で非常にちょうど良いのが特徴。浅瀬が多く、川遊びをするには最適です。あきる野市は都心から近いのに田舎の自然な暮らしも体験できる、都会と田舎の中間という意味合いで「トカイナカ」という呼び方もよくされます。

自然が多いので、冬の寒さは都心よりも厳しいと思います。山間部になると寒さは一段と厳しくなり、冬の早朝は車の窓ガラスが凍結するほどの寒さ。逆に夏はとても涼しく、過ごしやすいです。夏は山の方に行けば、川遊びをする子どもたちでいつも溢れていますね。

ーー地域ごとに特徴はありますか?

あきる野市は、1995年に秋川市と五日市町が合併して発足しました。東の方が旧秋川市、西の方が旧五日市町なんですが、東エリアは秋川、西エリアは五日市という呼び方が定着しています。あきる野市は東西に長いのですが、先ほど申し上げた秋川が東西を横断するように流れていて、その川沿いに多数のマチが点在しています。

非常に多くの山や川がある地域ですので、 トレイルランニング(林道や登山道などの自然の中を走るアウトドアスポーツ ※通称:トレラン)を楽しむ人たちや、渓谷のサイクリングを楽しむ人たちが日頃から多いですね。最近はバーベキュー場も多く点在していたりと、大自然の中で非常に多くのアウトドアアクティビティを楽しめる地域として市外からも大勢のお客様が訪れて賑わっていますね。

江戸時代は商いで栄えたマチ。今は全国有数の鮎のマチとして有名

ーー歴史的な特徴も教えていただけますでしょうか?

自然が多い地域なので、山資源が多い地域なんですね。あきる野市の奥に檜原村(ひのはらむら)という森林率93パーセントの地域があり、江戸時代はそこから出てきた森林資源を、五日市町で薪や炭にして販売する商いが盛んだったみたいです。五日市町という名前は、五日ごとに市を開いていたということから付けられているのですが、昔は化石燃料は当然ありませんので、薪・炭が大量に売れて、とても裕福な町だったという記録が残っています。よく言われるのが、「渋谷がまだ村だったころ、五日市は町だった」という言葉。裕福な町だったので、子ども達の教育に財を費やす人たちも多く、歴史ある地域なんです。

ーー歴史の授業で習う「五日市憲法」も有名ですよね?

五日市憲法は、明治時代初期に民間で作られて、1968年に発見された私擬憲法の1つですね。五日市町にある土蔵から発見されたので、こう呼ばれています。当時、自由民権運動が全国的に起こっており、町の森林資源で財を成した人たちが出資者となって、様々な書物を購入したり、勉強会を開いたりして、五日市憲法を起草したのではないかと言われています。結局、当時は日の目を浴びなかったのですが、発見後に解読したら「非常に素晴らしい内容の憲法がこの町で起草されていたなんて」と、多くの専門学者が驚いたそうです。当時から人権問題に関する記述が多くあり、高度な文化が生まれた町だと言われています。

ーー鮎も有名だとお聞きしました。昔から有名だったのでしょうか?

多摩川流域の鮎といえば、江戸時代には徳川将軍家にも献上され、御用鮎とか献上鮎などと呼ばれた特産品でした。しかし、1950年代から始まった高度経済成長期に、河川の汚染や東京湾の汚染で鮎は絶滅してしまったんです。それから30年、40年程の間に東京都全体で下水道の整備が行われて、工業用排水の規制と衛生面の整備がされるようになって海も川も綺麗になり、鮎が戻ってくるようになったんですよね。最近では、「江戸前鮎」というネーミングでブランド化もされています。全国の鮎の美味しさを表彰する「清流めぐり利き鮎会」で、準グランプリを過去に3回受賞しているので、お墨付きの美味しさだと自信を持って言えます。

東京都多摩26市で断トツのナンバーワン。戸建てに住む人が圧倒的に多い

ーーあきる野市にはどんな移住者が多いのですか?

特徴としては、1戸建ての家に住む人が多いです。戸建て率は約77%で、東京都多摩26市の中で断トツに高いんですよ。2位の青梅市が約62%なので、その凄さは分かっていただけるかと思います。その理由としては、不動産価格が比較的安くて、買い求めやすい点にありますね。よくご高齢の方たちが言う台詞で「アパートに住んでるんだったら、家を買いなさいよ」というのがあるほど、毎月のアパート家賃位のローン額で、一軒家が購入できるんです。

あきる野市は都心にアクセスが良くて自然が豊かなので、子育て世代の夫婦が子どもたちの教育環境を考えたり、戸建てで暮らしたいといった理由で引っ越してくる方が多いです。20代後半から40代半ば位の方たちが転入世代として多いというデータもあります。この地域で幼少期を過ごして大学や就職で都心に引っ越したけど、子育てや落ち着きたいといった理由で、地元に戻ってくるUターンも多いです。

ーーあきる野市に転入される方は、いきなり引っ越してくるのでしょうか?

縁もゆかりもないあきる野市にいきなり来て、ぱっと住む人はあまりいないですね。皆さん、何かしらのコミュニティに参加して、あきる野市のことを知って好きになってから決断される人の方が多い印象です。

たとえば、先ほどお話ししたトレラン。あきる野市では「ハセツネCUP」と呼ばれる日本を代表する山岳耐久レースが春と秋に開催されているのですが、それに参加した人たちがトレランのコミュニティをつくって交流するというケースもあります。他にも、農業コミュニティや河川清掃を行うリバークリーン活動というコミュニティ、自然体験コミュニティなど、さまざまな活動を通して、地域の魅力に惹かれて転入する人が多いです。

車移動が基本で、商業施設は充実。今後は更に盛り上がる地域に

ーーあきる野市での暮らしについて、教えてください。

市内の交通手段は、車が中心です。各家庭にマイカーが2台あるのが一般的になっています。路線バスも運行はしているのですが、利用者の数が減少してきており、運行本数は少なめです。ただ、これから高齢化社会がもっと加速することを考えて、コミュニティバスやデマンド型交通を走らせて、移動手段のサポートをすることを現在検討しています。試験運用を行っている最中ですが、本格的に実現させたいと考えています。

ーースーパーや商業施設などは充実していますか?

市内全体で、スーパーやドラックストアは所々にあります。人が大勢住んでいる住宅地近辺では大体揃っていますが、西エリアの山岳地域に入っていくと少なくなりますね。皆さん、基本的に車移動なので、八王子や立川などの商業施設が集まるエリアまで足を運ぶことで、特に困ってはいない印象です。免許返納により、車を運転しなくなった高齢者は、移動販売車で買い物をしたり、宅配サービスを利用されている方も多いようです。

現在、市内の中央地域の区画整理を進めており、商業施設の誘致を行っている最中です。また、2025年には西エリアの終着駅である武蔵五日市駅の前に、木造平屋建ての施設が完成する予定です。そこでは、様々な人が集い、学び、憩える場所となるよう、各種イベントスペースやアウトドアを楽しむ人たち向けの更衣室などを設けます。あきる野市の西部地区をアウトドアやアクティビティのメッカにしていきたいという意図もあるんですよね。都心から1時間で来られますし、遊びに来る方が増えれば、あきる野市の魅力にも気づいてもらえる機会も増え、移住者が増加したりと、さらに市全体が盛り上がっていくと期待しています。

子育て支援制度も充実しているため、共働きの夫婦も安心

ーー子育てもしやすいとお聞きしました。

子育て世代がより安心して子育てができるよう、「あきる野子育てステーション ここるの」という施設を整備しています。

駅からも近く、昼間にお子さんを遊ばせたり、一時的にお子さんを預けたり、子育て講座なども行っていて、保護者同士のお友達を作ったりできます。子育てで困ったことの相談ができるのも便利な点ですね。
また、子育てと就労の両立ができるよう、共働きの夫婦で急にお子さんが病気になったときに預けることができる病児・病後児保育施設「ぬくもり」もあります。
公立病院の敷地内に設置されていて、医師の巡回もあるので保護者も安心して預けることができる施設です。

そして来年度からは、生まれたばかりの0歳児の子育てに疲れを感じている人やワンオペの方に向け、ヘルパーさんが家事や育児を手伝い、負担を軽減するサービスを開始します。

ーーあきる野市ではどんな求人が多いですか?

あきる野市は介護施設が多いため、介護系の求人は非常に多いです。また、市内では製造業も多いため、ものづくり系の求人も多く、どこも人手不足に困っていますので、仕事を探される場合は、そのあたりの業種へのチャンスが多いかもしれません。

また最近では、若手を中心に起業をされる人も増えています。あきる野市でも起業家支援策として、あきる野創業・就労・事業承継支援ステーション「Bi@Sta」というサポートセンターを設けています。中小企業診断士の資格を持ったプロの相談員が、「こんなことしたいけどビジネスになるかな」といった疑問やスタートアップの事業計画作成のアドバイスなど、創業に関することについて無料で何度でも相談に乗ってくれますので、ぜひ活用していただきたいです。

都会に近く自然が多い場所だからこそ、子育てがしやすいマチ

ーー最後に、移住をお考えの方にメッセージをお願いいたします。

私は生まれてから50年以上、あきる野市から出たいと思ったことがありません。それだけ自信を持って、「あきる野市は、住みやすいマチ」だと言えます。

都心まで約1時間で通える距離なのに、市内に戻ればこんなにも多くの自然があるマチは、そうそうないと思っています。非常に暮らしやすいですし、子育てもしやすいと声を大にして言えます。子育て世代の方達に対しては、お子さんを教育する上で、大自然の中でのびのびと遊ばせていただき、感性が豊かになる体験をたくさん経験させてあげてほしいです。子育て支援制度も充実していますし、今後はさらに充実させていきたいと思っていますので、ぜひ、あきる野市のことをもっと知ってもらって、お越しいただけたら嬉しいです。

ーー移住・定住希望者向けに、市内案内もされているんですよね?

そうなんです。市役所内に移住・定住相談窓口がありまして、ご連絡をいただき、日時の予定を決めさせていただけましたら、職員がツアーコンダクターのように付いて、車で1日中あきる野市を案内いたします。あきる野市での生活がイメージできるように、案内コースはすべてオーダーメイドで皆様のご希望に沿ったコースを考えます。ぜひ体験していただければと思います。案内をする日時は土日も可能ですので、お気軽にお問い合わせください!

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