韓国・釜山で開催された「Busan International Wines & Spirits Expo」を視察してきました。
ワイン、スピリッツ、クラフトビール、日本酒・焼酎まで幅広い酒類が集まる本展示会は、近年アジア市場における酒類トレンドを把握する上で、存在感を高めています。
今回の視察では、
展示会そのものの性質がどのように変化してきているかという点が強く印象に残りました。
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展示会は「商談の場」から「体験の場」へ
Busan Exhibition & Convention Center (BEXCO)
会場には業界関係者だけでなく、一般来場者の姿も多く見られました。
純粋なBtoB展示会というよりも、BtoC向けにも
・試す
・知る
・比べる
といった行為が同時に行われる、マーケットとイベントの中間のような空気感があります。
短時間で直感的に理解できないブースには、人が立ち止まらない。
この前提は、アジア市場全体でより明確になってきていると感じます。
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各国・各ブランドに見られる展示手法の違い
街のリカーショップみたい
システムの使い方が参考になります
会場を一通り回って感じたのは、ブランドごとに展示の思想がかなり異なるという点です。
・色や造作でまず目を引くブース
・ブランドストーリーを前面に出すブース
・商品点数を絞り、説明に集中するブース
方向性は違えど、共通していたのは
「短時間で何を伝えるか」が明確なブースほど、人が滞留していたということでした。
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試飲の“扱い方”でブースの性格が決まる
人気だった、韓国ウイスキー
今回の展示会では、多くのブースで試飲が行われていましたが、
その使い方にははっきりと差がありました。
・試飲そのものが目的になっているブース
・試飲を会話のきっかけとして使っているブース
後者の方が、結果的にスタッフとの会話が生まれやすく、
来場者の滞在時間も長くなる傾向が見られます。
試飲は「集客装置」ではなく、
コミュニケーションの入口としてどう設計するかが重要だと感じました。
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日本酒・焼酎ブースから見えた一つの方向性
ゆったりとしたJAPANブース
じっくり試飲
日本酒・焼酎を扱うブースは、会場内でも比較的落ち着いた空気感でした。
派手な演出よりも、
・カテゴリーの分かりやすさ
・情報量の整理
・話しかけやすい距離感
を重視している印象です。
「急いで売らない」設計が、結果として信頼感につながっている。
そんな印象を受けました。
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焼酎を使ったオリジナルカクテル提供
JAPANブース Barカウンター
日本ブースで印象的だった取り組みのひとつが、
現地のバーテンダーによる、焼酎を使ったオリジナルカクテルの提供です。
焼酎はストレートやロック、水割りといった飲み方のイメージが強い一方で、
海外市場では「どう楽しむか」がまだ十分に共有されていません。
その点、このカクテル提供は、
• 現地の味覚に合わせたアレンジ
• バーテンダー自身の言葉での説明
• その場で体験できる“分かりやすさ”
が揃っており、来場者が自然と足を止め、会話が生まれるきっかけになっていました。
単なる試飲ではなく、
「焼酎がどう生活シーンに入り得るか」を具体的に想像させる設計になっていた点は、
今後の海外展開を考える上でも非常に示唆的です。
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展示会視察から見えた、これからのポイント
今回の視察を通じて感じたのは、
海外展示会は「出ること」自体が価値なのではなく、
・どの市場で
・誰に向けて
・どの情報を削り、どれを残すか
をどこまで設計できているかが、より問われるようになっているという点です。
特にアジア市場では、
分かりやすさと奥行きの両立が、今後さらに重要になっていくと感じます。
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まとめ|現場でしか得られない一次情報として
今回の釜山での展示会視察を通じて改めて感じたのは、
海外市場の変化は、資料や二次情報だけでは掴めないということです。
どのブースに人が集まり、
どこで足が止まり、
どの瞬間に会話が生まれているのか。
そうした空気感や人の動きは、
実際に現場に立ち、同じ目線で空間を歩かなければ見えてきません。
海外展示会は、成功事例を確認する場というよりも、
市場の温度や変化を体感し、次の打ち手を考えるための「一次情報の現場」*だと感じます。
こうした現場で得られる一次情報を丁寧に積み重ねながら、
日本のプロダクトやコンテンツが海外でどのように受け取られているのか、
そして、どうすればより自然に、正しく伝わるのかを、
これからも現場視点で考えていきたいと思います。
釜山のタコ、美味しかったです