はじめに|イベント業界で舞台用語を知る意味
今回は、グループ会社shuffle(照明・空間演出を手がける照明会社)の新人向け勉強会の内容をもとに、イベント業界で使われる「舞台用語」をご紹介します。
舞台とは、演劇・音楽・ダンス・講演会などで出演者が観客に向けて表現を行う空間のこと。
イベント業界では、打合せから撤去まで各工程で舞台用語が使われ、理解しておくことで現場の指示や打合せを正確に把握でき、安全かつスムーズに業務を進められます。
多くの舞台用語は、歌舞伎や能などの伝統芸能に由来し、口伝や省略語、業界独自の言い回しも多いのが特徴です。

舞台の基本構造と位置を表す用語
多くのホールは「プロセニアムステージ」という形式で、舞台と客席が額縁状の「プロセニアムアーチ」で分かれています。
方向を示す言葉として下手(しもて)・上手(かみて)・奥・前があり、「上手奥」のように組み合わせて使います。

舞台袖は1袖・2袖・3袖・軒下と区分され、舞台中央はC(センター)、最前面はツラ、客席への動線には花道・通路・框(かまち)があります。

舞台幕の種類と役割
舞台幕には、客席と舞台を区切る、人や機材を隠す、演出や背景に使うという3つの役割があります。
緞帳(どんちょう)は客席との仕切り幕で、劇場の顔ともいえる存在。
水引幕はプロセニアムアーチ上部の装飾幕、一文字幕は上部の吊物を隠す横長の幕(関西では「かすみ幕」)、引割幕・袖幕は左右の開閉幕で機材や出演者を隠します。
ホリゾント幕は最後方の背景幕で照明により空や夕焼けなどを表現し、映写スクリーンは映像投影用です。

このほか、透ける紗幕、遮光用の暗幕、装飾用のドレープや飾り幕もあります。

舞台図面と基本的な舞台道具
イベントの計画時には、舞台・客席・機材配置などを平面図・側面図にまとめ、動線や安全性、見え方を関係スタッフと共有します。
舞台業界では現在も尺貫法が使われ、平台(6尺×3尺が一般的)、高さを出す箱馬、平台を支える箱足など、道具のサイズの基準になっています。



現場で覚えておきたい舞台設備・大道具用語
現場で使われる用語には、段差を隠す蹴込み、大型セットを指す大道具、演者が使う小道具、作業スペースの簀の子(すのこ)、吊物を操作する綱元(つなもと)とその錘の鎮(しず)、上手・下手を東西で表す言い方、舞台床下の奈落、操作盤、高さを示すタッパ決め、吊りパイプのバトンなどがあります。

本番を支える現場進行・リハーサル用語
客席側を表、楽屋側を裏と呼び、それぞれ表方・裏方と言います。
指示用のがなりマイク、立ち位置の目印をつけるバミリ、開演時にすでに舞台上にいる状態の板付き、通信機器のインカム、本番前に会場で確認する場当たり、テクリハ・通し・ゲネプロといったリハーサル用語も現場でよく使われます。
進行用語としては、開演前の一ベル、客入れ・客出し、準備完了のスタンバイ、合図のGO、本番、退出を指すはける、進行の合図キュー、進行表の香盤表があります。
また、光を避ける=「嫌う」、重なり隠れる=「食う・食われる」、固定する=「殺す、黒布の雑黒」、撤去=「ばらす」、進行の早い遅いを表す「巻く・押す・盗む」、見えてはいけないものが見える=「見切れる」など、独特の言い回しも多くあります。
知っておくと役立つその他の舞台用語
そのほか、千秋楽を指す楽日、ダンス用の床材リノリウム、組立式足場のイントレ、舞台正面の幅を示す間口、客席後方の調整卓エリアFOH、機材運搬のトランポ、経費を指す顎足枕なども覚えておきたい用語です。
舞台用語を知ることが現場力につながる
色々な舞台用語をご紹介しましたが、知っている言葉はありましたか?
次回は、電気についてご紹介する予定です。ぜひお楽しみに!