こんにちは!Digital Platformer株式会社(以下「DP社」)です。
今回は、情報セキュリティグループのセキュリティエンジニア 巽 俊彦さんへのインタビューをお届けします。
巽さんのキャリアの始まりは、なんとお菓子メーカーの品質保証担当。ITへの知的好奇心からエンジニアに転身しました。セキュリティ領域の会社でデジタルフォレンジックや脆弱性診断などの経験を積んだ後、2026年1月にDP社へ入社。現在は「1人目のセキュリティエンジニア」として、金融を扱う会社にふさわしいセキュリティ基盤の設計・構築に取り組んでいます。
そんな巽さんに、異色のキャリアの歩みやDP社での業務内容、“未知の領域”に挑む面白さについて聞きました。ぜひご覧ください!
コーポレートグループ 情報共有セキュリティチーム 巽 俊彦
大学で生物・化学を専攻した後、お菓子メーカーにて衛生管理や品質保証業務に携わる。その後IT業界へ転身し、デジタルフォレンジックや脆弱性診断、ペネトレーションテストなど、セキュリティ領域での経験を積む。2026年にDigital Platformerへ参画し、現在はセキュリティエンジニアとして社内のセキュリティ基盤の設計・構築を担う。
「構造を知りたい」好奇心で、お菓子メーカーからセキュリティの道へ
――巽さん、本日はよろしくお願いします!はじめに、経歴を簡単に教えてください。
巽:今はセキュリティエンジニアとして働いていますが、最初からIT業界にいたわけではないんですよ。大学では生物と化学を学び、卒業後はお菓子メーカーに就職して、衛生管理や品質保証の仕事をしていました。お菓子の細菌検査をして問題なく出荷できるかを確認したり、賞味期限を決めたり。約4年間、毎日のように工場に出向いて検査していましたね。
その後、退職して民間のスクールに通い、半年ほどネットワークやセキュリティなどITの基礎を学びました。セキュリティエンジニアとしてセキュリティ領域の会社に就職し、2社で経験を積んだ後、今年(2026年)1月にDP社に入社して今に至ります。
――ユニークな経歴ですね。お菓子メーカーからIT業界に転身されたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
巽:学生時代から「IT」や「ゲーム」が好きだったんです。でも、インターネットがなぜ使えるのか、ネットワークがどう動いているのかといった裏側の仕組みは全然わかっていなかったんですよね。ITとは違う業界に就職したものの、「もっと根本を知りたい」気持ちがだんだんと強くなっていきました。
私は構造がわからないと満足できない性格なんですよ。そのモヤモヤを晴らしたくて、ITの世界に踏み出しました。多少の迷いはありましたが、知的好奇心が勝りましたね。
――数あるIT職種の中で、セキュリティエンジニアを選んだのはなぜですか?
巽:いろいろ調べる中で、セキュリティエンジニアやホワイトハッカーが目に留まって。「この職種ならITの全体像を広く見られそうだ」と思ったのが大きいですね。
ネットワーク、OS、プログラム、攻撃手法、防御手法――いろいろなことを知らないとできない職種なんだなと。「物事を構造的に理解したい」自分の性格にも合っていると思いました。
――セキュリティ業界では、どのような業務を経験しましたか。
巽:1社目は、セキュリティ関連の新規事業を立ち上げたばかりの会社でした。そこで担当したのは「デジタルフォレンジック」です。サイバー攻撃や社内不正といった問題が生じた企業から端末をお預かりして、何が起きたのかを痕跡から調べて報告書にまとめる仕事でした。新規事業だったので手探りの部分も多かったですが、さまざまなバックグラウンドを持つエンジニアが集まっていたので、IT業界を広く知る材料をたくさん得られましたね。
4年ほど経った頃に、別の会社に転職しました。ディフェンシブとは違うところを見たいなと思うようになって。2社目ではフォレンジック領域の立ち上げに関わりながら、脆弱性診断やペネトレーションテストなどのオフェンシブの仕事も経験しました。「守り」と「攻め」の両方を見られたことで、セキュリティ全体を俯瞰して考える土台ができたと思います。
――お菓子の「品質保証」とITの「セキュリティ」は、まったく異なる世界に見えますが、共通点はあるのでしょうか。
巽:実は意外と通じる部分があるんですよ。お菓子の検査では、異物が検出されたら、それがどこから混入したのか、材質は何なのかを調べていきます。一方、デジタルフォレンジックも、端末やログに残った痕跡を見て、何が起きたのかを調べていく仕事です。「痕跡をもとに事実を組み立てていく」という意味ではすごく近いと思いますね。
――セキュリティの会社から、DP社に転職された経緯を教えてください。
巽:セキュリティ業界をある程度見た感覚があって。もちろん、まだまだ掘れるところはありますけど、「この知識やフレームワークを別の業界に持ち込めないか」と考えるようになったんです。
積極的に転職活動をしていたわけではないですが、とりあえず転職サイトに登録してみたら、セキュリティ業界からのオファーがたくさん来ました。でも、業界を変えたいと思っているので興味が湧かない。そんな中で、DP社からオファーがあり、「ちょっと話を聞いてみよう」と思ったのがきっかけです。
――最終的に、DP社に入社した決め手は何ですか?
巽:もともと「分散型のアプリケーションやプラットフォームは今後絶対に必要になる」という考えを持っていたんです。AIが広がる中で、すべてを中央集権的に管理するのは難しくなり、分散型の仕組みがより重要になるだろうと。それに、ハッカーには分散型を好むところがあって。ソースコードが非公開で、利用者は仕組みに従うしかない状態には不満があるわけです。それがオープンソースになれば、自分たちで中身を見て、必要ならつくり変えることができる。「みんなで管理する思想が広がってほしい」という願望も頭の片隅にありました。
加えて、ブロックチェーンは従来のセキュリティ業界から見ると入りづらい領域で、私にとっては「まだ見ていない世界」だったんですよね。しかもDP社は、そのブロックチェーン技術を実際に社会にデプロイしている。そこに強く惹かれました。
それから、社風も後押しになりましたね。選考の過程で、能力のある人たちがポジティブに自走している組織だと感じたし、売上至上主義ではないことやプロダクトへの熱意も伝わってきた。自分が大事にしたいものとの相性がいいと思い、入社を決めました。
DP社1人目のセキュリティエンジニアが挑む、金融にふさわしい基盤づくり
――続いて、DP社での業務内容について伺います!まずは現在の所属と役割を教えてください。
巽:情報セキュリティグループに所属しています。一般的な会社でいう情報システム部門(以下「情シス」)の業務に、セキュリティの観点を加えたような立ち位置ですね。大企業のようにプロダクトセキュリティを常時監視する大規模な専門部隊ではなく、会社全体のセキュリティを強くしていく推進役を担っています。
――具体的には、どのような業務に取り組んでいるのでしょうか。
巽:セキュリティに関する情報収集や脆弱性への対応から、アンチウイルスソフトやMDM(端末管理ソフトウェア)の選定、業務基盤のアーキテクチャ設計まで、かなり幅広く見ています。
一般的なベストプラクティスをそのまま持ち込んでも、会社の現状やコストと合わなければ機能しません。DP社の規模、フェーズ、扱う情報、今後の成長を踏まえたうえで、現実的に運用でき、かつセキュリティを高められる構成を設計しているところです。
――セキュリティエンジニアとしては、1人目の社員だそうですね。
巽:エンジニアとしては、そうですね。ISMSなどの情報管理統制を整える人は以前からいたんですよ。ただ、ソフトウェアを導入することはできても、それをどう活用し、どう運用に落とし込むかはセキュリティエンジニアの知見が必要になります。私はそこを補完する形で入りました。
――DP社では、どのようなセキュリティ水準が求められていますか?
巽:DP社はステーブルコインを扱い、金融機関と取引する会社なので、一般的なスタートアップの水準では足りません。銀行相当の水準をそのまま実現するのは容易ではないけれど、金融機関に対して「この環境だから安全です」と説明できる状態をつくっていく。ゴールからは目をそらさず、現実的な方向で環境を改善・向上しているところです。
――巽さんは情報セキュリティグループに所属されているとのことですが、どのような体制で活動していますか?
巽:現在は、私と情シス担当者の2名体制です。少人数なので、私が情シス関連の問い合わせに対応することも多いですね。たとえば「パソコンの調子が悪い」「業務で使うツールに不具合がある」「設定がうまくいかない」といった相談が来たら、情シス担当者と一緒に調査・対応しています。
――セキュリティだけでなく、日々の業務環境も支えながら、会社を守っているのですね。ちなみに、プロダクトのセキュリティについては、誰が・どのように対応しているのでしょうか。
巽:プロダクト側は、開発グループ内のインフラチームが見ている部分が大きいです。インフラの整備や監視、不具合・バグへの対応などを継続的に担ってくれています。
ゆくゆくは私自身がプロダクト側にもっと関わりたいと考えていますが、まずは社内環境を整えることが先決です。土台がしっかりしていないと、そもそも事業を続けられない可能性だってありますからね。
多様な知見が交わり、刺激し合える環境
――巽さんが入社して半年ほど経ちますが、DP社のエンジニアにどのような印象を持っていますか。
巽:まだ開発現場とのやり取りは少ないんですけど、ピザパーティーなどで話をすると、「一人ひとりがしっかり立っている」と感じますね。アカデミックなブロックチェーンの活動をしている人や、論文に関わっている人もいて。知的好奇心が強い人が多い環境だと思います。
「このツールを使っていいですか」という相談も結構来るので、自分で考えて動いている人が多いんだなと。入社前に感じた「能力のある人たちが自走している組織」という印象は変わっていませんし、むしろ「こんなにオープンなんだ」と思ったくらいです。
――DP社で働く面白さは、どのようなところに感じていますか?
巽:ブロックチェーンを社会にデプロイしている現場を内部から見られること、それだけでもかなり面白いですね。分散型の仕組みを社会に導入するときに、どういう苦労があるのか、どういう発想でプロダクトがつくられているのかを近くで見られる。現場にいるだけで知的好奇心がかなり満たされているところはありますね。
――コミュニケーション面についてはいかがですか。
巽:DP社はリモート中心なので、普段のやり取りはSlackが多いです。だからこそ、月1回のピザパーティーのような、対面で交流する場も大事だなと思っています。
セキュリティ担当は、場合によっては「それはやめてください」と言わなければならない立場なんですよね。できるだけ代替案を示すようにしていますが、文章だけだと相手には強く見えるおそれがある。直接話して人となりを知ってもらえれば、普段のSlackでの発言も温度感が伝わりやすくなるので、対面での交流も大切にしていきたいですね。
――昨日(このインタビューの前日)のピザパーティーでは、AIの活用について盛り上がったと聞きました。
巽:開発メンバーの人から声をかけてもらい、「AIをどう業務に取り入れるか」といったテーマでいろいろ意見交換しました。新しい技術を使いたいという現場の熱量と、会社として守るべきものをどう両立するか。そこを考えるのは、DP社らしい面白さだと思います。
私はDP社のブロックチェーンや分散型IDなどの話をもっと聞きたいし、逆に私からセキュリティ業界で得た知見を提供することもできる。これからも、異なる知見を持つ人同士で、刺激し合っていきたいですね。
占術をハックし、醤油を追究する。技術外にも広がる“ハック精神”
――ここからは巽さんの人物像を深掘りしていきます!過去の仕事で、CTFの問題を作成されたと聞きましたが、本当ですか?
巽:はい、前職と前々職で。CTFは「Capture The Flag」の略で、旗取りゲームのような形で情報セキュリティの技術や知識を競うハッキングコンテストです。企業や公的機関から「教育・研修用途で開催してほしい」という依頼が会社宛てにあって。私は問題の作成や、解くためのパソコン環境の用意を担当しました。
CTFの問題は、単に難しくすればいいものではないんですよ。解く人の知識レベルに応じて、どこで気づきを得て、どうやって答えにたどり着くかを設計する必要があります。攻撃者の視点、防御側の視点、教育としてのわかりやすさを同時に考える。自分が持つセキュリティの知識を、相手が学びやすい形に変換する面白さがありましたね。
――巽さん自身の学びも大きい、貴重な経験ですね。
ところで、巽さんは個人開発もされているとか。
巽:趣味のものばかりですけどね(笑)。たとえば、占いを統合したアプリとか。占術ごとに方法は違うけれど、同じ人物を占うなら結果には何らかの共通点があるんじゃないかと思って。そこで東洋と西洋の占術をいくつか集めて、占い結果の違いを日ごとに表示するアプリをつくりました。裏でアルゴリズムを組んで計算させ、AIの解釈も加えて。自分の中では「占術をハックする」感覚でしたね。
思い返せば子どもの頃から、ゲームでただ遊ぶだけではなく「なぜこう動くのか」を考えていました。昔から変わらず、「構造を知る」ことが好きな性格なんだと思います。
――「構造を知る」欲求が高じて、醤油にもかなり詳しくなったと耳にしました。
巽:詳しいというか、自分の好きな醤油を集めています。きっかけは、5年くらい前に六本木のお寿司屋さんで口にした醤油のおいしさに感動したことでした。OEM品で名前が変わっていたのですが、産地を手がかりに元の醤油を割り出して。それから醤油ごとの味の違いを知るのが面白くなり、今は13本ほど常備しています。
――13本も!どのように使い分けているのでしょうか。
巽:塩味の強さや、薄口と濃口の違い、溜まり醤油の特徴などを見ながら、「どの料理にどれが合うか」を試しています。お寿司に合う醤油と刺身に合う醤油は違うし、卵かけご飯に合う醤油もまた違うんですよ。出張でチェーン店を使う可能性があるときは、“マイ醤油”を持ち歩くこともあります。技術でも醤油でも、違いを確かめて自分なりに構造を理解したいというのは共通していますね。
汎用的なおすすめは、「特撰 丸大豆醤油 二段熟成」(正田醤油株式会社)とのこと。用途別のおすすめに興味がある方は、ぜひ巽さん本人に聞いてみてください!
“最強のアーキテクチャ”を考え、実装するのが面白い
――今後、DP社でどのようなことに挑戦したいですか?
巽:先ほども軽く触れましたが、将来的には、プロダクト側のセキュリティも見ていきたいと考えています。ブロックチェーンには特有のロジックがあって、従来のシステムとは違う考え方が必要になります。スマートコントラクトや分散型システムは、脆弱性が見つかっても一括で止めたり直したりすることが難しい。自分が経験してきたフォレンジックやオフェンシブセキュリティの知見を掛け合わせて、より良い仕組みを考えていきたいですね。
その前に、まずは社内環境をしっかり整えていきます。会社の規模が大きくなってから変えると人的コストも大きくなるので、変えるなら今だと考えています。
――改めて、セキュリティ基盤をつくる仕事にどのようなやりがいを感じていますか。
巽:少し冗談めいた言い方をすれば、「自分が考えた最強のアーキテクチャ」をつくっている感覚があります(笑)。前職や前々職の仕事は、他社の環境で起きた問題を調査したり、診断したりするものでした。DP社では、自社の将来を見据えて、どのような環境をつくるべきかを考え、実装していく。土台から設計する面白さを感じています。
もちろん技術は変わっていくので、今考えたものをそのまま使い続けられるわけではありません。ただ、環境が変わったときに丸ごとつくり変えなくてもよいように、拡張性を持たせたい。今の最適解をつくるだけでなく、将来の変化に耐えられる体制をつくる。頭を巡らせている時間が楽しいですし、それを実装に落とし込んでいくところにやりがいを感じています。
――最後に、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。
巽:DP社は、ブロックチェーンを活用したさまざまなプロダクトを社会に実装している会社です。技術的に「我こそは」と思う人や、分散型の仕組みに興味がある人なら、知識や経験を活かせる場面は多いと思います。オープンな場があり、多様な知見を持つ方がいる中で、議論に参加できますよ。
特にセキュリティエンジニアにとっては、ブロックチェーン業界のスタートアップという、一般的ではない道を歩める環境です。一からセキュリティを意識したシステムをつくる経験ができるし、“セキュリティ業界のセキュリティ”とは違った面白さがある。少し変わった領域に興味がある人、自分で仕事や価値をつくり出すことを面白いと思える人は、ぜひ一度見ていただけたらと思います。
――巽さん、本日はありがとうございました!
今回は、DP社1人目のセキュリティエンジニアである巽さんへのインタビューを通して、ユニークなキャリアやDP社で挑戦する面白さについて紹介しました。
この記事を読んで、少しでもDP社について知っていただけたら嬉しいです。
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企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳