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私たちBIZOUXがレインボープロジェクトを立ち上げる、いくつかの理由。

突然ですが「アライ」という言葉をご存知でしょうか?

Allyと書き、もともとは「同盟」の意味を持つ英語。転じて、LGBTQの当事者の方々を理解、共感することを明言する人や団体のことを指します。

ドリームフィールズは今年4月から、この「アライ」を表明。LGBTQの方々への権利擁護や平等のためにアクションをし始めました。

中心になっているのが、同社の『レインボープロジェクト』です。「プロジェクトを立ち上げたのは、いくつかのタイミングが重なったからなんですよ」と明かすメンバーの方々に、なぜプロジェクトが生まれ、どんな状態を目指しているのか、お話を伺いました。

「夫婦」と書かせていた疑問。

――ドリームフィールズは、4月22日~24日に、代々木公園を中心に開催された『東京レインボープライド2022』に協賛されていましたね。


引用:https://tokyorainbowpride.com/

笹谷 美砂子(以下、笹谷):はい。これを機に「アライ(Ally)」を正式に掲げて、LGBTQの方々の理解・支援の姿勢を示し始めました。

またアライを表明する意味で、オリジナルのレインボーのブランドロゴと、LGBTQに寄り添う気持ちを表した6色の虹をデザインソースにしたジュエリーをつくったんですよ。

林 珞伊(以下、林):このレインボープライドへの協賛を含めた「アライ」としての活動をするのが、昨年誕生した『レインボープロジェクト』。私たちをふくめ、今は約10人のチームです。

小川 翠(以下、小川):サークルのような感覚で活動をしています。

――そもそもレインボープロジェクトを立ち上げ、アライを表明されたきっかけは何だったのでしょうか?


笹谷:もともと私達のブランド「BIZOUX」のコンセプトの中心には「多様性」があります。

だからダイヤモンドだけじゃなく、数多あるカラーストーンにはそれぞれの良さがあるんですよ、と12年間、提案し続けてきました。また昨年には「ジェンダーフリーライン」と銘打ったより多様性に踏み込んだジュエリーもリリースしている。

もっとも、ジェンダーフリーのプロダクトを手掛けたときに「LGBTQのことを自分たちは本当に理解できているのか?」という疑問を強く感じたんです。それがきっかけの1つでしたね。

――確かに、日本でもLGBTQへの意識や理解度は確実に高まっていますが、まだまだ人によってムラがありそうです。

林:おっしゃるとおりで、実際に日々の業務の中でとまどう瞬間もあったんですよね。私は普段、グラフィックのクリエイティブを手掛けていますが、ブライダルラインの販促物として、オリジナルの「婚姻届け」を作ったんですね。

このデザインをしているときに参考にした「婚姻届(自治体が発行しているもの)」の名前の欄に「夫」「妻」と言う文字が当たり前のように書いてあるのを見て、「あれ? 夫とも、妻とも限らないんじゃないかな」と悩むことがありました。


加藤 まり子(以下、加藤):私も以前の職場がブライダルをメインとしたジュエリーブランドで、似たような違和感がありました。お客さまには最初にカウンセリングシートを記入していただくのですが、「男性」「女性」という欄があって、「変えたほうがいいのでは?」と思っていました。ただすぐにそういったことを反映させるのはなかなか難しくて・・。

林:そうですよね。しかし、ドリームフィールズにはLGBTQ当事者である岡島さんがいる。岡島さんに「どう表記すればいいと思う?」と相談して、性別に触れずに2人の名前を書き並べるデザインにしました。

具体的には、「夫」「妻」という表記を無くし、名称を当人が決めることができるように

「『  』になる人」としました。


――岡島さんは5年前に入社されたときからレズビアンであることを社内でもカミングアウトされています。社内でも理解のムラがあると感じていましたか?

岡島 杏里(以下、岡島):社内よりも他のブランド、ショップなどに対して違和感を抱くことは日常の中で多々ありました。

LGBTQのシンボルでもあるレインボーの旗を掲げたブランドなのに、パートナーと店に行くと店員さんに「お友だちの方は?」などと言われる。その度に憤ったり、悲しくなっていたらキリがないので慣れっこになってしまっている自分がいますが、それでもやはり「ここのブランドは形ばかりのアライなんだな」と残念な気持ちになります。

笹谷:岡島さんの存在は大きいですよ。これまで、そうしたリアルな当事者の方々の感情を本当に理解できていたかといえば違った。繰り返しになりますが「多様性」をうたったブランドが無理解では致命的だと感じたのです。

岡島:私はもともとBIZOUXが大好きで入社した人間なので、そのブランドが「レディース・メンズという表記を撤廃します」「ジェンダーフリーラインを立ち上げます」とLGBTQフレンドリーな取り組みを進めるのはとても嬉しかったですね。

しかしそれだけに、表面的な取り組みだと感じないようにしたいですねと、笹谷さんには提案させてもらっていました。

笹谷:裏返すと、しっかりとLGBTQへの理解と意識を根づかせることができれば、ポジティブなブランド評価にも直結すると確信しました。

――それでプロジェクトを発足されたと。

笹谷:最初は単発のセミナーからだったんです。人事チームにも協力を仰ぎ、LGBTQ当事者である講師の方を呼んで、社内セミナーを実施しました。

それこそ「男女」のペアが当たり前だと思うことで、知らないうちに多くの方を傷つけているかもしれないこと。気づかないうちにLGBTQの方が入りづらいと思ってしまうこと、たとえば必要以上にガラス張りで外から見える店は入りづらいなど、多くのことを学びながら、「LGBTQへの理解は持続的なアクションとして続けて根付かせていく必要があるな」と強く感じましたし、変に身構えず日常的なアクションとして体に染み込ませることが、真の理解につながると感じたんです。

そこで事業部内に声をかけて、「レインボープロジェクト」の名でサークル的に活動をしませんか? と声をかけてみました。そして手をあげたこのメンバーが揃った感じです。

――あえてサークル活動とした理由はありますか?

笹谷:事業としてすすめると、「上からやらされている」感がどうしても出ますよね(笑)。本当に自然に、空気のように当たり前のこととして浸透してほしい狙いもあったので、サークル活動というイメージにして、そのリーダーも私などではなく林さんに立ってもらいました。

ふわっとさせず、批判を恐れず。表明するほうを選んだ。

――毎年東京でも実施されているLGBTQのイベント「レインボープライド」への協賛・参加は、以前から視野にいれたのですか?

笹谷:はい。ちょうど5月に表参道に新店舗を出す計画もあり、近くの代々木公園が会場のイベントだったので、「これに参加しよう!」とスタートしました。

林:最初はみんなでレインボーの旗を持ってパレードに参加しよう! おそろいのTシャツで! といったノリでしたね(笑)。

小川:そうでしたね! ただコロナ禍もあってパレードは大々的におこなう感じではなかったんですよね。

他にも、アライを表明して協賛するなら、ジュエリーブランドとしてはスペシャルなジュエリーもつくりたいよね、と話が進みました。


――「デリヴレール」という記念ジュエリーですね。小川さんがデザインしたそうですが、どのように形にされていったのですか?


引用:https://bizoux.jp/products/bx03325?_pos=1&_sid=aafc735ee&_ss=r

小川:モチーフはレインボーフラッグです。私もセミナーで知ったのですが、レインボーフラッグは赤、橙、黄、緑、青、紫の6色と決まっていて、すべてPANTONEでの色指定まである。

そこで各色とほぼ同じカラーストーンを6つ配したリングにして、レインボーフラッグを再現しようと考えました。もともと5つの石を並べた人気シリーズのリングがあり、それを6つに増やしてリモデルさせたんです。


レインボーフラグは6色。

――リング部の曲線がしなやかで素敵ですね。

小川:ベースにしたリング「デリヴレール」がそもそも曲線を描いていたんですが、よくみたら林さんがつくってくれた「ジェンダーフリー」のロゴにある波線にも似ていたんですね。


林:そうですね! ロゴでは、「ストレートではない」という意味も持たせたライン(曲線)だったんですよ。

小川:不思議とそこがリンクして、いいデザインに仕上がったと思います。実は企画から2ヶ月ちょっとで製品にする必要があって、商品開発はなかなかのハードワークでしたが(笑)。


――もともとあった同じシリーズのリングを好きなお客さまにも響いたのではないでしょうか。

笹谷:そうですね。instagramやTwitterでも発信していますが、「アライ」に反応されている方がいる一方で、「かわいい!」と単にデザインから反応してくださる方も多かったように思います。

林:私も母に「かわいいから買っておいて」と頼まれました。

笹谷:うれしい(笑)。ただそれだけに、しっかりとLGBTQのことや、アライである意味は明確に表明して、伝わるようにと意識しました。「かわいい」が入口でも、その裏にある意味がちゃんと伝わり、意識の変容につながるのなら、それも素敵なことだなと考えましたね。最初は少し怖かった面もあったんですが。

――怖かったとは、どういうことでしょうか?

笹谷:「アライ」の立場を表明することで、場合によってはそのイメージをネガティブにとらえる既存のお客さまもいらっしゃるかもしれない、と考えたからです。なので、オリジナルのリングをつくっても、直接LGBTQを伝えるのではなく、「かわいいデザイン」という視点から入ってもらうほうがいいのかなと議論もしました。

ただ先程もお伝えしたように、私たちのブランドのアイデンティティに「多様性」がありますからね。その輪郭を強調するための取り組みにもつながるので、今回は明快に伝える方向に決めました。

結果、SNSの反応を観ると、本当に「意識が変わった」といってくださる方もいて、よかったなと思います。

――岡島さんも意見やアイデアを求められたのですか?

岡島:プロダクトに関してはとにかくワクワクしながら途中経過をうかがっていました。個人的に「めちゃくちゃ欲しい!」と思いつつ(笑)。

いくつか提案させてもらったのは、商品紹介をするウェブサイトのコピーでしょうか。

笹谷:すごく覚えているのが、冒頭の文章でアライについて説明するところですね。最初は「LGBTQを“支援”しようとしている人…」と書いたら、岡島さんが“支援“だけではなく“理解”を足してくれましたよね。

“支援”という具体的なアクションをするだけがアライの立場ではなく、静かに純粋に、心で理解することもアライであり、LGBTQの方々にとってはそれも“フレンドリー”なんだなと気づきがありましたね。

岡島:考え方は人それぞれなので仰々しく「私たちはLGBTQを支援します!」「同性婚を賛成します!」などと大きな表現やアクションをしなくても、「身近にいるんだ」くらいの理解でも、個人的には十分だと考えているんです。

――やはり岡島さんの意見はとてもリアルで、貴重な存在ですね。プロジェクトそのものは、今後どのような活動を続けていようと考えているのでしょう?

加藤:たとえば私はまだ入社1年未満で、コロナのため店舗研修もスキップしているのですが、お客さまと近いポジションの人たちもできるだけ巻き込んでいければなと考えています。今後もどんどん新しい方が入社すると思うので、以前のセミナーみたいなものも定期的にやっていきたいなと。


小川:私はものづくりの立場からですが、BIZOUXのカラーストーンが多様性を真ん中においたジュエリーで、性別や他のなにかにとらわれず、とにかくいろんな人に楽しんでほしいという思いがあります。そのためのプロジェクトとして持続させていきたい。

笹谷:社会的な当たり前の立場としてアライを表明している一方で、やっぱりブランドの価値を高めるビジネスサイドの意味でも大きい取り組みだと考えています。だから持続させていきたいですよね。

そのためにもやはりチームのみんなが自発的に自分ごととして進めていける、このサークルのようなスタイルは変えたくない。林部長がどうやって大きくしていくか、私もとても楽しみです。

林:まずはプロジェクトを続けながらメンバーを増やしていきたいです。こちハリをきっかけに、他のグループ企業の方々にも参加してもらえたら嬉しい。

――今回の記事が、そのきっかけになったらいいですね! 岡島さんがプロジェクトに期待することはありますか?

岡島:今も十分に期待に応えていただいて、パートナーからも環境を羨ましがられているほどなんです(笑)。

そんな中で強いて言えば、このプロジェクトがもとになって、「ジュエリー業界でLGBTフレンドリーなブランドはBIZOUXだよね」と言われる、そうなったらうれしいですね。

――LGBTQにまつわる施策は、ハリズリーグループ各社の中でも今後、実施していく動きがあると思います。そんなとき、岡島さんに相談したい方がいたらウェルカムでしょうか?

岡島:もちろんです! 私自身もレズビアンの友人はたくさんいるんですけど、ゲイやトランスジェンダーの友だちが少ない。プロジェクトをさらに育てていく意味でも、いろんな人の意見を聞いてみたいですね。周囲に打ち明けづらくて悩んでいる方もこっそりお気軽に個別チャットでご連絡ください。

――本当にこの記事をきっかけにプロジェクトがさらに大きくなっていたらうれしいです。本日はありがとうございました。

インタビュー:八島朱里


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