食品業界向け初のWebイベント。地方の中小企業がWebイベントに挑戦して感じたこと/株式会社 丸信
Webやオンラインを業務に活用する動きが一気に広がりました。福岡県久留米市という地方都市にある当社でも、当たり前のようにWebを活用した情報共有や、オンラインによるミーティング・商談が日々行われ、会社の飲み会も定期的にリモートで開催。新型コロナウイルス感染症の影響とは言え、この1年で、全社的にWebの活用が大きく進みました。
そんな流れで、2月18日から初のWebイベントを開催することになりました。昨年から準備を進めてきましたが、しかし、これがとても大変。従来のリアルイベントをWeb上にスライドさせるだけ、という軽いノリで考えていたら痛い目に遭うレベルです。
開催は3週間後ではありますが、Webイベント準備の苦労話を踏まえ、中小企業が単独でWebイベントを開催するにあたって押さえておきたいポイントなどを、イベント告知と併せて (^^;) 紹介させていただきます。
「丸信オンライン・オープンハウス2021」
https://www.maru-sin.co.jp/event/openhouse2021info/
■深く考えていなかったWebイベント企画
当社では、2018年から毎年秋頃に「オープンハウス」という自社イベントを開催してきました。「工場見学」と「セミナー」で構成し、既にお取引のあるお客様を中心に本社工場にお越しいただいていました。しかし、ご承知の通り、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、来場していただく形での「オープンハウス」は中止。その代替案として「オンライン・オープンハウス」の企画が持ち上がり、昨夏頃から検討を始めました。
この時は、Webイベント準備の大変さをあまり理解していなかったこともあり、従来の「オープンハウス」のボリュームそのままに“オンライン化”する企画がスタートしました。しかし、直ぐにいくつかの問題やハードルが現れたのです。
■工場見学のライブ配信における問題
まず検討したのが、すべてのプログラムをライブ配信すること。セミナーはZoomでの経験があったため問題を感じていませんでしたが、最初のハードルは工場見学のライブ配信でした。
従来の工場見学は、1組4~5人のグループに分けて、時間帯や案内人を変えて、最大10数組で見学ツアーを実施していました。これをオンラインで行うと、どんな問題が起こるのか。考えられた問題は以下の通りです。
- 映像品質や通信環境は大丈夫?
- 工場稼働中で音声は届く?
- 案内人のほかに撮影者が必要
- PC越しの見学に1時間も耐えられる?
- 工場間移動中に待ち時間が発生
5G端末を用いて、高品質のヘッドセットをして、現場ごとに案内人・撮影者をスタンバイさせて、瞬時に映像を切り替える等で実現できなくはないですが、これはもう、テレビの生中継レベルの体制になってしまう話。さすがにそこまでの体制は難易度が高いため、事前に収録した映像を編集して、字幕を入れて対応することにしました。
■Zoomによるライブ配信セミナーに不安
「セミナーはZoomでの経験があったため問題を感じていませんでした」と先述しましたが、これも、よく調べてみると簡単ではありませんでした。
- Zoomアカウントが複数必要
- 参加者数によって通信環境に負荷
- 画面共有等の機能が上手く動作する?
10前後のセミナーを2日間に詰め込むと、タイムスケジュールがタイトになります。一つのセミナーが終わると直ぐに次のセミナーが始まる、こういうスケジューリングをしたい場合は、Zoomアカウントを2つ以上準備して、円滑にセミナーを開始させることが重要だということも分かりました。
機能の不備は、私自身が外部のセミナーを受けていて実際に起こった事象です。そのときは30分ほどセミナーが中断し、講師が入退室をし直したけど画面共有機能が使用できず、仕方なく言葉だけで説明し、後日資料が送られてくることになりました。この経験があったため、ライブ配信セミナーについて大きな不安を抱えていました。
そこで、セミナーについてはライブ配信を行う「スペシャルセミナー」を3つに絞り、それ以外の「お役立ちセミナー」は事前収録による配信し、可能な限り当日のリスクを減らすことにしました。
■収録動画は撮影や編集が課題
上記(1 or 2)の理由から、「工場見学」「お役立ちセミナー」は事前収録することにしましたが、結局のところ、それはそれで大変でした。
- 収録日の時期調整
- 収録内容の陳腐化
- 編集作業の労力
従来のオープンハウスでは、セミナーを行う演者や工場見学の案内人は、最悪、当日までに準備が完了していればOKでした。しかし、事前収録はそういう訳にはいきません。
撮影→編集→サイト制作というWebイベント当日までのスケジュールを逆算すると、遅くとも開催の1か月半くらい前には撮影をしなければ間に合いません。しかし、早く撮影し過ぎると、発表内容に新鮮さがなくなり直前の最新情報は盛り込むことができないとう問題も。
情報の鮮度を問わない内容にして早めに撮影を終わらせるか、それとも可能な限り最新の情報を盛り込んでギリギリに撮影するか、悩んだセミナー講師も少なくありませんでした。
一方、「工場見学」については、昨年に一通り撮影を終えていましたが、その後、説明字幕については大きく時間を割いて修正を重ねました。編集作業の現場に立ち会うことも多いのですが、字幕のみならず、各シーンの尺やBGM、字幕の長さとのバランスなど相当に細かな作業。できる限り、参加者に理解してもらえるように現在、最終チェック中です。
■新たに生まれたWebならではのアイデア
ここまでは苦労話が先行してしまいましたが、検討を重ねて行く中で、新たな発見や取り組みが生まれたのも事実。
従来は必ず当社にお越しいただかないと参加できませんでしたが、Webのメリットは何と言っても場所を問わないこと。全国、全世界どこからでも参加可能です。参加したくてもできなかった遠方の企業の方はもちろん、近隣の方でも往復の移動時間がなくなる分、参加のための拘束時間が短くて済みます。
場所を問わないのはセミナー講師も同じ。今回、2人の外部講師の方にお願いしていますが、ぞれぞれ、東京と大阪からZoom登壇していただく予定です。
「工場見学」は単に製造工程を見てもらうだけでは実感が足りないと考え、希望者には事前にパッケージやシールのサンプル品をお届けし、手元のサンプル品を実際に触りながら、その製造工程を見ることができるようにしました。発送業務などは発生しますが、アナログとデジタルの融合施策(大げさ?)として、ちょっとワクワクしています。
■押さえておきたいのポイント
こうした準備や検討を重ねてきた経験から、当社のような地方の中小企業がWebイベントを開催するにあたって、押さえておきたいポイントを考えてみました。
- Webならではの特徴やメリットを活かす
- 従来のスライド開催ではなく新イベントとして考える
- 欲張らない(身の丈に合わせる)
とくに今回の反省点としては3つ目かと思います。初めてのWebイベントの割にはプログラムが充実し過ぎてしまったかも。そのため、今年1月に入社したばかりの動画編集スタッフはフル稼働中です(^^;
当社では、社内の有志によるCS委員会と呼ばれる専門チームが企画を行い、専属のカメラマンと編集動画スタッフが撮影・編集、告知ページや特設サイトなどWebページ関連はWeb制作が担当。すべて内製化で準備を進めてきたので、その大変さは伝わってきました。
内容のボリュームに応じて、十分な準備時間も必要だと感じました。一方で、ボリュームを少なくして頻度を高くできるのもWebならではかもしれません。Webイベントはリアルな場所を抑える必要がないため、できることなら年1回と言わず、2回でも3回でも行っていきたいと思います。
その第一歩となるのが、今回の「丸信オンライン・オープンハウス2021」。このイベントで得られた経験やノウハウを、ゆくゆくはお取引いただくお客様のためにも活かしていきたいと考えています。
■丸信初のWebイベント
「丸信オンライン・オープンハウス2021」では、主に食品メーカーや食品事業者、食品スーパーなどが、コロナ禍でビジネスを伸ばしていくためのヒントとなりそうな情報を提供いたします。スペシャルセミナーでは「食品EC」「通販の商品開発」「惣菜戦略」についてその道のプロが登壇します。このワードに反応された方は必見です。
是非、当社の初のイベントにご参加ください。おそらく多分に不備や不手際があるかもしれませんが、そこはしっかり覚悟します。率直なご意見やご感想をいただけると尚のこと嬉しいです。お申込みをお待ちしております。
「丸信オンライン・オープンハウス2021」
https://www.maru-sin.co.jp/event/openhouse2021info/
■おまけ
「丸信オンライン・オープンハウス2021」の当日の特設サイトでは、当社社長のトップメッセージ動画も準備しています。そのときの収録の様子です。
「人を前にして話すのと、カメラに向かって話すのとは、全然違う、、、」と嘆きながらも、何度か撮り直して、無事に収録を終えました。当社社長のことをご存じの方は、こちらも必見です。