通る人は、技術の話だけをしていなかった。創業1年目の経営者が見てきた案件面談の中身
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「来週、面談があります」と伝えると、少し緊張した返事が返ってくることがあります。無理もないと思います。新しい案件に入る前の面談は、エンジニアにとって転職の面接に近い緊張感がある場だからです。
株式会社Codenceの西野です。2025年9月に登記したばかりの、創業1年目の会社を経営しています。エンジニアがお客様の開発現場で働く事業をしているので、案件の面談には送り出す側として何度も立ち会ってきました。
今日はその経験から、案件面談という場で実際に何が起きているのか、どんな人が通っているのかを書いてみます。これから面談を控えている方や、この働き方を検討している方の参考になればうれしいです。
「面談であって、面接ではない」という建前
この業界にいると、「面談」という言葉の独特な使われ方に気づきます。私たちの事業で多い準委任という契約では、どのエンジニアを受け入れるかをお客様が選考することは、本来できないことになっています。労働者の選考にあたる行為は、契約の性格上認められていないからです。
だから現場では「面接」と呼ばず、「面談」や「顔合わせ」と呼びます。建前の上では、業務の内容や進め方についてお互いの認識を合わせる場、ということになっています。
ただ、実態がその通りかというと、そうとは言い切れない場面が多いのも事実です。面談のあとに「今回は見送りで」という連絡が来ることはありますし、複数の候補者の中から選ばれることもあります。呼び方は面談でも、通る・通らないのある場だということを、働く側はみんな知っています。
このずれは業界の構造的な問題として、ずっと指摘されてきました。私も健全だとは思っていません。ただ、今まさに面談へ向かうエンジニアにとって役に立つのは、構造への批判よりも、あの場で何を見られているのかを知っておくことだと思うので、この記事ではそちらに絞って書きます。
技術の評価は、面談の前にほぼ終わっている
前提として、技術力の評価は面談の場で決まるものではありません。スキルシートを送った時点で、経験した工程や技術の確認はおおよそ済んでいます。面談に呼ばれたということは、書類の上では「お願いできそうだ」と思われているということです。
では、あの場で何を確かめられているのか。私が同席してきた範囲では、大きく二つあります。
一つは、スキルシートに書いた経験を自分の言葉で語れるかどうか。「この部分の設計は、どういう理由でこの形にしたんですか」と聞かれたときに、自分の判断として説明できるか。経験を大きく書いている人は、ここで急に具体性がなくなります。逆に、担当した範囲が狭くても、実装はここまでが自分で、その先の判断は先輩がしていました、と境界を正直に語れる人は信頼されます。
もう一つは、毎日一緒に働く相手として無理がないかどうか。受け答えのテンポ、わからないことを聞かれたときの反応、話がかみ合わなくなったときに立て直せるか。面談に出てくる現場のリーダーは、この人と毎日質問をやり取りすることになるのか、という目で見ています。技術の質問のようでいて、確かめられているのはコミュニケーションだった、ということは珍しくありません。
よく聞かれることは、実は決まっている
面談の質問は現場ごとに違うようでいて、よく聞かれることはある程度決まっています。直近の案件で担当した工程と役割。使った技術のうち、自分で選んだものと与えられたもの。トラブルのときに最初に何をしたか。チームの中での自分の立ち位置。このあたりは、ほとんどの面談で何らかの形で聞かれます。
特に多いのが、困ったときにどうしたか、という趣旨の質問です。技術的に行き詰まった経験、仕様の認識が食い違った経験、遅れが見えたときの動き方。答えに正解はありませんが、実際にやったことを時系列で具体的に話せるかどうかで、経験の濃さが伝わります。
準備としては、想定問答を丸暗記するより、直近の案件を一つ選んで、自分は何を任され、何を判断し、何に困って、どう動いたかを一度書き出しておくことをおすすめします。時間はかかりませんし、どんな質問が来てもそこから答えを組み立てられるようになります。
通る人が、自然にやっていたこと
何十回か立ち会ううちに、通る人にはいくつかの共通点があると感じるようになりました。
まず、答えられない質問への対応が誠実です。触ったことのない技術について聞かれたとき、話を広げてごまかす人と、「使った経験はないです。近いところだと〇〇なら実務で使いました」と返す人がいます。通るのは、はっきり後者です。現場の人が知りたいのは知識の量ではなく、わからないことにぶつかったとき、この人がどう振る舞うかという一点です。参画してからの毎日は、わからないことの連続だからです。
次に、自分から質問できること。終盤には大抵、何か聞いておきたいことはありますか、という時間があります。ここで開発の進め方やレビューの文化、チームの構成を聞ける人は、印象がまるで違います。その現場で働く自分を具体的に想像していることが伝わるからです。質問の中身が的を射ていれば、それ自体が実力の証明にもなります。
最後に、経歴を大きく見せようとしないこと。意外に聞こえるかもしれません。ただ、面談に出てくるのは、話を数分聞けば相手の力量の見当がつく現場のエンジニアです。盛った話はその場で指摘されないまま、後から見送りの理由になります。等身大で話すことは、遠回りに見えて実は一番堅実な戦い方だと思います。
働く側も、あの場で会社を見ていい
ここまで見られている側の話を書いてきましたが、面談は同時に、働く側が案件と会社を確かめられる数少ない機会でもあります。
私が求職者の立場なら、まず、出てきた人が実際に一緒に働く人かどうかを見ます。現場のリーダーが出てくる面談は、チームの空気がそのまま伝わってきます。逆に、窓口の担当者だけで現場の人が出てこないなら、働く環境は入ってみるまでわからないということです。
仕事の内容をどこまで具体的に話してくれるかも、大事な判断材料になります。詳しくは参画後に、という説明ばかりの案件は、任せる仕事がまだ固まっていないか、先に言いにくい事情があるか、どちらかのことが多いというのが私の実感です。
そしてもう一つ。自分を送り出す会社の営業が、その場でどう振る舞うか。本人の経験を実際より大きく紹介する営業だったら、参画後に苦しむのはエンジニア本人です。面談は案件を確かめる場であると同時に、所属する会社の誠実さが表に出る場でもあります。私は同席するたびに、そのことを意識させられます。
面談は、受けさせられる場ではない
会社を始めてからの1年足らずで、面談への見方は大きく変わりました。エンジニアだったころの私にとって、面談は受けさせられるものでした。通れば良し、見送りなら落ち込む。それだけの場だと思っていました。
今は、双方が確かめ合う場だと考えています。現場は一緒に働けるかを確かめ、エンジニアは働く価値のある現場かを確かめる。本来はそれだけのことのはずです。
だから私は、面談の前に必ず「合わないと感じたら、断って大丈夫です」と伝えるようにしています。通ることが目的になると、合わない現場に無理に入ってしまいます。それで消耗するのは本人ですし、長い目で見れば会社にとっても良いことが何もありません。
面談を控えている方は、見られていることに構えるより、確かめたいことを一つ持って臨んでみてください。それだけで、あの場の見え方は少し変わるはずです。
私たちは創業1年目の会社ですが、面談の前に案件の中身を隠さず伝えること、経歴を実際より大きく紹介しないことを続けてきました。設計や判断を自分の言葉で語れるエンジニアになりたい方となら、良い話ができると思います。よければ、こちらの募集ものぞいてみてください。