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大企業と起業初期で実体験した、「ベンチャーの成否はプロダクトかマーケットかチームか」の議論の結論は

ベンチャー業界では、「ベンチャー企業の成否はプロダクトか、その市場規模か、それをつくるチームか」ということがよく議論されます。

この議論に関しては当然様々な意見があり、全て大事という方もいますが、私は「100%チーム」スタンスです。

実は個人的に、起業なんていう選択肢が世の中にあることすら知る前に、最初の原体験がありました。


大企業で初体験した、大規模プロジェクトの失敗

私は前職時代に外銀東京支店の大きなプロジェクトに関わらせていただいたのですが、プロジェクト進行も佳境の時、たまたま岩瀬大輔さんのご著書『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)を読む機会がありました。

その中で、ヘッジファンドを運用しつつベンチャー投資もされている谷家衛さんという方のある言葉が、私にはずっしり響きました。

その言葉とは、

「これまで100社近いベンチャーに出資してきて、分かったことは、『ベンチャーの成否は人で決まる』ということ。経営者はさほど魅力的でないが、ビジネスモデルや技術が面白いと思って出資した会社は、すべてうまくいかなかった。他方で、創業時のビジネスプランはいまいちだけど経営している人がユニークで面白いと思った会社は、なんとか軌道修正して、うまくいった。だから、僕はもう、ベンチャー企業の事業計画は見ないことにした。すべては『誰がやるか』に尽きる」

というものです。

確かに目の前で進んでいるプロジェクトはスピード優先で、チームも急造でした。そのため、ひとつにならなければいけないのに、チームにはところどころほころびも見え隠れしていました。

それでも私は、当初は「あまりにプロジェクトが魅力的なものであったら、いくらチームに多少のほころびがあっても、逆に失敗するほうが難しいだろう。偉人の言葉と、自分が今、目にしている魅力的すぎる機会の威力のどちらが勝つか興味深すぎる」と内心ニヤリとしていました。

ところが、やはり谷家さんの言葉通り、ほころびは誤魔化せません。プロジェクトを進める中で次々に難問が襲ってくるのですが、一体となっていないチームではそれらに対処できなかったのです。

そのプロジェクトが日の目をみることはありませんでした。


ベンチャー企業に求められるチーム力は、大企業の比ではない

この強烈な体験から、私は起業する際はできる限り高い戦闘力を持つ創業メンバーを集めなければならないと考えました。

しかし、ベンチャー企業を立ち上げる際に求められるチームビルディングのレベルは、私が考えていたような、大企業ならワークするようなものとは次元が違いました。

様々なご縁や運に恵まれ、創業チームはまたたく間に5人のチームになりました。

しかし、その中で実際に創業時の無数の荒波を越えるチャレンジを続けることを選んだのは、私と現在も内部監査室長としてクラウドクレジットを支えてくれている竹中の2人だけでした。

もちろん、私が起業経験者でチームのメンバーが会社を創業するにあたって自然と湧いてくる負の感情をコントロールできるようにコーチングできていれば問題はなかったのかもしれない、という点は考慮すべきと考えています。

ちなみに竹中は、私が勤めていた銀行の法務コンプライアンス部長の方の、生命保険会社時代とご自身が起業された会社での部下でした。

起業したものの残念ながらその事業を閉鎖することになった経験のあるその方は、どんどん職員が離れていく中、ただ一人会社に残って粛々と閉鎖業務をこなし続ける竹中の姿を見ていました。そんな経緯から、「絶対に信頼できる人だ」と竹中を私に紹介してくれたのでした。

それは事実でした。竹中はその後2年間、クラウドクレジットの立ち上げ期のいちばん苦しい時期に、淡々と「やるべきこと」に集中してくれました。それがなかったら、3年目以降のクラウドクレジットの拡大期は永遠に訪れなかったでしょう。

その後クラウドクレジットは様々な荒波を乗り越えることが必要でしたが、幸いなことに素晴らしいメンバーがどんどん参画をしてくれ、ひとつにまとまったチームは苦戦をすることはあっても、荒波をどんどん越えていきます。

プロダクトをつくるのもチームですし、市場規模にしても同じプロダクトを扱っていてもアウトプットが全く異なるベンチャー企業がごまんといるのをみるとたいした問題ではないと思われますし、私はプロダクト、マーケット、チームのどれが大事か?と聞かれれば、100%チームであると答えます。


※当ブログは、書籍「さらば銀行」(講談社)の一部を抜粋・改変したものです。

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